神宮球場のスワローズ戦は初戦にジャンがボークに危険球退場と大荒れの試合に。この試合は7点差を逆転するすごい試合となり、勢いに乗り2勝1敗。ナゴヤドームでは首位争いをするドラゴンズに対し惜しくも1勝2敗と負け越したが、これで長期ロードは12勝8敗1分と大きく勝ち越した。今節も3勝3敗。今節終了時点で57勝51敗3分、勝率.528。首位ジャイアンツに3.5ゲーム差で3位。2位のドラゴンズとのゲーム差は2.5。勝負はこれからだ。
◎スワローズ15回戦……9−7
ジャンが大荒れ。初回、先頭の飯原に死球を与えると、盗塁されて青木のタイムリーでまず1失点。ラミレスにもヒットでつながれ、ガイエルのタイムリーと武内の犠牲フライでさらに2点を失う。2回裏には青木に内野安打を打たれたあとボークをとられ、ラミレスに2ランを浴びる。ガイエルを歩かせたあと、武内の頭部に死球を与えて危険球退場。故意ではないかとスワローズベンチから疑いをもたれ、即二軍落ちが決まった翌日新聞には今季限りで解雇という記事も載ったほどだ。急遽登板した桟原が田中浩に2点タイムリーを打たれてしまう。7点差でもうダメかと思われた矢先、3回表、スワローズ先発の松岡から鳥谷がライトスタンドへ2ランを放ち反撃開始だ。4回表、林、桜井の連打のあと、矢野が四球。満塁で代打は桧山。強く振った一打はセンターバックスクリーンに飛び込む満塁ホームラン! 松岡はここで降板し、二番手田中充は藤本、鳥谷に連続四球で降板。三番手鎌田からシーツが同点タイムリーを放つ。5回表、矢野が鎌田からレフトスタンドへ勝ち越しホームラン。8回表には松井から赤星がタイムリーを放ってだめ押し。中継ぎでは三番手の江草が4回から3イニング無失点の好投で勝ち投手に。特に4回には青木、ラミレス、ガイエルの中軸を三者三振に打ち取る。7回以降はウィリアムス、久保田、藤川の必勝リレーで逃げ切り、奇跡的な大逆転劇を締めくくった。
◎スワローズ16回戦……12−2
プロ入り初先発の高市を2回表につぶす。桜井のセンターバックスクリーンへの先制2ランと、関本のレフトスタンドへの2ランで一気に4点。その裏、タイガースの先発上園は宮出にソロホームランを浴びる。しかし、3回表、高市から金本が3ランを放ち、さらに桜井がレフトスタンドに弾丸ライナーのソロホームラン。4回にはシコースキーを満塁とせめて川本のパスボールで1点。5回には三塁打の野口を置いてシコースキーが暴投。5回までの10点で試合は決まった。8回表には三番手吉川から桜井が2点タイムリーで12点の大爆発。投げては上園が4回裏にラミレスにソロホームランを打たれたほかは野口の好リードにも支えられてみごとに5回以降を無失点で投げ切り、プロ入り初完投勝利。
◎スワローズ17回戦……1−8
杉山が2回裏、投手のグライシンガーにタイムリーを打たれて先制される。さらに3回裏、1死満塁からユウイチに初戦のお返しとばかりの満塁ホームランをライトスタンドに叩き込まれ、4回限りで降板した。これまで好投を見せてきただけに、悔しいKOである。タイガースはグライシンガーの低目の球にてこずり、5回表に代打桧山のタイムリーで一矢報いただけ。7回には桟原が暴投やユウイチの2点タイムリーなどで3点を失い、試合は決まった。スワローズは7回途中から花田、高井、館山とつないで逃げ切った。
◎ドラゴンズ17回戦……1−8
下柳が初回に炎上。1死満塁で森野に2点タイムリーで先制され、英智にも2点打を打たれていきなり4点差をつけられた。5回裏には中村紀とイ・ビョンギュのタイムリーで2点を奪われ降板。二番手として登板した渡辺も代打立浪にプロ入り通算1000打点目となるタイムリーを打たれ、7点差に。相手投手は前回もやられた朝倉。7回まで何度ランナーをだしても併殺でつぶされる。いかにゴロを打たされたかがわかる。7回表、金本が四球で出塁、林のセンターへのヒットで三塁まで進む。桜井が併殺を食らうが、その間に金本はホームインして完封は免れた。8回表には桟原が荒木のタイムリーで8点目を奪われ、反撃の余地なし。ドラゴンズは久本と菊地という余裕のリレーで楽々逃げ切り。初回の4失点で全てが決まってしまっていた。
◎ドラゴンズ18回戦……2−0
ボーグルソンと小笠原の投手戦。特に小笠原は最高の出来で8回まで15三振と、正直お手上げ状態。落ちる球を合わせるように力なく振る鳥谷や矢野のバッティングでは、とても打ち勝つ展開にはなりそうにもなかった。それならば無茶振りでいいから相手をびびらせるような空振りを見せてほしかった。特に8回表、先頭の桜井がライト英智のグラブを弾く三塁打で先制のチャンスを作ったにもかかわらず、矢野、関本、狩野と三連続三振でチャンスをつぶしたのは辛かった。岡田監督は勝ったにもかかわらずこの連続三振に怒りをぶつけ、関本は次の試合スタメンを外されたどころか守備固めにすら起用されなかった。それなら矢野も外して野口を起用すべきではなかったか。関本が気の毒である。ボーグルソンは速球とチェンジアップを有効に使い、尻上がりに内容がよくなり、ドラゴンズ打線に得点を与えない。7回にはウィリアムスが、8回には久保田がそれぞれ無失点で抑え、9回表を迎えた。ヒットの濱中を鳥谷がきっちり送り、シーツのレフト前ヒットで三塁に進む。金本敬遠で満塁となり投手は岩瀬に。林がセンターライナーを放つと三塁走者の代走藤原は一気につっこんでついに先取点をあげた。気落ちした岩瀬から矢野もタイムリーを放ち大きな2点目が入る。そして9回裏には藤川が登場、きっちり逃げ切って一矢報いた。
◎ドラゴンズ19回戦……3−6
先発はダーウィン。能見という予想もあったが、好調の能見をぶつけて勝負に出る時期ではないという判断か。捨てゲームとは言わぬまでも、無理に勝ちにいっていないような気がした。ドラゴンズの先発は苦手の中田。2回には1死満塁から藤本三振、ダーウィン一塁ゴロ。3回の1死満塁では林が三振、桜井がライトフライ。ここで中田を攻略できなかったのが敗因である。ダーウィンは3回まではよく踏ん張ったが、4回にスタミナが切れたか1死一二塁からT・ウッズのライト前タイムリー、イ・ビョンギュのレフトフェンス直撃の二塁打、英智の2点タイムリーで一気に4点を失った。しかし、6回表には中田から代打桧山がタイムリーを放って完封を免れると、7回表には二番手高橋聡を打ち込んで金本の犠牲フライと桜井のタイムリーで1点差に詰め寄った。7回裏、久保田を投入して勝ちムードに持ち込もうとしたが、なぜか一塁の守備固めは藤原。前日の懲罰的な意味あいで関本を起用しなかったというならば、それは逆だろう。得意の守備で汚名を返上させる意味でも関本三塁シーツ一塁という布陣をしくべきであった。守備固めの「型」を崩した時点で、嫌な予感はした。1死二塁から代打立浪の一塁ゴロを藤原が弾く。ランナーを三塁に進め、井端も一塁ゴロに打ち取るが、焦った藤原はこれをお手玉し、大きな1点を与えてしまう。中村紀にもタイムリーを打たれ、勝負を決める2点がドラゴンズに入った。最後は岩瀬に締めくくられた。ダーウィン先発といい、藤原一塁といい、岡田監督からこの試合を何が何でもものにするという執念が伝わってこない試合であった。
◎愛すれどTigers週間MVP
投手……ライアン・ボーグルソン ドラゴンズ戦では勝ち星こそつかなかったが、よく辛抱して6回を無失点で切り抜けナゴヤドーム今季勝ち越しにつながる好投を見せた。ジャンが二軍落ちしてしまった今、計算できる先発としての価値が高まっている。
野手……桧山進次郎 スワローズ戦の代打満塁ホームランだけではない。一時期の八木を彷佛とさせる代打の切り札ぶりである。若手でしのいできた今季だが、優勝争いとなると、経験豊富なベテランの技が重要になるのだ。
さあ、いよいよ甲子園にタイガースが帰ってくる。長い人工芝連戦で下半身にへばりの出てきた金本や林も、土と芝の甲子園で長旅の疲れを癒すことができるだろう。さらに、開幕以来故障で調整を続けてきた安藤がついに一軍のマウンドに帰ってくる。次節はカープ、スワローズと下位に低迷するチームとの対戦である。気を抜いてはいけないけれど、比較的戦いやすい相手だけに、首位との差をぐっと詰めてほしい。
(2007年8月27日記)