愛すれどTigers


中継ぎ火だるま5連敗も藤川涙の連敗脱出

 長期ロードを締めくくる広島市民球場のカープ3連戦は、3試合ともリードしながら中継ぎ投手の不調で逆転負けばかりの3連敗。久々の甲子園でのジャイアンツ戦にも連敗し、今季最多タイの5連敗となった。しかし、6連敗は藤川の熱投で阻止し、1勝2敗。藤川は勝負どころでの登録抹消や連敗がよほど悔しかったのか、ヒーローインタビューで涙ぐみ、声をつまらせた。今節1勝5敗と散々な成績ではあったが、ドラゴンズもこの間に4連敗し、首位との差は9.0ゲームとそれほど離されてはいない。藤川の意地にナインが奮起するか。ここまで60勝52敗3分、勝率.536。ドラゴンズの優勝マジックは26。

◎カープ13回戦……4−5
 2回表、佐々岡から鳥谷がセンターに先制ホームランを放つと、矢野と藤本の連打でチャンスを作り、関本がレフトスタンドに3ランを叩き込む。しかし、このあとタイガース打線は林、マルテ、広池、梅津、永川と小刻みにつないでくるカープ投手陣の前に沈黙。井川は4回突如乱れ、嶋のソロホームランに続き、連打を浴びて緒方、廣瀬の連続タイムリーで1点差に迫られた。5回と6回は持ち直したが、7回、内野安打のランナーを2人置いて、梵にセンターオーバーの三塁打を打たれて逆転された。8回裏には2ヶ月ぶりに久保田が登板、新井にいきなり二塁打を打たれたが、あとは抑えて面目をほどこした。それにしてもこの試合の井川ほどイニングによってまるで別人になる姿を見たことがない。どうしたというのだろう。
◎カープ14回戦……3−8
 初回、大竹から金本の二塁打と濱中の犠牲フライで2点を先制した。しかし下柳は投球が単調で、いきなり連打でランナーを許して嶋のタイムリーで1点を返される。新井のライトフライを濱中が落球して満塁に。前田に死球で押し出し同点。緒方の併殺の間に逆転のランナーを返されてしまった。3回裏には嶋のソロホームランで2点差に。4回表、鳥谷がセンター最前列に10号ソロホームランを放って1点差とするが、反撃はそこまで。5回裏、嶋に2打席連続のソロホームランを浴び、下柳はこの回限りで降板した。6回裏、二番手のダーウィンがカープ打線につかまり、倉、東出、梵のタイムリーで3点を失い、勝敗は決した。
◎カープ15回戦……2−3
 初回、黒田からシーツが先制のソロホームラン。しかし安藤も立ち上がりは苦しく、1死一三塁から前田の内野ゴロの間に1点を返され同点に。しかし、安藤は悪いなりに粘りの投球を見せた。6回表、濱中のタイムリーで1点勝ち越し。7回にはウィリアムスを投入し、8回には久保田を投げさせるというJFK揃い踏みで勝利としたかったのだろうが、8回裏、久保田はヒットの新井を一塁に起き、前田にまさかの逆転2ランを打たれた。カープは黒田が投げ抜き、完投勝利。
◎ジャイアンツ14回戦……2−5
 福原と上原の投手戦。5回までは両投手テンポよく投げ、ランナーを出しながらも要所を締める投球。均衡を破ったのは6回裏、赤星がヒットで出塁し、シーツが低い弾道でセンターフェンス上に飛び込む先制2ラン。これは私は現場で見ていたが、フェンス直撃の二塁打かという当たりがよくのびた。7回表、福原は軽く2死をとる。上原にヒットを打たれたところで、なんとここまで好投していたのにウィリアムスに交代。ウィリアムスはいつものクロスファイヤー投球ができず脇谷を歩かせ、代打木村拓にもヒットを打たれて、守備固めのライト中村豊の返球がそれ、シーツのミットをかすってあらぬ方向にいってしまい1点を返される。続く高橋由の2点タイムリーで逆転された。イ・スンヨプのヒットでウィリアムスは降板、続いて投入された久保田も灯に油を注ぐ。小久保と二岡の連続タイムリーでこの回なんと一挙5点。ジャイアンツは林、豊田、高橋尚のリレーでタイガース打線を抑えて逃げ切った。不可解な投手交代で、せっかくの勝利をどぶに捨てた感がある。
◎ジャイアンツ15回戦……0−10
 ジャイアンツの先発内海は速球を主体に変化球を織りまぜタイガース打線を完封。タイガースの先発オクスプリングは2回表に小久保に先制ホームランを打たれ、3回表には高橋由の2点タイムリーとイ・スンヨプのタイムリーで3点を奪われる。4回表、1死二三塁としたところで吉野と交代。吉野も脇谷に2点タイムリーを打たれた。5回表には桟原が小久保のこの日2本めのソロホームランを浴び、9回表にはダーウィンが古城の2点タイムリーや自らのワイルドピッチなどで3失点。オクスプリングはこの試合のあと登録抹消となった。
◎ジャイアンツ16回戦……3−2
 杉山が必死の投球。とにかく速球主体にぐいぐい攻める。6回表、イ・スンヨプの犠牲フライで1点を先制されたが、その裏、好投の姜をタイガース打線もようやくとらえた。関本のセンター前ヒットで赤星が返って同点に。7回表、杉山はランナーを2人ためたが、この試合では岡田監督は辛抱して続投させ、難を逃れる。8回表からは藤川が久々の登板。高橋由、イ・スンヨプを連続三振にとる。その裏、林から関本が死球を受け、シーツの二塁打でチャンスを作る。マウンドには久保が。金本敬遠のあと、濱中の打球をセンター鈴木がスライディングキャッチするが、ショートバウンドして関本が生還、シーツが三塁でフォースアウトになったためにタイムリーセンターゴロという珍記録となった。続く鳥谷がセンター前タイムリーで2点差に。藤川は9回表、二岡にホームランを打たれて1点差とされたが、矢野謙、斉藤と連続三振に打ち取って逃げ切った。藤川がマウンドに上がった時、確かに流れが変わった。ジャイアンツ打線が受け身になった。こういう投手こそ「守護神」というにふさわしい。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……藤川球児 甲子園に球児が戻ってきた。肩の張りもよくなったか、高めのストレートで勝負。彼の暑い投球がチームのムードを変えた。この勢いでドラゴンズにもお返しをしてほしい。
野手……アンディ・シーツ 一時スランプ気味だったが、今節再び調子を取り戻した。安打数もリーグトップ。この調子でドラゴンズの投手陣をねじ伏せてほしい。

 次節は甲子園にドラゴンズを迎えてこれまでのお返しをする。甲子園でならばナゴヤドームと違い自分たちのペースも取り戻せるだろう。私も甲子園に行き、ドラゴンズを倒す後押しをしに行く予定だ。週末は横浜球場でベイスターズと2試合。相性がいい相手だけに、取りこぼさず最後の大逆転への望みをつないでほしい。

(2006年8月28日記)


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