愛すれどTigers


どん底脱出か、4連勝でマジック再々点灯

 前回の対戦で3連敗したカープに対し、敵のホームグラウンド広島市民球場で3連勝と一気にお返しをし、五輪チームの決勝のためにあいた2日間と、試合開始の目前で降雨中止となり1日ずれてしまった神宮球場でのスワローズ戦も完封リレーで勝った。安藤は自己最多の12勝をあげ、金本は40代での20号ホームランを記録した。今節は4勝0敗、通算66勝40敗1分、勝率.623。2位ジャイアンツとのゲーム差は8.0と開き、消滅していた優勝マジックも再々点灯して29となった。 

◎カープ15回戦……14−5
 カープの先発宮崎を初回から攻め立てた。先頭の赤星が四球を選び、平野がエンドランで二塁に進める。すかさず鳥谷がライト前にはじき返して先制。2回表には林が今季第1号となるソロホームランをライトスタンドに運ぶ。葛城、野口のヒットと赤星の四球で2死満塁に。平野は押し出しの四球。鳥谷がライト前に2点タイムリー。金本もライト前に運びさらに1点を追加し、この回一挙5点で試合は一方的な展開になるかと思われた。しかし安藤はなかなか調子が上がらず、3回までは何とか無失点で抑えたが、4回裏につかまった。ヒットの天谷と栗原を塁に置き、嶋にライトスタンドへの3ランを浴びる。勝ち投手の権利のかかった5回裏には梵への死球と東出の内野安打でピンチを招き、天谷のタイムリーで2点差と迫られ、勝ち投手の権利は確保したがこの回限りで降板した。6回表、カープ投手陣が乱調。三番手岸本から平野、鳥谷、金本と3連続四球。たまらず岸本は降板し、四番手は上野。それでも流れは止まらない。林と葛城がそれぞれ連続タイムリーを放つ。そして関本がレフトスタンドにライナーで飛び込む満塁ホームラン。さらに野口、赤星がヒットで続き、鳥谷のタイムリーでこの回なんと7得点。6回以降、タイガースは久保田、江草、橋本健のリリーフ陣が無失点でつなぎ、最終回に登板した阿部は栗原にタイムリーを打たれて1点を失ったが、らくらく逃げ切り連敗をストップさせた。カープ投手陣が与えた四死球は14。ヒットは15。勝たせてもらったというような試合であった。ヒーローインタビューは3安打3四球4打点の鳥谷。
◎カープ16回戦……14−5
 岩田とルイスの息詰まるような投手戦で試合は始まった。タイガースは初回に平野の打った内野安打1本のみ、カープは4回裏に赤松が放った鈍い当たりのセンター前ヒットのみの0−0という展開で5回を終了。岩田が先に失点した。6回裏、先頭の小窪の投手ゴロを岩田がさばけず内野安打としてしまうと、梵が送り、東出が左中間に先制タイムリー。それでも岩田は粘って後続を断った。6回表の途中で球数の関係からルイスが降板し、続くシュルツも打ちあぐんだタイガース打線だったが、7回表、三番手のブラウワーをとらえた。先頭の林が二塁打、続く葛城もライトへのヒットでつなぎ、関本が三塁横を破るレフト前同点タイムリー。野口が送って1死二三塁とすると、岩田の代打桧山がショートのグラブをかすめるレフト前勝ち越しタイムリー。赤星と平野が連続でライト前にタイムリーを放ってこの回一挙4点。カープはその後は上野、梅津、岸本が好投して追加点を許さない。一方タイガースも二番手アッチソンが6・7回を完全に押さえてクローザーのウィリアムスにつないだ。ところがウィリアムスは先頭の代打前田智にライト前に運ばれると赤松を歩かせ、アレックスにもヒットを打たれて1死満塁に。栗原のレフト前へのタイムリーで2点を失い1点差と迫られた。嶋にもヒットを続けられたが、石原を二塁ゴロ、小窪を三塁へのハーフライナーに打ちとってなんとか逃げ切り。しかし、ウィリアムスに笑顔はなし。ヒーローインタビューは勝ち越しのタイムリーを放った桧山。
◎カープ17回戦……7−4
 先制したのはタイガース。初回、カープ先発大竹から赤星が四球を選び、平野がバントで送る。そして鳥谷がライトスタンドに2ラン! 3回表には初回同様赤星が歩き平野が送り、そして鳥谷もよく球を見て四球を選ぶ。ここは金本がライトスタンドへ豪快にもっていく3ラン。5点先行でベテラン下柳も波に乗るかと思われたが、3回裏、先頭の赤松に二塁打を打たれ、ワイルドピッチで三塁へ。東出のセカンドゴロの間に俊足赤松がホームインして1点を返された。さらに5回裏、1死から赤松の爪先に四球を与えてしまい、出塁した赤松はすかさず盗塁。東出のレフト線への二塁打でホームインする。栗原にもレフト前に運ばれ、2点差と迫られるタイムリーとなった。岡田監督は下柳の勝ち投手の権利を残したまま6回から渡辺を投入したが、石原の二塁打と小窪のヒットで1死一三塁としたところで江草にスイッチ。江草は代打の前田智にレフト前にうまく運ばれて1点差に。タイガース打線は4回以降、大竹、シュルツ、ブラウワーのリレーの前に毎回のようにランナーを出しながらあと1本が出ない。タイガースは久保田、アッチソンとつないでしのぐ。8回裏、アッチソンは先頭の梵にヒットを打たれ、代打木村のバントで二進。天谷は三振に打ち取ったが、東出がレフト前に運ぶ。前進守備の金本がホームに懸命の送球、三塁ランナー梵は本塁憤死。リブジー監督代行が球審に抗議したが退場処分となった。9回表、2死から代打桧山が右中間に二塁打を打ち、赤星と平野がよく見て連続四球。鳥谷の当たりはセカンドの頭をふわりと越す2点タイムリーとなった。この追加点は大きく、9回裏に登板したクローザーのウィリアムスは制球が乱れて1死一二塁とピンチを招いたが代打緒方、小窪を何とか打ち取り逃げ切った。ヒーローインタビューは先制ホームランとダメ押しタイムリー4打点の鳥谷。なお、下柳はタイガースでは59年ぶり(1949年若林忠志以来)の40台2ケタ勝利を記録した。
◎スワローズ17回戦……3−0
 タイガースの先発安藤は毎回ランナーを背負いながらも野手の守備にも助けられ、6回無失点でマウンドを降りた。打線はスワローズ石川の内外角をつく投球に手こずっていたが、7回表についに攻略できた。関本、高橋光の連打でチャンスを作り、野口がみごとにバントを決めて広げていく。安藤の代打桜井の当たりはサードの後ろにふらりと上がったが、飛んだところがよくヒットとなり、ついに先制点を奪った。さらに赤星がレフトに犠牲フライを放って点差を2点に広げた。8回表には二番手松岡から鳥谷がライトスタンドぎりぎり右に飛び込むソロホームランを放ち、試合を決定づけた。7回表からはアッチソン、久保田、そしてウィリアムスがランナーを出したりしながらもそれぞれが無失点で切り抜けて逃げ切った。ヒーローインタビューは安藤。前日にジャイアンツが負けたために再々点灯した優勝マジックは29に減った。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……安藤優也 ランナーを出して苦しい投球が続く中、今節は2回先発がまわってきて、どちらも試合を作って連勝。シーズン自己最多の12勝を記録した。負けられない局面でなんとか踏ん張るあたり、エースらしき活躍を見せるようになったと思う。
野手……鳥谷敬 カープ戦では先制タイムリーや積極的な走塁、そしてスワローズ戦では勝利を確信させるホームランを放つなど、徐々に3番らしい働きをするようになった。できればこのまま3番で起用し続けてほしいものだ。

 神宮から直接甲子園に戻り、ドラゴンズ、ジャイアンツとの6連戦が待っている。高校野球に明け渡していた甲子園にやっと戻れる。ここは両チームを徹底的に叩いて勢いを取り戻したいところだ。打線も少しずつつながるようになってきた。先発投手陣もなんとか踏ん張っている。そこに五輪組の新井、藤川、矢野が帰ってくる。いきなり先発に起用するのではなく、疲れがとれるまでは控えにまわしておくという手もあると思うのだが。

(2008年8月25日記)


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