初の愛すれどTigers


カープにお返し3連勝でAクラス復帰!

 甲子園のスワローズ戦で2勝1敗と勝ち越し、長期ロード最初のカードである広島市民球場でのカープ戦では3連勝。交流戦前に8連敗を喫していたカープにまずはお返しができた。ベイスターズがジャイアンツ、ドラゴンズと星のつぶしあいをしてくれたおかげで、ついに3位に浮上、待望のAクラス復帰を果たした。今節も5勝1敗。今節終了時点で48勝43敗2分、勝率.527。首位ジャイアンツとは4.5ゲーム差で3位。2位のドラゴンズとのゲーム差は1.0。前半のダメ虎はもういない。昨年よりも早い追い上げ開始だ。

◎スワローズ12回戦……4−3
 実はこの試合は甲子園まで行って見てきたのだが、途中同点に追いつかれても負けるような気がしなかった。選手の動きにはっきりと違いがあるのだ。先制したのはタイガース。2回裏、苦手の石井一から先頭の金本が四球を選び、林がヒットでつなぐ。そして桜井がセンター前にヒットを放つと二塁から金本が長駆ホームイン。なおも一三塁で矢野のピッチャー返しの打球は石井一のグラブを弾いてセカンドゴロに。三塁ランナー林は迷わず生還し2点目。関本がヒットでつなぎ、杉山のサードゴロはゲッツー崩れとなって桜井がホームインし、一気に3点を奪う攻撃となった。杉山は4回までノーヒットノーラン。しかし、リグスの二塁打で初安打を許すと一挙に崩れた。飯原のヒットと川本の四球で満塁とし、代打真中の内野安打で1点を許す。さらに田中浩の2点タイムリーで同点に追いつかれた。田中浩はランダンプレーでアウトにし同点にとどめたのが大きかった。二番手久保田は6回から登板し、7回までをみごとな投球で抑える。6回裏、高井から林が三塁打を放ち、桜井が歩いて打席には矢野。執念でセンター前に運びみごと勝ち越し。8回にはウィリアムス、9回には藤川が登板。1点差という僅差を感じさせない安心できる投球で逃げ切った。矢野はこの試合のタイムリーでタイガース在籍中の捕手の通算安打記録を田淵と並ぶ1016本とした。
◎スワローズ13回戦……3−11
 下柳が初回にラミレスの犠牲フライで先制されたが、タイガースもその裏グライシンガーからシーツが同点タイムリーを放つ。しかし、この日は下柳が大乱調。3回表、2死三塁でガイエルの当りは一塁林のミットを弾き、バックアップした関本の送球がそれてベースカバーの下柳のベースタッチが遅れ内野安打になり、まず1点。このプレーでカッとなった下柳はいつもののらりくらり投法を忘れる。リグスのポテンヒットと宮本の四球で満塁になり、宮出がライト前にぽとりと落ちる2点タイムリー。2死満塁からグライシンガーのピッチャーゴロを下柳が一塁へ悪送球し、走者一掃。さらに四球のあと田中浩にも2点タイムリーが生まれ一気に5点を奪われた。下柳に代わった岩田もラミレスタイムリーやリグスのサードゴロエラーなどで2点を失い、大差がついてしまった。タイガースはグライシンガーのていねいな投球に凡打の山を重ね、手も足もでない。9回裏、二番手吉川からシーツ、金本の連打でチャンスを作り、林と桜井が連続タイムリーで一矢報いたが、三番手石川の前に後続が三者三振てゲームセット。この試合、関本が二塁手として714回連続守備機会無失策というセ・リーグ記録を達成し、「名手」と呼べる称号を手にした。
◎スワローズ14回戦……6−5
 先制したのはタイガース。3回裏、松岡から関本が歩きボーグルソンが送ってチャンスを広げ、鳥谷の二塁打で1点。しかし、松岡の小気味よい投球に以後はなかなか得点できない。5回裏、関本がヒットで出塁するとまたボーグルソンが送り鳥谷がヒットでつないで赤星のショート内野安打で追加点を奪う。シーツが歩き、金本の犠牲フライで3点差とする。ところがボーグルソンが6回表につかまる。二塁打の青木を田中浩がバントで送ろうとしてファールになったが、田中浩は当たったふりをして審判をあざむき、主審土山も打席で倒れこんだ田中の演技にだまされて死球の判定。岡田監督が必死に抗議してもくつがえらない。ボーグルソンはガイエルを歩かせて満塁とし、リグスにバックスクリーンに飛び込む逆転満塁ホームランを打たれてしまった。しかし、悪銭身につかずというが、姑息な手段で取った得点に対しては、野球の神様はちゃんと罰を与えてくれる。三番手遠藤は2つの四死球でマウンドを降りる。葛城が代打で登場。古田監督は裏の裏をかいて濱中を代打に出させないようにと右の花田を送る。葛城はそんな策などふきとばすセンター前のヒットで満塁とし、赤星が走者一掃の二塁打をライトのファールラインぎりぎりに打つ。策士策に溺れるとはこのこと。嘘の死球で点を取りにいったり裏をかいたつもりで右投手キラーに右投手をぶつけたり。タイガースは久保田とウィリアムスがそれぞれきちっと抑え、9回表には藤川がマウンドに。しかし真中と福川の連打で1死二三塁に。青木のセカンドゴロの間にランナーがそれぞれ進み1点差と迫られる。打席には田中浩三振にとったフォークボールを矢野が後ろにそらす。しかし田中は自分はハーフスイングでボールを選んだつもりだったので振り逃げであることに気づかず、あわてて一塁に走ったが時すでに遅く矢野が一塁に送球して三振のアウト。バントを死球と偽ったり、空振りなのにバットを止めたつもりでいたり。いいセンスをしているのに若くからこんな野球をしていたのではせっかくの素質を殺してしまうことになるぞ田中浩。藤川はこの試合でシーズン28セーブとし、球団最高記録となった。
◎カープ12回戦……6−2
 3回表、長谷川から関本が先制のホームランをレフトスタンドに。その裏ジャンも梵に同点ホームランを打たれた。ジャンは微妙な投球動作を2度もボークにとられてカッとしかけたがなんとか抑える。6回裏、古巣に恩返しとばかりに喜田が勝ち越しタイムリーを放ち、形勢はカープに。しかし8回表、三番手広池から代打濱中が今季第1号をレフトスタンドにライナーで叩き込むと、打線に火がついた。鳥谷が内野安打で出塁し赤星のバントは投手広池が一塁悪送球してその間に鳥谷が一気にホームインして逆転。続いて登板した上野から金本がタイムリー、桜井が犠牲フライ。矢野にもヒットが出て上野から梅津にスイッチするが、関本のタイムリーでこの回5点目。二番手渡辺がプロ入り初勝利をあげ、そのあとはウィリアムスと久保田で逃げ切って藤川を温存した。
◎カープ13回戦……7−0
 左腕高橋から2回表に桜井の先制タイムリー二塁打と野口の追撃タイムリーで2点を先制。3回表にはシーツの2ラン。7回表には二番手青木勇がランナーを許して左の佐竹が金本のところで登板。左対左など金本の前には関係なくライトスタンドに試合を決定づける2ランを打ち込む。佐竹は8回表にも代走藤原に盗塁を許し藤本のタイムリーを呼ぶなど、左打者にことごとくしてやられた。タイガースは上園が6回までピンチを作りながらも要所で中軸を三振に取る攻めの投球で無失点。二番手江草はランナーを許しながらもこちらも決定打は封じて2イニングを投げ切る。9回には桟原が登板して2安打を打たれながらも最後は石原を併殺に切って取り、完封リレーを完成させた。金本曰くの「休んで下さいJFK弾」のことば通り、3人のリリーフエースを休ませられたのは大きい。
◎カープ14回戦……4−2
 タイガースがワンチャンスをものにした。相手のエース黒田から3回表、鳥谷がレフトスタンドに先制ホームラン。赤星がヒットで続き、シーツはセーフティバントで撹乱。金本の投手ゴロを黒田がお手玉している間に赤星がホームインし、林のタイムリーと矢野の内野ゴロでこの回一気に4点を奪った。そのあとカープの投手陣に抑え込まれただけに、この4点は大きかった。タイガースは若い岩田が先発。3回まで再三のピンチを乗り切ったが4回裏につかまる。栗原、新井、アレックスに三連打を浴びて1死満塁に。さらに廣瀬のタイムリーで1点を失い、降板した。二番手渡辺は押し出し四球は出したものの後続を断ち2点差にとどめる。杉山、そしてJFKが力投し、5回以降は久保田がいきなり打たれた2安打のみ。それもランナーが出てからが俺の本領とばかりに剛球を投げ込んで残りの打者を封じ込めるのだからたまらない。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……渡辺亮 敗戦処理での登板や先発不調の緊急登板など、報われることの少ない場面で登板し続けているが、野球の神様はきちんと結果を出しているものを必ず見てくれている。カープ戦でプロ入り初勝利。今後は勝ちゲームでの登板や先発起用の目も期待される。
野手……赤星憲広 体調は万全ではないのだろうが、今節は打撃好調でついに打率3割に乗せた。盗塁も少しずつ数をのばしており、赤星にしては少ない17という数字ながら現在セ・リーグトップの盗塁数。チームの好調を支えている。

 長期ロードのポイントとなる東京ドームでのジャイアンツ3連戦が待っている。ここで1つでも勝ち越せば、ワンチャンスで首位という展開にもつながってくる。ペナントレースの山はまだ先だろうが、この連戦で大きく負け越すとせっかくの勢いも途切れてまうだろう。ジャイアンツも5連勝中と好調なだけに3連勝は難しいかもしれないが、もしそうなればジャイアンツが一気に転がり落ちるきっかけになるかもしれない。そのあとのベイスターズ戦も油断できない相手だ。気もそぞろというような1週間になりそうである。

(2007年8月6日記)


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