愛すれどTigers


桜井プロ入り初のサヨナラ打で4連勝

 夏のロードが終り甲子園に戻ってきたタイガースだったが、カープに苦戦して1勝1敗1分。しかし、続くスワローズ戦では3連勝した。林が右肩痛で二軍落ちしたが、代役で起用された葛城と高橋光が大活躍し、林の不在をまったく痛手としないというのにも驚きだ。それだけ戦力が厚いということで、5年ほど前にはとても考えられないくらいのすごいチームになったんだなあと実感した。今節は4勝1敗1分。今節終了時点で61勝52敗4分、勝率.540。首位ジャイアンツに2.5ゲーム差で3位。2位のドラゴンズとのゲーム差は0.5。9月は昨年はドラゴンズを9.0差から2.0差にまで追い込んだ。今年はひっくり返すことができるのか。

◎カープ18回戦……3−3
 先制したのはカープ。能見から梵がヒットで出塁し、廣瀬のバントとアレックスのサードゴロエラーで1死一三塁に。ここでアレックスが二盗を試み、矢野が三塁ランナーを忘れたかのように二塁に投げる。三塁走者の梵は本盗。ダブルスチールが面白いように決まってしまった。この日、私は一塁アルプス席にいたが、思わず「三塁ランナーおるぞ!」と叫んでしまった。ベテラン裸子からぬうかつな送球だった。三塁シーツのエラーと矢野のボーンヘッドで、試合そのものの流れはカープにいったと感じた。しかし、タイガース打線は3回裏に小山田を攻略する。関本を二塁に置き、鳥谷の二塁打、死球などで満塁として金本のタイムリーと林の犠牲フライで3点を取ってひっくり返したのだ。しかし、能見は新井に1点差となるホームランを打たれ、栗原、前田の連打で一気に同点に追いつかれた。そこからあとは膠着状態。タイガースは5回から今季一軍初登板となる安藤を投入し、安藤も気迫のこもった投球で2イニングをぴしゃりと抑えた。試合の流れはカープで、いつもなら打ち崩せる投手たちを打あぐむ。横山、青木勇など、前回打ち込んだ投手に手こずっていた。タイガースもJFKを投入し、延長戦に。渡辺、江草もつぎこみ、カープを抑え切ったがカープも永川や新人の上野が疲れた感じのタイガース打線を抑え、結局引き分けた。
◎カープ19回戦……2−3
 タイガースは林が肩痛で登録抹消。二軍から呼び出した高橋光をいきなりスタメン一塁で起用だ。2回表、上園は前田、石原の連打のあと、青木高のバントを三塁に送球、シーツがこれを弾いて前田がホームインし、先制される。さらに梵にも犠牲フライを打たれて2点目も失った。その裏、青木高から濱中が1点差となるホームランをレフトスタンドに。4回表、上園は癖となった一発病に泣く。前田智のライトスタンドへのホームランは、結局これが決勝点となった。その裏、青木高を攻めて高橋光の移籍後初打点となるタイムリーで1点差としたが、反撃もここまで。カープはタイガースキラーのフェルナンデスを投入。特に金本は相性が悪く、セフティバントまで試みたほど。タイガースも渡辺、安藤、久保田という継投で追加点をはばんだが、最後は永川に抑えられて逃げ切られた。
◎カープ20回戦……4−2
 カープはエース黒田をたててきた。そのプライドを砕いたのが桜井だ。新5番打者は2回裏、センターバックスクリーンに甲子園初アーチを打ち込む。杉山は5回表、勝ちを意識したか新井を歩かせ栗原のヒットで三塁まですすめて前田智の内野ゴロで同点に追いつかれた。この3連戦、いい流れをつかみ切れず、ここも嫌な空気になってきたが、嶋の大飛球を桜井がフェンスに激突して取り、その空気を変えた。6回裏、シーツのバントで二塁に赤星が進み、金本は敬遠。ここで桜井がレフト線を深々と破る三塁打を放ち、2点を取った。さらにこの試合一塁を守る葛城が追い討ちのタイムリーで桜井を返した。7回表、久保田が連打と一塁守備固めのシーツのエラーで1点を失ったが、ウィリアムスにつないで2連続三振でピンチを乗り切った。最後はもちろん藤川が登板し、逃げ切り。なんとかこの連戦をタイにもちこんだ。
◎スワローズ18回戦……6−4
 初回、石川から鳥谷がヒットで出ると赤星が送ってシーツが先制のタイムリーと理想的な攻め。さらに高橋光がタイムリーを放ち2点先制した。ボーグルソンは初回、三塁打でピンチを作ったがなんとかしのぐ。しかし、3回表、ラミレスにレフトスタンドに2ランを打たれて同点にされた。それでもその裏、金本がライトスタンドに勝ち越しのホームランを放つと、高橋光が移籍後初アーチとなるソロホームランをレフトスタンドに運び、再び2点差に。4回裏には関本もソロホームランで追加点。ボーグルソンは7回途中、1死一塁と走者を残してウィリアムスにスイッチした。ウィリアムスは二塁関本のエラーなどで2点を失ったが、1点差で踏みとどまった。7回裏、三番手シコースキーから赤星がタイムリーを打ってだめ押し点を取ると、8回は久保田、9回は藤川がそれぞれ抑えて逃げ切った。試合終了後、ヒーローインタビューを受けた高橋光の目にはうっすらと涙が光っていた。
◎スワローズ19回戦……5−2
 下柳は初回、三者連続ショートゴロというみごとな立ち上がり。しかし、3回表に1死一三塁のピンチを作る。青木は投ゴロに打ち取り、三塁ランナーをランダウンプレーで殺すが、その間にランナーは二三塁に進む。そしてラミレスにうまくレフト前に運ばれて2点を失った。しかし、タイガース打線は前回7点差をひっくり返した相手である松岡を攻め立てる。3回裏、鳥谷、赤星がヒットと四球で出塁し、シーツが同点となる2点タイムリーを打つ。さらに金本がライト線に勝ち越しの二塁打。松岡は甲子園でも逆転を許して降板した。4回裏には二番手吉川を攻めたてシーツの犠牲フライで2点差に広げる。6回には三番手鎌田がシーツの投ゴロを一塁に悪送球して三塁まで走り、金本敬遠のあと、桜井の飛球を名人宮本がこぼして(記録はタイムリーヒット)ホームインし、だめ押しの5点目をあげた。下柳は5回で勝ち投手の権利を残したまま降板。ダーウィンが2イニング投げて抑えたため、久々に久保田がお休み。8回からはウィリアムス、藤川のリレーで難なく逃げ切り。藤川は今季36セーブ目でリーグ単独トップに立った。
◎スワローズ20回戦……3−2
 スワローズ川島は狙い球を絞らせない完璧な投球。今季初先発の安藤は初回にラミレスにライトポール際に先制2ランを打たれたが、そのあとは持ち味のスライダーを駆使してスワローズ打線に追加点を許さない。5回2失点で降板したが、合格点といえる。3回表には一塁にラミレスを起き、ユウイチがレフトフライ。ラミレスの離塁が大きいのを見て取った金本が一塁に好返球して併殺を取るなど、バックももり立てた。6回表、三番手渡辺は1死三塁から暴投。しかし、ボールはフェンスに当たりまっすぐ返ってきて、矢野が本塁に送球し、ベースカバーの渡辺が三塁走者ラミレスにタッチしてアウト。流れはタイガースにきていた。6回裏、川島をついにとらえた。1死満塁から葛城がライト前に落ちるタイムリーで1点を返して反撃開始だ。8回裏、三番手高井から金本の四球と桜井のヒットでチャンスを作り、再び葛城が二塁の右をすり抜ける同点タイムリーを放つ。1点差で負けていながら久保田、ウィリアムスを投入した岡田監督は、9回には同点ながら藤川をマウンドに送る。しっかり抑えたあと、スワローズのストッパー館山から9回裏、赤星がサード飯原の悪送球で出塁し、シーツのヒットで三塁に。金本敬遠で無死満塁。桜井は技ありのセンター返し。球は投手の足下を抜け外野に。赤星が生還してみごとなサヨナラ勝ちをおさめた。桜井はプロ入り初のサヨナラ打で、連勝を4にのばした。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……藤川球児 ついにセーブ数が岩瀬を抜いてリーグ1位になった。藤川のすばらしいところは勝ちパターンだけでなく、同点でも登板し完璧に抑え切るところである。藤川がマウンドに上がると、タイガースファンはコールする。「お前が頼りだ球児」と。
野手……桜井広大 林の離脱で5番に座っても、まったく違和感を覚えない。これが今年の途中からやっと一軍のお呼びがかかった選手だろうか。黒田から放った一発と、館山から放ったサヨナラヒットは、大物打ちから技ありのヒットまで自在のバッティングができることを見せつけてくれた。

 次節は甲子園でベイスターズと3連戦したあと、東京ドームで首位ジャイアンツと直接対決である。ベイスターズもジャイアンツに勝ち越して勢いがついているからあなどれない。逆にジャイアンツは少しずつ息切れをしているようにも見受けられる。うまくいけばジャイアンツを追い抜けるかもと、贅沢な期待をしてしまうのである。

(2007年9月3日記)


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