9連戦の締めくくりである甲子園でのジャイアンツ戦は1勝2敗と負け越しはしたものの、2戦目の勝利でついに優勝マジックが点灯した。さらに1日あけてのドラゴンズ3連戦では甲子園での対ドラゴンズ7連勝を記録し、今期の勝ち越しを早々と決めた。今節も3勝3敗、通算59勝31敗1分、勝率.656。2位ジャイアンツとのゲーム差は少し縮まって9.5。CSマジック38。優勝マジック43。
◎ジャイアンツ12回戦……1−3
序盤は岩田と木佐貫の投手戦。岩田は3回表にヒットで出塁した鈴木尚が盗塁し、小笠原のレフト線への二塁打で先制された。さらに4回表、坂本にヒットを許すと、伏兵鶴岡に甘い球をレフトスタンドに運ばれ2点を追加された。タイガース打線は木佐貫の緩急をつけた投球に翻弄される。7回裏、ヒットの葛城と死球のバルディリスを塁に置き、代打高橋光がレフト前にタイムリーを放ち木佐貫を降板させた。しかし、続く赤星に対して山口が登板し、内野ゴロに終わって反撃もそこまで。7回表には二番手江草が1死一二塁でラミレスに打たれたセンター前に抜けるかという当たりを関本が好捕、グラブバックトスという高度なプレーで併殺に討ち取る。8回表には久保田が2四球でピンチを招いたが、代打高橋由の打席で原監督は奇怪にもダブルスチールを敢行させ、矢野が三塁に送球して刺す。これらのすばらしい守備にもかかわらず、打線は豊田、クルーンのリレーの前にここというところで打てず敗れてしまった。この日、新外国人投手のリーソップが来日し、契約を結んだ。背番号は69。
◎ジャイアンツ13回戦……7−4
先発の上園が乱調。初回、先頭の鈴木尚を歩かせると、木村拓の犠打をバルディリスがエラー。小笠原に死球を与え、満塁に。ラミレスの先制タイムリーでまず1失点。続いて古城にも2点タイムリーを打たれてしまう。ここは清水を併殺で打ち取り切り抜けたが、2回表には二塁打の坂本を鈴木尚のタイムリーで返されて4点目。岡田監督は2回裏、上園に代打矢野を送って早々と降板させた。3回表、4回表は二番手阿部がそれぞれ三者凡退に打ち取り流れを作る。そして4回裏、ここまで手も足も出なかった内海に対し、先頭の関本が四球、高橋光がライト前に運んで続き、代打庄田の一塁線の打球を小笠原のエラーで1点。ここでバルディリスがセンター前に運びさらに1点。続く矢野もセンターへのタイムリーで1点差に詰め寄った。5回表を江草が三者凡退に打ち取ると、その裏、ついに内海をKOする。5回裏2死から金本がエラーで出塁し、関本がライト前ヒットでつなぎ、高橋光がレフト前に同点タイムリーを放つ。庄田もヒットでつないで満塁。内海がマウンドから下りて二番手は若い越智。桧山のセカンドゴロの間に勝ち越しのランナーが返る。さらに矢野にも2点タイムリーが出て鮮やかな集中打で逆転だ。6回以降は、渡辺、久保田、ウィリアムス、藤川とつないでジャイアンツ打線を沈黙させる。この勝利でついに優勝マジック46が点灯した。ヒーローインタビューは流れを呼び寄せた中継ぎの阿部と江草、そして途中出場で好リードと3打点の矢野。阿部と江草は甲子園での初のお立ち台である。
◎ジャイアンツ14回戦……0−5
ボーグルソンとグライシンガーが緊迫した投手戦を繰り広げていた。私は内野席で観戦していたが、低目をつくグライシンガーと高めでねじ伏せるボーグルソンが好一対という感じだった。ところが、6回表、ボーグルソンが突如崩れた。坂本と鈴木尚のヒットでピンチを作り、古城に死球で満塁に。小笠原にライト線に2点二塁打を打たれ、続くラミレスにもライト前に2点タイムリー。7回裏にグライシンガーと二番手山口から1死一二塁と攻め立てたタイガースだったが、三番手上原の前に桧山、高橋光の両代打が凡退し、チャンスを逸した。8回表、三番手江草が三塁打の鈴木尚を代打大道の犠牲フライで返されて万事休す。最後は豊田に締められた。
◎ドラゴンズ15回戦……7−1
先発安藤が文句なしのすばらしい投球。3回までは凡ゴロか三振というパーフェクトピッチング。打線は川上から初回に2点を奪う。先頭の赤星が内野安打。平野の内野ゴロでランナーが入れ替わり、続く鳥谷がライト前ヒット。平野が一気に三塁を狙い、ライトの森野が悪送球して送球がカメラマン席に入り、テイク・ワン・ベースで平野がホームイン、まず先制。金本凡退の後、関本が三遊間を抜くタイムリーで2点目を入れた。4回表、安藤は井端の二塁打と森野の打球を一塁葛城がはじくエラーで1死一三塁のピンチを招いたが、T・ウッズを併殺に打ち取り難を逃れた。そして5回裏、1死から赤星がショート内野安打、平野のバントはヘッドスライディングで内野安打となり、鳥谷の内野ゴロで2死二三塁とランナーが進塁。金本は勝負を避けられ四球で満塁に。関本の打球はレフトスタンド横のアルプス席に入る満塁ホームラン。私はこの日はレフトスタンドで見ていたのだが、生まれてはじめて生でグランドスラムを見て興奮しきってしまった。8回表、二塁打の小池を清水将がセンター前ヒットで返し、安藤の寒風は次にお預けとなったが、その裏には金剛から矢野が犠牲フライできっちり1点返し、打線の援護に守られて堂々の完投勝利。ヒーローインタビューは完投の安藤とグランドスラムの関本。8回裏には新井が代打で登場し、完全復帰への一歩を踏み出した。
◎ドラゴンズ16回戦……2−0
不振のT・ウッズを先発からはずしてきたドラゴンズは、それでも打てない。初回、下柳から井端と荒木の連打でチャンスを作るも森野三振、和田サードゴロで本塁憤死、中村紀三振で無得点。2回表には無死満塁になったが中田三振、井端はバルディリスへのサードゴロでホームゲッツー。以後は下柳はすいすいとドラゴンズ打線を手玉にとっていく。中田も昨年までのタイガースキラーぶりを発揮していたが、タイガースはワンチャンスをものにした。4回裏、2死から新井の三塁ゴロを森野がエラー。金本が歩き、打席には関本。左中間への大きな当たりは、レフトの和田とセンターの小池がお見合いする目の前をすり抜けてフェンスへ。2点三塁打となって、これが決勝点に。6回裏には、得点には結びつかなかったものの新井と金本が久々にヒットを放った。7回以降は久保田、ウィリアムス、藤川という鉄壁のリレーで2点を守り、今季の対戦成績勝ち越しが決定した。ヒーローインタビューは関本。前日に続き「自分の出したごみは捨てて帰りましょう」と美化を呼びかけた。翌日のスタンドは実にきれいなものだったとか。下柳は9勝目をあげ、セ・リーグ防御率トップに立った。
◎ドラゴンズ17回戦……4−6
前回登板ではナゴヤドームで本塁打を打ちまくられた金村暁が、この試合ではしっかりお返し。初回、4回、5回とピンチは作ったが凡フライや併殺などでそのつど乗り切った。4回裏、大ベテラン山本昌から平野がショート井端の非常に珍しいお手玉で出塁。新井のヒットでチャンスを作るも金本と関本が凡退していやなムードに。ここで鳥谷がライト前に先制タイムリー。6回表、万全のリレーをと渡辺を投入した岡田監督だったが、渡辺は先頭の荒木が関本のエラーで出塁してあせったか森野にもヒットを打たれ、和田の三塁打で逆転される。さらに中村紀にもタイムリーを打たれ、さらに満塁にされて井端に走者一掃の三塁打を打たれた。この回の6点は効いた。その裏、三番手浅尾から関本が3ランをレフトスタンドに打ち込み2点差と詰め寄ったが、反撃はここまで。8回表には新外国人投手リーソップを投入し、その速球の威力を試した岡田監督だった。
◎愛すれどTigers週間MVP
投手……安藤優也 今シーズン初完投勝利。惜しくも完封は逃したが、開幕投手に指名された「エース」の意地もあっただろう。全てにおいて見事な投球だった。
野手……関本賢太郎 5番の打順にやっと適任者が現れた。2番打者としてはつなぎのバッティングを見せ、5番としては走者を返すバッティングをと、その順応性には驚かされる。また再三のファインプレーが今節は特に光った。
オリンピックの関係で、次節やっとオールスター。オールスター前にスワローズと神宮で2連戦ある(試合結果はわかっているが、ここではあえてそれには触れない。試合前に書いているというつもりで読んで下さい)。2位とのゲーム差が1ケタに縮まったが、ゲーム差やマジックナンバーなど関係なくこの2試合を確実にものにし、スワローズへの苦手意識を払拭してほしいものである。そして、このままタイガースは長期ロードということになる。今季はロードでも好成績をあげているので心配はしていないが、新加入のリーソップがどこまで通用するかなど、楽しみであり心配でもある。
(2008年7月28日記)