愛すれどTigers


超人金本、頭部死球直後に強烈アーチ

 東京ドームでのジャイアンツ戦、金本の頭部直撃の死球で木佐貫が退場したり、その直後にライトスタンドに突き刺さるホームランを放ったり、ラミレスの幻のホームランがあったり、久保田のまさかの逆転被弾があったりと、波乱の試合展開が続く中2勝1敗と勝ち越す。そして球団通算4500勝を記録した。舞台を甲子園に移したベイスターズ戦は、ウィリアムスの復帰などで盛り上がり1勝1敗。第7節は3勝2敗とまたひとつ勝ち越し、通算24勝11敗1分、勝率.686。2位ドラゴンズとの差は一時期1.0まで縮まったが、結局2.5ゲーム差と変わらず。先発に疲れが見え始め、打線も好不調の波が激しくなった中、首位を堅持している。

◎ジャイアンツ7回戦……8−4
 先発はアッチソンと高橋尚。まずタイガースが2回表に今岡のレフトスタンドへのソロホームランで先制する。ジャイアンツは3回裏に亀井のタイムリーで同点に追いつく。タイガース打線が高橋に襲いかかったのはその直後の4回表だ。先頭の新井が内野安打で出塁すると、金本の二塁打で二三塁とする。今岡はセンターへの深いフライで新井を返し、まず勝ち越し。鳥谷のライト前ヒットで金本が還り2点目。矢野の二塁打で再び1死二三塁とすると、ジャイアンツは高橋尚をあきらめて早々と西村健にスイッチ。関本がすぐに犠牲フライを放ち3点目。なんと投手のアッチソンにもタイムリーが出て4点目。平野の強い当りが小笠原の股間を抜けて、エラーと記録されてこの回5点目。あっという間の猛攻撃で楽勝かと思われた。しかし、ジャイアンツもアッチソンに対し粘りとつなぎを意識した攻めでくらいついてくる。4回裏、阿部のタイムリーとゴンザレスのバックスクリーンへのホームランで3点とって2点差に。7回表、タイガースは3番手のベテラン左腕藤田から平野が二塁打。金本も二塁打で平野を返して1点を加え、さらに鳥谷にもセンター前へのタイムリーが出て4点差に広げた。アッチソンは5回で退き、渡辺、江草、久保田とつないでジャイアンツの攻撃を封じ、逃げ切った。この勝利が球団通算4500勝目となった。ヒーローインタビューは鳥谷。
◎ジャイアンツ8回戦……5−4
 初回、ジャイアンツはラミレスのバックスクリーンへの2ランで下柳から先制。しかし、タイガースも直後の2回表に鳥谷がヒットの葛城を塁に置いて同点2ランをライトスタンドに運ぶ。続く矢野もライトスタンドに流し打ちのソロホームランで勝ち越した。下柳は2回裏、3連打で無死満塁となるが、木佐貫、亀井、坂本ら若い選手を翻弄しボール球を打たせて全て凡打に打ち取って難を逃れた。3回表、木佐貫は金本の頭部を直撃する死球を与える。もちろん危険球退場である。そのあとをつないだ藤田はベテランらしく後続を断ったが、6回表、三番手門倉から金本がお返しの強烈なライナーのホームランを放ち突き放す。6回で降板した下柳のあとを受けた久保田が7回裏、1死一二塁からラミレスにレフトスタンドに入りそうな大きな当たりを放たれる。この打球にレフトスタンドのタイガースファンが触ったとし、審判は二塁打と判定。逆転を逃れた。阿部が歩きゴンザレスがライト前に運んで同点に。しかし、ライトの葛城は判断よく一塁走者の阿部を二塁でアウトにし、ライトゴロという記録になる。これで逆転を免れると、8回表、四番手山口から新井と金本が連打。葛城がライト前に落して新井が勝ち越しのホームベースを踏んだ。最後は藤川が3人で締めて連勝。ヒーローインタビューは好守に大活躍の葛城。
◎ジャイアンツ9回戦……5−6
 3回表、先発栂野から赤星が二塁打。足を警戒した若い栂野は平野のセンターオーバーの三塁打で先制した。なりふりかまわぬジャイアンツは3回裏、先発の栂野に代打を送る後先のない選手起用を見せる。ボーグルソンは脇谷に三塁打を打たれ、代打の隠善にプロ入り初打点となるタイムリーを三塁線に打たれた。亀井と坂本がヒットでつなぎ、小笠原にセンター前に逆転のタイムリーを打たれて1−2とされる。タイガースは5回表に二番手越智をとらえる。平野がヒットで出塁すると、新井と金本が連打でチャンスを作り鳥谷がライト線に逆転の二塁打。さらに野口がレフトフェンス直撃のタイムリーで鳥谷が一気にホームに還って一時は2点差と勝ち越し。6回裏、江草が2人の走者を残して渡辺に交代。渡辺もゴンザレスに1点差と迫られるタイムリーを打たれた。そして8回裏、頼みの久保田がラミレスにセンターバックスクリーン最前列にふわりとはいる逆転ホームランを放たれてしまった。ジャイアンツは9回表クルーンを投入。その速球に新井、金本、葛城のクリーンアップがきりきり舞いし、甲子園のお返しをされた。
◎ベイスターズ7回戦……2−6
 安藤は毎回ランナーを出す不調。3回表、2死までとりながら村田に先制スリーランをレフトスタンドに運ばれた。6回表には吉村にもタイムリーを打たれてこの回限りで降板。タイガース打線は苦手の三浦に翻弄され、6回裏にやっと反撃。赤星のヒットと平野の三塁ゴロ失策、新井のライトフライで赤星が三塁に進み、400号ホームランがかかる金本がライトに高く打ち上げるがスタンドに届かず犠牲フライの1点のみ。8回裏には三番手横山から無死満塁とチャンスを作るが、ここでも金本は犠牲フライがやっと。それでも2点差と希望はあったが、9回表に能見が代打ビグビーに2ランを浴びて万事休す。この試合、ウィリアムスが一軍に昇格したが出番はなし。筒井、そしてこの日背信の能見が二軍に降格し、太陽が一軍に帰ってきた。この試合の敗戦で、タイガースは今季初の連敗を記録した。
◎ベイスターズ8回戦……3−1
 初回、ベイスターズの新外国人ウィリアムスから赤星が内野安打で出塁。すぐさま盗塁。平野の一塁ゴロで三塁に進み、新井のショートゴロで一気にホームをつく。ショート石井は好返球を見せたが、捕手鶴岡の股間に足を差し入れるスライディングで先制のホームを踏む。記録は野手選択。3回裏には赤星と平野の連打でチャンスを作り、新井のレフト前ヒットで1点、さらに今岡もレフト前に転がして3点目をたたき出した。岩田は毎回ランナーを背負う苦しい投球。それでも要所で併殺を取り5回表に1死三塁から大西に犠牲フライをレフトに打たれて取られた1点のみで抑える。6回からは渡辺、久保田、ウィリアムス、藤川と1イニングずつの継投でベイスターズ打線を沈黙させた。ヒーローインタビューは復帰のなったウィリアムスと2打点の新井。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……渡辺亮 先発に疲れが見え、久保田が不調の中、着実に自分の与えられた仕事を果たしている。ジャイアンツ戦ではランナーを残して交代という場面もあったが、1週間通してこれだけ安定した投球ができるのはみごと。
野手……金本知憲 調子は決してよくない。しかし、ジャイアンツ戦での3二塁打といい、頭部死球の次の打席のホームランといい、球界を代表する四番打者ならではの働きである。その超人ぶりに1票。

 北陸遠征のカープ戦、そして甲子園のスワローズ戦と、交流戦前のセ・リーグ対戦をいい形で締めくくってほしいものだ。少しずつ結果を残し始めた今岡、ウィリアムスの復帰で再び力感あふれる投球の戻った久保田などが乗ってくれば、各カードとも勝ち越しを期待できる。特にスワローズは前回負け越しているだけに、お返しをしたいところである。

(2008年5月12日記)


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