ナゴヤドームのドラゴンズ戦ではいきなり2連敗。しかし3戦目は連勝男川井に初黒星をつける猛打で勝って1勝2敗と気をよくして広島へ。マツダズームズームスタジアムでのカープ戦は初戦は勢いよく勝ったが、2戦目以降は先発が先に崩れて2連敗。せっかく4位に上がったのに、直接の相手に負け越して5位に再び転落した。大和がドラゴンズ戦で調子を上げて先発で使い続けたがカープ戦では完全に抑えられた。ここらあたり、若手の起用は難しい。今節は2勝4敗。通算39勝51敗4分、勝率.433。首位ジャイアンツとは18.0ゲーム差の5位。
◎ドラゴンズ12回戦……0−7
ドラゴンズの先発チェンから打った安打はわずかに2本。しかもそれはいずれもプロ入り初先発出場の大和が打ったもの。四死球もなく、大和のヒットがなければ完全試合となっていたところだ。それくらいチェンの速球は切れがあり、よく走っていた。9回表に最速154kmを計測したくらい、最後まで余力を残して投げられた。完敗である。タイガースの先発安藤は2回以降毎回ランナーを許し、2度の満塁のピンチを切り抜けたものの、5回裏につかまった。2死から森野を歩かせ、ブランコには死球。そして和田にレフトスタンド最前列に持っていかれた。この先制3ランがタイガース打線の気力を失わせたという感じだ。二番手の筒井はよく投げて無失点で切り抜けたが、8回表に登板したジェンはいきなり和田にレフトスタンドにソロホームラン。藤井のヒットと代打小池への四球、谷繁にはバントを決められ、チェンのセカンドゴロは大和が思い切ってホームへ投げたがわずかにセーフでフィールダース・チョイス。井端のタイムリーと荒木の犠牲フライでこの回4失点。2度の登板チャンスをもらったジェンだったが、そのチャンスは生かせなかった。逆に2安打の大和は立派。与えられたチャンスをしっかりとつかんでみせた。これを機に真弓監督が積極的に若手にチャンスを与えてくれればいいと願うのだが。
◎ドラゴンズ13回戦……1−3
先制したのはタイガース。3回表、朝倉の球をうまく救い上げた鳥谷の打球は右中間スタンドへ。しかし、岩田は直後の3回裏、小山に二塁打を打たれ、朝倉のバントはブラゼルが三塁に送りセーフ。井端のライトへの犠牲フライで同点に追いつかれた。そのあとは両投手とも好投、試合は投手戦の様相を見せる。タイガースは初回に三塁走者の平野が内野ゴロで挟殺、4回表の三塁走者新井も内野ゴロで挟殺と、拙攻が続く。そして7回裏、岩田は突如ストライクが入らなくなり、小池、小山に連続してストレートの四球。代打立浪のライト前ヒットで満塁に。ここでアッチソンにスイッチしたが、井端に勝ち越しタイムリー、荒木の内野ゴロの間にもう1点と、2点を失った。ドラゴンズは8回から浅尾、岩瀬の必勝リレーで逃げ切り、タイガースは長期ロードをいきなり連敗で発進することとなった。
◎ドラゴンズ14回戦……9−2
開幕から11連勝のドラゴンズ川井との初対戦。初回、大和がセンター前に弾き返し、ボークを誘う盗塁を試みる。ファームで何度も対戦して知りつくしている相手の弱点を突いた。鳥谷が歩き、金本のライト線いっぱいに入る二塁打で大和が生還し、まず1点。続く新井はレフト線いっぱいに入る二塁打で鳥谷と金本を返し3点目。ブラゼルは右中間を破る二塁打でさらに1点。なおも桜井が左中間を破る二塁打でなんとこの回5点目。2回表には1死一二塁で大和と鳥谷がダブルスチール。新井がレフトスタンドに叩き込み3点追加して8点差に。これで試合はほぼ決した。それでも落合監督は川井を代えず、6回表に大和が四球、金本がヒットで三塁に走者を置いて新井がライトへの大きな犠牲フライを放ち、9点目。この回限りで川井は退き今季初黒星。タイガースは前回完封の久保。7回までヒットを打たれながらも要所を締め、特に落ちる球がこの試合も冴え、2試合連続完封も期待できた。しかし、8回裏英智と荒木にヒットを打たれ森野に死球を与え満塁。この連戦でノーヒットに抑え切っていたブランコにセンターにうまく弾き返されて2失点。惜しくも完封は逃した。9回は渡辺に任せ、渡辺も2安打は許したものの荒木をライトフライに打ち取り無失点で切り抜け逃げ切り。ヒーローインタビューは3安打6打点の新井。なお、金本は初回の二塁打でプロ入り通算4000塁打を記録し、花束を受け取った。
◎カープ12回戦……4−0
タイガースの先発能見はお得意様のカープを相手に6回一死までノーヒットピッチング。右打者の内角を突く変化球が実に効果的で、7〜8回はランナーを許したり狩野の打撃妨害など味方のミスもあったりしたが、それでも落ち着いて後続を断ち無失点。一方タイガース打線はカープ先発の齋藤を2回につかまえる。金本のヒットと新井の二塁打で攻め立て、ブラゼルのレフトへの犠牲フライが出た。カープのレフトフィリップスはその球をこぼしたが、完全補給のあとという判定でブラゼルはアウト。4回表、金本と新井の連続二塁打で2点目を加えると、桜井もレフト前に弾き返し新井が二塁から一気に生還して3点目を入れた。9回表、三番手小松から代打葛城が四球を選び、代走には水田。水田は積極的に盗塁し、平野が三塁までバントで送る。大和が見事にスクイズを決めて決定的な4点目を奪うと、9回裏には藤川が登板、速球と変化球をうまく織り交ぜ余裕で抑えた。ヒーローインタビューは能見。
◎カープ13回戦……0−8
タイガースの先発は大方の予想を裏切って筒井。3回まではランナーを出しながらもまずまずの投球で無失点。しかし、4回裏につかまる。栗原とマクレーンの連続二塁打で1点を先制されると、末永にもレフト前に運ばれ石井を歩かせ1死満塁に。ここで先発が予想されていた金村暁と交代。せっかく先発させたのだから、5回までは投げさせてもよかったのではないか。金村暁も慣れない中継ぎでいきなり満塁という厳しい場面。石原にセンター前に弾き返され2点目を奪われ、大竹はフライに打ち取ったが、東出にもセンター前に打ち返されて3点目。赤松には左中間に運ばれる2点タイムリーで5点目。天谷の打球は金本が果敢にスライディングキャッチを試みたが及ばず2点二塁打となりこのかいなんと7失点。金村暁が5回以降の2イニングスを持ち味を出して無失点に抑えただけに、継投の失敗が悔やまれる。7回裏には三番手渡辺が赤松と天谷の連打のあとマクレーンに犠牲フライを打たれ、決定的なダメ押し点を奪われた。カープの先発は大竹。新井が2安打と気を吐いたが、ていねいに低めを突かれて後続を断たれ、完封負け。4回の大量失点で気持ちが切れた感じか。
◎カープ14回戦……3−7
カープの先発はルイス。前回の新潟の試合でやられたお返しをと意気込んだが、5回まで手も足も出ず。一方タイガースはここのところ勝てていない下柳。3回までは快調に抑えていたが、4回裏、先頭の栗原を歩かせ、マクレーンにもヒットを打たれ、ここまで牛耳っていたフィリップスにレフトスタンドに大きなホームランを打たれて3点を先制されてしまった。6回表、ようやく反撃。平野のヒットと金本の四球、そして新井のレフト前ヒットで2死満塁に。ここで平野が本塁を突きかけて足をからませストップするまずい走塁が出た。ブラゼルは一塁に強いゴロ。これを栗原が弾き敵失で1点をもぎ取ったが、葛城が見逃し三振で流れを断たれた。これにがっくりきたのか下柳は6回裏、マクレーンにレフトスタンドに特大の一発を浴び、続くフィリップスにも二塁打を打たれて降板した。二番手の渡辺は小窪のピッチャーゴロでランナーを三塁に進められ、石原の犠牲フライで大きな1点を追加される。7回表、二番手青木勇から矢野が三振。代打林を告げるとブラウン監督は青木高を投入、代打の代打浅井は死球。平野のセカンドゴロでランナーが入れ替わり、四番手シュルツから代打高橋光がセンター前にヒット。ここで鳥谷がレフトオーバーの2点タイムリー二塁打を放ち2点差と詰め寄った。続く金本は2−2から内角にのけぞるようなボールを投げられたのにストライクの判定で三振。タイガースにきかけた流れを断ち切るこの判定は大きかった。しかし、7回裏には三番手江草が2死からヒットや四球でピンチを作ってマクレーンにタイムリーを打たれ追い上げムードが断たれ、8回裏には四番手ジェンが代打嶋のタイムリーでダメ押しの1点を奪われる。カープは4点差ながら永川を投入して逃げ切った。
愛すれどTigers週間MVP
投手……能見篤史 前節の岩田と久保に続く完封なるかという好投。最後は藤川に任せる形になったが、インタビューで「びびらなくなりました」と答えた精神面での成長の大きさを今節も見せてくれた。
野手……新井貴浩 やっと復調の兆し。内角球を強く引っ張れるようになって思い切りのいい打撃が戻ってきた。この調子で後半戦は最後までいってほしい。
次節は京セラドーム大阪でドラゴンズと、東京ドームでジャイアンツとの6連戦。もうここまできたら失うものなし。上位いじめに徹するつもりで思い切りのいい試合を見せてほしい。先発投手陣は安藤、久保、能見以外は見直してみてもいいのではないかと思うが、できれば筒井はもう1試合投げさせてローテーション入りを考えてみてもいいのでは。
(2009年8月10日記)