愛すれどTigers


後半戦好発進! 4位に浮上

 高校球児に甲子園を明け渡す直前の6連戦、まずベイスターズに3連勝。勢いをつけて臨んだジャイアンツ戦には2勝1敗。赤星が出て走り関本がつなぎクリーンアップで返すといういいパターンを取り戻したと思いきや、ジャイアンツ戦で関本が、そして赤星が相次いで故障離脱。せっかく勢いがついたのに、またもや苦しい状態になった。しかし、控え選手、特に内野では大和や水田、外野では桜井や林はレギュラー奪取のチャンスと考えて活躍を期待したい。投手では岩田と久保が2試合連続完封、能見も好投と先発陣が安定してきた。これも前半戦に1イニングでも長く投げさせるという真弓監督の我慢がここにきて実を結び始めたものと思う。今節は4勝1敗。通算37勝47敗4分、勝率.440。カープを抜いて4位に浮上し、首位ジャイアンツとの差は15.0ゲームと縮まった。

◎ベイスターズ13回戦……5−4
 タイガースの先発安藤は初回に先頭の下園を歩かせ、藤田のバントで二塁に。内川のレフトフライを金本が捕球したかに見えたがポロリとこぼしてしまい続く村田にレフトスタンドに先制3ランを運ばれた。しかし、2回以降は毎回のようにヒットを打たれながらもなんとか無失点で切り抜け6回まで投げてマウンドを降りた。打線はベイスターズ寺原から初回にヒットの関本を鳥谷がライトへの二塁打で三塁に進めて金本のセカンドゴロで返し、まず1点。3回裏には赤星がヒットと盗塁で二塁に進み鳥谷のタイムリーで1点差とする。そして6回裏、矢野のヒットを平野がバントで送り、これが寺原のエラーを誘いチャンスを作ると、二番手石井から赤星がセンター前に弾き返して矢野を迎え入れて同点とした。しかし、7回表に登板した江草が先頭の内川にノースリーとしてストライクを取りにいったところを狙われレフトスタンドへ1点差となるソロホームランを打たれてしまう。ベイスターズは真田、加藤とつないで逃げ切り体勢に。9回裏、抑えの切り札山口から鳥谷が四球を選び、暴投で二塁に。ここまで無安打だった新井が軽く当てた打球はライト前に落ちて同点。延長10回表には藤川が登板して三者凡退に切ってとり流れを呼び込む。そして延長10回裏、木塚から桜井が四球を選び、代打林の一塁ゴロで二塁に進む。赤星の敬遠に燃えた関本がセンター前に運び、桜井の代走大和が一気にホームインして試合を決めた。ヒーローインタビューは関本。サヨナラの興奮からか目の前で敬遠されたことへの怒りからか声は震え気味だった。
◎ベイスターズ14回戦……8−0
 タイガースの先発岩田は初回いきなり金城のレフトフライを金本が捕球できず二塁打となるピンチを背負ったが、後続を見事に断って難を逃れた。1回裏、これまで2度にわたって抑えられているマストニーから先制。死球の赤星と関本の間にバスター・エンドランが決まり三遊間を抜く。鳥谷はセンター前に弾き返してまず1点。続く金本がライト前に転がして2点目を加えた。3回裏には先頭の赤星がセンター前ヒットで出塁すると関本が送り、金本が敬遠気味の四球。ここで新井が久々の3ランをレフトポール際にたたきこみ、マストニーをKOした。岩田は7回までは毎回のように先頭打者を出塁させていたが、右打者へのスライダーに切れがあり、特に村田を3打席連続三振を含むノーヒットに抑えたのが大きく最後まで抑えきった。7回裏には三番手工藤から関本と鳥谷が連打。金本はライトスタンドに運ぶ大きな3ランを放ち、勝敗を決定づけた。岩田プロ入りは完封勝利。ヒーローインタビューは岩田と新井。
◎ベイスターズ15回戦……2−0
 初回、天敵三浦から赤星がいきなりセンター前ヒット。すかさず盗塁すれば関本がバントで三塁に進める。そして鳥谷のライトへのやや浅いフライで赤星は思い切りよくホームに突入し1点先制。あざやかな攻撃であった。タイガースの先発久保はフォークボールが冴え渡り、ベイスターズの各打者はことごとくボール球に手を出しては空振り、あるいはゴロ。3回表には三浦に初安打を打たれたが、下園を三振に。4回表には内川のヒットと村田の死球でピンチとなるがジョンソンは三振、三塁盗塁を試みた内川は楽々アウト。以降は一人の走者も許さない完璧な投球。5回裏、狩野の右中間への大きなフライはセンターの下園とライトの吉村が譲り合うような形になってそのまま落下、三塁打となる。平野は右手一本でライト前に気力で運ぶタイムリー。この追加点が大きくものをいった。久保は12奪三振。久保の完封はマリーンズの新人時代に記録して以来4年ぶり。タイガースの投手が連日完投完封処理を飾ったのは2002年の谷中、井川以来7年ぶり。相手の三浦もテンポのよい投球で完投したため、試合時間は今季両リーグ最短の2時間11分。ヒーローインタビューはもちろん久保。
◎ジャイアンツ13回戦……3−2
 能見と内海の投手戦。特に能見は5回を投げ切った時点でわずか1安打に抑える好投。内角に入る鋭い速球が冴えわたる。6回表、数少ない失投を坂本にとらえられた。高めに浮いた球をライトスタンドに運ばれ、1点を先制される。しかしその後は再びペースを取り戻して7回までこの1失点のみで持ちこたえた。点が入ると試合が動くというが、この試合はまさしくその典型で、6回裏、鳥谷がヒットを放つと、金本はグリップエンドに当たったようにも見える死球。そしてブラゼルがバックスクリーン左に逆転の3ランを放つ。内海はこの回限りで降板した。タイガースはアッチソン、藤川とつないで逃げ切り体勢に。9回表、藤川はラミレスに様子見の変化球を左中間スタンドに運ばれ1点差とされたが、あとはうまく切り替えてきっちり抑え逃げ切った。ヒーローインタビューは能見とブラゼル。なお、この試合中、関本が打席で足をひねって故障、翌日から二軍落ちとなった。
◎ジャイアンツ14回戦……2−4
 先発金村暁は守備の乱れに足を引っ張られてしまった。初回、松本にヒットを打たれ盗塁を決められるが、捕手狩野の送球を鳥谷が後逸し、三塁にまで進まれてしまう。そして小笠原の犠牲フライで先制されたのだから、不運としか言いようがない。さらに2回表、亀井のライトフェンスいっぱいのフライを赤星と葛城の2人が取りに行って交錯し、球が外野を転がる間に亀井は一気にホームイン。このランニングホームランもかなり効いた。落胆したのか金村暁は鶴岡、グライシンガー、坂本の三連打でさらに1点を失い降板した。守備の乱れがなければ無失点になったかもしれない、あまりにも不運なKOであった。タイガース打線はグライシンガーの低めの球に手を出して凡打の山を築く。7回まで手も足も出ないという状態。6回表、タイガースの三番手ジェンはイ・スンヨプのファーストゴロの際ベースカバーに入るも落球。古城のバント、そして鶴岡のタイムリーで大きな4点目を失った。8回裏、新井がレフト線に二塁打を放つと、ブラゼルもライト線へタイムリー二塁打で1点を返す。そして代打矢野が二番手山口から今季初打点となるライト前へのテキサスヒットでさらに1点を返し2点差としたが、続く代打高橋光は三番手越智に併殺に切って取られて反撃もここまで。9回裏、クルーンを攻めたてて無死一二塁としたが、最後は新井の併殺で試合終了。とにかく守備のミスがすべて失点に絡んだ。これが大きい。
◎ジャイアンツ15回戦……7−4
 初回、下柳は先頭の坂本をセンターフライに打ち取ったかに見えたが、赤星の前に落ちるアンラッキーなヒット。続く鈴木にエンドランでレフト前に運ばれ、小笠原のライト前タイムリーで先制された。ラミレスを併殺に切って取る間に鈴木がホームインして2点目。さらに亀井と谷の連打でピンチを作るが、阿部を内野ゴロに打ち取り大量失点を防いだ。タイガース打線はジャイアンツの先発高橋尚にすぐにくらいつく。初回先頭の赤星がレフト前にヒット。続く平野もレフト前に運び、ラミレスがボールを取りこぼしているのを見て赤星は一気にホームを突く。足はベースに届かなかったものの手でベースを払い、1点を返した。このとき赤星のひざの上にまともに阿部の体重がかかり、赤星は担架で退場。結局登録抹消となる。重症にならねばよいが……。この闘志のホームインに触発されたか、新井がレフト線ファウルラインの上を弾む二塁打で同点とし、続くブラゼルもバットを折りながらセンター前に運んで逆転した。下柳が2回以降立ち直りを見せたのに呼応するように、3回裏、鳥谷がセンターバックスクリーン横に運ぶソロホームランでリードを2点に広げる。このまま下柳が抑え切るかと思われた6回表、亀井と谷のそれぞれが芯でとらえた連続二塁打で1点を返された。ここで真弓監督は思い切って江草を投入。木村拓に同点のタイムリーをライト前に運ばれてしまい試合は振り出しに。しかし6回裏、ブラゼルがバットをちょこんと出して外角球をレフト前にもっていく技ありのヒットを打つと、続く桜井がバックスクリーンに飛び込む勝ち越し2ラン。高橋尚をノックアウトした。7回裏には二番手木村正から鳥谷がヒット。2死をとられたところで左腕の深田にスイッチ。ブラゼルはこれも外角球を軽く叩いてセンター前に運び、桜井のセンターフェンスぎりぎりに運ぶ二塁打でダメ押し点を奪った。タイガースは7〜8回をアッチソンが、そして9回を藤川が完全に抑え切ってこのカードの勝ち越しを決めた。ヒーローインタビューは桜井。

愛すれどTigers週間MVP
投手……岩田稔、久保康友 2試合連続完封は両投手ともお見事。岩田は大量得点に守られてという面もあったが、最後まで粘りの投球ができた。久保は点差は少なかったがテンポよく相手を見下したようなつけいる隙のない投球。1人には絞りきれません。
野手……赤星憲広 後半戦ダッシュの立役者。とにかくヒットで出塁すると即盗塁、足で相手をかき回し、得点に結びつける。本来の姿が戻ったところで残念な故障離脱。一日も早い回復を願う。

 次節からは長期ロードのはじまり。まずナゴヤドームでドラゴンズ戦、そしてマツダズームズームスタジアムでカープ戦。ジャイアンツに続いてドラゴンズにも勝ち越せば、この勢いは本物とみる。カープは4位と5位を争う直接の相手だけに、ここで一気に突き放したいところ。関本と赤星の分もカバーする控え選手の踏ん張りを見たい。

(2009年8月3日記)


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