愛すれどTigers


球児離脱!首位攻防戦惨敗……

 ついに、ドラゴンズに優勝マジックか点灯し、今節終了時点でM38となってしまった。横浜球場のベイスターズ戦では矢野が審判の誤審に怒り暴力退場をし、これで流れが悪くなり2勝1敗。首位ドラゴンズに追いすがる最後の機会となったナゴヤドームでのドラゴンズ3連戦では首の寝違いを理由に藤川が登録抹消となり、チームに勢いなく3連敗。開幕当初の今岡の不振とウィリアムス、橋本の故障離脱に始まり、金本、赤星は負傷で100%の力を出せず、久保田、そしてついに藤川まで離脱してしまった。そんな状態でも2位につけていることを立派というべきか。それだけの故障者が出るということは、キャンプや戦力補強で期待通りの成果をだせなかったというべきか。甲子園では高校生たちが熱いドラマをくりひろげている裏で、タイガースにはとうとう秋風が吹きはじめた。今節は2勝4敗。ここまで55勝44敗3分、勝率.550。首位ドラゴンズとの差は8.5ゲームで2位。

◎ベイスターズ13回戦……4−1
 2回表、ベイスターズ先発の門倉から矢野と藤本の連続タイムリーで2点を先制。3回表には関本がレフトスタンドにソロホームラン。さらに5回表には濱中のタイムリーで4点めをたたき出し、この回限りで門倉を引きずり降ろした。福原は7回まで投げ無失点。7回裏には2死満塁のピンチを作ったが、代打鈴木尚をピッチャーゴロに打ち取って難を逃れた。8回表にはウィリアムスを、9回表にはダーウィンを投入、ダーウィンが種田のタイムリーで1点を失ったがなんとか逃げ切る。藤川を温存するナゴヤドームをにらんだ起用でまずは成功した。
◎ベイスターズ14回戦……4−1
 初回、ベイスターズの先発三浦の足を野手が引っ張る。先頭の赤星のレフトへのヒットを吉村が後逸して三塁へ進む。シーツのタイムリーでまずは1点先制だ。さらに濱中のライト線の当たりは野手の間を抜けて三塁打となり、三塁への返球を種田がそらす間に濱中は一気にホームイン。苦手三浦から初回に3点は大きかった。タイガースの先発井川は、ローテーションの軸の座を福原に奪われた。5回裏に吉村にソロホームランを打たれたが、8回を投げて失点はこの1本のみ。ひたすら攻めの投球をしてみせ、ベイスターズ打線を圧倒した。8回表、疲れのみえた三浦から2死満塁のチャンスに矢野が押し出しの四球を選んでだめ押しの1点を奪う。9回裏、2死までウィリアムスが投げ、最後の1人は藤川が顔見せのような登板で抑えた。ナゴヤドームへ向けてのデモンストレーションだったのだろうが、温存策をとってもよかったのではなかったか。
◎ベイスターズ15回戦……6−10
 ベイスターズの先発は吉見。2回表、2死一三塁から関本のセンターオーバーの2点タイムリーで先制する。安藤は初回から飛ばしまくり、3回まではパーフェクト。4回裏に初安打を打たれたが、後続を断ってリードを守る。転機は4回裏にきた。2死一二塁から吉見の打球はショートへのハーフライナー。これを鳥谷がこぼし、二塁走者を返してしまう。石井の打席で安藤の暴投があり、ランナーは二三塁に。ここで石井はフルカウントからワンバウンドの球を打ってファール。ところが審判は空振りと判定、振り逃げとなってしまった。しかし、石井は振り逃げならば当然すぐに一塁に走るはずなのに打席にとどまっていたし、矢野自身目の前でバットに当たっているのを見ている。テレビのモニターで見ても明らかにファールである。しかし、審判は矢野の抗議に取り合わない。矢野はついに怒り、とうとう審判の胸元を突いてしまった。有隅球審は即退場のコール。そんなこんなの間にベイスターズの2人のランナーはホームインしてしまい逆転を許してしまった。しかもファールの石井は平然と二塁まで進んでいる。捕手が野口に代わって試合再開。緊張感が切れたか、安藤は小池にタイムリーを打たれ、結局この回4点を奪われてしまった。しかし続く6回表、タイガース打線は奮起した。赤星のタイムリーで1点を返し、満塁からシーツの一塁へのフライを吉村が落球して2者が生還、再逆転を果たした。吉見はこれでノックアウト。大事な6回裏を任されたのは金澤。しかし、金澤にはこの異様な雰囲気の試合を統御することができなかった。無死二三塁から鳥谷がショートゴロをジャッグルして同点。古木のバントは金澤が好捕して三塁でアウトを取るが、併殺を狙った関本の一塁送球がそれて再び二三塁に。相川の勝ち越しタイムリーで金沢は降板。交代した江草は鈴木尚に犠牲フライを打たれる。さらに小池に2点タイムリー。エラー続出で5点を失った。7回裏には太陽が相川にタイムリーを打たれて点差を広げられる。8回表、四番手加藤から金本がライトスタンドにホームランを打つが、時、既に遅し。矢野の退場のあと、せっかく再逆転したのに持ちこたえられなかった。こういう試合であっても勝てるのが本当の勢いというものだろうが、タイガースにはそれが感じられなかった。金澤も太陽も打たれるのではないかという心配が先に立っているようだ。
 この試合で、タイガースの優勝への勢いは消えた。
◎ドラゴンズ11回戦……2−3
 ベテラン下柳にもドラゴンズの勢いは止められなかった。4回裏、2死一三塁からアレックスに先制タイムリーを打たれ、続く英智にも2点タイムリーを許し、3点を失った。それでも5回表、ここまで1安打に抑えられていた川上に牙をむく。2死二三塁から代打桧山の2点タイムリーで1点差に迫った。しかし、金本が川上の外角カットボールに手が出ず3三振とブレーキになってしまい、結局1点差のまま9回岩瀬に抑えられ、首位攻防線の初戦を落してしまった。
◎ドラゴンズ12回戦……1−11
 落雷による停電で試合開始が30分遅れた。初回、山本昌から赤星が四球を選び、関本のバントで二塁へ。金本のレフト前ヒットで生還し、1点を先制する。しかし、先発の能見はこの試合のもつプレッシャーにつぶされてしまった。1回裏、森野のタイムリーで同点に追いつかれ、荒木、井端、福留の連打で2点を失って降板、二番手の太陽は暴投で1点を献上したあとT・ウッズのタイムリーでこの回4点目を奪われた。太陽は3回裏には山本昌の犠牲フライ、4回裏にはT・ウッズのホームランでさらに2点を失う。5回裏から金澤が登板したが、ドラゴンズ打線を止められず、5回には山本昌の2点タイムリー、6回にはアレックスと谷繁のタイムリーで2点を失い、なんと16安打11失点。タイガース打線は山本の内外角を投げ分ける投球に翻弄され、7回までランナーを出しながらもここというところであと1本が出なかった。8回からは鈴木、中里のリレーで逃げ切られ、惨めな敗戦。この結果、ドラゴンズに優勝マジック40が点灯した。
◎ドラゴンズ13回戦……5−13
 ここまで8勝の佐藤充とは今季初対戦。初回、金本、濱中の連続タイムリーで2点を先制した時は、今日こそと思われた。ところが、最後の砦の福原もぴりっとしない。その裏、2死から4連打を浴び同点に追いつかれた。3回裏にはアレックスのタイムリーで勝ち越されたが、それでも代打交代となった6回まで、なんとか1点差を保って試合らしくはしてくれた。ところが7回裏、ダーウィンがバントを二塁に送球してセーフというフィールダーズ・チョイスでピンチを作り、福留を歩かせ満塁に。T・ウッズは三振に打ち取ったが、森野、アレックスの連続タイムリーなどで4点を失い、試合を決定づけてしまった。8回表、二番手平井から1死満塁で藤本の2点タイムリー、林のショートゴロの間のランナー生還などで3点を返し、2点差まで詰め寄った。8回裏、3番手オクスプリングが満塁から渡邊にタイムリーを打たれ、江草に交代、江草は森野とアレックスの連続タイムリーで2点ずつ失い、桟原に交代。その桟原も井上の二塁打で1点を失う。なんとこの回一挙6点。戦意喪失のタイガースナインは、9回表、岡本に簡単に打ち取られて、試合終了。ドラゴンズの勢いに完全に飲まれた格好である。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……井川慶 本来ならエースとして今節2回先発すべきところを、ローテーションの変更で2番手の先発となってしまった。それでも腐らず今季のベストピッチを見せてくれた。この調子で今度はドラゴンズにも勝ってほしい。
野手……金本知憲 川上に3三振を食ったのは痛かったが、それ以外の試合では孤軍奮闘といってもいいくらいふんばった。次の対戦では川上から決勝打を打ってほしい。

 ドラゴンズの初戦、矢野は1試合の出場停止処分。暴行はよくないこととはいえ、誤審をした審判に対するおとがめなしはあまりにも不公平ではないか。ただ、岡田監督のこの日のコメント「タイガースも来季からパ・リーグでやりますと抗議文に書けというたんや」は不用意ではないか。いくら腹を立てていても、恫喝のような真似だけはしてほしくない。
 優勝するような年は、何をしてもうまくいく。勢いに乗るからだ。今年、勢いに乗り切れなかったため、昨年結果を出した桟原や江草が別人のようになってしまっている。しかし、ペナントレースはまだ終っていない。逆転優勝とはいかないまでも、ドラゴンズの優勝を1日でも先に伸ばすような戦いを見せてほしい。次節は地元京セラドーム大阪でベイスターズと、神宮でスワローズと当たる。こうなったら金沢、太陽、江草などのかわりに田村、玉置、若竹など期待の若手を上げてダメモトでどんどん起用していくのも一つの策かもしれない。

(2006年8月14日記)


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