愛すれどTigers


球児力尽き、ついにV消滅

 力尽きたという表現がふさわしいかもしれない。故障者続出、そしてここまで頼りにしてきた藤川も2試合連続で決勝打を打たれた。打線は疲れ切ったように続かない。横浜球場でのベイスターズ戦は3連敗。甲子園に戻り、ドラゴンズ戦は1勝1敗。連敗は8で止まった。甲子園最終戦のカープ戦も敗れ、今節は1勝5敗。優勝の可能性は完全になくなった。今節終了時点で72勝65敗4分、勝率.526。首位ジャイアンツに5.0ゲーム差で3位。3位の座も危うくなってきた。

◎ベイスターズ20回戦……4−5
 4回表、秦から桜井が先制3ラン。これで連敗脱出かと思われたが、その裏、能見がつかまる。種田が2点三塁打、野中の内野ゴロの間に生還してあっさり同点に。6回表、2死満塁で桧山が横山から押し出し四球を選び、勝ち越し。8回裏のマウンドには藤川が。2イニングを抑えねばという意識があったか、2死から内川を歩かせ、村田の内野ゴロも高く弾んでセーフに。そして佐伯に逆転二塁打を許す。9回表、タイガース打線はクルーンの前に完全に抑えられた。
◎ベイスターズ21回戦……3−4
 初回、吉見から金本のタイムリーで先制したが、下柳は3回裏内川に逆転のホームランを打たれた。4回にも佐伯のホームランを食らったが、それ以降はなんとか失点を食い止め、試合の形は作った。ベイスターズは小刻みな継投でタイガース打線をかわしていたが、8回表、四番手加藤からシーツがタイムリーを打ち1点差に。9回表、クルーンから矢野の二塁打と2四球で無死満塁と攻め、鳥谷が犠牲フライを放ってついに同点に。しかし、最後、金本は満塁の場面で三振し、同点のまま岡田監督は藤川を投入。延長戦を考えるならここはウィリアムスではなかったか。9回を抑えた藤川だったが、10回裏、村田にヒットで出塁され、吉村のサヨナラヒットで2試合連続の敗戦投手に。野球の神様は残酷だ。ボーグルソンに罰が当たらず藤川に責めを負わせるなんて……。
◎ベイスターズ22回戦……1−6
 なぜ岡田監督はボーグルソンを先発起用したのか。相手投手の頭に当てておいてそのまま謝りもしないような投手を先発で使うから、野球の神様はいつまでもタイガースを許してくれないのである。4回裏、佐伯の満塁ホームランで試合は決まった。6回には二番手橋本健が村谷ホームランを打たれたあとも連打を食らい、石井のタイムリーでだめ押し点を奪われた。ベイスターズの先発工藤からは7回表に金本がソロホームランを打ったが、それだけ。見ていて情けなくなるほど打てない。連敗は7に。
◎ドラゴンズ23回戦……1−4
 タイガース打線は川上の前に不発。とにかく淡白なのだ。ファールで粘るという感じもなく、ただただ粛々と打席を消化しているという感じ。対するドラゴンズ打線は毎回ランナーを出して安藤を苦しめる。それでも併殺などでピンチを切り抜けていた安藤だが、5回につかまった。投手の川上に二塁打を打たれ、井端を歩かせ、荒木にレフトポール際にとぴこむ3ランを打たれた。レフトスタンドに座っていた私は、近くでドラゴンズの応援団が「打て、打て、打て、打て、打って打って打ちまくれ」と盛り上がっているのをいささか羨ましく感じたのであった。6回裏、関本、葛城の連打で無死二三塁としたが、鳥谷の内野ゴロの間に1点を返すのがやっと。その1点も7回にダーウィンがT・ウッズにタイムリーを打たれてらくらく返されたりしてるのだから。久々に生で見たタイガースナインは、心身ともに疲れ切っているという感じであった。この試合で、久しぶりに今岡と林が一軍に昇格。ともに先発出場し、今岡は二塁打を放った。
◎ドラゴンズ24回戦……2−1
 上園と中田の投手戦。先制したのはドラゴンズ。荒木がヒットと盗塁で二塁に進み、中村紀の外野フライで三塁に。森野の内野ゴロの間に生還した。しかし、その裏、今岡が四球で出ると、林がライトポール際に逆転2ラン。上園は5回で降板し、6回から久保田が、8回からウィリアムスが、9回から藤川がそれぞれ渾身の投球でドラゴンズ打線を抑えた。ウィリアムスは連打を浴びながらもT・ウッズを見送り三振に打ち取り、藤川は連敗ショックを振り払うかのように全ての打者を内野ゴロに切って取った。一塁スタンド最上段で見ていた私は、今季限りで改装される座席に別れを告げた。
◎カープ24回戦……3−5
 福原が2回に炎上。1死一三塁から石原の内野安打で先制点を許し、東出、アレックスの連打で3点を追加された。いきなりの4失点で2回途中に渡辺と交代。今の打線にこの先制パンチは大きすぎた。渡辺も4回に東出のタイムリーで1点を奪われる。カープの先発は宮崎。のびのある球で、タイガース打線はフライを連発。8回裏にやっと桜井のヒットと秀太の四球で無死一二塁と攻めたて、宮崎は青木高と交代。代打桧山と矢野の両ベテランがタイムリーを打って2点を返した。タイガースのリリーフ陣はよく踏ん張り、江草、ダーウィン、橋本健とつないでさらなる失点は防いだ。9回裏、桜井がクローザーの永川からセンターバックスクリーン横にソロホームランを打ち込んで2点差としたが、反撃もそこまで。甲子園最終戦は途中から強い雨が降り、なんとも辛い試合となった。しかし、4位陥落の可能性もあるのに、今さら福原をクライマックス・シリーズ用の先発として使うというテスト起用なんかしていていいのか岡田監督。それなら二軍で先発している若手にチャンスを与えた方がよほどましだ。なお、鳥谷が7回表に秀太と交代し、連続試合フルイニング出場記録は398試合で途切れた。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……上園啓史 新人王を争う金刃(G)と並ぶ7勝目をあげた。チームの連敗をストップさせる気合いの入った投球だった。将来エースになってほしいタフなピッチャーである。スタンドで見ていて心踊るものを感じた。
野手……林威助 故障から緊急復帰。2試合目で連敗脱出となる決勝ホームランを放つのだからただ者ではない。甲子園最終戦でホームランを放った桜井と並んで、左右の主砲として、来季以降のタイガースを支えることは間違いない。

 次節は横浜球場でベイスターズと2連戦。そして神宮球場でスワローズと1試合。これで今シーズンの公式戦は終る。ポストシーズンとしてクライマックス・シリーズ出場の可能性は残されているが、10連勝して首位に立ったところが本当の意味でのクライマックスだった。それにしても、ここまで力尽きてしまった上にまた日本シリーズ出場を争う試合をやれというのは、選手の精神力をすり減らさせるという感じがする。それくらい選手は疲れ切っている。じかに試合を甲子園で見て、それを強く感じた。なんかそっとしておいてあげたい気分である。

(2007年9月30日記)


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