愛すれどTigers


3連勝3連敗で4月負け越し

 甲子園のスワローズ戦は、相手のミスにも助けられて3連勝。特に3戦目でシーツや鳥谷がファインプレーを連発したのはすばらしかった。しか、広島市民球場でのカープ戦は、ゴールデンウィーク9連戦の最初のカードであったが先発投手陣が3試合連続で初回に大量点を奪われるという展開で3連敗。4月は負け越しという結果に終ってしまった。なにより、ここまで完投勝利0というあたりに先発投手陣の不安定なところが現れてしまった。今節終了時点で12勝13敗1分、勝率.480。首位ジャイアンツとは3.0ゲーム差で4位。

◎スワローズ3回戦……2−1
 ジャンと石川の投手戦。ジャンは3回表に二塁打の田中浩を飯原の犠牲フライで返されて1点を先行されるが、ストライクゾーンの端を有効に使う好投で、試合を作った。タイガース打線は石川の前にゴロばかり打たされてチャンスも作れない。7回表、ジャンはラミレスのピッチャーライナーを顔面に受け、あごの皮膚が裂けてユニフォームは血まみれ。それでもたんかを拒絶し歩いてベンチに戻る。急遽登板した久保田は最初はリズムをつかみにくそうにしていたが、すぐに伸びのある速球が決まりだし、スワローズ打線を沈黙させた。スワローズは7回から木田、館山とつなぎ、タイガースもウィリアムスが登板して勝ちをつかみにいく。そして9回裏、雨が強くなる中、スワローズの抑えの切り札高津がマウンドに。シーツのライトフライをガイエルがぽろりと落とし、シーツは二塁に進む。金本敬遠、今岡四球で満塁として、林がライト前に落ちる同点タイムリーを放つ。そしベテラン矢野のセンター前に転がるヒットでみごとな逆転サヨナラ勝利。濱中は離脱したが、同点打の林、代走盗塁の赤松らの活躍で穴は埋まっておつりが来るくらいである。
◎スワローズ4回戦……7−2
 1回裏、スワローズの先発石井一のフォークで空振り三振した金本だが、それを福川が後ろにそらして振り逃げとなる。出塁していた赤星は三塁に進み、今岡の三遊間を破るタイムリーでまず1点。続く林はライトオーバーの二塁打で金本を返し、前日に続いて相手のミスに付け込んで得点した。下柳は直後の2回表、畠山にソロホームランを打たれて1点差にされたが、2回裏には関本のヒットなどでチャンスを作り、赤星の犠牲フライですぐに1点を返した。そこから5回までは両左腕が踏ん張り締まった試合になったが、6回裏に石井一がついに崩れた。今岡、林のヒットなどでチャンスを作り、関本の犠牲フライと鳥谷のライトオーバーの三塁打で3点を奪う。7回裏には二番手花田からシーツがホームランを放ちゲームを決定づけた。大差のため、7回以降は江草、福原が登板してJFKを休ませたのも大きかった。
◎スワローズ5回戦……3−1
 スワローズ先発はこの試合まで無四球というコントロールを誇る新外国人グライシンガー。1回裏、タイガース打線は小技と大技をまぜて攻略。赤星がバントヒットで出塁し、金本がセンターを越える二塁打で返す。3回にはボーグルソンのヒット、赤星がグライシンガーから来日初与四球を選び、シーツのタイムリーで2点目を奪った。ボーグルソンは初回と4回に満塁の危機を迎えるが一二塁間を抜ける当たりを止めたシーツのファインプレーなどでなんとか切り抜けた。しかし、5回表、ラミレス、畠山に連打を食らい、渡会の内野ゴロの間に1点を失う。さらに城石にもヒットを打たれピンチは続いたが、福川のセンター前を抜けるかという当たりは飛びついた鳥谷のグラブの先にひっかかるように入り、二塁封殺。これで流れをなんとか引き戻した。6回裏、その鳥谷のタイムリー内野安打(打球が鳥谷の手に当たったと古田監督が抗議したがくつがえらず)でグライシンガーをKO。タイガースは6回以降は久保田、ウィリアムス、藤川を投入して逃げ切った。シーツと鳥谷のファインプレーがなければ流れはスワローズにいっていただろう。守り切った3連勝である。
◎カープ4回戦……4−8
 初回、シーツがカープ先発長谷川からタイムリーを放ち、この試合も乗っていけるかと思われたが、金本の併殺で流れが途切れた。一方タイガースの先発杉山は天谷、栗原のヒットでピンチに。苦し紛れに投げた甘いコースを新井に見事にとらえられレフトスタンドに逆転スリーラン。2回表、矢野のタイムリーで1点差に迫り、3回表にはシーツが逆転2ランを放ち、長谷川をノックアウトした。しかし、二番手フェルナンデスのナックルに4回以降は苦しみ、追加点が奪えない。そして5回裏、杉山がつかまった。天谷に逆転2ランを打たれ、新井、前田智の連打のあと、嶋と倉にタイムリーを浴びて5失点。責任回数を全うできず中村泰にマウンドをゆずった。カープはフェルナンデスの好投を受け、林、梅津とつないで逃げ切り。金本がタイミングを狂わされて凡打を続け、ブレーキとなってしまった。
◎カープ5回戦……1−5
 初回、能見が栗原のタイムリーで1点を先制されたあと、満塁ホームランを廣瀬から打たれ、いきなり5失点。打線はこの点差をうめるべくかえって金縛りのようになってしまい、好球を打ち損じる。ベテラン佐々岡から2回表には3連打で2死満塁とするも、このチャンスに打者は能見で代打も送れず、佐々岡をつぶすチャンスを逸した。佐々岡はこれで生き返る。好機に金本という場面が何度もおとずれたが、ことごとく凡退。タイガースは4回以降、福原、中村泰、渡辺をつぎこみ、カープ打線を抑え切っただけに、初回の大量失点は大きかった。9回表、河内から赤星がタイムリーを放って1点は返したが、シーツには梅津、金本には永川と一人一殺リレーがはまって連続三振で試合は終った。杉山も能見も先発を外し、福原、中村泰と入れ替えるなどの手を打たないと今後のローテーションを考えても苦しいように思う。
◎カープ6回戦……4−7
 またまた初回にやられた。小嶋は先頭の梵にヒットを許し、栗原を歩かせ、新井にライトスタント最前列に飛び込む3ランを打たれる。カープの先発はエースの黒田。さすがに力のある球で、4回まで抑え込まれていたが、5回表に左打者がとらえた。林と狩野の連打でチャンスを作り、藤本がセンター前に転がすタイムリー。さらに代打葛城がレフト前に落とすタイムリーで1点差に迫る。しかし、鳥谷、赤星は内野ゴロを打たされて一気に攻略し切れなかった。6回裏、二番手の江草が炎上。栗原の打球を金本が弾いたりしたのが尾をひいたか、新井を歩かせ前田智に内角高めのボール球をライトスタンドに運ばれ3点を失う。さらに倉にもレフトスタンドに運ばれ1点差が一気に5点差に。それでも7回表には林のライトスタンドへのソロホームランで、8回表には鳥谷、赤星の連打でチャンスを作ってシーツの内野ゴロの間に鳥谷が帰ってそれぞれ1点ずつ返していく。しかし、最後は永川が登板しきっちり抑えられ、悪夢のような3連敗となってしまった。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……エステバン・ジャン スワローズ戦で1失点の好投。勝敗はつかなかったが、ラミレスの打球を顔にまともに受け、あごの皮膚が裂ける大怪我をしながら翌日から練習を再開しようとしたというタフネスぶりに敬服する。次回はそのファイトに打線が応えてくれるはずである。
野手……矢野輝弘 狩野の台頭に対して、まだまだ負けないサヨナラヒットを放つ。ベテランと若手が刺激しあって高いレベルで世代交代が行われるのが理想だけに、こういう競り合いは望ましいのだ。

 次節は横浜に移動してベイスターズと3連戦、そして甲子園に戻ってカープと3連戦。この6連戦は先発投手の台所が苦しいタイガースにとって勝負どころである。本来ならば今節先発した杉山、能見、小嶋ら若手がフルに完投するくらいのタフさを見せてほしいところなのだが……。特に甲子園でのカープ戦では今節と同じ顔ぶれが登板するはずなので、ぜひ今回の屈辱を晴らしてほしいものである。

(2007年4月30日記)


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