2008年の開幕は京セラドーム大阪でのベイスターズ3連戦。初戦は初の開幕投手となった安藤が先制されたが金本今岡の連打で逆転しJFKで逃げ切り。2戦目は若い岩田を新井、金本が援護してFKで逃げ切り。そして3戦目は新井が5打点をあげ福原が4併殺で完封。相手の4番打者村田を徹底的にマークして打線のつながりを防ぎ理想的な勝利で開幕ダッシュを果たした。特に赤星、平野の一二番コンビが出塁して足でかきまわし、クリーンアップが返すという理想的な打線のつながりが見られたのは大きかった。第1節を終了して、3勝0敗、勝率1.00。ジャイアンツに3連勝したスワローズと並び首位。
◎ベイスターズ1回戦……4−2
先発の安藤は初回こそ三者凡退のスタートを切ったが、以後は必ずランナーを出す必死の投球。2回表には四球の村田とヒットの吉村を塁に置き、小関の内野ゴロの間に1点をとられ先制を許す。4回表には佐伯と小関のヒットでランナーをためて相川にタイムリーを打たれて2点目を失った。しかし、続くピンチは冷静に投げて後続を断ち、いずれも最少失点で切り抜ける粘りはみせた。この粘りに打線がこたえた。3回まで寺原に完全に抑えられていたが、4回裏、先頭の赤星が今季初出塁となる四球を選び平野が送りバントを試みる。これは二封されたが、新井もよく見て四球。そして金本が右中間を深々と破る長打。新井が一気にホームにつっこみ同点のホームを踏めば、金本も野手の送球の隙をついて三塁へ。そして今岡がピッチャー返しの打球をセンター前に運んで金本を迎え入れて勝ち越した。6回からは継投策をとり、渡辺、久保田、ウィリアムスがそれぞれ三者凡退に打ち取る好投。5回裏には二番手入来から代打葛城の二塁打でチャンスを作り赤星がバント。平野のレフトファールフライを小関がなぜか捕球し、タッチアップの葛城が捕手のタッチを擦り抜けて追加点のベースを踏んだ。9回裏には藤川が。2安打を浴びてピンチを作ったが、最後は落ち着いて仁志を凡フライに打ち取って今季初勝利をもぎ取った。安藤は開幕投手初勝利。ヒーローインタビューは金本と今岡だった。
◎ベイスターズ2回戦……4−3
ベイスターズの先発は新外国人のウッド。初回から攻め立てる。いきなり赤星が二塁打、平野が送り新井が死球。金本がライトへの二塁打でまず1点。そして鳥谷がセンター前に運んで2点目。タイガースの先発岩田は2回表、小関にタイムリーを打たれて1点差とされ、5回までは両投手がそのままにらみ合うような投球で試合が展開した。その均衡が6回裏に破れた。ウッドから金本が今季第1号ホームランをライトスタンドに運ぶ。7回表、岩田の初勝利をアシストすべく渡辺がマウンドに。仁志のタイムリーで再び1点差とされる。しかし、ベイスターズはリリーフの層が薄く、7回裏、三番手三橋から代打葛城がヒットで出ると四番手山北にスイッチ。代打矢野はバントで送り、平野がレフト前に落ちるヒットで葛城を三塁まで進めると、新井が移籍初打点となるセンター前のタイムリーを放ち、また突き放す。8回に投げた久保田は吉村にレフトスタンドに叩き込まれてまた1点差。しかし、リードさえしていればタイガースには藤川がいる。9回表、3者凡退で締めて岩田にプロ初勝利を贈った。ヒーローインタビューはもちろん岩田と金本。金本は9回に仁志のフェンス直撃かと思われるすごい当りをフェンスに体当たりするように捕球するなど、守備でもファンをわかせた。
◎ベイスターズ3回戦……7−0
ベイスターズは高崎を先発に持ってきたが明らかに連敗ストッパーとして力不足。三浦が開幕に間に合わなかった影響がここでもろに出てきた。初回、赤星がバントヒットで出ると平野との間にヒットエンドラン。まんまと成功して赤星は三塁に。ここで新井がライト前に運んでまず1点。金本は三振でその間に平野が盗塁失敗で新井が二塁に残った。続く今岡の当りは深い二塁ゴロ。仁志がホームを狙う新井を刺そうとしたが送球がそれ内野安打となって初回に2点を先行した。福原は2回表にまず鶴岡を一つ目の併殺に打ち取ってピンチを脱する。3回表には2死満塁のピンチで小関を三振にとる。3回裏、金本の犠牲フライで1点を追加。4回裏には入来に対し2死から赤星と平野が連続死四球で出塁すると鮮やかにダブルスチールを決め、新井のレフト前ヒットで2人とも生還した。さらに6回裏、入来から矢野が今季初ヒット。福原が送り、投手は山北に。平野が内野安打でつないで新井のライト線への二塁打で2者が返って7点目。なんと新井はこの試合5打点の荒稼ぎだ。福原は6〜8回は必ず走者を出しながら、3回連続併殺打で切り抜けた。いかに球が低めに集まりゴロを打たせられたかという証拠である。そし9回表、先頭の村田に二塁打をうたれたが、佐伯と小関から三振を奪うなどして完封勝利を飾った。ヒーローインタビューは福原と新井。ドームのファンに「はじめまして、新井です」とやってファンをわかせていた。
◎愛すれどTigers週間MVP
投手……福原忍 今季初先発で完封。リーグの完封投手一番乗りである。昨年は故障などがたたって2勝止まり。その鬱憤をはらすように低めにボールを集めてランナーが出ても併殺で打ち取るというすばらしい内容だった。この調子で真に「エース」と呼べる安定した投球を毎試合見せてほしい。
野手……金本知憲 オープン戦ではわずか1安打と開幕直前まで心配していたが、卓越した技術で開幕までに仕上げてくるところはさすがである。今季は新井が加入して刺激が増えた。それがいい結果で出た。開幕の連勝は金本抜きでは語れない。
2004年も開幕3連勝だったが、この年は直後に3連敗して勢いが止まった。次節は広島でのカープ戦、東京ドームでのジャイアンツ戦とロードが続く。特にカープは新井の移籍などもあって闘志を燃やしてくるだろう。昨年苦手にした相手ということもある。下柳、アッチソン、杉山が先発予定だが、6人のうち誰かが不調でも、二軍では上園、金村暁、アッチソンが腕ぶして出番を待っている。絶好調の葛城をベンチにおいて不調のフォードを先発で使い続けられる戦力の余裕さえ見られる。本当に層が厚くなったものだと思わずにはいられない。
(2008年3月31日記)