ナゴヤドームでのドラゴンズ戦では苦手の山本昌を打ち込むなどして2勝1敗と勝ち越したが、ジャイアンツが連勝したため3ゲーム差で東京ドームでの首位決戦となった。ここで1つでも勝っておけば優位に立ったまま優勝に向けて進めたのだが、先発陣総崩れで3連敗。ついに同率首位にまで追いつかれてしまった。ただ、10連勝以上したチームはたいていひとつ負けるとがたがたと崩れるケースが多いので、ジャイアンツとてこの好調をいつまでも維持できるということはないだろう。ペナントレース終盤に向け目が離せない白熱の展開になったというべきだろう。今節は2勝4敗、通算76勝53敗1分、勝率.589。ジャイアンツとのゲーム差はなくなり、勝敗数全く同じの同率首位となった。
◎ドラゴンズ21回戦……7−4
先発の小笠原から2回に先制。左投手キラーの高橋光がバックスクリーンにソロホームランを叩き込む。3回表には平野がレフト前ヒットで出ると、エンドランで今岡がライト前に運び平野を三塁に進める。金本はセカンドへ鈍い当たり。これを全力疾走で一塁を駆け抜け内野安打とし、平野が生還して2点目をもぎ取った。タイガースの先発岩田は2回をノーヒットと上々の立ち上がり。3回裏、1死二三塁から荒木のタイムリーで1点差に詰め寄られた。その直後の4回表、野口が左中間の真ん中に打ち上げると和田と藤井がお見合いしてヒットにし、続く赤星のヒットなどで2死二三塁とすると、今岡が高めのボール球を叩いてレフトスタンドに飛び込む3ラン。さらに5回表には二塁打の高橋光とバルディリスを塁に置き、野口が左中間を破る2点二塁打で7点目を奪った。ドラゴンズは3回裏にデラロサがバント空振りの際に飛び出して封殺、4回裏にはデラロサの長打で三塁を回ってホームに向かったイ・ビョンギュを苫篠三塁コーチが手で制した際にイの体に触れて藻類援助で走者アウトという珍しいミスも出、タイガースを助けてくれた。しかし岩田はイ・ビョンギュのミスで助けてもらったにもかかわらずデラロサを塁に置いて代打小池に2ランを浴びる。さらに6回裏、藤井と森野の連打で無死一三塁となったところで降板した。二番手アッチソンはT・ウッズのバットをへし折りショートゴロ併殺。その間に三塁走者は生還して1点を取られたものの、続く和田も内野ゴロ。そのあとはウィリアムス、藤川とつないで3点差のまま逃げ切った。ヒーローインタビューは先制ホームランの高橋光。
◎ドラゴンズ22回戦……2−5
タイガースの先発福原は2回までは何とか無失点で切り抜けていたが、3回裏につかまる。2死から森野にレフトスタンドに先制ソロホームランを運ばれると、続くイ・ビョンギュには二塁打、そしてT・ウッズにライトスタンドに持っていかれる2ラン。一挙3点を奪われた。しかし、直後の4回表、チェンから鳥谷が2ランを放ち追撃体勢を作る。矢野と関本の連打でチャンスを作り、浅井はバント。代打林の一塁ゴロをT・ウッズが林にタッチしてアウトにし、その間にホームに突っ込んでいるはずの矢野はなんと三塁ベース上に。二塁走者の関本は三塁まで走っていた。T・ウッズがホームに送球し、矢野は三本間に挟まれ三塁に戻る。はじき出された形の関本は二塁に戻ろうとして結局タッチアウト。これでタイガースへの流れは途絶えた。二番手の阿部が3イニングを完全に抑えて流れを引き寄せようとしたが、7回裏に登板した渡辺が2死から四球を出すと、江草に交代。江草は代打立浪と森野の連打などで2点を失い試合は決まった。ドラゴンズは8回から浅尾、岩瀬とつないで逃げ切り。ジャイアンツとのゲーム差は3.0に。
◎ドラゴンズ23回戦……11−6
苦手の山本昌を初回に攻略した。赤星がセンター前ヒットで出ると平野が送る。今岡と金本が歩いて満塁に。ここで鳥谷がライトスタンドへ満塁ホームランで4点先制だ。2回表には矢野がヒットで出塁し、リーソップのバント失敗などで勢いはそがれたが、平野がライトオーバーの二塁打で赤星を迎え入れ、守備の乱れをついて三塁に進む。そして今岡がレフト前に落としてこの回2点目。3回表は関本の四球を足がかりに高橋光がヒットでつなぎ矢野のレフト前ヒットで7点目を入れ、山本昌をKOした。リーソップは3回裏にイ・ビョンギュのタイムリーで1点を返される。しかし直後の4回表、二番手の長峰から1死一二塁のチャンスを作り鳥谷の二塁打と関本の犠牲フライで2点を奪ってお返し。打線の大量援護にもかかわらずリーソップは4回裏に崩れた。ヒットの小池と四球のデラロサを置いて谷繁に3ランを浴びる。代打平田にヒットを打たれたところで降板、江草につないだ。江草が後続を断ち流れを止めかけたが、5回裏、三番手の阿部もつかまる。T・ウッズに死球を与え、小池の2ランで3点差に詰め寄られた。しかし、6回からアッチソンを投入すると2イニングをしっかり抑えて勝ち投手になる。8回表には五番手小林から四球の今岡を置いて金本がライトスタンドへ久々の2ランホームランでだめ押し。8回裏からは点差は開いていたがウィリアムス、藤川とつないでドラゴンズの反撃を完全に断ち、次のジャイアンツ戦へいい雰囲気で試合を終えた。ヒーローインタビューは先制満塁ホームランの鳥谷。鳥谷はあとシングルヒット1本でサイクルヒットというところで最終打席はセカンドゴロ。それに触れられると「次にとっておきます」とは頼もしい。
◎ジャイアンツ20回戦……4−6
安藤とグライシンガーの両先発はかなり緊張した様子。先制したのはジャイアンツ。ヒットの高橋由を置いて坂本がレフト金本の頭上を襲う一打。もう少しで金本も取れるところだったが惜しくもグラブを弾き三塁打となり高橋由が生還した。4回裏には2死から高橋由、阿部と歩かせて坂本が左中間を破る二塁打で2者を返して3点先行。5回表、林が二塁打とグライシンガーの暴投で三塁に進み、葛城の犠牲フライで1点を返す。しかし直後の5回表、二番手江草が鈴木尚にレフトスタンドにソロホームランを打たれてまた3点差に。6回表、二塁打の林を関本がセンター前タイムリーで返し、さらにディレイド・スチールで二塁へ。矢野もセンター前タイムリーで続いて1点差に迫った。波に乗るジャイアンツは7回裏にウィリアムスから小笠原がだめ押しの2ラン。8回表には二番手越智から今岡がライトスタンドにふわりと入るソロホームランを放ったが反撃はそこまで。山口、クルーンとつないだジャイアンツに逃げ切られた。ゲーム差は2.0に縮まった。
◎ジャイアンツ21回戦……1−9
初回下柳が谷のヒットと小笠原への四球でピンチに。ラミレスの先制3ランと続くイ・スンヨプのソロホームランで一気に4点失う。続く2回表、タイガースも内海を攻めて満塁のチャンスを作るが平野の二塁への痛烈な当たりのゴロで1点取っただけ。2回裏、すぐさま小笠原の2ランと満塁のピンチを残して下柳は降板。二番手阿部健が阿部慎にタイムリーを打たれて6点差に。三番手渡辺は4回裏阿部慎に2ランホームランを打たれて沈没。タイガース打線は内海に完全沈黙。五番手福原と六番手玉置が無失点で切り抜けただけに、序盤の大量失点は重すぎた。ゲーム差はついに1.0に。
◎ジャイアンツ22回戦……5−9
上原から2回表と4回表に金本が連続打席ホームランを放つ。2点を岩田もよく守っていたが、5回表に勝ちを意識したか先頭のイ・スンヨプに二塁打を打たれると谷のライト前タイムリーで1点差に。阿部を三振に打ち取ったが坂本のヒットと代打大道への死球で満塁に。鈴木尚に右中間を破る2点タイムリーを浴びて逆転を許したところで降板した。二番手渡辺が代打高橋由を三振に打ち取り、小笠原を迎えたところで江草に交代。江草は小笠原を歩かせてアッチソンにつなぐ。ラミレスはセンター前に2点タイムリー。そしてイ・スンヨプの3ランでなんとこの回一挙8点を奪われた。アッチソンは6回裏にも阿部にライトスタンド最前列へのソロホームランを打たれてしまう。そのあとは阿部健と玉置が無失点だっただけに、中盤での大量失点は効いた。8回表、三番手野間口から赤星が犠牲フライで1点を返すが後続が抑えられ、9回表は四番手藤田から金本のヒットと鳥谷の四球、関本の内野安打で1点を返し、五番手越智のワイルドピッチでさらに1点を追加したが、高橋光、桧山、矢野のベテラン勢が3連続三振でゲームセット。ついに同率首位に並ばれてしまった。岡田監督は「振り出しに戻ったな。これからが一騎討ちや」という言葉を残した。
◎愛すれどTigers週間MVP
投手……玉置隆 今季キャンプから一軍候補だった若手のホープが、大敗しているとはいえジャイアンツとの首位決戦という緊張する場面で連夜の登板をし、いずれも無失点で切り抜けた。大敗の中の光明としてその好投をたたえたい。
野手……鳥谷敬 ジャイアンツ戦ではあまりいいところを見せられなかったが、ドラゴンズ戦でのあわやサイクルヒットという活躍は今後に期待できる内容だ。いよいよ優勝争い本番という中で、その力を発揮してほしい。
次節は甲子園に戻り今節と切れ目なくベイスターズ4連戦。1日おいて甲子園で首位を争うジャイアンツ戦である。ジャイアンツは裏で好調カープと4連戦。Aクラス入り、つまりクライマックス・シリーズ出場のかかる連戦でカープがタイガース戦のような勢いを見せてくれればと願う。むろんここまで6連敗しているベイスターズにこちらはこちらでしっかりお返ししなければいけないのだが。
(2008年9月22日記)