愛すれどTigers


好調カープに勝ち越しCSマジック点灯

 甲子園で好調のジャイアンツとカープに対した6連戦は、ジャイアンツとの2試合目を雨で流して5試合が行われた。ジャイアンツには初戦をとって7連勝と連勝をのばしたが、雨の翌日は頼みの下柳が初回に失点して1勝1敗と連勝をストップ。続くカープ戦は連日の投手戦を辛うじて制して2勝1敗。好調の両チームに対して負け越しなしで今節は3勝2敗、通算53勝25敗1分、勝率.679。2位に浮上したジャイアンツとのゲーム差は11.0と依然独走状態である。なお、ジャイアンツ戦の勝利でクライマックス・シリーズ出場へのマジックナンバーが出て、今節終了時点でCSマジック52。

◎ジャイアンツ10回戦……5−3
 タイガースがバーンサイドをいきなり攻略。関本と新井の連打でチャンスを作ると、林がセンター前に落す2点タイムリー。4回裏には2死からバルディリスが四球を選び、岩田がセンター前ヒットでつなぐ。赤星の三塁へのゴロは内野安打となって満塁に。ここで関本が四球を選んで押し出しで1点。打者新井の時にパーンサイドはボークをおかしてさらに1点を献上しくれた。5回裏には二番手山口から2死一二塁でバルディリスのレフト前に弾き返すタイムリーで5点目。大量リードに守られた先発岩田はランナーを出しても併殺で食い止める粘りの投球。6回表に谷に左中間へのタイムリーを打たれて完封を逃し、7回からは久保田にスイッチ。8回に登板したウィリアムスともども完璧な投球で4点差を守る。9回表、クローザーの藤川が登板。なんとラミレスにレフトスタンドに運ばれてしまう。これでリズムを乱した藤川は自らの悪送球で出したランナーを古城のタイムリーで返されて2点差に迫られたが、最後の打者鈴木尚をフライに打ち取りなんとか逃げ切った。この試合でタイガースは球団新記録となる9試合連続2ケタ安打を記録。またCSマジックが55と点灯した。ヒーローインタビューは岩田と関本。
◎ジャイアンツ11回戦……3−8
 下柳が初回に崩れる。1死一二塁からラミレスにレフト前先制タイムリーを打たれると、谷、坂本とそれぞれタイムリーを打たれて3失点。しかし、「西日のせいで集中できなかった」だけで、2回以降はすいすいと投げる。一方、苦手の内海を3回にタイガース打線がとらえた。2死から関本、新井の連続四球と金本がサードのエラーで出塁して満塁に。葛城のサードゴロは内野安打となり1点を返す。続く鳥谷も押し出しの四球で1点差に。ここで一気にひっくり返したかったが、矢野がボールを振らされて三振。ここの攻めが勝敗の境目になったような感じがする。6回表、2死三塁で内海と勝負した下柳はタイムリーを打たれてしまい2点差に。8回表には二番手江草が高橋由の2ランと小笠原のタイムリーで3点を失い、試合を決定づけられた。8回裏、四番手藤田から浅井が二塁打。鳥谷のタイムリーで1点を返したが、反撃もそこまで。9回表には太陽が阿部にソロホームランを打たれた。9回裏、5点差で登板しクルーンを赤星のヒットと2つの四球で満塁と攻めたが代打藤本が投手ゴロ併殺で試合は終った。敗戦の中にも、10試合連続2ケタ安打と記録が伸びたのが救いか。あまり圧倒的に負けたという感じのしない試合だった。
◎カープ9回戦……2−1
 ボーグルソンと前田健の投手戦。ボークルソンは野口のリードが合うのか落ち着いた投球をしていたが、打線の援護がない。前田健の若々しい攻めの投球に押されていた。6回表、2死から赤松、嶋に連打を浴び、栗原にセンター前に弾き返されてついに先取点を奪われた。それでも天谷を打ち取り1点にとどめたのは立派。カープは、7回途中からシュルツ、8回から永川を投入してくる。8回裏、二塁打の金本を葛城が二塁頃で三塁に進める。鳥谷が歩いて代打に高橋光。センターに技ありの犠牲フライを放ち、ついに追いついた。タイガースは7回から1イニングずつ渡辺、久保田、藤川と惜しげもなく投手をつなぎ、ついに延長戦に。ウィリアムス、江草が1回ずつきっちり抑え、11回裏を迎えた。マウンドにはカープ四番手の岸本。矢野のライト前ヒット、平野のバントを岸本が悪送球して2死一三塁に。9回のチャンスには凡退していた関本がここでレフト前に運んで金本を迎え入れ、歓喜のサヨナラ勝利。7回にはバルディリスが相手ベンチに飛び込みながらフライを取るファイトあふれるプレーを見せるなど、両者ともはつらつとしたいい試合だった。ヒーローインタビューはサヨナラ打の関本。
◎カープ10回戦……0−1
 安藤とコズロースキーの息詰まる投手戦。安藤は初回に2死満塁のピンチをシーボルのレフトフライでしのぎ、2回以降はシュートが冴える好投。しかし5回表、2死二塁から赤松のレフトとサードの間に落ちるラッキーなヒットで1点を奪われた。コズロースキーの左腕スリークォーターからくり出される変化球に手こずったタイガース打線は、6回途中までわずか3安打。7回と8回を若い上野に完璧に抑えられ、最後は永川に締められた。安藤は勝ち星こそつかなかったが前日のボーグルソンと並んで好結果を出した。
◎カープ11回戦……5−2
 とにかくこの3連戦はカープの先発投手に手こずった。この試合はベテランの高橋。低めの変化球が決まり、2回裏には1死満塁と攻めたが金村暁が三振し赤星もサードゴロ。金村暁は雨で流したジャイアンツ戦からまわってきた先発。3回表、鳥谷の悪送球で先頭打者を許し、赤松のセンター前タイムリーで先制される。しかし、5回裏、タイガースも反撃。二塁打のバルディリスを金村暁が送り、赤星のセンター前タイムリーで同点。平野がライト前ヒットでつなぎ、新井のセンターフライで赤星が生還。ヒットになるかと思った平野が飛び出していて一塁に送球され併殺となったが、赤星の本塁突入が早く逆転が認められた。金村は6回表、2死二塁から栗原に同点となるセンタへのヒットを放たれた。そのあとも2安打され満塁となったが、石原を凡打に打ち取り同点でとどめたのは立派だ。高橋は7回までなんとか投げ切って、8回にはシュルツが登板。1死から金本が四球。関本がバントの構えをしたところで金本が今季初盗塁。意表をつかれて動揺したシュルツは代打桧山は打ち取ったが、鳥谷を敬遠。ここで代打に葛城が登場。ライト戦の奥深くに打ち込む三塁打で2点を奪った。さらにバルディリスもセンター前にタイムリーでこの回3点。9回表は藤川が3人をあっさり打ち取り逃げ切った。ヒーローインタビューは勝ち越し三塁打の葛城。先週に続き、「ウォーッ!」と雄叫びを、しかも2回もあげてファンをわかせた。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……岩田稔 捕手を矢野に変えて気分一新。5月17日以来という6勝目をあげた。特にジャイアンツ戦には強く、新たなジャイアンツキラーとして今後のペナントレースの動向の鍵を握る投手となりそうだ。
野手……関本賢太郎 ジャイアンツ初戦の猛打賞に加え、カープとの初戦ではサヨナラヒット。カープとの第3戦には5番も任せられた。地味なつなぎ役が一気に主役に躍り出た感がある。平野の復帰でさらに定位置争いも熾烈になる。しかしそう簡単にレギュラーの座は離さない。

 ジャイアンツ戦でタイムリーを放った林が負傷欠場。五輪も辞退となった。逆に故障で二軍落ちしていた平野が復帰。ヒットこそ出ていないが、故障前と変わらぬハッスルぶりである。代打の高橋光、葛城、桧山。守備ではバルディリスと、脇役の活躍が目立ってきた。次節は倉敷と甲子園でスワローズと、そして3位に転落しAクラスも危うくなったドラゴンズとナゴヤドームで。また休む間もなく甲子園でジャイアンツと……というぐあいに9連戦だ。ここを乗り切れば優勝マジックの点灯もある。安藤、ボーグルソン、金村暁と先発投手の駒がここにきて揃ってきた。今、6投手継投で完封などというシーズン終盤みたいな野球をしているジャイアンツにはそう簡単には追いつかれるとは思えない。

(2008年7月14日記)


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