愛すれどTigers


延長、サヨナラ、苦闘の交流戦

 フルキャスト宮城のゴールデンイーグルス戦は、初戦を延長線で征したが、2戦目は田中将に抑えられる完敗。甲子園に戻ったバファローズ戦も、初戦は平野佳を打ちあぐねるも岡田監督初退場に燃えたナインがサヨナラ勝ちで先手をとりながら2戦目にはユウキのスローボールに翻弄されて完敗。続く甲子園のホークス戦も雨で長時間中断する中、杉内をなんとか攻略して延長戦を林のサヨナラホームランで勝ち取ったが2戦目は和田の好投の前に惜敗してしまう。3カード全て1勝1敗で今節は3勝3敗の五分。負け越し6からなかなか減らせないという苦闘が続く。それでも野口、浅井、藤本らこれまで起用されなかった選手が意地を見せてくれた。今節終了時点で25勝32敗1分、勝率.439。首位ジャイアンツとは9.5ゲーム差でカープと同率の4位。最下位のスワローズとのゲーム差は1.5。3位のベイスターズも含めた4チームが団子状態になっている。

◎ゴールデンイーグルス1回戦……10−5
 下柳が2回裏にフェルナンデスに先制二塁打を打たれたが、直後の3回表、金本がルーキー左腕の永井からライトスタンドに逆転2ランを放つ。しかし4回裏、またもフェルナンデスに同点二塁打を打たれ、鉄平の内野ゴロの間に勝ち越しのランナーに帰られふたたびリードを許した。さらに5回裏、渡辺直、高須に連打を浴び、礒部のタイムリーで差は2点に。ここで下柳は降板、橋本健が2三振を奪うなどし流れを断ち切った。6回表、イーグルス三番手青山からシーツ、狩野が連打し、この試合一番打者として起用された濱中が犠牲フライで1点を返す。青山を継いだ渡辺恒から赤星のヒットと林の四球でチャンスを広げ、金本が再び逆転打となる二塁打をライトに放ってまた1点リードとした。そのあとは久保田、藤川の必勝リレーで臨んだが、9回裏、2死から渡辺直を歩かせた藤川は盗塁を決められて動揺し、礒部のタイムリーで同点にされた。続く高波の打席で、二塁ランナーがわざと飛び出して捕手の悪投を誘おうとしたが、狩野はその狙いを見抜き、三塁ランナー高須を三本間に挟んでアウトに。サヨナラ負けを防いだ。そして11回表、切り札福盛をせめ、無死一二塁で金本の勝ち越しタイムリー、藤本のだめ押し2点三塁打で試合を決めた。シーツも福盛からタイムリーを放ち、急遽登板した松本から野口がこの回5点目となるレフト前ヒットを放って試合は決定的に。11回裏は渡辺、吉野をつぎこんで今季最長の5時間26分の試合を終えた。金本が5打点の大活躍。藤川のリリーフ失敗を帳消しにしてくれた。
◎ゴールデンイーグルス2回戦……1−11
 初回、礒部のショートゴロを鳥谷がエラー。中村泰は動揺したか、山崎武に先制2ランをレフトスタンドに運ばれる。中村泰は3回裏、四球を連発して山崎武にタイムリーを打たれたところで降板、二番手の渡辺は暴投で点を失った上に鷹野にタイムリー内野安打を打たれてしまった。4回裏には三番手太陽がリックの2点タイムリーでさらに差を広げられた。タイガース打線は大物ルーキー田中からヒットを打っても決定打を欠き6回に四球とヒットでチャンスを作って藤本の内野ゴロで1点を返すのがやっと。8回からはかつてタイガースにも在籍した吉田豊に締められた。岡田監督は8回裏、筒井にチャンスを与えたが、鉄平、リックのタイムリーで3点を失い、期待に応えられなかった。
◎バファローズ3回戦……2−1
 タイガースは新人上園が先発。初回に村松にヒット盗塁と攻め立てられ北川に犠牲フライを打たれて先制されるが、ローズを三振に打ち取ってからはすっかり落ち着き、5回を投げて4安打1失点の好投。しか、バファローズの平野佳の前にタイガース打線は全く打てない。8回裏、先頭の今岡がヒットで出塁、鳥谷はバントを打ち上げてしまった。打席の中で動かない鳥谷を捕手の日高は全く見ず、勝手に足をひっかけて転んだ。これを守備妨害とアピールし、球審の谷はボールを追っていて打者の動きも捕手の動きも見ていないのに守備妨害を宣告。これに怒った岡田監督は見てない審判がどうして判断できるかとしつこく食い下がったが、谷審判は首を降るばかり。ついに岡田監督は手を出してしまい、退場を宣告されてしまった。16分の中断でも平野佳は低めにストライクを決めて後続を断つ。それでもコリンズ監督は中断で平野のリズムがおかしくなったと判断し、9回裏加藤大をマウンドに送る。タイガースは橋本健、久保田、藤川と勝ちパターンの投手を投入し、9回裏まで1点差のまま食い下がった。9回裏、赤星が歩き、林の二塁打でチャンスを作ると金本は敬遠。打席には途中から守備に入っていた藤本。みごとに押し出しの四球を選んで同点に追いついた。コリンズ監督は急遽左腕の高木をマウンドに送ったが、鳥谷の背中に投球が直撃。監督退場という荒れた試合は、押し出し死球でタイガースのサヨナラ勝ちという意外な結末に終った。
◎バファローズ4回戦……1−4
 福原が久々の登板。初回にアレンのタイムリー、3回に北川の二塁打で2点を失ったが、5回を2点で抑えたのだから、先発の仕事は果たしたといえるだろう。タイガースはユウキから2回裏に鳥谷が1点差に迫るタイムリー二塁打を放ったが、70キロ台の超スローボールと140キロ台の速球を織りまぜる緩急をつけた投球に幻惑されて5回まで完全に抑え込まれてしまった。6回裏に2死満塁と攻め立てユウキをマウンドから降ろしたが、シーツがベテラン左腕吉田修の前に三振。タイガースの二番手ダーウィンは6回表にラロッカの内野ゴロで1点を奪われ、7回表にもランナーをためて降板、三番手には久しぶりの登板のウィリアムス。アレンを内野ゴロにしとめたが、その間にランナーを返して4点目を奪われた。バファローズは岸田、加藤大とつないでタイガース打線を抑え切った。
◎ホークス3回戦……3−1
 ジャンと杉内の投手戦。ジャンは二軍での調整がうまくいったか、3回までパーフェクト。タイガース打線は苦手の杉内を打ちあぐんだが、トップの桜井だけは杉内が嫌がり全て四死球、さらに盗塁と揺さぶりはかけていた。ジャンは4回表本多を歩かせると盗塁を決められ、初めてのピンチにホークスの初安打となる小久保のセンター右へのタイムリーで1点を奪われた。それでも雷鳴轟く5回表も快調に三者凡退。ここから雨が強くなり、5回裏、2死となった時には杉内の手元も滑るような状態。しかも打席には苦手の桜井。桜井はよく粘り四球を選ぶ。ここで試合は中断。30分ほどたったところで雨脚も弱くなり、阪神園芸の係員の復旧もみごとで1時間10分の中断を経て試合は再開。タイガースは6回以降はウィリアムス、久保田、橋本健、藤川と必勝リレーでつなぎ9回裏の反撃を待つ。9回裏、鳥谷が右中間を破る二塁打で出塁、この試合ライトで先発の浅井がすばらしいバントを決め、野口がレフトに大きな犠牲フライを打ち、ついに同点に追いついた。そして10回裏、二番手篠原から関本がフェンス直撃の二塁打で出塁、林がライトスタンドにサヨナラホームランを叩き込んで、粘りに粘った試合をものにした。
◎ホークス4回戦……0−1
 不調のシーツが二軍落ち。かわりに上がった藤原がセンターで先発出場した。下柳と和田の身震いするような投手戦。下柳は6回を4安打無失点で抑え切って久保田、ウィリアムスに託す。タイガース打線は和田をなかなか打てなかったが、7回裏に2死満塁と攻め立てる。打席には途中から守備についていた赤星。落ちる球を意識し過ぎて速球につまりショートフライ。先制のチャンスを逸した。9回表、必勝を期して藤川をマウンドに送ったが、先頭の田上にバットをおりながらレフト前に運ばれ、犠打と内野ゴロで三塁に進まれる。川崎のピッチャーライナーに藤川は機敏に反応したが、打球がつまった分、早く動いたグラブをすりぬけセンター前のタイムリーに。9回裏、ストッパー馬原が登板。鳥谷と藤本のヒットで同点のチャンスを作ったが、赤星はなすすべなく三振。ここは思い切りのよい狩野を代打に送る場面ではなかったか。初戦をとっても連勝につながらないのがなんとも。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……ジェフ・ウィリアムス 肩痛から復帰していきなり3連投。そのブランクを感じさせない気合いのこもった投球が続く。藤川の調子が下がっているだけに、ジェフの左腕に頼るところ大である。
野手……藤本敦士 守備固めから打席にはいることが多いが、イーグルス戦ではダメ押しの三塁打を放ち、バファローズ戦では同点の四球を選び、ホークス戦でもストッパー馬原からチャンスを広げるヒットを打つなど、控えにまわってもくさらず自分のプレーをかっちりとしている。目立たないが、その姿勢は光る。

 打線が不調の中、桜井や藤原が先発起用されたりした。桜井は存在感を見せているが、藤原はここというところで力を出し切れていない。せっかくのチャンスを狩野のように生かしてもらいたいものだ。カープに移籍した喜田がサヨナラ打を打つなど活躍している。若手たちには刺激になっているはずだ。次節は遠征でライオンズ、マリーンズとのカードが待っている。交流戦も中盤から終盤にさしかかってきた。不調のライオンズを相手に調子をあげ、マリーンズには前回の雪辱を果たしてほしい。

(2007年6月12日記)


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