愛すれどTigers


4勝すべてサヨナラ勝利!

 甲子園に戻ってスワローズ戦はみごとに3連勝。しかもすべてサヨナラ勝ち。カープ戦は1勝2敗と負け越したがその1勝はサヨナラ勝ち。つまり今節の勝利はすべてサヨナラ勝ちという椿事。ぎりぎりにならないと打線が得点できない。先制しても中押がないから先発投手がこらえ切れなくなるというパターンにはまりこんでいる。6度目の点灯となった優勝マジックも一時は16としたが結局消滅した。今節は4勝2敗、通算74勝49敗1分、勝率.602。2位ジャイアンツとのゲーム差は4.0と変わらず。

◎スワローズ18回戦……3−2
 先制したのはタイガース。スワローズ先発のゴンザレスから初回に赤星がヒットで出塁し盗塁、平野が歩き関本の内野ゴロの間に赤星が生還してまず1点。さらに金本がヒットでつなぎ、鳥谷のライトへの犠牲フライで2点差とした。先発の岩田は初回、2回とランナーを許すも併殺で切り抜け、立ち直ったゴンザレスとの投手戦となった。しかし5回表、先頭の田中に二塁打を、続く川島慶にもヒットを打たれて無死一三塁とし、福川の内野ゴロで1点差に。ゴンザレスにも同点タイムリーを許して試合は振り出しに戻った。両先発が6回まで投げ切って降板すると、タイガースは好調アッチソンを、スワローズは松岡、五十嵐を投入してしのぐ。8回裏には二塁走者金本が代打桧山のレフト前ヒットで一気にホームを狙うも捕手と激突しながらもアウトとなる壮絶な場面もあった。このプレーや同点の場面ながら9回表に藤川をつぎ込んで流れを作ったタイガースは、9回裏, 4番手押本から矢野がセンター方向に大きな飛球を放ち、この打球が風に乗ってスタンドに入った。劇的なサヨナラホームランの矢野がヒーローインタビュー。「必死のパッチは僕が元祖です」とやって満場を笑わせた。ジャイアンツの敗戦で6度目の優勝マジック20が点灯した。
◎スワローズ19回戦……4−3
 初回、館山から赤星がヒット。平野が送り関本が左ひじに死球。金本がレフト線へ二塁打を放って1点先制すると、続く鳥谷も犠牲フライで2点目を弾き出し、葛城のライトへのタイムリーで金本が3点目のホームを踏んだ。しかしタイガースの先発福原はピリッとせず、初回は満塁のピンチを何とか切り抜けたものの、3回表には1死満塁から飯原にタイムリーを浴び、1点を返された。4回表も2死から四球とヒットでピンチを作るなど不安定な投球で、ついに4回裏に代打を送られて途中降板となった。二番手の江草が5回表に先頭の青木を歩かせ2死をとったあと田中に死球。川島慶のタイムリーで1点差とされた。7回表、4番手の久保田が2死二塁で代打ユウイチに同点タイムリーを打たれて試合は振り出しに。タイガース打線は2回以降立ち直った館山、7回から前日の汚名返上に燃える押本に完全に抑えられる。一方、なんとか勝利をもぎ取りたい岡田監督は同点ながら8回にはアッチソンを、9回には藤川をつぎ込んで打線の奮起を待った。迎えた9回裏、スワローズは松岡を投入。先頭の赤星がレフト前に落として出塁し、平野はバント失敗でキャッチャーへのフライ。関本がこの日3個目となる死球を右ひじに受け、金本三振のあと鳥谷がライト前ヒットでつないで満塁に。そして葛城が低めのフォークをよく見極めついに四球を選んで押し出し。2夜連続のサヨナラ勝ちを決めた。ヒーローインタビューは好投のアッチソンとサヨナラ四球の葛城。葛城は観衆とともに名物の雄叫びを上げた。なお、1試合3死球の関本はリーグ新記録。38年前に西鉄ライオンズの竹之内さんが作った日本記録と並んだ。ジャイアンツの連敗で優勝マジックは18に。
◎スワローズ20回戦……5−4
 前日3死球の関本はベンチで安静に。代役に選ばれたのは3カ月ぶりの一軍となる今岡。来日初先発のリーソップが青木と飯原のタイムリーで初回に2点を失ったが、その裏石川から四球の平野を塁に置き、今岡がレフトスタンドにライナーで飛び込む同点ホームラン。劇的という以外ないホームランでスタンドが沸いた。両先発は2回以降は無失点で切り抜け、リーソップは5回まで投げ切った。6回表、二番手渡辺が四球の走者を飯原に返されて1点リードを許すと、7回表には三番手能見が福地のヒットのあと宮本、青木、畠山と3連続四球で押し出しの1点を与え降板。つないだ江草が飯原を併殺に打ち取って大量失点を防いだ。スワローズは8回裏から五十嵐が、そして9回裏にはイムが登板する必勝リレー。ところが先頭の代打桧山がレフト方向への二塁打を打って揺さぶると、続く葛城はライトのいちばん深いところへ1点差となる三塁打。矢野はライト線に同点二塁打。赤星のヒットでランナーが三塁に進むと平野は敬遠。今岡は余裕でボールを見送って前日に続くサヨナラ四球で幕を閉じた。ヒーローインタビューは同点打の矢野と復帰ホームランにサヨナラ四球の今岡。今岡は「昼に鳴尾浜で練習していたのに、夜はここに立っている。夢みたいです」と興奮の面持ちで言った。優勝マジックは17と一つ減った。
◎カープ21回戦……0−4
 2回表、安藤が栗原のヒットと嶋への四球でピンチに。石原のライト前の先制タイムリーを許すと、喜田剛にはライトスタンドに飛び込む特大の3ランで4点を失った。安藤はそのあとは7回までランナーを出しながらも無失点で切り抜け、肩に張りを訴えて二軍で調整することになった久保田に代わり昇格した阿部も2イニングを完全に抑えだけに、この2回の4失点は大きかった。カープの先発斉藤は狙い球を絞らせない投球でタイガース打線を抑え込む。5回裏、三塁喜田の2つのエラーなどで1死満塁のチャンスを作ったが、金本が二塁ゴロ併殺でつぶし、以降、斉藤を崩すチャンスは訪れなかった。8回裏からは上野に抑えられ、完封負け。マジックは17のまま。
◎カープ22回戦……1−0
 40歳のベテラン下柳は初回に満塁のピンチをしのぐと、7回までお得意ののらりくらり投法でカープ打線に得点を許さない。一方カープの先発は20歳の前田健。こちらは若手らしい大胆な配球で、特にチェンジアップが冴えてタイガース打線を翻弄し、8回を投げ切って無失点。タイガースは8回からアッチソンを投入。9回表には先頭の栗原を鳥谷のエラーで出塁させたが、続く嶋のレフト前に放ったライナーを金本がみごとに回転レシーブでキャッチし、流れを引き戻した。試合は延長に入り、10回表は藤川がランナーを出しながらも牽制で殺すなどファインプレーが続き、10回裏を迎えた。カープのマウンドには三番手の梅津。先頭の葛城がライト前ヒットで口火を切る。代打関本はバント失敗で二塁封殺も、打者走者は辛うじて一塁に残った。そして矢野。レフトオーバーのあわやホームランかという二塁打で一塁から関本が必死のパッチの走塁を見せ長躯ホームイン。なんと今節4試合目というサヨナラ勝利を勝ち取った。ヒーローインタビューは今節3度目となるサヨナラ二塁打の矢野。マジックは一つ減って16となった。
◎カープ23回戦……1−3
 カープの先発は青木高。初回、赤星のヒットを足掛かりに平野が送り鳥谷のライト前ヒットで1死一三塁のチャンスを作る。ここで金本がセンターへ犠牲フライを打ち1点先制。タイガースの先発金村暁は初回から速球主体の組み立てでいい感じに抑えていたが、3回表に梵の打った鳥谷へのショートゴロは送球が高くなり一塁セーフ。青木高が送り、東出のライト前タイムリーで同点に追いつかれた。さらに4回表、栗原のヒット、嶋への死球、喜田剛のヒットで1死満塁に。梵にライト前に弾き返されついに勝ち越しの1点を許した。さらにブラウン監督は先発青木高をあきらめて代打前田智を送る。前田智は空振り三振に切って取ったが、三振の球を矢野がパスボールして三塁ランナーを迎え入れてしまい、2点差とされた。金村暁はこの回限りで降板。カープは4回裏から上野を投入、6回には三番手ブラウワーを起用してきた。先頭の金本と続く鳥谷が連続ヒットのあと、代打は林。石原のパスボールで二三塁となり林は四球で満塁。しかし、ここで矢野は空振り三振。代打の桧山は投手ゴロで本塁封殺。葛城はレフトフライと無得点に終わった。このあとカープは梅津、シュルツ、永川を1イニングずつ投入して逃げ切った。タイガースのリリーフ陣も、渡辺、阿部、ウィリアムスがこれまた無失点で切り抜けただけに、6回のチャンスを生かせなかったのが惜しまれる。ジャイアンツが勝ち、6度目のマジック消滅である。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……藤川球児 リードして登板というパターンではなく同点の場面で登場し、いずれもしっかり抑えてサヨナラ勝利を導いた。なんと今節3勝の荒稼ぎ。できればセーブのつく場面で投げさせたい。
野手……矢野輝弘 9回に打席がまわると異常に燃える。2本のサヨナラ打でお立ち台3回。できれば回の浅いところでも打ってほしい。

 次節はナゴヤドームで今節と切れ目なくドラゴンズ3連戦。1日おいていよいよ東京ドームで首位決戦のジャイアンツ3連戦である。ジャイアンツ戦が大切なのはいうまでもないが、ドラゴンズ戦でなんとか打線をたてなおして万全の状態でジャイアンツと戦ってもらいたい。できればジャイアンツに引導を渡してほしいものなのだが。

(2008年9月14日記)


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