長期ロードが終り甲子園に戻っての6連戦。ドラゴンズ戦は岩田の好投などで2勝1敗と勝ち越し。ただし、この間一度優勝マジックが消滅した。4連勝と好調な眼下の敵ジャイアンツには初戦をものにして4度目の優勝マジック25が点灯したが、その後苦手とするグライシンガー、内海の前に得点できず2連敗と課題も残った。今節は3勝3敗、通算69勝43敗1分、勝率.616。2位ジャイアンツとのゲーム差は6.0と縮まった。優勝マジックは25とそのまま。
◎ドラゴンズ18回戦……4−0
岩田と佐藤充の投手戦。先制したのはタイガース。4回裏、金本が一塁への内野ゴロを全力疾走で内野安打にすると、林が美しいスイングで内角球を叩き、打球はライトスタンドへ弧を描いて吸い込まれる。岩田は野口の強気のリードによく応え、内角へのストレートを有効に使い、7回を投げて5安打無失点。8回表、二番手久保田が三者凡退で相手の勢いを立つ。そして8回裏、二番手長峰から平野が死球。鳥谷がライト前ヒットで続き、金本の左中間を抜く当たりで2者が一気に生還し、決定的な2点を奪った。9回表はウィリアムスが締めて5連勝。ヒーローインタビューは8勝目の岩田と先制ホームランの林。優勝マジックは28に。
◎ドラゴンズ19回戦……1−4
序盤はボーグルソンと小笠原の好投で締まった試合に。ところが、5回表、ボーグルソンの悪癖が出た。先頭の小池に二塁打を打たれ、続く谷繁を歩かせる。小笠原にバントを決められ、井端を歩かせて満塁に。荒木のセンター前タイムリーで2点を先制された。ボーグルソンはこの回限りで降板し、二軍にそのまま降格となった。5回裏、ヒットの関本を塁に置き、高橋光が左中間を襲う二塁打を放って関本を迎え入れ1点差に迫ったが、後続を断たれる。6回以降、江草、アッチソンと好投し反撃を待ったが、ドラゴンズは6回裏途中から左の小林、右の浅尾、左の高橋と小刻みな継投でタイガース打線を封じる。8回表、久保田は井端とイ・ビョンギュにヒットを打たれ、T・ウッズに四球を与えて満塁に。中村紀は必死の投球で三振に打ち取ったが、森野を歩かせ押し出しで1点。さらに打者小池のときにワイルドピッチでもう1点を失い、試合を決定づけた。9回裏、ドラゴンズは北京五輪で打ち込まれた岩瀬を投入。岩瀬も期待に応え、三者凡退で逃げ切られた。ジャイアンツが勝ったため、優勝マジックはみたび消滅した。
◎ドラゴンズ20回戦……6−5
先制したのはタイガース。初回、チェンから赤星がヒットで出塁し平野が送る。鳥谷の一塁ゴロで走者は三塁に。ここで金本がレフト前に落として赤星を迎え入れた。タイガースの先発、杉山は久々のチャンスに力が入りすぎ、3回表、井端の当たりを鳥谷がエラーすると中村紀を歩かせ、イ・ビョンギュにライトスタンドに運ばれる逆転3ランを浴びた。しかし、直後の3回裏、赤星が歩き、平野のバントは内野安打に。鳥谷の二塁ゴロで平野は二塁で封殺され1死一三塁。金本はライトスタンドに逆転3ラン。杉山も5回まではよく持ちこたえた。しかし6回表、T・ウッズにレフトスタンドに運ばれて試合は振り出しに。7回裏、三番手小林を攻めて2死一三塁とし、四番手浅尾から関本がライト前に運んで勝ち越しの1点を奪った。7回からは渡辺、江草、ウィリアムスがランナーを出しながらもよく粘り無失点で9回表、五輪帰国後初登板の藤川につないだ。しかし藤川は先頭の代打立浪にライト前に運ばれ、中村紀のセンター返しのヒットで代走中村一を返してしまい、同点とされた。それでも続くイ・ビョンギュは併殺で切り抜ける。9回裏、マウンドには左の高橋。平野がレフト前にヒットを放ちチャンスを作ると、鳥谷が送って後ろにつなぐ。金本のライト前ヒットでランナーが三塁に進むと、林がセンターに高々と犠牲フライ。平野が生還して歓喜のサヨナラ勝ち。ヒーローインタビューはサヨナラ打の林と先制タイムリーに逆転ホームランの金本。金本は林の口調を真似て球場に笑いを誘った。
◎ジャイアンツ17回戦……7−5
3連勝して一気にタイガースを追いつめたいジャイアンツの先発はなんと3ヶ月ぶりの先発で今季未勝利という経験不足の若い金刃。それに対しタイガースはローテーションをずらして修羅場を何度もくぐってきた超ベテランの下柳を起用。これだけで勝負は決まったも同然だった。初回、タイガースは赤星が四球、平野のバントで二塁に進み鳥谷の投手ゴロで三塁に。金本が歩かされると好調の林がセンター前にタイムリー。続く関本はライト線へ走者一掃の二塁打でいきなり3点を先制した。3回裏には四球の鳥谷を林がライトのフェンスの上を伝う三塁打で返し、4回裏には二塁打のバルディリスを下柳の一塁ゴロで三塁に進め赤星がセンター前に弾き返して5点目。金刃をKOした。5回裏には二番手林からヒットの鳥谷を関本がレフトオーバーの二塁打で返し、6回裏にはバルディリスのレフトスタンドへの甲子園初ホームランも飛び出して7点差をつけた。下柳はおなじみのらりくらり投法が冴えに冴え、6回までジャイアンツ打線を手玉にとる。しかし7回表、2死からイ・スンヨプのラッキーなイレギュラーバウンドの投手前ヒットでリズムを乱され、阿部の二塁打のあと坂本の2点タイムリー、亀井にもセンター前にタイムリーを打たれて4点差とされたところでアッチソンに交代した。アッチソンが後続を断ち9回表にはウィリアムスが登板。このウィリアムスが1死一三塁から代打大道の内野ゴロで1点を失い、代打高橋由にもタイムリーを打たれて2点差にまで詰め寄られた。小笠原をライトフライに打ち取ってなんとか逃げ切ったが、ウィリアムスに笑顔はなかった。優勝マジックがまたともり、25。ヒーローインタビューは関本とバルディリス。
◎ジャイアンツ18回戦……2−3
金村暁とグライシンガーの投げ合い。金村暁は初回にイ・スンヨプのタイムリーで1点を奪われたが、2回以降はパームとフォークを織りまぜながら5回を投げて1失点8奪三振と好投。しかし、グライシンガーはそれを上回る。低めのチェンジアップにタイガース打線はきりきり舞い。5回裏に林の四球と矢野のヒットで作ったチャンスを、金村暁を交代させてでもものにしようと桧山を代打に送ったが、三塁ファウルフライに終る。6回表に登板した江草は左打者のイ・スンヨプにヒットを打たれ、やはり左の阿部にタイムリー二塁打。坂本にも連続二塁打を食らって重い2点を失った。6回裏、平野の止めたバットに当たった幸運なレフト前ヒットでチャンスを作り、鳥谷の三塁打で1点を返した。しかし反撃もここまで。9回裏、ジャイアンツの抑えの切り札クルーンから金本と林の連打と関本の四球で満塁としたが、葛城の一塁ゴロはあわやホームゲッツーとなるところ。阿部の送球を一塁イ・スンヨプがそらしてなんとか1点返し、あと一息まで攻め込んだが、矢野が空振り三振で試合終了。好投の金村暁の今季初勝利はまたもお預けとなった。
◎ジャイアンツ19回戦……1−6
安藤と内海が必死の投げ合い。安藤は3回表に2死三塁からラミレスに三遊間を破られ先取点を与えた。4回裏、四球と内野安打2本で2死満塁とし、2回表の守備で大ファインプレーを披露したバルディリスが打席でも相手の投球をよく見て押し出し四球を選び同点に追いついた。1−1のまま、タイガースはアッチソン、ジャイアンツは山口が好投して一歩も譲らず。8回表、三番手ウィリアムスは制球が定まらずストライクをとりにいくところを狙い打たれる。小笠原、ラミレスの連打と谷の四球で満塁とし、阿部にも押し出しの四球を与えてついにリードを許す。若い坂本は三振にとったが、ベテランの代打大道には初球をライトに狙い打たれて走者一掃の二塁打でこの回4失点。二軍で再調整ということになった。9回表には橋本健がイ・スンヨプのタイムリーでさらに失点。ジャイアンツは豊田、越智を投入して逃げ切った。自らもチャンスをつぶした金本は、「うちは弱いんや」ときつい言葉で若手に喝を入れた。
◎愛すれどTigers週間MVP
投手……岩田稔 開幕当初を思い出させるような気持ちのよい投球で8勝目をマーク。タイガースからは2年連続の新人王を目指し、次回もこの調子を維持していってほしい。
野手……林威助 ドラゴンズ戦の先制ホームランとサヨナラ打、ジャイアンツ戦でも好打を見せた。ただ、試合によってばらつきが大きいので完全復活とはいえないけれど、5番にすえ続ける岡田監督の期待にもっとこたえてほしい。
次節は再びロードで、横浜球場でのベイスターズ3連戦と広島市民球場でのカープ3連戦が待ち受けている。特にベイスターズには前回京セラドーム大阪での3連敗に対するきついお返しをしてほしい。また、疲れが取り切れないところでの矢野の起用法も考えるべきだろう。野口のリードに投手陣がなじんできたところでまた矢野に戻したという影響はあるのではないか。とにかく打線のリズムを取り戻すこと。グライシンガーと内海によって乱された分、なんとか取り返してほしい。ウィリアムスもファームで調整してしっかりと形を作って一軍に戻ってきてほしいものである。
(2008年9月1日記)