愛すれどTigers


金本2000本安打・新井1000本安打W達成!

 リニューアル第1期工事が完成した甲子園で初めての公式戦。首位を争うドラゴンズに対し、金本の2000本安打は出なかったが、先発投手陣の力投と代打桧山の活躍などで2連勝のあと雨中止で勝ち越し。続く横浜球場でのベイスターズ戦は初戦は記録の重圧がチーム全体にかかって落してしまったが、2戦目に新井の1000本安打と金本の2000本安打が出て重圧を振り切り、3戦目も逆転勝ちで2勝1敗と開幕からの5カード全てを勝ち越しで決めた。第3節は4勝1敗と3つの勝ち越しで、通算11勝3敗、勝率.786。2位ドラゴンズとの差は2.5ゲーム差と広がった。

◎ドラゴンズ1回戦……3−2
 アッチソンと中田の投手戦。中田はいつもよりも制球が悪く、四球を連発してくれるのだが、逆に荒れ球で狙いを絞れないのかタイガース打線はあと1本が出ない。アッチソンは5回表に谷繁に先制のタイムリー二塁打を打たれたが、低めに伸びのある球がよく決まり、追加点を許さない。1点差で迎えた7回裏、ヒットの矢野を代打関本がバントで送る。赤星がよく選んで四球で出塁すると、代打の桧山がライト前に同点のタイムリー。新井も続いてレフト前に勝ち越しのタイムリー。ここで中田は降板、変則左腕の小林がマウンドに。金本は三塁に鈍い当りのゴロ。中村紀が二塁に送る間に代走の坂がホームを突いて2点の勝ち越しを決めた。8回からは久保田、藤川の必勝リレー。藤川は和田にタイムリーを打たれて1点差に迫られたが、なんとか逃げ切り、眼下の敵をまずは叩いた。ヒーローインタビューは新井と桧山。甲子園で初めてのインタビューとなった新井は興奮した面もちで「すばらしいです」とこたえた。
◎ドラゴンズ2回戦……2−0
 初回、チェンから新井がヒット、金本が四球でチャンスを作り、今岡のライト前への軽打が先制タイムリーとなる。3回裏には新井と今岡が歩くと鳥谷のレフト線への二塁打で2点目をあげた。この日の下柳にはこの2点で十分。3回と4回には先頭打者にヒットを許すが、落ち着いて後続を断つ。5回以降は一人の走者も許さない気合いのはいった投球で7回まで投げ切り、8回には久保田がつないで、9回には藤川が荒木、井端、イ・ビョンギュを連続三振に打ち取って完全にドラゴンズ打線を封じ込めた。ヒーローインタビューは今岡と鳥谷。試合途中から激しい雨が降り、翌日の試合は中止に。私の行く予定だった試合は悲しくも流れた。
◎ベイスターズ4回戦……1−2
 金本の足踏みがチーム全体にかかってくるような重い試合となった。2回表、苦手の三浦から先制点。今岡と鳥谷の連打でチャンスを作り、フォードの犠牲フライで今岡が生還した。しかし、この1点のあと、三浦は完全に立ち直り、特に金本に対しては内外角の厳しいところに決まる速球が効果的に決まりヒットを打たせない。金本も意識したか三振が続く。安藤はよく投げた。3回裏、2死二塁で仁志の打球をすねに受け、同点とされたあとベンチに戻って治療。すぐにマウンドにのぼって踏ん張る。しかし、6回裏、2死一三塁で相川にライト前にタイムリーを放たれついに負け越す。8回を一人で投げ切って2失点は責められる内容ではない。エースだというプライドも見せてくれた。しかし、9回表、ベイスターズはマットホワイトを投入して金本を抑え込み逃げ切った。
◎ベイスターズ5回戦……6−3
 初回、寺原から平野が四球で出ると、新井が1000本安打となる二塁打を放ってチャンスを作る。金本はセカンドゴロだったが、平野が生還してまず1点。しかし、前日の重圧が岩田をも襲ったか、毎回走者を出す不安定な内容。2回裏、1死二三塁で斎藤俊の内野ゴロの間に佐伯が生還して同点に追いつかれた。そして3回裏、石井の打球を今岡が胸にあてて弾きエラー。村田の打球は右中間スタンドに飛び込むホームラン。2点の負け越しを直後の4回表に追いついた。鳥谷とフォードの連打で2死二三塁とし、赤星のレフト前ヒットでフォードまで一気にホームを突いて同点に。積極果敢な走塁が流れを呼び込んだ。5回までなんとか投げ切った岩田から、渡辺がバトンを受けて好投。そして7回表。先頭の矢野がライト前にヒット。赤星が送り、平野凡退のあと新井の左中間を破るフェンス直撃の三塁打で勝ち越しの1点が入ると、金本が19打席ノーヒットという史上最長の足踏みを経てライト前に2000本目のヒット。ベイスターズの石井、そして弟分の新井から花束が、同級生の矢野から記念のボードが手渡された。7回裏、力んだ渡辺がピンチを作ると久保田が出てきて抑え、8回まできっちりと締める。9回表には桧山の代打タイムリーで3点差とし、9回裏には藤川が金本の記録に花を添えるように仁志、金城、吉村を三振に切ってとって逃げ切った。ヒーローインタビューは金本と新井。「ちょっとじらしすぎましたかね」と金本は苦笑しながらインタビューにこたえた。
◎ベイスターズ6回戦……3−1
 福原とウッドの投手戦。福原は初回、2回とピンチを招くがいずれも乗り切ってリズムを作っていく。一方のタイガースは初めて対戦するウッドに対し、やはり初回、2回とチャンスを作るがどちらも併殺で好機をつぶし、つかまえ切れない。先制したのはベイスターズ。6回裏、2死一三塁として金城にライト前にタイムリーを打たれた。しかし、村田を歩かせたあと佐伯と勝負にいって三振を奪い最少失点で切り抜けた。7回まで投げて1失点という福原の気迫を全面に出した力投に打線がこたえた。8回表、先頭の赤星がライトへ三塁打を打つ。ここで不振の平野に代わって打席に入った桧山がレフト前にぽとりと落とす。レフトのビクビーはダイレクトで取ったかに思われたが、審判はショートバウンドでの補給と判定。三塁走者の赤星は動けず、打席には新井。マウンドには木塚が上がる。新井のピッチャー返しの打球はセンターに抜けて同点に。続く金本には左腕のマットホワイトをぶつけてきたが、金本もセンター前ヒットで代走の藤本を迎え入れて逆転に成功した。今岡のライトフライの間に新井が三塁に進み、鳥谷の内野ゴロで決定的な3点目を奪うと、8回裏には久保田、そして9回裏には藤川が登板して逃げ切り、鮮やかな逆転劇を締めくくった。藤川は自己記録タイの9連続セープ。ヒーローインタビューは福原。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……下柳剛 ベテランが久々に7回を投げて無失点と迫力のある投球でドラゴンズ打線を抑え込んだ。「カネの記録がかかってる試合で負けたらいかんやろう」という言葉が、この日の投球の全てを物語っている。最多勝をあげた時を思い出させるみごとな投球であった。
野手……新井貴浩 金本の記録達成が1試合ずつずれている間に好機で安打を放ち、4番に安打が出なくても勝てるというところを見せつけた。勝利に飢えていた大砲が大物狙いを捨ててタイムリーを打つことに専念している。それが先輩金本をも引っ張った。

 次節は甲子園でカープと3連戦し、そして今季出足好調なスワローズと神宮で初対戦する。開幕から全てのチームとひとまわり当たることになる。ここでスワローズに勝ち越せば、どのチームに対しても同じように勝つことのできるというところを見せつけることになる。開幕ダッシュを果たしたタイガースにとって大事なカードとなるだろう。2000本安打の呪縛から解き放たれた金本の打棒に期待だ。

(2008年4月14日記)


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