愛すれどTigers


金本満塁弾、林はアピール弾も打線不調

 東京遠征は、神宮球場で1試合雨で流し、5試合。神宮のスワローズ戦は1勝1敗、東京ドームのジャイアンツ戦は1勝2敗。今節は2勝3敗と負け越した。6番に入っている濱中と、8番に入っている関本の不調が大きい。2人とも打率が1割に満たないのだ。我慢の限界を超え、林と藤本を起用したジャイアンツとの試合では2人とも活躍したが、翌日は左投げの高橋尚が先発とみるや、ふたたび不調の2人を先発に起用し、完封されてしまった。調子のいい打者は左右関係なく打つ。岡田監督は妙なこだわりを捨て、調子のよい者を起用してレギュラーを競わせるべきだと思うのだが、現時点では監督の頑固さが裏目に出ているように思われる。今節終了時点で4勝4敗、勝率5割ちょうど。首位ドラゴンズとは2.5ゲーム差の3位。

◎スワローズ1回戦……4−3
 タイガース先発投手は新外国人のジャン。4回までは変化球を内外角に投げわける好投で無失点。ランナーを背負い、吹き出る汗を指先でぬぐいそのままボールを持って審判からスピットボールの注意を受けたが、それでも併殺打などで切り抜けた。5回表、スワローズ先発投手の石川に対し、ジャンが内野安打で出塁し、赤星、シーツとヒットで続いて満塁。金本が39歳の誕生日に花を添えるグランとスラムをバックスクリーンに叩き込んで4点先制した。5回裏、ジャンは勝ち星を意識したか、ランナーを出してボークをとられ、さらにヒットの追い討ちとランナーをため、福川、代打真中、田中浩のタイムリーであっという間に3点を失い1点差に迫られる。それでもリグスを凡フライに切ってとって同点にされずにすんだ。岡田監督は6回には橋本健を投入。ランナーを背負いながらも3連続三振の快投。7回久保田、8回ウィリアムスと万全の継投だが、ウィリアムスは先頭のガイエルを歩かせバントで送られ同点の危機に。福川のレフト前ヒットでガイエルは本塁に突っ込んできたが、金本の好返球で憤死。そし9回には藤川が登板、逃げ切りを果たした。ジャンは来日初勝利。
◎スワローズ2回戦……1−4
 雨で1試合流れたが、江草をスライド先発させず予定通り新外国人のボーグルソンが登板。打たれても打たれても最後は速球で勝負して相手を打ち損じさせるという謎な投球で4回裏の飯原のライトポール直撃のホームランだけの1失点で6回を投げ切った。ただ、打線がこの怪投に応えられない。ランナーは出しても要所を変化球でゆさぶられて凡打の山。特にチャンスで濱中にまわると最初から打てそうにない感じである。それでも6回表、金本がライトスタンドに同点ソロホームランを放ち、試合は終盤に。7回に登板した連投の橋本健がつかまる。ラミレスに勝ち越しのホームランをレフトスタンドに運ばれると、ガイエルを歩かせ宮本の二塁打でさらに1点。福川にスクイズを決められ3点差にされた。9回表、高津に対し、左の代打をつぎこむ。林が四球、葛城は凡退したが藤本が四球。ついには守備要員の秀太まで代打に送ったが三振に倒れ、鳥谷が凡飛で試合終了。打線の組み替えをしていかないと、このままずるずるいきそうな感じがする試合となった。
◎ジャイアンツ1回戦……1−6
 下柳がまさかの炎上。ジャイアンツキラーとしてならすだけに、これは誤算だ。2回裏、ホリンズ、高橋由、谷のタイムリーで3点を失う。さらには4回裏、イ・スンヨプの3ラン。いつもの下柳らしい相手を手玉にとる投球ができなかった。そのあとは桟原、江草、吉野らリリーフ投手陣がジャイアンツ打線を抑え切っただけに、下柳のKOは非常に痛い。それよりも問題は打線で、左投手の内海が先発ということで全く打てない濱中と関本を先発で起用したが、速球主体にのびのびと投げる内海の球をとらえられない。5回表、シーツのタイムリーで1点を返しただけにとどまり、完投勝利を許してしまった。
◎ジャイアンツ2回戦……4−3
 6番ライトに林、8番セカンドに藤本と、ここまでベンチで出番を待っていた両者を先発起用。これが当たった。タイガースの先発能見は初回から不安定な投球。二岡のタイムリーのあと、木村拓にもタイムリーを打たれたが、ジャイアンツの走塁ミスに助けられ、なんとか2失点にとどめた。ジャイアンツの先発は門倉。2回表、林のライトスタンドへの今季1号で反撃開始だ。3回表、ヒットの鳥谷を赤星が送り、シーツのヒットでチャンスを広げると、金本が同点の犠牲フライ。今岡がヒットでつなぎ、そして林がセンター前へ勝ち越しの2点タイムリー。代打に甘んじていた鬱憤を晴らすかのような活躍だ。能見は4回裏、伏兵ホリンズに二塁打を打たれると、投手の野口にセンター前にタイムリーを打たれて1点差に迫られた。なんとか5回を投げ切った能見をあきらめ、なんと6回から久保田を投入。7回途中に久保田がランナーを許すと、ウィリアムスを登板させピンチを断ち切る。8回途中にウィリアムスがピンチをつくれば、藤川を躊躇なく出して抑え、9回裏には速球の勢いが衰えているのを変化球をたくみに織りまぜて逃げ切った。能見は不安定な投球が続いている。江草の先発起用を早めてもいいのではないか。
◎ジャイアンツ3回戦……0−2
 左の高橋尚が先発ということで、岡田監督は前日外した濱中と関本を再び先発起用したが、期待に応えられず、まるで打てそうにない。この日高橋尚から3安打したのは左打者の金本だ。前日に結果を残した林を引っ込めてまでして右打者にこだわる必要はなかった。今岡も右打者だが、高橋の変化球にタイミングがあわず全て凡退している。タイガースは新人小嶋が2度目の先発。相手のタイミングをずらす投球フォームで幻惑する。4回裏、阿部のタイムリーで、そして6回裏、小笠原のソロホームランで2点を失ったが、6回2失点は打線の援護があれば勝てる内容だ。リリーフで7回から登板した江草も2回を完璧に抑える投球で、決して負けてはいない。ただ、打線が完封負けを喫してはどうしようもない。左対右にこだわった岡田監督の選手起用に疑問を感じさせる試合であった。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……久保田智之 ここまで1点も失点が許されない場面で中継ぎリリーフとして登板、力のある球でなんとか抑え、勝ちパターンを維持しいる。昨年後半、指の骨折以来思うような投球ができず失われかけた信頼をここにきて取り戻したといえるだろう。先発陣が最長で6回までしか投げていない現在、久保田の存在は大きい。
野手……金本知憲 39歳の誕生日を飾ったのは、自ら打ったバックスクリーン直撃の満塁ホームラン。五番打者以降て得点力ががくんと落ちる現状を一身で支えている。

 さあ、タイガースが甲子園に帰ってくる。福原も二軍戦での調整を終えていよいよ一軍に合流だ。新外国人2人も、2度目の登板となると気負いもそれほどなく投げられるだろう。相手は首位を独走するドラゴンズだ。あまり走らせず、こちらの体勢を立ち直らせるためにもぜひ勝ち越してほしいものである。初戦は私も甲子園に行ってしっかり応援してくるぞ。

(2007年4月1日記)


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