真弓新監督はキャンプ中精力的に動いた。主力選手と個別に話し合い、自分の目指す野球や選手に期待していることを筋道だてて話したという。これこそ真弓カラーというべきものだ。解説者時代も冷静に理路整然と目の前のプレーについてわかりやすく分析をしてみせた。言葉の使い方に長けた監督なのである。
しかし、オープン戦では最下位。特に新外国人メンチの不振は大きく、開幕カードのスワローズ3連戦でメジャー時代のよかった時のような結果が出なければ、解雇さえあり得るようだ。ただ、オープン戦では一度もベストオーダーを組むことができなかったのだから、開幕したら雰囲気が変わりオープン戦とは違う結果が出ることだろう。
キャンプ後半からオープン戦にかけて故障者が続出したのは確かに痛い。特に矢野が開幕に間に合わなかったのは大きいが、ここはそれをチャンスととらえて狩野や岡崎がレギュラーを一気に奪うくらいの活躍を見せてほしい。
岩田がWBCに参加したのはいいが、肩を傷めて帰ってきた。糖尿病という持病があるだけに、体調管理を少しでも間違うと疲労もたまり故障のもとになるのではと心配していたのが、嫌な予感はたいてい当たる。しかし、そこで先発陣崩壊ということにならないのがタイガースの強みだろう。オープン戦で別人のような活躍を見せた能見がローテーションに入ってきそうだ。マリーンズから久保投手を獲得し、開幕ローテーションにめどがついた。先発投手の開幕ローテーションがなかなか決まらないという不安が報じられたが、違うのである。ローテーションに入り得る力を持った投手が多くいるから嬉しい悲鳴をあげているということなのである。JFKトリオを解体してまで久保田の先発転向にかけたが、こちらも肩痛で練習ができなかった。誤算ではあるが、最初からいないものとしてとらえ、復帰を急がせないようにしてほしい。
野手では新井のサードへの再コンバートで一塁と二塁が競争になった。また、鳥谷、金本、新井のクリーンアップも昨年とは違う形でこれがうまく機能するかどうかで今年のタイガースの命運も決まることだろう。
評論家の下馬評ではダントツでジャイアンツ有利という。戦力が昨年の終盤のようにうまくかみ合えば確かにリーグトップの力は持っている。しかし、特に若手の山口や越智が昨年のような活躍を見せられるかどうか。新外国人アルフォンゾの守備は荒く、ラミレスの守備と同じく穴となってこよう。つけいるスキはあるのだ。
若手野手の伸び悩みは気にかかるところだが、新人の柴田と上本はシーズン途中からでも一軍に食い込むだろうし、そうなれば他の若手たちにもいい刺激剤になる。
とにかく新人監督である。性急な結果を追い求めるのではなく、真弓監督の期待する「積極的な走塁」と、投手を中心とした「守りの野球」がちゃんと実行できているかで判断していきたい。
144試合というレギュラーシーズンは長い。真弓監督には長期的展望で采配をふるってほしい。そうすれば結果は自然についてくる
(2009年4月2日記)