甲子園で眼下の敵ドラゴンズを迎え撃った3連戦は3連勝。横浜球場では最下位のベイスターズに劣勢の試合も大逆転して3連勝。サヨナラあり、楽勝あり、脅威の逆転ありとあらゆる勝ち方をみせてくれた1週間だった。50勝両リーグ一番乗りという快進撃だ。また、金本が6月の月間MVPに選ばれた。今節は6勝0敗、通算50勝23敗1分、勝率.685。2位ドラゴンズとのゲーム差は11.5と開き独走体勢に入った。
◎ドラゴンズ9回戦……8−3
先発のアッチソンは2回表、和田への四球とボークでピンチを作り、デラロサのタイムリーで先制された。苦手の中田を攻めたてたタイガースは、3回裏に2四球を含む2死満塁から林が一塁手T・ウッズのエラーで生きて同点とした。しかし鳥谷の投手ゴロで逆転はならず。4回裏、藤本の四球、赤星は谷繁の打撃妨害、関本も四球と再び2死満塁。新井の強烈な内野ゴロをデラロサが弾いて2点内野安打となった。ところが、アッチソンは味方のくれたリードを守れない。5回表、連打を浴びて無死満塁。T・ウッズの同点タイムリーを浴びて降板した。二番手渡辺はこのピンチに和田、イ・ビョンギュ、谷繁を凡打にうちとり同点でとどめた。5回裏、ドラゴンズの三番手浅尾から林のヒットと鳥谷の四球、矢野が送ってチャンスを作る。藤本のセンター返しの打球は荒木にうまく押さえられたが、ホームにつっこんだ林を刺そうとした返球よりも一瞬早くホームを踏んで勝ち越し。代打葛城がセンター深くに犠牲フライを放って2点差とした。6回裏には四番手平井から新井のあわやホームランというタイムリー三塁打と金本のレフトスタンドへの2ランで3点を追加した。秋田では不調だった久保田、ウィリアムスも点差のあった中で余裕の投球ができ、最後は調整もかねて藤川が上がって2位ドラゴンズとの連戦をまず1つとった。ヒーローインタビューは中継ぎでピンチを断ち切った渡辺と3打点の新井。
◎ドラゴンズ10回戦……4−3
先制したのはタイガース。山本昌から初回に関本が二塁打。金本がライト前に打ち返してまず1点。林のヒットと鳥谷の四球で満塁としたが、野口が三振で1点にとどまった。苦戦した原因はここで一気に大量得点できなかったことか。2回裏、2死から赤星がヒットと盗塁、関本のタイムリーで2点目を奪う。しかし、3回表、岩田がつかまった。1死二三塁で荒木にセンター前2点タイムリー。3回裏、鳥谷が三塁打を放ち、バルディリスの敬遠などで2死一三塁。岩田のセカンドゴロをなんと荒木が弾き、勝ち越しの1点をもぎとった。岩田は5回で降板し、6回表にマウンドに上がった江草がデラロサにレフトスタンドに同点ソロホームランを打たれて試合は振り出しに。タイガースは7回から久保田、ウィリアムス、藤川とJFKをつぎこんで流れを引き寄せる。ドラゴンズも浅尾、チェン、そして今季無敗の吉見を投入し、試合は9回裏に。先頭の林の一塁ゴロをT・ウッズが弾いて先頭打者が出塁。鳥谷は内野ゴロで林の代走秀太が二塁でフォースアウト。代打桧山の当たりは浜風さえなければホームランというすばらしいものだったがイ・ビョンギュの好捕にはばまれた。そして代打葛城が打席に。フルカウントからの一撃はライトの頭上を越すみごとな当たり。鳥谷が一気にホームインして劇的なサヨナラ勝利。私はこの一撃をライトスタンドから目の前で見ていたのだが、いやもうとにかくしびれたぜ。ヒーローインタビューはもちろん葛城。「ウォーッ!」と雄叫びをあげた。
◎ドラゴンズ11回戦……4−1
先制したのはタイガース。朝倉から新井がタイムリー。この1点を今季一軍初登板のベテラン金村暁がフォークを主体としたていねいな投球で守る。3回表、ヒットの荒木に盗塁され、小池にタイムリーを打たれて同点とされたが、6回まで失点はこの1点のみ。打線がもう少し早く目覚めてやれば勝ち投手になれた内容だった。8回裏、四番手チェンから林、鳥谷が連打。途中から出場していた矢野がバットをへし折りながらレフト前に運び、2者が生還しリードを奪った。藤本のバントをチェンが一塁に悪送球して矢野も生還。3点差で藤川が登板し、中村紀、T・ウッズを連続三振。和田とイ・ビョンギュに連打を浴びたが、デラロサを三振にうちとってドラゴンズに3連勝。ヒーローインタビューは決勝打の矢野。
◎ベイスターズ9回戦……7−0
4回表、新人小林から矢野がレフトスタンドにソロホームランを放ち先取点をあげる。5回表には新井と金本の連打でチャンスをつかみ、鳥谷がライト前にタイムリーを放って2点目をあげて小林をKOした。タイガースはベテランの下柳が7回無失点の好投。ベイスターズ打線に狙い玉を絞らせない変幻自在の投球。9回表、マットホワイトから金本が二塁打。林のタイムリー、鳥谷の四球でマットホワイトを降ろす。続いて登板した小山田から矢野のレフト前タイムリー、代打桧山のライト線への2点タイムリー、赤星と関本が連打でつないで新井の犠牲フライでこの回5点目。最後は江草が締めて4連勝。ヒーローインタビューは矢野。
◎ベイスターズ10回戦……9−4
久々先発の安藤が5回を3安打無失点の好投。打線もそれにこたえる。那須野から2回表に矢野の2ランで先制。4回表、3四球で満塁となったところで那須野から桑原謙にスイッチ。2死をとったあと、関本の走者一掃の二塁打がセンターの頭を越えて飛び出した。5回表にはマットホワイトから矢野のタイムリーとバルディリスの犠牲フライでさらに2点。試合はほぼ決まった。7回表には山北からバルディリスがタイムリーで8点目。7回裏、二番手阿部がビグビーにソロホームランを浴び、8回裏には太陽が登板。2死満塁から新井のトンネルで2点を失う。8回表の新井の犠牲フライで9点目を取っていたので、それでも楽な展開。9回表、太陽は小関にホームランを打たれたものの最後の打者仁志をサードゴロに打ち取って試合終了。ヒーローインタビューは3試合連続となる矢野。
◎ベイスターズ11回戦……8−7
先制したのはベイスターズ。上園は初回1死一二塁から村田にタイムリーを打たれた。しかしビクビーは併殺で1点にとどめる。2回表、吉見から野口が逆転の3ランをレフトスタンドに叩き込み、4回表にはバルディリスが来日初ホームランを放って4点目。上園は4回裏にビグビーの併殺の間に内川に生還を許して2点差とされ、5回を投げ切って勝ち投手の権利を残したままリリーフにゆだねるしかし、そのリリーフがこの試合は乱れた。渡辺が6回裏にビグビーと吉村の連続二塁打で同点に追いつかれた。8回裏にはウィリアムスがビグビーと代打大西の二塁打で3点を失い、9回表のマウンドにはベイスターズのクローザー寺原が。9回表、2死一塁に赤星を置き、関本が左中間に二塁打。これで赤星が生還し2点差に。続く新井はライト線に二塁打で関本を迎え入れ、1点差に。そして金本。レフトスタンドに逆転2ラン! ベイスターズは完全に勝利を手中にしたかに見えたが、タイガースの勢いに呑み込まれてしまった。最後は藤川が締めて6連勝。ヒーローインタビューはもちろん金本。
◎愛すれどTigers週間MVP
投手……安藤優也 腰痛からの復帰第1戦を5回無失点で切り抜け久々の勝利。交流戦は先発に勝ち星がつかないことが多かったが、開幕投手の復帰は心強い。
野手……矢野輝弘 3日連続ヒーローインタビューの大活躍。特に横浜球場での相性のよさは特筆すべきもの。2試合連続ホームランは、捕手のライバル野口の今季1号まで引っ張りだしたかのようだ。
次節は甲子園でジャイアンツ、カープと6連戦。「週刊大衆」によると、ジャイアンツの逆転優勝の確立はなんと70%なんだそうである。ただし、7月のタイガース戦全てを2勝1敗で乗り切れば、の話らしいから、ここは戦力をオリンピックに取られる前の万全の体勢でしっかりと出る杭を叩いておかねばなるまい。というか、優勝が絶望的になっても「あと全部勝ったら優勝や」と空元気を出していたころのタイガースファンを思い出させる「逆転確率70%」ではある。
二軍では若竹がノーヒットノーランを達成。昨年は一軍で先発も経験した若手のホープがやってくれた。なんて素敵な日曜でしょう。
(2008年7月7日記)