甲子園の開幕カードは昨季優勝争いをした好敵手ドラゴンズ。ストッパー岩瀬を欠くすきをついて２勝１分。しかし、３試合ともＪＦＫをつぎこむ必勝体勢てのぞんだため、次のカードでは緊張感が切れたか、昨季には大きく勝ち越しカモにしていたベイスターズによもやの連敗を喫した。それでも３タテは防いで１勝２敗。特にこれまでいいようにやられていたベテラン山本昌や工藤といったところを攻略したのは大きい。また、敗れはしたものの今季初先発の杉山や前回不調だった能見がゲームを作るような投球をしたのも収穫である。これで今節は３勝２敗１分と勝ち越し、今節終了時点で７勝６敗、勝率．５８３。首位ドラゴンズとは１．０ゲーム差の３位。
◎ドラゴンズ１回戦……５−２
タイガースの先発はジャン。２回表、Ｔ・ウッズに先制のソロホームランを打たれ、３回表には井端のタイムリー二塁打で２点目を失った。打線は低調なだけに、このまま天敵山本昌の術中にはまるかと思われたが、４回裏、Ｔ・ウッズのエラーでシーツが出塁、金本がヒットで続き、チャンスを作る。今岡三振、濱中はセカンドライナーでこのチャンスもつぶれたかと思われたが、矢野がセンター前に弾き返すタイムリーで１点差に追いついた。そして５回裏、鳥谷、赤星の連打とシーツの四球で１死満塁となり、金本が同点タイムリーをライト前に。そして今岡が二遊間を破るセンター前２点タイムリーで勝ち越した。ここで山本昌は降板。二番手のラミレスから濱中もヒットで続き、再び満塁。矢野が押し出しの四球を選んで３点差に。７回表からは惜しげもなく久保田、ウィリアムス、藤川と１回ずつつぎこんでみごとに逃げ切った。甲子園の今季開幕試合を白星で飾ってくれ、レフトスタンドで見ていた私も大満足！
◎ドラゴンズ２回戦……６−６
開幕に間に合わなかった福原が先発登板で一軍復帰。しかし、敵はドラゴンズ、そう甘くはなかった。初回、福留のタイムリー二塁打で先制され、四球を連発して満塁に。中村紀の犠牲フライと森野のタイムリーであれよあれよという間に３点を失ってしまった。しかし、前夜の勝利で復調したタイガース打線はドラゴンズ先発の長峰に襲いかかる。無死一二塁でシーツが走者一掃の２点タイムリー二塁打を放つと、今岡もレフト線への同点二塁打。すぐに追いついた。しかし４回表、福原はまたも四球で崩れる。先頭打者を歩かせ、連続ヒットで満塁に。井端のヒットと荒木の内野ゴロで２点を失い降板。二番手の江草もＴ・ウッズの犠牲フライで１点を追加され、またも３点差に。しかし、風邪で岩瀬が欠場しているドラゴンズはリリーフ体勢が万全ではなかった。６回表、金本が長峰から反撃開始のソロホームランを放つと、８回裏にはリリーフの小林、浅尾を打ち込んで代打林が同点二塁打。試合は振り出しに戻った。タイガースはウィリアムス、藤川、久保田とつないでドラゴンズの反撃を許さず、またドラゴンズも高橋、岡本が登板してタイガースの反撃を封じ、試合は引き分け。しかし、敗色濃厚の展開から追いついて負けなかったのは大きい。福原は二軍で再調整となり、杉山が一軍に昇格した。
◎ドラゴンズ３回戦……３−１
初回、打線はいきなり川上を攻め立てた。赤星がヒットで出塁すると、すかさず盗塁。金本のタイムリーを呼んだ。さらに２回裏、矢野がヒットで出塁、藤本の当たりはショート井端への併殺と思われたが、二塁塁審はセカンドベースタッチなしと判定して幸運なセーフに。打席には投手のボーグルソン。気落ちした川上の投げた甘い球をきれいに振り抜くと、打球はレフトスタンドへ。ボーグルソンは５回まで四球などでランナーを出しながらも要所を締め、６回表に中村紀に移籍第１号となるソロホームランを左中間スタンドに打たれる１点だけに抑えてＪＦＫに。久保田、ウィリアムス、藤川は一人もランナーを出さない完璧なリリーフ投球。ボークルソンの来日初勝利を助けた。なお、タイガースの外国人投手の甲子園でのホームランはキーオ以来１９年ぶりだそうだ。
◎ベイスターズ１回戦……４−６
この試合、風が強く、本拠地のタイガースナインの守備陣でさえフライが上がると戸惑うほどであった。初回、こちらも天敵の三浦からまたも金本が先制タイムリーを放ち、今季初先発の杉山を助ける。杉山も初回に仁志に三塁打を打たれるという不安な立ち上がりを無失点で切り抜けて調子に乗り、６回まで無失点という好投。しかし、初先発で１点差を守るのはきつかったか。７回表、佐伯の犠牲フライで同点に追いつかれ、相川を敬遠して勝負にいった三浦にセンターオーバーの２点タイムリーを打たれてしまう。それでも７回裏に鳥谷がタイムリーを放って１点差に追い上げた。８回にマウンドに上がった橋本健は、鈴木尚のタイムリーと吉村の犠牲フライで２点を奪われ、小池をセカンドフライに打ち取ったと思いきや、藤本が落球して痛恨の３点目を奪われた。８回裏、疲れのみえた三浦から矢野が２点タイムリーを放っただけに、このエラーでの失点は重かった。９回裏、クルーンから鳥谷が二塁打を放ち、２死となって打席には金本。ホームランで逆転という場面で雨が強くなり、試合は中断。雨はさらに強く降り、９回裏２死でコールドという珍しい負け方になった。
◎ベイスターズ２回戦……０−６
タイガースの能見、ベイスターズの河村両先発が好投。ベイスターズは５回から三橋、７回からホセロを投入し、７回裏まで０−０という緊迫した展開となった。しかし、タイガース先発投手今季最長となる８回、能見はついにつかまった。投手のホセロにヒットを打たれてからリズムを崩し、１死満塁で村田には押し出し四球、鈴木尚には犠牲フライで２点を失った。それても打線の援護があれば文句なしの勝ち投手だっただろう。９回表、二番手の桟原は仁志のタイムリーなどで２点を、吉野に代えたが小池に２点打を許して大差をつけられてしまった。タイガース打線はチャンスに一打が出ず、ずるずると完封リレーで敗れた。桟原と吉野は二軍で再調整。相木と筒井が一軍昇格。
◎ベイスターズ３回戦……１０−１
嫌な空気を振り払ったのは鳥谷だった。ベテラン工藤から初回先頭打者ホームランをレフトスタンドに運ぶ。当たりはよくなかったが、風に助けられた。工藤はこれで調子を崩す。金本はホームラン性の特大タイムリー二塁打で続き、濱中も今季初打点となるタイムリー。四球を連発する工藤はなんと小嶋に押し出し四球を与えてしまう。首痛で先発を外れた赤星の代役赤松の犠牲フライ、鳥谷、関本の連続タイムリーでなんと打者１１人７点の猛攻撃。工藤は１回持たずに降板という百戦錬磨のベテランらしからぬ結果となった。２回裏には二番手吉見からライトスタンドへ、８回裏には三番手三橋からライトスタンドへ。いずれも豪快なホームランを金本が放ち、突き放した。先発小島は大量得点に助けられ、５回に村田タイムリーで失った１失点のみという好投で７回を投げ切った。８回からは江草、相木がリリーフで続いてベイスターズの反撃を断ち切り、３連敗を免れた。
◎愛すれどTigers週間ＭＶＰ
投手……ライアン・ボーグルソン 来日初勝利を、自らのホームランで飾った。打って投げてのワンマンショーで、これで気をよくしてこれからの登板もリズムよく投げてもらいたいもだ。
野手……鳥谷敬 まさかのベイスターズ２連敗でずるずるといきそうなところを食い止める、自身初の先頭打者ホームランをはじめとして、今節も好調を保った。打率も急上昇。若きリードオフマンとしてチームを引っ張ることができるか。
次節は鬼門ナゴヤドームでドラゴンズと対戦。今季、ドラゴンズと互角以上の戦いをするためには、ここで１勝でもすることが肝要である。さらに、好調を維持しているジャイアンツを甲子園に迎え撃つ。期せずして次節は首位攻防の６連戦となる。ここを五分以上で乗り切っていけば、調子に乗れるだろう。
（２００７年４月１６日記）
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