愛すれどTigers


新井の甲子園初サヨナラホームラン

 甲子園でのスワローズ戦、ついに今季1勝2敗とカード負け越しをしてしまった。今季甲子園でのチーム第1号となる新井のサヨナラホームランは出たものの、全体に打線の低調ぶりが目についた。ところが、舞台をナゴヤドームに移したドラゴンズ戦では打線が爆発し、ナゴヤドームで中田に初めて勝った試合などつなぎにつなぐ野球ができて2勝1敗。第5節は3勝3敗と五分の星で、通算21勝9敗1分、勝率.700。2位ドラゴンズとの差は2.5ゲーム差と変わらず。29試合目での20勝到達はチーム最速新記録である。

◎スワローズ4回戦……1−4
 アッチソンは初回、青木にヒットと盗塁、そして川島慶のバントで三塁に進まれ、田中のタイムリーで先制された。足でかきまわされたことで、投球も神経質になる。3回表には青木を二塁平野のエラーで出してしまうと、川島慶にもヒットを打たれて1死二三塁。打者ガイエルのときに、初球の落ちる球を矢野が弾いて青木が生還。フルカウントから、今度も落ちる球が大きく弾んで暴投となり川島慶が生還。このバッテリーエラーによる2失点はかなり大きかった。アッチソンの投球も低かったが、矢野がデーゲームでボールを見づらそうにしていたのが印象的。何か衰えがあるのだろうか。アッチソンは4回表にも福川のタイムリーで4点目を奪われ、5回限りで降板。2試合連続のKOは、研究されたのかスタミナ切れか。打線は石川から単打ばかりの5安打。8回裏、鳥谷と矢野の連打でチャンスを作るが、関本の併殺の間に鳥谷が生還した1点のみではどうしようもなく、9回裏はイムに抑えられた。
◎スワローズ5回戦……6−5
 デーゲームの翌日がナイターという変則日程。初回、リオスから赤星がヒットで出ると平野が送り、新井がセンター前へのタイムリーで1点先取。しかし、下柳もこの試合は調子が悪く、3回表、先頭のリオスにヒットを打たれ、川島慶の三塁打で同点に。続く田中にも逆転となるタイムリーをレフト前に運ばれた。タイガース打線はすぐに挽回。3回裏、平野、新井のヒットと金本の四球で1死満塁とし、葛城のライト前に落ちるタイムリーと鳥谷の内野ゴロで2点を返して再逆転に成功する。ところが、下柳は4回表、福川に同点ホームランを打たれると、2死をとったあと青木にヒットを許し、川島慶の三塁打でまたまた勝ち越されてしまう。6回裏、スワローズの二番手五十嵐から2死一三塁で平野がライトオーバーの三塁打。これでこの試合3度目のリードだ。タイガースは7回表を渡辺でつないで抑え、勝ちパターンとなる8回の久保田投入。しかし、先頭の代打福地にヒットを打たれ、青木を歩かせる。川島慶は三遊間に鈍い当りのゴロ。関本はよくとって二塁に投げたが青木の足が一瞬早くセーフ、福地が同点のホームを踏む。9回は藤川できっちり抑え、その裏の攻撃を迎えた。マウンドには速球派の松岡。新井は5球目をとらえた。風にのって打球はレフトスタンド最前列に。甲子園で打つ初めてのサヨナラホームランは、乱戦を制する主役が誰かをしっかりと指し示す。むろん、ヒーローインタビューは新井。
◎スワローズ6回戦……0−2
 打線がスワローズ館山に完璧といっていいほど抑えられた。タイガースは今季初先発のボーグルソン。こちらも昨年とは別人のように安定した内容。5回表までノーヒットの投球。ところが、6回表、先頭の青木を四球で出すと、続く川島慶はバントと見せかけてヒットエンドラン。打球はレフト線に。青木が一気にホームインして、なんと初安打がタイムリーという悔しい結果に。続く田中はバントで川島慶を三塁に進め、ガイエルのライトフライで返す。わずか1安打で2点という頭脳プレーにしてやられた。館山が7回で退くと、スワローズは押本、イムの継投で逃げ切り。ヒットは5回裏に野口がセンター前に弾き返した1本のみ。今季初のカード負け越しとなった。
◎ドラゴンズ6回戦……9−1
 初回、左腕小笠原から平野がヒット。続く新井の打球はレフとスタンド最前列に飛び込む先制2ラン。3回表には1死一三塁から今岡がセンターの深いところに犠牲フライを放ち3点目。そして4回表、安藤と赤星が連打で出塁し、平野の打球はライトスタンド中段に突き刺さる移籍初ホームラン。前半の6点で試合はほぼ決まった。安藤は4回裏にT・ウッズにセンターバックスクリーンに大きなホームランを叩き込まれたが、それ以外は低めをつくていねいな投球で全く打たれそうな気配がない。9回表、五番手高橋から鳥谷、矢野、関本の3連打で満塁とし、代打バルディリスが死球で押し出し。平野のセカンドゴロ、新井の内野安打でこの回3点を追加、最後は江草が締めて首位攻防戦はタイガースが制した。ヒーローインタビューは4安打の大活躍の平野。
◎ドラゴンズ7回戦……2−3
 岩田と吉見の投手戦。先制したのはタイガース。4回表、平野の二塁打と新井のヒットでチャンスを作り、金本がセンター前に久々のタイムリー。さらに7回表、鳥谷が難しい球を拾い上げるようにライトスタンドに運んで2点目。岩田は6回まで再三のピンチを味方のファインプレーなどで助けられながら0点に抑え切る。渡辺が7回に登板して抑え久保田につなぐ。前回のスワローズ戦でも同点に追いつかれてサヨナラ劇をお膳立てした久保田がまたやった。T・ウッズ、和田の連打でピンチに。不振のイ・ビョンギュは三振にうちとったが、中村紀に左中間のフェンスを直撃する同点タイムリーを打たれてしまった。9回はドラゴンズは岩瀬、タイガースは江草の両左腕が抑え、試合は延長戦に。10回表、チェンに抑えられ、10回裏、タイガースは藤川を投入。2死をとり、打席には外角には腰のひけた打撃のイ・ビョンギュ。藤川の内角高めの球を強振すると、ボールはふらふらとレフトスタンドへ。フェンスの上を辛うじて通り抜けるサヨナラホームランになった。藤川で負けたのならば仕方ない。しかも出合い頭の当り(事実、イ・ビョンギュは3連戦で打点をあげたのはこのホームランだけで、不調は続いている)。それよりも、久保田が出てくると試合が潰れるというパターンの方が心配である。
◎ドラゴンズ8回戦……10−4
 これまでナゴヤドームでは完全に抑えられている中田を、初回に攻略した。赤星がいきなりヒットで出塁。バント失敗の平野は叩き付ける内野安打で赤星を三塁にすすめる。新井のレフと前タイムリーでまず1点。続く金本は四球で満塁に。葛城も叩き付けるヒットで三塁の頭を越すレフト前2点タイムリー。これで3点目。鳥谷はライトオーバーの二塁打で金本が生還して4点目。矢野のレフトオーバーの打球は和田がジャンプするも取れず三塁打となり2人返って6点目。さらに関本はセンターに深い当りの犠牲フライで矢野を迎え入れてなんと7点目。中田がペースを作る前に一気呵成に攻めたてた。1回裏、杉山は2死一二塁にして和田にフェンス直撃の2点二塁打を打たれたが、そのあとはランナーは許しても失点はしない。3回表、葛城、鳥谷、矢野の3連打で1点を返し、その後も2死から赤星が歩いて満塁とし、平野も連続四球でさらに1点を返す。初戦の9得点に早くも追いついた。中田はこの回限りで降板。7回表には3番手金剛から矢野が二塁打。捕逸で三塁にすすみ、関本のタイムリーで10点目を記録した。7回裏、2死からヒットの荒木を井端がセンターフェンス直撃の二塁打で返し、ドラゴンズも3点目。打者森野のところで杉山が足に違和感があると訴えて降板、急遽マウンドに上がった能見は森野にタイムリーを打たれたが、T・ウッズはしっかり抑える。そのあとの能見は安定した投球で9回最後まで投げ切り、杉山のアクシデントをものともしない投手層の厚さを見せた。ヒーローインタビューは3安打の矢野。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……安藤優也 初めてのカード負け越しを記録した次の試合、しかも1.5差と迫ってきたドラゴンズに対し、力のある球と低めに決まるコントロールでみごとに抑え、今季こそ自分がエースであるという存在感を示した。これまでは好投しても報われない試合もあったが、今回は打線もよく援護した。
野手……平野恵一 一時調子を落してスタメン落ちもあったが、今節は移籍初ホームランを含む大活躍。見出し的には新井がMVPというところだが、平野の存在感が新井の活躍をしのいだのではないか。

 次節は東京ドームで調子の上がってきたジャイアンツと、そして甲子園に戻りベイスターズ戦。今節のドラゴンズ戦と合わせて6連戦となるが、先発のローテーションがしっかりしてるタイガースだけに、打線が調子を戻してきている今は逆に有利であろう。特に好調のジャイアンツは今ここで叩いておきたいところだ。

(2008年5月5日記)


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