7月の山場といえる9連戦が始まった。倉敷・甲子園のスワローズ戦、2試合目から新井が腰痛で欠場した。その影響もあってか1勝2敗。ナゴヤドームに舞台を移したドラゴンズ戦では、鳥谷が3番に座って打線につながりも生まれ2勝1敗。今節は3勝3敗、通算56勝28敗1分、勝率.667。2位ジャイアンツとのゲーム差は11.5。CSマジック52。なお、オールスターに監督推薦で下柳投手と矢野捕手が選出された。また、北京五輪代表チームが決定し、タイガースからは予想通り藤川投手、矢野捕手、新井内野手が出場することになった。
◎スワローズ12回戦……0−6
岩田が初回に打ち込まれた。宮本、青木、畠山の3連打のあと、田中を三振にとって2死としたが飯原に三塁線を抜く二塁打を打たれ走者を一掃。さらにはウィルソンの投手ゴロを一塁悪送球、飯原も生還して初回には4失点。さらに2回表、ヒットの宮本を青木の三塁打で返され、田中の内野ゴロの間に青木も返してしまいこの回2失点。もともとタイガースには相性のいい川島亮が、大量点をバックにすいすいと投げる。とにかくフライが多かった。8回裏には1死満塁のチャンスを作ったが、新井が三振、金本もライトフライで1点も奪えず、最後は五十嵐に締められた。なお、この試合で9回表に新人の石川が一軍でビュー登板を果たし、無失点で切り抜けた。
◎スワローズ13回戦……2−0
上園と村中の投手戦。先制したのはタイガース。バルディリスの二塁打を上園が内野ゴロで進塁させ、赤星のサードゴロを名手といわれる宮本が弾いて一塁送球が遅れてセーフとなり、その間にバルディリスが生還した。上園は7回表に2死二塁としたところでウィリアムスにマウンドを譲った、そこまでランナーを出しても本塁は踏ませない思い切りのいい投球だった。ウィリアムスは8回表、1死から3連打を浴び満塁とされた。ライトの平野が好返球を見せてホームをつかせないのが光った。青木を三振に打ち取って2死としたところで藤川に交代。藤川は畠山を三振。8回裏、二番手丸山から金本がヒット、そしてまた盗塁をして驚かせる。葛城が四球を選び、投手は三番手萩原に。矢野のヒットで1死満塁とし、代打桧山がサードゴロを打つが二塁に送るのが精一杯で金本がホームインし、大切な追加点をあげた。最後は藤川が締めて逃げ切った。ヒーローインタビューは上園と藤川。
◎スワローズ14回戦……0−3
ボーグルソンと石川の息詰まるような投手戦。特にボーグルソンは無駄な四球を出してムキになって打たれるという悪癖が全く出ず、今季最高の投球。一方の石川もタイミングを自在にはずす投球でタイガース打線を手玉にとった。8回表からマウンドに上がったタイガースの二番手久保田が、先頭の福地を歩かせ、宮本のバントで二塁に。青木に四球を与え、その福地青木の俊足コンビにダブルスチールを決められた。畠山を歩かせて満塁に。打者田中はスクイズを決めにバットを出したがフォークボールでバットは空を切る。ところがこの投球がワンバウンドとなって矢野が弾き福地が生還。記録はホームスチール。なお、この間に他の走者も進塁し、盗塁と記録がついてトリプルスチール。このあとヒットで出塁したウィルソンも盗塁を決めたので、この回のスワローズはプロ野球タイ記録となる1イニング6盗塁を決めたということになった。まさに自滅の失点。スワローズはイムを送り込んで最終回を締めた。
◎ドラゴンズ12回戦……2−1
下柳と川上がしびれるような投手戦。軟の下柳に剛の川上という感じの内容。先制したのはドラゴンズ。6回裏、1死から荒木のヒット性の当たりを鳥谷がよく止めて送球したがそれてしまいエラーとされる。井端がライト前に運び、森野の打球はバットを降りながらもセンター前に落ちてタイムリーとなる。それでもT・ウッズをショートゴロで併殺に打ち取る投球術はおみごとの一語に尽きる。直後の7回表、金本がライトスタンド最前列に同点のソロホームランを打ち込む。川上の悔しそうな表情! 同点で迎えた9回表、切り札岩瀬が登板。鳥谷、高橋光、関本がそれぞれしっかり振ってヒットを放ち1死満塁。矢野が三遊間を抜くレフト前ヒットで決勝点をたたき出した。9回裏、今度は藤川が2死一二塁のピンチで代打立浪を迎えると、珍しく岡田監督が出てきてマウンドに向かう。ここで「お前に任せた」のかっこいい言葉が出て藤川は立浪と勝負。ピッチャーゴロに抑えて逃げ切った。ヒーローインタビューは矢野。
◎ドラゴンズ13回戦……7−2
安藤は1回裏、2死から連続四球を出して和田にタイムリーを打たれるという不安定な立ち上がり。3回表、小笠原から平野が四球を選び関本がヒットで続いて打席には三番に座った鳥谷。ライトスタンドに飛び込む逆転3ランを放つ。安藤は5回裏にT・ウッズのタイムリーで1点差と迫られ、この回限りで降板した。勝ち投手にはなったものの内容的には不安な投球だった。直後の6回表、四球の金本を置いてこの日一塁先発の高橋光がレフトスタンドに大きな2ランを放った。これでドラゴンズも戦意喪失したか。8回表には二番手長峰からフォードと桧山の連続タイムリーで2点を追加。タイガースは6回から渡辺と江草が2イニングずつをきっちり抑えて逃げ切った。ヒーローインタビューは高橋光。
◎ドラゴンズ14回戦……6−7
金村暁が乱調。2回裏、和田にレフトポールに当たる先制ソロホームランを打たれ、さらに無死満塁。吉見のセカンドゴロはホームアウトを狙って送球されたが野口がこぼしてさらに1失点。この回はなんとかそのあと踏ん張ったが、3回裏には中村紀に3ランをライトスタンドに運ばれた。4回表、タイガースも吉見をとらえる。1死満塁で葛城が2点タイムリー。ここで落合監督は吉見を潔くあきらめ中田を投入。この賭けが当たり、タイガースは中田から得点できないまま8回まで圧倒されてしまう。ドラゴンズ打線は5回裏にもT・ウッズのライトスタンドへのソロホームランと和田のこの試合2本目のレフトスタンドへのソロホームランで2点を失い、7失点でマウンドを降りた。9回表、フォード、バルディリス、赤星のヒットで満塁として中田をKO。マウンドには岩瀬が。代打高橋光のレフト前タイムリーで1点を返す。続く鳥谷はレフト前の誰もいないところに落ちるヒットで2点を返し、金本もライト前にタイムリーで1点差。2死となり矢野がヒットでつないで逆転のチャンスを作ったが、最後はフォードが三塁ゴロで試合終了。しかし、完敗のはずが1点差の接戦になったのだから、新井不在でも代役たちがよく踏ん張り打線を建て直しているということだろう。
◎愛すれどTigers週間MVP
投手……上園啓史 打線が低調な中、よく辛抱して今季最長イニングを投げ、甲子園初勝利。ピンチでも気持ちの上で負けていないところが、昨年の新人王の片鱗をうかがわせた。
野手……高橋光信 新井の欠場でスタメンがまわってきても、きっちりと仕事をする。ナゴヤドームでは自分を戦力外とした古巣にしっかりと戦力として活躍できるところを見せつけた。
9連戦の締めはジャイアンツと甲子園で3連戦。ここで勝てば優勝マジックも出る。今のところしっかり食らいついてきている昨年の覇者に対し、一気に突き放しておきたいところである(本稿執筆時点、試合開始前です)。1日はさんで、甲子園に残ってまたドラゴンズ戦。Aクラスの座も危うくなってきた手負いの竜が必死になって向かってくるだろう。大差はあってもまだまだ気をゆるめるわけにはいかない。
(2008年7月21日記)