愛すれどTigers


ついに出た完投投手、杉山今季初完封

 米子で2試合、倉敷で1試合のカープ3連戦は3連敗で前節の連勝がふいになるかと思われたが、甲子園でのベイスターズ戦は、先発投手がいずれも無失点で切り抜けるという理想的な展開で3連勝。特に杉山が今季まだだれ一人タイガース投手陣で成し遂げていなかった完投勝利を完封で飾ったのはすばらしい。中継ぎで好投を続けていた中村泰も先発で今季初勝利をあげた。打線はシーツが復調の兆しを見せ、つながるようになってきた。今節終了時点で19勝22敗1分、勝率.463。首位ジャイアンツとは6.0ゲーム差で5位。4位のカープベイスターズとのゲーム差は1.0。

◎カープ9回戦……2−7
 下柳は初回に1死一二塁で新井のピッチャー頃を一塁に悪送球。これで先制点を奪われ、息つく間もなく前田智に3ランを打たれ、いきなり4点を失った。以後は安定し投球を見せただけに、この初回の大量失点が効いた。タイガースは大竹から2回表に2死満塁のチャンスを作りながら、下柳の三振でつぶす。4回表、二塁打のシーツを相手のエラーなどで返してなんとか1点は返したが、あとが続かない。6回裏には橋本健の落ちる球を矢野が止められず2度の暴投を記録するなどして労せずして相手に追加点を献上するなど2失点。これで反撃の機運もつぶれた。7回表、カープ三番手広池から金本がソロホームランを打つが、それだけ。8回裏には期待の伊代野が緒方のタイムリーで1点を奪われ、せっかくのチャンスなのにもったいない事をした。
◎カープ10回戦……1−6
 米子の雨はタイガースナインには冷たいものになった。初回、福原が四球を連発し、前田智に2点タイムリーを打たれた。3回裏には四球でランナーを出して暴投で1点失うという独り相撲。4回投げて降板した。カープの先発は青木高。4回から5回にかけて4者連続三振を食らうなど、適度に荒れた球に狙いを絞れない。6回途中から青木勇、梅津、マルテと小刻みな継投でかわされてしまう。5回表には二番手能見が振り逃げで1点を失うという、2試合続けてバッテリーミスが目立った。8回表、林が梅津からソロホームランを放ったが、焼け石に水。8回裏には前節とは別人のようになった橋本健が森笠、鞘師にタイムリーを浴びて、林のせっかくのホームランが無駄になってしまった。
◎カープ11回戦……2−3
 相性のいい倉敷だったが、ここでもカープの勢いは止められない。初回、高橋健から金本の先制タイムリーで1点先行するが、ボーグルソンはその裏またまた前田智にタイムリーを打たれて同点とされた。4回裏、伏兵石原のソロホームランで1点リードされ、6回には森笠のタイムリーで3点目を失ったが、打線の援護さえあればもう少し余裕のある投球ができただろうから、まずは及第点といえる。タイガースは7回表に金本がソロホームランを放って1点差としたが、宮崎、永川のリレーの前に打線が断ち切られ、3連敗を喫した。カープには8連敗。
◎ベイスターズ6回戦……4−1
 ベイスターズの先発は一軍に昇格したての山口。2回裏、林が左中間スタンドに放り込む先制のホームランを放つ。4回裏には矢野のタイムリー二塁打、そしてジャンにもタイムリーが出て3点差とする。ジャンは、イライラ投球をコーチのアドバイスで改善させ、落ち着いたマウンドさばき。野手の守備にも助けられ、6回を無失点で投げ切り、マウンドをJFKに譲る。6回裏には川村を攻めたてランナーをため、代打桧山が左腕山北からタイムリー。ウィリアムスのあとを受けた久保田が1点を奪われて完封勝利は逃したが、9回は藤川がきっちり締めて連敗脱出。ジャンは今季のタイガース先発投手で初めて無失点で切り抜ける好投で1ヶ月ぶりの勝利。そこまで今季の先発投手陣がひどかったといえばそれまでだけれども。
◎ベイスターズ7回戦……6−0
 ベイスターズの先発は左腕の土肥。それを呼んで今季一軍に初めて昇格した桜井を先発で起用した。桜井は5回裏に大量点のきっかけとなるプロ入り初ヒットを放って、初先発としては合格点。初回、その土肥からシーツのヒットなどでチャンスを作り、金本の内野ゴロで1点を先制。3回裏にはシーツが中押しのソロホームランをレフトスタンドへ。5回裏には関本のタイムリーのあと、シーツの2打席連続の2ランが生まれ、土肥をノックアウト。8回裏にはホセロを1死満塁と攻め立て鳥谷の内野安打でだめ押しの1点。タイガースの杉山は2回表、満塁のピンチを作ったが、二塁走者吉村を牽制球で刺して流れを呼び込んだ。低めを狙うていねいな投球でベイスターズ打線を完封。落ち着いたマウンドさばきで2勝目をあげた。
◎ベイスターズ8回戦……1−0
 中継ぎで結果を出していた縁の下の力持ちがみごとに表舞台に。中村泰は伸びのある速球と切れのいいスライダーでベイスターズ打線を寄せつけず、2回表に内川に林の後逸などによる三塁打を打たれても、後続をぴしゃりと断つ。初回と3回には三者三振を記録するなど、前日の杉山以上の投球内容だった。タイガース打線は加藤を4回裏に攻略。1死一三塁としたところで、加藤が緊急降板。林は左腕山北からライト前に先制タイムリーを放って中村泰を助ける。しかし、ベイスターズ投手陣もこの日は奮起した。川村、那須野、木塚のリレーに追加点が取れない。こういう展開に強いのがタイガース。7回からは久保田、ウィリアムス、藤川が1イニングずつきっちり抑えて最少得点差の試合をものにした。ベイスターズは勝率5割を切って4位に転落。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……杉山直久 今季のタイガース投手陣で完投一番乗りを完封で果たした。他に付け加える事は何もない。これがきっかけにして安定した投球を見せる投手にステップアップしていってほしい。
野手……林威助 三番、六番と打順が変わっても、勢いづいた長距離砲は止まらない。先制のホームランや決勝のタイムリーと、獅子奮迅の活躍である。あと少しで規定打席に達する。そこからが本当の勝負だ。

 次節からはセパ交流戦。まずはパ・リーグの強剛ホークスと敵地ヤフードームで戦うのだ。今のタイガースには強敵だが、ホークスも万全ではない。一昨年のように交流戦を機会に一気に波に乗るという場面を見たいものだ。2連戦ずつという変則的な戦い方でどのような展開になるのか。これも注目してみたい。
 なお、喜田剛内野手が交換トレードでカープに移籍する事になった。タイガースでは出場機会に恵まれず、やっと起用してもらってもそのチャンスをつかめなかったが、カープでは若手も多く機会はあるはず。カープからは右打の山田真介外野手が入団してきた。足も早く、打力もあるだけに、期待できそうだ。

(2007年5月21日記)


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