愛すれどTigers


ライオンズに連勝もファイターズに完敗

 矢野の戦列離脱、ボーグルソンの突然の肩痛など故障者が続き、苦戦を強いられるタイガース。今節は甲子園のライオンズ戦に連勝したものの、続く札幌ドームのファイターズ戦では連敗。しかもダルビッシュとグリンの前に手も足も出ず、若手の投手からしか点がとれないという完敗。それでも急遽先発したダーウィンの好投や、ベテラン野口の好リードなどの明るい材料もあった。今いる戦力でなんとかするしかない。シーツが好守に精彩を欠く現状では、林を一塁にまわして桜井を先発起用するなど、好調の選手を優先して使うという策も必要だろう。今節終了時点で22勝29敗1分、勝率.431。首位ジャイアンツとは9.5ゲーム差で4位。5位のベイスターズとのゲーム差はなく、わずかに勝率が上回っての4位である。

◎ライオンズ1回戦……3−1
 下柳が前回のホークス戦に続いて好投した。2回表、福地の二塁打で先制されたが、ランナーを出しながらも要所を締める投球術でライオンズ打線を翻弄した。若い狩野も下柳にリードされながら接戦をものにした。今後に向けていい勉強になっただろう。ライオンズの新人岸にプロの怖さを見せつけたのは4回裏。林が三塁後藤の拙守に助けられて内野安打で出塁し、気落ちするところを今岡が今季甲子園初アーチとなる逆転2ランをレフトスタンドに。観客席のざわめきが消えないうちに次打者の桧山は初球を叩いてライトスタンドにライナーで飛び込む追い討ちのソロホームラン。7回からは久保田、藤川が3イニングを2人でしのぐというリレーで逃げ切った。
◎ライオンズ2回戦……6−3
 先制したのはライオンズ。2回表にボーグルソンから中島が振り逃げで出塁し、栗山がライトスタンドにはいる2ランを放つ。ボーグルソンは3回を投げ終った時点で肩痛をうったえて降板し、中村泰が急遽マウンドに。中村泰は得意のスライダーでライオンズ打線を沈黙させる。ライオンズ先発のグラマンからヒットのなかったタイガース打線だが、4回裏、林が追撃のソロホームランを放ち、ヒットの今岡と四球のシーツを塁に置いて鳥谷がライトスタンド最前列にふわりとはいる逆転3ラン。中村泰は6回表、カブレラの犠牲フライで1点差とされ、7回に久保田につなぐ。久保田は鳥谷のエラーで出た石井義をバントで送られ、代打の平尾にレフト前ヒットを打たれる。石井義が本塁を突いたが、前進守備の金本がどんぴしゃりの返球をホームに返してタッチアウト。その裏、四番手星野から関本と林が連打してチャンスを作る。金本の併殺崩れの間に関本がホームイン。全力疾走で併殺を防いだ金本の闘志が光る。そして不振のシーツが五番手長田からセンター前にだめ押しのタイムリー。前日同様7回以降は久保田と藤川の2人が抑えて連勝した。
◎ファイターズ1回戦……5−8
 杉山が3回裏に田中賢のタイムリーと稲葉の2ランで3点を先制される。連勝中のファイターズの勢いは止まらない。4回表にダルビッシュから林が反撃のソロホームランを放つが、その裏に杉山と吉野が森本、稲葉、セギノールのタイムリーでまたたくまに4点奪われ大差をつけられ相次いで降板。杉山は二軍降格。7回裏には太陽がエラーがらみで1点を失い、7点差とされて9回表を迎えた。ダルビッシュは完投ペースだったが、球数などの関係で降板し、左腕の須永が最終回のマウンドに。代打桜井の二塁打と鳥谷の四球、そして林のヒットで満塁とし、金本がライトスタンドに満塁ホームラン! 今岡のヒットで須永から江尻に投手が代わったが、桧山もヒット、シーツが四球で再び満塁に一発逆転のチャンスで切り札マイケル中村が登板、期待の代打濱中は捕邪飛、関本は内野ゴロで劇的な逆転劇を演出はできなかった。
◎ファイターズ2回戦……0−2
 福原の登板回避でダーウィンに先発がまわってきた。4回裏、小谷野のタイムリー二塁打と高橋信の犠牲フライで2点は失ったが、先発としての役割は十分果たした。打線はグリンのチェンジアップに惑わされ、6回2死までノーヒット。4回表には3四球で満塁のチャンスを作ったが、桧山がコントロールの乱れているグリンを助けるように浅いカウントから打って出て捕邪飛ではどうしようもない。6回に二塁打、そして8回にショートが弾く強襲内野安打を放った林以外には誰もグリンからヒットを打てなかったのだから。最後は武田久、マイケル中村の必勝リレーで逃げ切られてしまった。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……中村泰広 ボーグルソンの肩痛で急遽登板し、得意のスライダーを駆使してみごとにつなぎ、2勝目をつかんだ。ここまでは先発と中継ぎの便利使いをされていたが、今後はローテーションの一角に食い込んでくるだろう。
野手……林威助 ついに規定打席に到達し、リーグ2位に躍り出た。いまや3番打者としてなくてはならない存在になった。金本が不調な中、打線を引っ張る役割を果たしてほしい。

 次節は波に乗るゴールデンイーグルスとフルキャスト宮城で対戦し、甲子園に戻って前回苦杯をなめたバファローズ、そして強豪ホークスと対戦は続く。現状は一進一退。故障者続出でチーム全体に焦りの色が見え始めている。こういう時こそ、二軍からは新鮮な顔ぶれを引き上げて思い切った起用をした方が閉息感を打ち破るきっかけになるだろう。坂や高橋勇も桜井と同様起用すれば結果をだすのではないだろうか。

(2007年6月4日記)


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