西武ドームでのライオンズ戦、初戦は勢いにのって勝ちパ・リーグの首位ライオンズに交流戦勝ち越し。しかし2戦目は岩田が打たれて1勝1敗。千葉マリンスタジアムのマリーンズ戦は、先発投手の乱調で2戦とも大量失点。しかし、打線は活発に動き、2戦目は一時は7点差から同点に追いつくところまでいった。残念ながらサヨナラ負けは喫したが、チームの勢いを感じさせた。交流戦第4節は1勝3敗と負け越し、通算40勝21敗1分、勝率.656。2位ドラゴンズとの差は7.5ゲームと変わらず。交流戦の優勝争いは3位。期待の若手、鶴がプロ入り初登板初先発をマリーンズ戦で果たしたが、1死もとれぬまま6失点で降板と苦いデビューになった。しかし、この経験を生かして次回の登板では思い切りのいいところを見せて勝利をあげてほしい。
◎ライオンズ3回戦……6−4
先制したのはタイガース。初回、スワローズ時代に苦手としていた石井一から関本が四球を選び、新井がライト前ヒットでつなぐ。この試合5番に起用された高橋光がレフトの頭を越す二塁打を放ち2点を取った。その裏、タイガースの先発上園は内野安打と死球で無死満塁のピンチ。ここでブラゼル、GG佐藤、中村を三連続空振り三振に討ち取り、ピンチを脱した。直後の2回表、フォードがライトスタンドに久々のソロホームランを叩き込み、点差を広げた。石井一は3回表、金本のピッチャー返しの打球をすねに受けて退場。急遽許が登板した。上園が4回裏、中村のソロホームランで1点を失うと、続く5回表、バルディリス、赤星の連打でチャンスを作り、新井の打席で許が暴投、労せずして1点を加えると、続く金本はレフトへの犠牲フライでさらに1点を加えた。しかし上園の投球は安定せず、5回裏、先頭のボカチカに二塁打を打たれ、片岡のタイムリーで1点、さらに中島のヒットで片岡は三塁に進み、ブラゼルの犠牲フライで1点と、せっかく表の攻撃で援護してもらった分を吐き出してしまった。上園は勝利投手の権利を残して5回限りで降板。6回裏に登板した渡辺は中村、石井義、細川をすべて空振り三振に。しかし7回裏、三番手の久保田がボカチカにホームランを打たれて1点差に迫られた。8回表、五番手大沼から代打葛城がヒットで出塁し矢野が送ってチャンスを作る。ここで代打には桧山。ライトフェンス直撃の当たりは6点目をたたき出す三塁打となってライオンズを突き放す。9回裏は藤川が佐藤友、ボカチカ、片岡を三者三振に切ってとってライオンズ戦3連勝を決めた。ヒーローインタビューは桧山。
◎ライオンズ4回戦……3−6
ここまで安定した成績を残してきた岩田がこの試合は乱調。初回、平尾にセンター前ヒットを許し、ブラゼルの二塁打で先制される。さらに2回裏、ボカチカに四球、細川に死球と不要のランナーをため、片岡のセンター前タイムリーで2点目を失った。ライオンズの先発涌井を初回、2回表といずれもランナーを二塁に進めながら要所を締められ無得点。試合は5回裏まで動かず。動いたのは6回表。金もとのライトスタンドへのソロホームランで1点差に迫った。しかし、これが岩田には逆効果となったかその裏先頭の中村にヒットを打たれ、ボカチカには死球。細川のバントを捕った岩田は三塁に送るがセーフ。満塁で高山に押し出し四球。さらに片岡に2点タイムリーを打たれてここで降板した。タイガース打線は結局涌井を打ち崩せず、9回表、二番手の岡本篤から葛城と浅井の連打でチャンスを作り藤本の内野ゴロと赤星の犠牲フライで2点を返すにとどまった。
◎マリーンズ3回戦……6−10
アッチソンが全くの誤算。せっかく初回に清水から赤星、関本の連打のあと新井がライトフェンス際までとばすタイムリーをはなち、大松が球をこぼしたりして2点先取してくれたというのに、その裏西岡と福浦を歩かせサブロー、大松、里崎の3連打で3点を奪われあれよあれよという間に逆転を許し、オーティズの犠牲フライとベニーの2ランでさらに3点を追加されてしまった。2回裏にはサブローにタイムリーを打たれ、4回裏にはオーティズのソロホームランを浴び降板。交代した阿部は西岡に2ランを打たれ、2人で10失点。両投手とも二軍落ちとなった。もっとも、それ以降は太陽が6回からの3イニングを無失点という好投。この踏ん張りが打線にも伝わった。6回表、鳥谷がライトスタンドにふわりと運ぶホームランを打てば、二塁打の葛城を三塁に進めて藤本が犠牲フライを打ち4点目。さらに7回表、二番手のシコースキーから二塁打の関本を新井が返すタイムリー。そして8回表、四番手の川崎からフォードがこれも球を風にのせるようにしてソロホームラン。4点差まで縮めた。最終回、荻野に対する最後の打者は桧山。足下で弾むファールボールと思われたが判定はフェア。捕手から一塁に送られて試合終了という、悔しい幕切れとなった。
◎マリーンズ4回戦……9−10
タイガースの先発は高卒3年目の鶴がプロ入り初登板初先発。初回、いきなり西岡にヒットと盗塁で揺さぶられ動揺する。根元にセンター前ヒットで続かれ、福浦のタイムリーで先制される。続く大松には四球を与え満塁とし、里崎に2点タイムリー、オーティズにもタイムリーを打たれて1死も取れずに降板した。急遽マウンドに上がった江草もべニーの2点タイムリーを浴びて前日と同様初回に6失点という大差がついた。江草は2回裏にもオーティズの犠牲フライで7点差という大差がついた。交流戦に強いマリーンズの先発小林宏の前になかなか得点できなかったタイガース打線だったが、6回表に反撃開始。先頭の関本が二塁打、続く新井も二塁打で二三塁のチャンスに金本がセンター前に運ぶ。これは早川の好捕で犠牲フライにとどまったが、それでもまず1点を返した。桧山がタイムリー二塁打で続き、鳥谷の内野ゴロの間に三塁に進む。フォードの内野安打で生還し3点目。二番手橋本健は5回裏は好投したが6回裏は4点差を意識したか西岡と福浦を歩かせて大松の三塁打で2点を失った。8回表、二番手小野からヒットの新井を置いて金本がライトスタンドに2ラン。桧山の二塁打で小野は降板、マウンドにはベテラン左腕高木が。鳥谷がセカンドゴロで倒れると一人一殺継投でマウンドに久保が送られた。代打葛城は落ちる球をたたいて2ランをライトスタンドに。2点差に詰め寄った。タイガースは太陽、ウィリアムスが好投してマリーンズ打線を抑え込む。9回表、マウンドにはマリーンズの切り札荻野が。金本、桧山の連打でチャンスを作り、鳥谷がセンター前に弾き返して金本が生還。そして矢野が同点となる犠牲フライをレフトの奥深くに放った。あとはリリーフ磐石のタイガースのものかと思われたが、9回裏、渡辺が2死からオーティズを歩かせ、代打ズレータにライトオーバーの大きなヒットを打たれ、オーティズが長躯ホームインしマリーンズのサヨナラ勝利。ドラマ性に富んだ試合にふさわしい幕切れとなった。
◎愛すれどTigers週間MVP
投手……上園啓史 今節唯一の勝利ということでMVP。とはいえ、内容的には少し物足りない。無死満塁にして三者三振など上園ならではの度胸が光るのだが、次回は完投できるような安定したものを見せてほしい。
野手……金本知憲 たとえ負けていても、4番打者の一発でムードが変わり、追いつく原動力となる。負け越しはしたものの、金本が調子を上げてきたのは大きい。
交流戦も残すところ4試合。しかも全て本拠地甲子園。イーグルス、ファイターズはともにトレードでの交流もあり、よく似たタイプのチームだけに熱戦が期待される。特に現在交流戦首位のイーグルスには2連勝して交流戦優勝をねらってほしい。
(2008年6月16日記)