愛すれどTigers


連敗9でストップ、逆襲4連勝

 甲子園のジャイアンツ戦で2連敗し、連敗は9までのびたが、3戦目に勝って連敗をストップさせると、神宮球場でのスワローズ戦では打線が復調して3連勝。今節は久々に4勝2敗と勝ち越して、最大7あった負け越しも3まで戻した。特に今岡の復調や、これまで二軍でくすぶっていた葛城、野口といった脇役陣の活躍がめざましかった。先発投手の完投はまだないものの、橋本健や中村泰ら中継ぎ投手がJFKにつなぐ活躍を見せたのも収穫だ。今節終了時点で16勝19敗1分、勝率.457。首位ジャイアンツとは5.0ゲーム差で5位。4位のカープとのゲーム差はなく、勝率で下回っての5位だけに、一気にAクラスを狙えるところまできたといえるだろう。

◎ジャイアンツ7回戦……1−7
 ジャンは2回表二岡を歩かせボークを連発して三塁にまで進め、ゴンザレスの犠牲フライで簡単に1点を先制される。3回表にはイ・スンヨプの2ラン、5回表にはイ・スンヨプと二岡の連続タイムリーと阿部の内野ゴロ、そしてゴンザレスのタイムリーで一気に4失点と、5回途中7失点で降板した。ラミレスの打球を顔面に受けながらすぐに復帰したタフネスと思っていたが、怪我の影響は残っているのではないだろうか。ジャンのあとを受けた能見、中村泰、杉山が無失点で切り抜けただけに、もう少し早めの継投はできなかったものか。打線は今季初先発の福田が投げるクセ球をとらえ切れず凡打の山。8回裏、関本と葛城のヒットでチャンスを作り、林の内野ゴロの間に1点を返したが、反撃はそこまで。シーツを六番に下げ、林を三番に入れた新打線も不発に終った。
◎ジャイアンツ8回戦……5−6
 ジャイアンツ期待のルーキー金刃も、甲子園の重圧には勝てなかった。初回、林がライトスタンドへ2ランを放ち、2回裏にはこの日二番の関本がタイムリーで俊足赤松をホームに迎え入れ3点を先取。しかし、ベテラン下柳は今季最悪の出来だった。3回表、1死二三塁で高橋由に2点タイムリーを打たれ、谷のヒットとイ・スンヨプの四球で2死満塁に。ここで二岡の逆転タイムリーが出てしまう。ムキになればなるほど球が真ん中に集まる悪いクセが出た。相手を見下したような投球ができなかった。3回限りでマウンドをおりる事になった。しかし、橋本健、能見、ウィリアムスが1イニングずつをきっちりと抑える。打線も5回裏に二塁打の林を置いて今岡がライト前に見事に落とす同点タイムリーを金刃から打って降板させた。さらに6回裏、二番手サブマリン会田から代打葛城が勝ち越しとなるソロホームランをバックスクリーン横に叩き込み、チームは勝ちムードに。久保田のあと、8回途中から12日ぶりに藤川が登板、逃げ切りかと思われたが、9回表に先頭の高橋由にヒットを打たれ、代走鈴木尚の盗塁を矢野がさせず、さらに捕逸で三塁までやってしまう。そして谷の同点タイムリー。小笠原とイ・スンヨプは連続三振に打ち取ったものの、苦手の二岡に勝ち越しタイムリーを打たれ、逆転負け。最後は上原に締められた。しかし、藤川は打たれたが、翌日に希望のもてる試合展開だった。
◎ジャイアンツ9回戦……3−2
 ついに長いトンネルを脱出した。先発福原は初回連打を浴びながらも後続を断ち無失点で切り抜ける。その裏、木佐貫から四球の林を置いて金本がライトスタンドに先制の2ラン。福原は直後の2回表に阿部にソロホームランを浴びて1点差とされたが、5回裏に鳥谷がレフトスタンドへふわりと運ぶソロホームランを放ち、木佐貫をKOした。福原は6回表に再び阿部にソロホームランを打たれて降板したが、久保田が、そしてウィリアムスが好投して9回表までリードを保ち、前日リリーフ失敗の藤川がマウンドに。前日、矢野の速球一本やりのリードに対し、狩野は変化球を多投させ相手打線を幻惑、みごとに逃げ切った。福原は今季初勝利。
◎スワローズ6回戦……5−3
 初回、松井を攻め立て2死一二塁で今岡がレフト前に落す先制タイムリー。2回表にはライトのガイエルがシーツのイージーフライをそらすという幸運な二塁打で出塁すると、狩野がセンター前にタイムリー。ボーグルソンが3回裏にラミレスのタイムリーで1点差とされると、5回表には関本が名手宮本のまさかのエラーで出塁し、林が中押しの2ランをライトスタンドに持っていく。さらに金本もライトへ追い討ちのソロホームラン。松井はこの回限りで降板した。ボーグルソンは大量リードをもらったにもかかわらずガイエルの2ランで2点差と詰め寄られ、さらに連打を浴びたが宮出をセンターライナーに辛うじて打ち取り、勝ち投手の権利を保持したまま降板した。6回裏には橋本健、能見が三者三振のリレーを見せ、7回以降はウィリアムス、久保田、藤川の必勝リレーで締めて連勝した。
◎スワローズ7回戦……3−2
 1回裏、杉山は三者三振という全力投球の立ち上がり。以降の回は別人かというくらいの出来だったのだが、スワローズ打線は初回の残像に幻惑されたのかもしれない。2回表、石井一から狩野がタイムリー二塁打を放って先制。4回表には内野安打の狩野と今季初安打の藤原を塁に置き鳥谷がセンター前に弾き返して2点追加。石井一をマウンドから引きずり降ろした。杉山は6回裏につかまる。ラミレス、宮出のタイムリーで2点を奪われ1点差に。ここで岡田監督は橋本健を起用、城石、米野を打ち取りピンチを脱した。7回裏にはウィリアムスが1死から青木に二塁打を打たれ、狩野の捕逸で三塁まで進めてしまったが、飯原のショート頭上をこえるかという当たりを鳥谷が好捕、三塁にすばやく送り、飛び出していた青木を刺してピンチを脱した。藤川が最後は締めて3連勝。
◎スワローズ8回戦……8−6
 初回、グライシンガーをつかまえた。2死二三塁から今岡がレフト前に運ぶ先制2点タイムリー。続くシーツは久々の2ランをレフトスタンドに運び、4点を一気にとる。しかし、ジャンはこリードを守り切れない。無死満塁からガイエルの2点タイムリーに、ラミレスもタイムリーで続き、宮本の同点タイムリーを食らって降板した。二番手渡辺、三番手中村泰が好投して勝ち越しを許さず、四番手能見がピンチを招いたが五番手橋本健がラミレスを三振に打ち取るなどして失点を許さない。立ち直ったグライシンガーの前にタイガース打線も沈黙していたが、9回表、高津から今岡がライト前に運ぶと、シーツの三塁ゴロはサード飯原の足下でイレギュラーバウンドして横に弾くという幸運な二塁打に。代打桧山敬遠で、打席には関本。よく粘った末にレフト前に1点勝ち越しのタイムリーを放つ。そして、途中から今季初出場を果たしていたベテラン野口がレフト横にとどめの走者一掃の3点二塁打を放った。9回裏、久保田はガイエルに2ランを浴びて2点差とされたが、なんとか逃げ切り、ウィリアムスと藤川を休ませた。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……橋本健太郎 一度二軍に落ちてはいあがってからは、速球を主体とした力の投球で大事なところでの中継ぎ役を果たしている。昨年の二の舞いだけはすまいという気合いがその投球を支えている。
野手……今岡誠 今岡独特の天才的な悪球打ちが戻ってきた。大きいのこそないが、ここぞという時に、野手のいないところにうまく落とす芸術的なヒットを連発、打率も3割に戻してきた。今岡が打ち始めると、打線がつながるのだ。

 ゴールデンウィークで7敗した相手であるカープとベイスターズが相手の6連戦が待っている。連敗時は先発が先取点をとられ、打線には逆転する力がなかったが、今は違う。赤星の代役である葛城は打ちまくり、代走の赤松は積極果敢な走塁を見せ、一番鳥谷と三番林が安定した力を発揮し、金本と今岡が返す。どん底にあえいでいたシーツもようやく復調した。次節こそ悪夢の9連敗のお返しをする時である。

(2007年5月14日記)


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