タイガースがついに首位に立った。一時は最下位にまで落ち、首位に12ゲームも差をつけられていた「ダメ虎」が、オールスター明けからの巻き返しでじわじわと上位3球団に近づき、ここにきて一気に勢いをつけて首位に立ったのだ。連勝がストップしたあとの反動が怖いが、投手陣がしっかりしているだけにそう大崩れはないだろう。甲子園で眼下の敵ベイスターズに3連勝し、東京ドームではいずれも1点差で首位ジャイアンツに3連勝。25年前に11連勝して以来の10連勝だが、前の時は1982年で、11連勝してやっと4位に浮上というものだったが、今季は違うぞ。前回は11連勝のあと8連敗したけれど、今季はきっと違うぞ。今節は6勝0敗。今節終了時点で67勝52敗4分、勝率.563。2位ドラゴンズと3位ジャイアンツにに1.5ゲーム差で首位。昨年は追いつけなかった虎が、今年は追いつき追い抜いた。
◎ベイスターズ17回戦……6−2
ベイスターズに勝ち星をもらったような試合。初回、鳥谷のヒットを赤星が送ると、寺原は一塁に悪送球で二三塁に。シーツが先制の2点タイムリー。寺原の暴投で三塁に進み、相川の捕逸でホームイン。この3点で試合は決まった。能見は3回表、満塁として内野ゴロの間に1点を失う。しかしその裏、矢野のタイムリー内野安打ですぐに1点を返した。6回裏には三番手那須野の暴投などで2点を追加。8回表、タイガース三番手渡辺はランナーをためて内野ゴロの間に1点を失った。9回表、四番手橋本健が先頭打者を出すと、セーブを取らせるために藤川をマウンドへ送り、藤川はきっちり抑えたが、ルール改正のためにセーブはつかず、藤川に無駄な労力を使わせてしまった。とはいえチームは5連勝。眼下の敵ベイスターズを突き放す1勝となった。
◎ベイスターズ18回戦……3−2
上園が3回に村田のタイムリーで先制された。しかし、佐伯のあわやタイムリーという当りは金本のみごとな本塁返球で三塁ランナーを刺して傷口を広げずにすんだ。4回裏、ベイスターズ先発の三橋から鳥谷が同点ホームランをライトスタンドに運ぶ。6回裏には高橋光のタイムリーで勝ち越し。7回裏、二塁打の葛城を塁に置き、野口のレフト前ヒットを佐伯の返球のもたつきで返して2点差に。9回表、藤川は内川に三塁打を打たれ、相川の一塁ゴロで生還を許して1点差とされたが、最後は種田を三振に打ち取った。ドラゴンズがジャイアンツに敗れたため、タイガースはついに2位に浮上した。
◎ベイスターズ19回戦……1−0
ベイスターズ三浦は連敗を阻止すべく必死の投球。その気迫に押され、ランナーを出してバントで再三送るが、決定打が出ない。一方杉山も負けてはいなかった。初回から3回まで毎回得点圏にランナーを背負う苦しい投球だったが、こちらも決定打は打たせない。両者無得点のまま試合は9回裏に。タイガースは久保田、藤川が力投。ベイスターズもマットホワイトを投入する。そのマットホワイトから藤本がヒット。鳥谷のバントは捕手相川の焦りを呼び、二塁に投げさせてフィルダース・チョイスに。赤星がよく見て四球を選び、打席にはシーツ。打球は三遊間を抜け、藤本がサヨナラのホームを踏んだ。この勝利で「クライマックスシリーズ」出場権確定へのマジックナンバー19が点灯した。
◎ジャイアンツ19回戦……9−8
大乱戦を制したのはベテランのひと振りだった。先制したのはタイガース。初回、パウエルからシーツが先制タイムリー。しかしその裏、ボーグルソンは高橋由に同点ソロホームランを打たれる。2回裏にはイ・スンヨプとホリンズにそれぞれソロホームランを浴び、2点差をつけられる。4回裏にもイ・スンヨプのライトスタンドへのソロホーマーでさらに点差を広げられた。ジャイアンツはなおもランナーを三塁に置くチャンスを作るが、パウエルがスクイズを空振り、三塁走者を挟殺、パウエルは三振でボーグルソンを助けてくれた。5回表、2死二塁から鳥谷のヒットでパウエルを攻めたて、赤星がまず2点差とするタイムリーをレフト前に。シーツのヒットで満塁とし、金本は押し出し四球で1点差に。ここで原監督は二番手西村を送る。その西村が桜井の肩口に当たる押し出し死球で同点。葛城の内野ゴロの間にシーツが生還してついに逆転した。しかしその裏、ボーグルソンは高橋由この試合2本目の逆転2ランを浴びて降板。7回表、三番手の左腕山口から2四球のあと桜井のタイムリーで同点にホームにつっこんだ赤星は阿部と激突してしばらく動けないほどだった。代わった吉武から代打高橋光が勝ち越しタイムリーをレフト前に。8回表には六番手三木から金本がだめ押しのタイムリー。その裏に久保田がマウンドに立った時にはそのまま逃げ切りかと思われたが、イ・スンヨプにこの試合3本目のソロホームランを、そして続く二岡にライトスタンドに運ばれてまさかの同点に。もつれた試合は、9回表、切り札上原から打った桧山の代打ホームランでケリがついた。右手一本で振り抜いたバットから生まれたライトへの飛球はふわりと浮き上がってライトスタンドに。エアドーム・ホームランというべきか。9回裏、8連投の藤川が三者凡退に抑え、大乱戦をものにし、首位ジャイアンツに0.5差と迫った。
◎ジャイアンツ20回戦……2−1
鳥谷がジャイアンツ先発の久保から先頭打者初球ホームラン。ライトスタンドに一発食らわせた。しかし、そのあと久保は立ち直り、3回以降、6回まではノーヒットの投球。しかし、安藤はそれを上回る絶妙のコントロールで5回まで完全試合ペース。ところが、6回裏の先頭打者イ・スンヨプにセンターバックスクリーンに同点ホームランを打たれてしまう。力投の安藤を助けたのが葛城だ。7回表、ライトにふっと上がった飛球は吸い込まれるようにスタンドに。これが決勝ホームランとなる。腹痛でベンチから外れたウィリアムスのかわりに7回は江草と渡辺が抑え、8回には久保田、9回には9連投の藤川が登板。藤川は矢野謙に二塁打を打たれるが、後続をしっかりと断ち切り1点差を逃げ切った。安藤は待望の今季初勝利。そして、チームはついにジャイアンツを自力で追い抜いて首位に立った。ちなみに1996年の長嶋ジャイアンツが「メークドラマ」で首位カープとの最大差11.5ゲームをひっくり返して優勝した時に苦杯をなめたのは当時カープの主力であった金本。奇しくもタイガースでお返しをするような形になってきた。
◎ジャイアンツ21回戦……9−8
先制したのはタイガース。初回、高橋尚から鳥谷が二塁打。濱中がライト前ヒットでつなぎ、シーツがセンター前に先制タイムリーを打つ。しかし、下柳がぴりっとしない。1回裏、高橋由を歩かせ暴投のあと矢野謙に同点タイムリー。小笠原にもセンター前に返され逆転を許す。ランナーをためて阿部の犠牲フライであっという間の3失点だった。それでもタイガースには勢いがある。3回表、濱中がレフトスタンドにソロホームラン。3回表には2死から関本が歩くと下柳をあきらめて代打狩野を送る。狩野は期待に応えてライト戦に同点の三塁打。5回表、濱中、シーツの連打で無死二三塁とし、金本が2点二塁打を右中間に。二番手ダーウィンは5回裏、矢野謙、小笠原に連続死四球でピンチを作り、二岡に二塁打を打たれて1点差とされ、阿部の二塁ゴロの間に同点のランナーを返してしまった。7回表、三番手西村から四球の葛城と二塁打の赤星を塁に置き、矢野が前進守備のレフト横を抜く二塁打で再び2点差とする。ウィリアムスを休ませるためにマウンドにあげた四番手江草は7回裏、二岡にライトスタンドへの同点2ランを浴びて試合は振り出しに。ジャイアンツは豊田が、タイガースは橋本健、久保田が力投、試合は延長戦に。10回表、ジャイアンツは切り札上原を送る。初戦のお返しをしたかったのだろうが、関本のセンター前にぽとりと落ちるヒットでリズムが乱れ、藤本のバントのあと、鳥谷がライト線へ勝ち越しの三塁打。さらに守備要員の藤原がライト前に落すタイムリーで2点差をつけた。10回裏には10連投の藤川が清水にヒットを打たれ、代走鈴木に盗塁され、小笠原にタイムリーを打たれて1点差とされたが、二岡を三振に取って試合終了。タイガースのベンチには野手は野口だけしか残っていないという総力戦であった。
◎愛すれどTigers週間MVP
投手……藤川球児 10連投。その全ての試合でチームは勝利。東京ドームの最終戦など、かなり疲れが見えていた。それでも負けない。ついにセ・リーグ史上3人目のシーズン40セーブ目を記録した。過去には大魔神佐々木と岩瀬がいるだけ。ほんまにすごいの一言のみ。
野手……アンディ・シーツ シーツが打点をあげた試合は負けない。そういうジンクスが定着した。東京ドームでも初回のチャンスをものにする先制タイムリーを2試合放ち、チームに勢いをつけた。ベイスターズ戦のサヨナラヒットなど、やっと勝負強い打撃が蘇った。
次節は広島市民球場でカープと3連戦したあと、ドラゴンズと甲子園で3連戦。祝日の関係で9連戦となっているだけに、JFKを酷使しないようにしてほしい。特にカープには今年はそうとう手こずっているだけになんとかお返しをして首位の座を固めておきたいところだ。そしてドラゴンズを突き放してもらえればもう最高なんですが。やっぱり贅沢かな。
(2007年9月10日記)