ついに交流戦終了。甲子園でイーグルスに2連勝し、一時は交流戦単独1位となったが、優勝を賭けたファイターズ戦で1勝1敗となり優勝のホークスと同率1位。規定により昨年の交流戦で順位が上だったホークスに優勝は譲ったが、今季だけに限っては優勝と等価の活躍だった。特にカードの初戦を落として2連敗したのは千葉でのマリーンズ戦のみ。パの6チーム中4チームに勝ち越し、ファイターズとは五分、負け越したのはマリーンズにだけ。圧倒するというよりは、先行されても中継ぎが踏ん張って逆転というパターンの多い交流戦であった。交流戦第5節は3勝1敗と勝ち越し、通算43勝22敗1分、勝率.662。2位ドラゴンズとの差は6.5ゲームでリーグ戦再開となる。
◎ゴールデンイーグルス3回戦……5−3
先制したのはタイガース。ドミンゴから赤星が四球を選び、関本が送る。新井の強烈なショートゴロを渡辺直が弾いて赤星が一気に本塁をついた。しかし下柳は4回表に山崎武、フェルナンデス、中島の3連打で同点に追いつかれ、山崎隆の犠牲フライで逆転を許した。それでも下柳はそれ以上崩れることなく、走者を出しても併殺で切り抜けるなどして6回を投げ切った。7回裏、イーグルスの二番手永井から代打林のヒット、赤星の四球、関本のバントで1死二三塁とし、ここで替った三番手川岸から新井が犠牲フライで同点に追いついた。7回表は久保田、8回表はウィリアムスの必勝リレーで勝利をつかもうとしたが、ウィリアムスが誤算。先頭の渡辺直を歩かせ、バントを決められ、山崎武のタイムリーで再びリードされた。しかし8回裏、四番手有銘から矢野がヒット。四番手で小山が上がると代打の代打桧山がヒットで続く。そして代打高橋光がレフトオーバーに逆転の2点二塁打を放つ。さらに小山の暴投で1点を加えて2点差とした。9回裏は藤川が3人でおさえて逃げ切り、連敗を脱出した。最終回には新井が移籍後初めて三塁を守る総力戦だった。関本は4打席連続犠打の日本タイ記録。野村監督は監督通算1453敗目(南海ホークス、ヤクルトスワローズ、阪神タイガース、東北楽天ゴールデンイーグルス)となり、三原脩監督(東京巨人軍、西鉄ライオンズ、大洋ホエールズ、近鉄バファローズ、ヤクルトアトムズ)の記録に並んだ。ヒーローインタビューは逆転タイムリーの高橋光と犠打記録の関本。
◎ゴールデンイーグルス4回戦……8−1
イーグルスの先発は報徳学園出身のホープ片山。意表をつく先発投手だったが、初回にいきなり関本がレフトスタンドに飛び込むソロホームランで先制する。2回には林、鳥谷、野口が四球を選んで満塁とし、藤本の犠牲フライで1点追加。上園が送り、赤星のショートへのゴロは俊足をとばして内野安打となってさらに1点を加えた。3回表、上園は1死一三塁から高須の内野ゴロの間に三塁走者の生還を許して2点差に詰め寄られた。そのあと6回終了までは上園と片山というイキのいい若手の投げあいが続き、試合の動きが止まった。7回裏、二番手吉崎から藤本と矢野が連打し、赤星が歩いて無死満塁。三番手松本から関本がライト前にタイムリーを放ち、さらに四番手有銘から金本がライト前に2点タイムリー。8回裏にはまた満塁から今度は赤星が二塁手高須の野選と関本の犠牲フライで試合は決した。タイガースは久保田、ウィリアムス、渡辺のリレーで逃げ切った。ヒーローインタビューは関本と上園。この勝利でタイガースは交流戦単独首位に。
◎ファイターズ3回戦……0−4
前回やられたスウィーニーに今回もやられた。2回裏、金本と林の連打でチャンスを作ったが、1死から野口がフルカウントからヒットエンドランのラストボールを空振り三振、走っていた金本は三塁でアウト。これで流れは一気にファイターズに。岩田は立ち上がりはよかったが、4回表稲葉を歩かせ高橋にもヒットを許す。スレッジのライト線への二塁打とスウィーニーのセカンドゴロで2点を先制された。それでも岩田はよく踏ん張ったが5回限りで降板。タイガースは7回表に三番手の久保田が2死から高口、田中の連打と稲葉への四球で満塁とされ、稲田に2点タイムリーを打たれて試合は決まった。ファイターズは宮西、武田久、マイケル中村のリレーでタイガースを完全に抑え切った。
◎ファイターズ4回戦……5−3
昨年の交流戦で2敗したグリンに強烈なお返しをした。2回表、金本が左中間に飛び込む先制ソロホームラン。アッチソンは4回表に小田のタイムリーで追いつかれたが、直後の4回裏、ヒットの新井を置いて金本がバックスクリーンに2打席連続の勝ち越し2ラン。5回裏には先頭の藤本が歩き、代打高橋光の時にエンドラン。スウィーニーは大きく外角にはずしたが、高橋光はバットを放り投げるようにして内野ゴロとし、藤本を二塁に進めた。グリンの暴投で藤本は三塁に。赤星が一二塁間を抜くタイムリーで4点目を入れた。必勝を期しウィリアムスを投入したが、自らの一塁悪送球でピンチを作り、高口、稲葉のタイムリーで1点差にされた。それでも8回裏、四番手星野から新井が二塁打。続く五番手歌藤を攻めたて鳥谷の犠牲フライで2点差と広げた。タイガースの締めくくりは藤川。9回表、きっちり3人で抑えて締めくくった。ヒーローインタビューは金本。
◎愛すれどTigers週間MVP
投手……下柳剛 前回のイーグルス戦では野村監督にしてやられたが、今回はベテランらしくそれを逆手に取るようにイーグルス打線を抑え込んだ。まさにベテランの投球術。勝ち星はつかなかったが、さすがである。
野手……関本賢太郎 日本タイ記録の4試合連続犠打を記録した翌日はいきなりホームランと、地味なんだか派手なんだかよくわからない活躍を見せて2日連続のヒーローインタビュー。その受け答えも笑いのツボをおさえたもので、甲子園のファンをわかせた。
勝ち越しを21として交流戦を終え、リーグ戦再開は秋田でのスワローズ2連戦から始まる。交流戦では先発投手陣が打たれたりして不安定だったが、二軍で調整していた安藤や金村暁が一軍に上がると予想されている。さらにオープン戦までちゃんと結果を出しながら開幕一軍のチャンスを逃した玉置も一軍に昇格している。これまで通り、岡田監督らしい投手を軸とした安定した野球を続けていってほしい。
(2008年6月16日記)