今年も交流戦が始まった。開幕は京セラドーム大阪とスカイマーク神戸でのバファローズ戦。勝てる試合を落して1勝1敗。続くヤフージャパンドームでのホークス戦は連敗必至の状況から大逆転で1勝1敗。甲子園に戻ってパ・リーグ首位のライオンズにはホームラン打者の揃ったライオンズをみごとに抑えて2連勝。交流戦第1節は4勝2敗とふたつ勝ち越し、通算32勝15敗1分、勝率.681。2位ドラゴンズとの差は4.5ゲームと広がった。昨年は初戦を落してはずるずるといった交流戦だが、今季は連敗をしない好調ぶり。30勝到達は今季両リーグ最速であり、星野監督で優勝した2003年を思わせるハイペースである。
◎バファローズ1回戦……3−4
タイガースは準本拠地の京セラドームでのスタート。得意の先制攻撃で先発近藤から先取点をあげた。二塁打の赤星を平野が送り、金本のライト前のタイムリーが初回に出る。しかし、近藤はその後立ち直り、4回までは速球主体の投球でタイガース打線を抑えた。それでも疲れのみえた5回表、2死で二塁に赤星を置き、新井のセンター前で一気に本塁をついて2点目。本塁送球の間に新井は二塁に進んだ。そして金本もセンター前ヒットで新井を返して3点目。試合は完全にタイガースのペースだ。ところが初回から得意の緩急をつけた投球でバファローズ打線を手玉にとっていた下柳が7回裏に崩れた。ヒットと四球で2死一二塁として渡辺にマウンドを譲る。渡辺は北川にタイムリーを打たれまず1点を返される。左打者のローズにウィリアムスを投入したが、ローズはうまくレフト線に打ちまた1点。濱中を歩かせて満塁になり、カブレラの代役としてスタメン起用された一輝に逆転の2点タイムリーをセンター方向に放たれた。パファローズはタイガースから移籍の吉野が好投して流れをつかみ、山口、菊地原と一人一殺リレーでしのいで9回にはクローザー加藤を投入、タイガースの反撃を断ち切った。
◎バファローズ2回戦……7−3
この試合はやはり使いなれたスカイマーク神戸。前日に続いてタイガースが先制。オルティズから内野安打の赤星とレフト前ヒットの新井を置いて金本がレフトの深いところへ犠牲フライを放った。しかし後続を断たれてわずか1点に終った。ボーグルソンは3回までノーヒットピッチングだったが、4回裏に四球で2人ランナーを出すと、後藤の二塁打で同点に追いつかれた。6回裏にも四球を連発し満塁から後藤への押し出し死球と一輝の犠牲フライで勝ち越しを許した。7回表、四球や内野安打で無死満塁とし、オルティズをマウンドから引きずり降ろした。二番手菊地原は今岡、赤星と連続で内野ゴロ本塁封殺。ここで平野が昨年までの同僚からライト線に弾き返す。先進守備をしていたバファローズ外野陣の頭をあざ笑うかのように越し、ランナーは全員ホームインして一気に逆転。三番手山口から新井がライトスタンドに2ランを放ち一気に突き放した。8回表にはフォードの久々のタイムリーでさらに1点を追加。7回裏に登板した江草はヒットと四球で2死満塁にして、打席に濱中を迎えた。岡田監督はちゅうちょせず久保田を投入、もと同僚の濱中を二塁ゴロに打ち取って切り抜けた。8回もぴしゃりと久保田が締め、9回裏には藤川が登板し、坂口と村松を連続三振に打ち取り試合を締めた。ヒーローインタビューは平野。バファローズはこの試合の終了後にコリンズ監督が辞意を表明した。
◎ホークス1回戦……2−7
先制したのはタイガース。初回に大隣から赤星がヒット、平野のセカンドゴロで進塁し、新井は四球。金本が右中間に運んで2者を返す先制二塁打。しかし安藤は2回裏に長谷川にホームランを打たれて1点差とされる。それでも粘りの投球で5回まではなんとか抑えていたが、疲れのみえた6回裏に不運が襲った。川崎のレフト前ヒットも松中の三塁内野安打もたたきつけた打球が高く弾んだものでコースは内野ゴロかファールといえるような当たり。小久保もたたきつけて三塁線を破り同点。柴原を歩かせ満塁とし、松田のこれもたたきつけた当たりがレフト前にヒットとなって2点を奪われ、ついに降板。続く江草は長谷川に犠牲フライを打たれ、本多にもタイムリー二塁打を打たれてこの回一挙5点を失った。7回裏には今季初登板の太陽が松中と小久保の連打でピンチを作り、柴原の内野ゴロで1失点。8回表、赤星がヒットで出塁し平野も同じようにたたきつけるがショート川崎にうまく取られて併殺とはついていない。新井の二塁打で大隣は降板。しかし二番手小倉が好投、最後までツキのない試合だった。
◎ホークス2回戦……5−2
タイガースの天敵杉内が先発ということと、赤星が前の試合の守備で金本と激突して椎間板をいためたのとで先発からはずされ、バルディリスが一番、桜井が五番、浅井が八番という右中心のオーダーを組んだ。タイガースの先発岩田は3回裏に2死二塁から本多に先制タイムリーを打たれる。しかし、タイガースも4回表にバルディリスのヒットと関本の犠打でチャンスを作り新井のライト線への二塁打で同点とする。岩田は打線の援護がないまま6回裏に松田のホームランで勝ち越されて7回限りで降板した。しかし8回裏にウィリアムスが小久保と柴原を連続三振に打ち取るなどしてリズムを作ると、打線も9回表に反撃に転じる。クローザーのホールトンから鳥谷が内野安打、フォードが二塁打でチャンスを作った。しかし、葛城と野口が連続三振。藤本がよく見て四球を選び、2死満塁とする。ここで途中出場の赤星がレフト前に落して2者を迎え入れて逆転。さらに新井のセンター前ヒットで2点を加えて3点差とした。9回裏には藤川が登場。福岡のファンの前で松田、小斉、城所と三者三振。格の違いを見せつけた。ヒーローインタビューは赤星。ここのところリリーフに失敗していたウィリアムスが今季初勝利。
◎ライオンズ1回戦……5−1
タイガースの先発は今季初登板の上園。昨年の新人王も二軍で結果は出ていなかったが、ここというところでの岡田監督の選手起用はよく当たる。パ・リーグの首位ライオンズの強力打線を前に常に攻めの投球で得点を許さない。一方のライオンズ西口もベテランらしい制球力で好投。5回まで両者譲らぬ投手戦となった。均衡を破ったのはライオンズ。6回表に中島の二塁打でチャンスを作るとG.G.佐藤がレフト線を深々と破る二塁打で迎え入れて先制した。6回裏、西口が1死一塁で降板し、左腕星野がマウンドに。金本、桧山が打ち取られて同点ならず。しかし、ライオンズの渡辺監督は星野の打順を9番に入れたために7回表に代打を使わざるを得ず、久保田にぴしゃりと抑えられる。7回裏、マウンドには小野寺。鳥谷のセンター前ヒットを野口がバントで送る。続く関本の投手への飛球を三塁の中村おかわり君が巨体を揺すってダッシュ。小野寺にタックルしてしまう。小野寺はボールは落さなかったもののこの影響で負傷。代打葛城はセンター前に運び、鳥谷が返って同点。本塁送球の間に葛城は二塁に。赤星がレフと前ヒットで葛城を返し逆転。平野が歩いたところで投手はドラゴンズ時代によく対戦している岡本真。新井、金本の連続タイムリーに加え、桧山の打席でワンバウンドの球を細川捕手が弾いて暴投となり新井が生還してこの回一挙5点の猛攻撃となった。最後はウィリアムス、藤川とつないでライオンズ打線をみごとに抑えた。ヒーローインタビューは葛城と赤星。赤星は上園の失点の原因となった6回の失策を恥じる言葉のみ。勝って浮かれていないのが今季のタイガースだ。
◎ライオンズ2回戦……2−1
下柳と許の投手戦。2回表、ボカチカの当たりはレフトから三塁アルプス席に大きく切れるファール。しかし三塁の塁審は甲子園の風をよく知らないパ・リーグの小寺。切れる前にホームランのジャッジを下して抗議にあい、他の審判と相談の上ファールに訂正という一幕があった。5回裏に平野が2死二三塁からセンター前に先制タイムリーを放つ。ライオンズも直後の6回表に片岡と栗山の連打でチャンスを作り、中島の三塁ゴロを関本が送球に迷って内野安打としてしまい同点に。試合はライオンズが大沼、星野、正津とつないで失点を防ぎ、タイガースも久保田が8回からマウンドに上がって一歩も譲らず延長戦にタイガースは10回に藤川を投入して必勝体勢を作れば、ライオンズも負けじとクローザーのグラマンを投入した。しかし、11回表に渡辺を投入できたリリーフ陣のよいタイガースに対し、ライオンズはグラマンを3イニングまで引っ張る。11回裏、赤星がショートに足を使った内野安打。平野のバントはグラマンが捕球時に尻餅をついてどこにも投げられない。新井がバットをへし折られて内野ゴロ。一塁はあいていたが、グラマンは金本と勝負する。金本はライト前にサヨナラのヒットを運び、虎と獅子の熱闘は頼れる四番のひと振りでタイガースの連勝となった。ヒーローインタビューはもちろん金本。見ごたえのあるすばらしい試合だった。
◎愛すれどTigers週間MVP
投手……久保田智之 屈辱の逆転負けからしばらく登板がなかったが、今節はバファローズ戦満塁のピンチに登板して濱中を抑え調子を取り戻し、以降は自信あふれる元の投球に戻った。苦境を乗り越えた男の復活をたたえたい。
野手……赤星憲広 デーゲームとナイターの繰り返しという赤星にとっては苦手な状況でついに先発を外れたが、その試合で逆転タイムリー。続くライオンズ戦でも勝ち越し打を放ち勝負強さも見せつけてくれた。赤星が元気だと勝てるのだ。
次節は甲子園でマリーンズと対戦してから、1日おいて札幌ドームでファイターズと連戦する。移動日が増えて楽な日程なので先発に余裕がうまれるだろう。昨年の新人王上園も戻ってきたし、二軍でくさらず練習を積み重ねてきた高橋光や秀太らベテランの奮起も見どころの一つだ。起用する選手が必ず当たるという岡田采配の妙がどこまで冴え渡るか。
(2008年5月27日記)