甲子園に戻ってセ・パ交流戦最終の4試合を戦う。ゴールデンイーグルス戦では下柳、上園の両先発が踏ん張りJFKにつないで2戦連続完封の2連勝。しかし、2日おいたファイターズ戦では福原が初回いきなり危険球退場するなどのアクシデントもあり、ダルビッシュから金本が3ランホームランで逆転しながらも追いつかれ追いこされる敗戦で勢いをなくし2連敗。今節は2勝2敗。交流戦全成績は9勝14敗1分、勝率.319で10位。今節終了時点で28勝36敗2分、勝率.438。首位ジャイアンツとは12.0ゲーム差で4位。3位のベイスターズとのゲーム差は5.0。
◎ゴールデンイーグルス3回戦……1−0
下柳のコントロール抜群の投球術がみごとイーグルス打線を抑え込んだ。礒部やフェルナンデス、リックの中軸に打撃をさせなかった。もっとも、タイガース打線も永井の前になかなか得点できない。4回裏、先頭の赤星が四球で出塁、金本の打席で盗塁を決め、金本が歩いたあと今岡がライト前に決勝点となるタイムリーを放った。7回以降は久保田、ウィリアムス、藤川の継投。久保田が2四球でピンチを作ると、イニング途中ですぱっとあきらめてウィリアムスを投入するという思い切りのいい交代で逃げ切った。
◎ゴールデンイーグルス4回戦……5−0
イーグルス先発は前回やられたルーキーの田中。甲子園の申し子も、タイガース相手では勝利の女神は微笑んでくれなかったと見える。初回、センター前ヒットの赤星が盗塁すると、金本が先制のタイムリーをライト前に運ぶ。2回表、上園は四球の山崎を塁に置いて渡辺にタイムリーかと思われるヒットを許したが、レフト金本の好返球で本塁アウト。ピンチを脱した。そして2回裏、鳥谷が四球、野口かヒットでつないでチャンスを広げ、藤本のセカンドゴロで2点目。さらに庄田が社会人野球時代(シダックス)の恩師野村監督の前で恩返しのタイムリーをレフト前に放ち、3点差とした。上園は3回以降はノーヒット。初球からどんどんストライクをとっていく度胸満点の投球でイーグルス打線を圧倒した。田中は5回で降板。7回裏、三番手渡辺恒から金本がタイムリーを打てば、8回裏には五番手吉田豊、六番手戸部を攻めたて1死満塁のチャンスで藤原がプロ入り初打点となる押し出しの死球でだめ押し点を奪った。7回以降はウィリアムス、久保田、藤川のリレーで逃げ切り、マリーンズ戦から続く無失点イニングは32と伸びた。これは1972年以来の記録だそうだ。
◎ファイターズ3回戦……4−6
初回、福原はセギノールにタイムリーを浴びて先制される。続く小谷野には頭部死球。これが危険球という判定で退場した。わずか12球。緊急登板した江草が金子誠に2点タイムリーを打たれ、いきなり3点のビハインド。しかし、前回完璧に抑え込まれたダルビッシュの立ち上がりをタイガース打線も攻めたてる。庄田が四球を選び赤星が二塁打でつないで林のタイムリーで1点を返す。そして金本はライトスタンド最前列に飛び込む逆転の3ラン。江草も2回以降立ち直り、4回からダーウィンにつなぐ。ダーウィンは5回表、小谷野を歩かせバントを決められてランナーを二塁に置くピンチを作る。好調金子誠の打球はセンター返し。鳥谷があと一歩で追いつけず藤本がバックアップするもタイムリーとなり同点とされた。そのあとはダルビッシュが立ち直りタイガースもウィリアムス、久保田、藤川の必勝リレーで防戦。試合は延長戦に。11回表、七番手橋本健が小谷野に2ランをレフトポール際に打たれて、試合は決した。11回裏、武田久から鳥谷が二塁打を放ち追い上げようとするが、切り札マイケルに後続を断たれて惜しい試合を落した。ファイターズはこの勝利で交流戦優勝を決めた。
◎ファイターズ4回戦……l−3
朝からの雨でグラウンドが柔らかかったのをジャンは気にしたか、前回ほど思い切りのいい投球フォームではない。初回、そこをつけこまれて田中賢、稲葉に連続二塁打を打たれて先制された。2回表には稲田の犠牲フライで2点目を失う。一方のタイガースはグリンから野口が2年ぶりとなるソロホームランを3回裏にバックスクリーンへ放ったが、結局その1点のみ。ジャンは5回にも高橋の犠牲フライで3点目を奪われ、この回限りで降板。2点差で敗れているにもかかわらずJFKをつぎこんで必勝を期したが、グリンから決定打を放てない。5回裏には1死満塁としたが今季初出場の坂が三振、林もレフトフライで長蛇を逸した。7回裏には野口のヒットやグリンのボークなどでチャンスを作ったが、赤星が三振、坂がレフトフライ。最後はマイケルに抑えられてなすところなく連敗した。
◎愛すれどTigers週間MVP
投手……上園啓史 先発3試合目でついにプロ入り初勝利を記録。怖いもの知らずの度胸満点の投球で相手打者を弱気にさせる。若手野手は続々と成果をあげ始めているだけに、今度は上園に続く若手投手の活躍が待たれる。
野手……金本知憲 イーグルス2回戦でついに日本プロ野球史上単独第2位の1251試合連続出場を達成。むろん、続く2試合にも連続フルイニングで出場したから記録は1253試合にのびたわけだ。楽天田中から打ったタイムリー、ダルビッシュからは逆転ホームラン。そして常に全力疾走。かつて草野進は連続試合出場を「退屈な記録」と評したが、果たして今の金本の目の前でそのような失礼な事を言えるだろうか。
4日間の交流戦予備日を経て、週末からセ・リーグ公式戦の再開である。2試合ずつという変則日程は、勢いにのったら一気にいくが、初戦を落すと連敗しやすくなるという難点があったが、3連戦ペースに戻ってどういう戦い方ができるか。先発投手の枠があいているため、二軍から若い若竹を上げて先発起用するというプランもあるという。首位ははるか彼方となった今、この数年優勝争いをしていて固定メンバーで戦っていたためなかなかできなかった若手の起用をどしどしやっていき、勢いをつけてほしい。交流戦優勝のファイターズのレギュラー選手の若さと溌溂とした動きを見ていると、今岡の(本人は必死なのだろうが)けだるげな動きが目立ってしかたない。優勝メンバーが健在のうちに世代交代をしなければ、また本当のダメ虎に戻ってしまう。
(2007年6月25日記)