京セラドーム大阪でのドラゴンズ戦は、安藤と久保という安定した右腕で試合を落としたものの岩田が完投勝ちして1勝2敗。東京ドームでのジャイアンツ戦は打線がジャイアンツ投手陣をとらえ、2勝1敗とジャイアンツに対しては3カード連続勝ち越しで面目を施した。特にジャイアンツとの3戦目は下柳−矢野という40代バッテリーで勝利し、これはなんと日本プロ野球界でも初めて。今節は3勝3敗。今季通算42勝53敗4分、勝率.438。首位ジャイアンツと18.0ゲーム差の5位。
◎ドラゴンズ15回戦……1−3
ドラゴンズの先発チェンには前回完璧に抑えられているので、お返しをしたいところ。実際、前回ほどの投球内容ではない。初回、平野がサードのエラーで出塁し、大和が送り、鳥谷が四球と願ってもないチャンスがあったが、金本が併殺で一気に流れがドラゴンズに。安藤は3回表、井端に二塁打を打たれ、荒木のセンターフライも背走した平野が一度は追いつきながらグラブに当てて弾いてしまい1点先制される。続く森野のレフト前ヒットで二塁走者荒木が果敢な走塁で一気にホームを陥れて2点目。3回裏、タイガースは安藤の四球と平野のヒット、大和のバントでチャンスを作る。鳥谷の痛烈な当たりは一塁ブランコの真正面のライナー。金本が歩き、満塁で新井は初球を狙ったがキャッチャーフライでチャンスをつぶした。安藤は4回表、2死三塁からチェンに高いバウンドのサードゴロを打たせたが意外に俊足のチェンが一塁に全力疾走して内野安打となり、決定的な3点目を奪われた。ここらあたり、ツキはドラゴンズにあったか。やっと7回裏に代打浅井がレフトオーバーのフェンスに当たる三塁打を放ち、平野の浅いレフトフライを和田がスライディングキャッチしたのを浅いがよく見てタッチアップしてホームイン。しかし反撃もここまで。最後は浅尾、岩瀬のリレーで逃げ切られた。
◎ドラゴンズ16回戦……6−1
先発は岩田と朝倉。岩田は初回いきなり井端に三塁打を打たれるが、荒木、森野、ブランコと三者三振で後続を断ち、その後は速球とカーブを主体にドラゴンズ打線を手玉に取る。浅倉をとらえたのは4回裏、ブラゼルの一発。外角をうまく流し打ちレフトスタンドに放り込む先制ソロホームラン。葛城が二塁打、狩野もヒットでつなぎ、岩田はバントの構えからヒッティングに切り替え、バントシフトの間を突くライト前タイムリーで2点目を奪った。7回表、先頭の森野を歩かせた岩田は、ブランコにもレフト前にうまく打たれ、和田はショートへの併殺で切り抜けたがイ・ビョンギュのセンター前ヒットで森野を返され1点差に詰め寄られた。しかし、直後の7回裏、1死からヒットの大和が盗塁で二塁へ。鳥谷が歩いて金本がセンターオーバーに二塁打を放ち、2点を奪う。二番手小林正から新井もヒットでつなぎ、三番手河原から桜井が左中間を破る走者一掃の三塁打でさらに2点を取って5点差とした。岩田は完投で2勝目。ヒーローインタビューは岩田。
◎ドラゴンズ17回戦……2−9
前回KOした川井からこの試合も先制。初回、ヒットの平野を大和が送り、鳥谷がライトスタンドへ先制2ラン。しかし、前回と違い、後が続かない。2回裏、先頭のブラゼルがヒットで出塁したが、フルカウントからのエンドランで桜井が三振、ブラゼルも二塁でタッチアウト。これ以降、川井は完全に立ち直った。4回裏、6回裏にそれぞれ2四球を選んだが、チャンスを生かしきれず、河原の好リリーフもあり追加点がとれない。タイガースの先発久保は立ち上がりから絶好調。6回まではとても打たれる気のしない好投。低めをていねいにつき、ドラゴンズ打線のタイミングを見事に外していた。ところが7回表、先頭のブランコにレフトスタンドに叩き込まれ、和田、イ・ビョンギュにも連打を浴びる。藤井のバントのあと谷繁に四球で満塁。代打立浪の一塁ゴロはブラゼルが判断よくホームでアウトにしたが、井端のレフト前ヒットで2者を返され逆転。荒木の内野安打でさらに1点を奪われ降板した。二番手江草も森野にライト線へ二点二塁打を打たれ、この回6失点。8回から登板のジェンは8回表はしっかり抑えたが、9回表に井端、荒木の連打で苦しくなり、森野に高めの甘い球を投げてライトスタンドへのダメ押し3ラン。タイガース打線は、高橋、浅尾、ネルソンという継投の前に沈黙。せっかくの勝機のある試合を落としてしまった。
◎ジャイアンツ16回戦……7−4
ジャイアンツの先発内海に初回から襲いかかる。この試合から復帰の赤星がレフト前ヒットで出塁し、大和がバントで送る。そして鳥谷が初球をうまくとらえてライトスタンドに先制2ラン。新井も負けじとレフトスタンドにソロホームランを叩き込む。能見はこの試合までジャイアンツ戦2連勝中。ただし、谷にだけは打たれている。この試合もそう。2回裏、レフトスタンドにソロホームランを打たれ2点差となった。しかし、4回表、新井がセンター前ヒットでチャンスを作り、桜井が低めの球をうまくすくい上げてレフトスタンドに中押しの2ラン。さらに7回表、二番手野間口から赤星がヒットと盗塁でチャンスを作り、鳥谷がセンターオーバーの三塁打で6点目を奪い、続く金本もセンター前にタイムリーとなるヒットを打ちダメ押しの7点目。能見は7回裏、桜井のまずい守備で二塁打とされた亀井を塁に置いて苦手の谷にまたレフトスタンドに叩き込まれた。続く阿部にも二塁打を打たれ、降板。二番手アッチソンは鈴木を三振に打ち取り、木村拓をセカンドライナーに打ち取ると、二塁走者阿部があわてて飛びだしているのを見た大和が二塁に送り併殺。このプレーでジャイアンツに向きかけた流れがとどまる。タイガースは9回裏、藤川を投入。ここまで能見に完全に抑えられていたラミレスにいきなりレフトスタンドにソロホームランをぶち込まれてしまったが、後続は気を引き締めて3人で切って取って逃げ切った。ヒーローインタビューは鳥谷。
◎ジャイアンツ17回戦……7−9
先発は前節に続いて筒井。初回、木村拓の二塁打とラミレスへの四球でピンチを作り、亀井のライトオーバーの二塁打で1点を先制された。しかしここは谷を三振に打ち取りなんとか後続を断った。しかし2回裏、2死からグライシンガーにセンター前に運ばれると、坂本にもレフト前へ。木村拓のライトフライは桜井の前に落ち、しかも桜井は高く弾んだ打球を後逸、2者を返した。
阿部への死球のあと、ラミレスにレフトスタンドに3ランを打たれてこの回限りで降板した。3回からは金村暁が登板。3回裏は無失点で切り抜けたが、4回裏に阿部のライナーで飛び込むライトへのソロホームランと四球の亀井に走られ(記録はパスボール)谷にライト線へのタイムリー二塁打を打たれてこの回2点を追加され8点差とされた。このまま試合は一方的に終わるかに思われたが、4回まで完璧に抑えられていたグライシンガーに5回表に反撃を開始。ブラゼルのヒットと桜井のショートゴロエラーでチャンスを作り、狩野の二塁ゴロでランナーを三塁に進め、代打高橋光の一塁ゴロを急造一塁手阿部が二塁に送球したが坂本がこれを捕れずその間にブラゼルが生還してまず1点目。さらに赤星のヒットで満塁にし、平野はショートフライに倒れたが、鳥谷がレフトへの2点タイムリー。金本はライト線へのタイムリー二塁打でさらに2点。新井もライト前に落としてこの回6点目をたたき出した。グライシンガーはこの回限り。しかし三番手渡辺が5回裏に二塁打の工藤を塁に置き木村拓のタイムリーで1点を返され、3点差に広げられた。7回表、ジャイアンツの二番手越智から赤星がライト前ヒットを放つが、盗塁死。しかし平野がライト線に三塁打を放ち、越智は降板。三番手山口から金本がレフトへのタイムリー二塁打で1点を返して2点差とした。タイガースは江草とアッチソンを投入して追加点を阻んだが、ジャイアンツも9回表にクルーンを投入。代打桧山のヒットでで逆転の足がかりを作ろうとしたが、金本が三振に倒れ逆転はならず。しかし、一方的になりかけた試合を接戦に持ち込んだ打線の奮起は素晴らしかった。
◎ジャイアンツ18回戦……5−2
タイガースの先発は下柳。2回裏にラミレスにレフトスタンドにソロホームランを打たれ先制されたが、タイガース打線は好調。高橋尚から3回表に赤星が二塁手木村拓のエラーで二塁に出塁すると平野が三塁に送り鳥谷のレフト前ヒットで同点に。金本もヒットで続き、ブラゼルのライトスタンド中段に飛び込む3ランで勝ち越した。下柳は4回裏に亀井のホームランで2点差にされ、5回を投げ切って勝ち投手の権利を得たまま江草にスイッチ。6回は江草、7回はアッチソンがしっかり抑え、8回表、ジャイアンツ三番手豊田から新井とブラゼルの連続二塁打で二三塁とチャンスを作り、矢野は敬遠。満塁で四番手藤田から代打高橋光がレフト前に落とすタイムリーでダメ押しの1点を追加した。8回からは藤川が登板。8回裏、一塁ファウルフライをブラゼルが観客席に飛び込むようにして捕球する好プレイなどで盛りたて、9回は亀井、鶴岡、古城を三振に取って試合を締めた。40代バッテリーでの勝利は球界史上初。ヒーローインタビューはブラゼル。
愛すれどTigers週間MVP
投手……岩田稔 ドラゴンズ打線に対しみごとな完投勝利。これで今季の2勝すべて完投という、近年のタイガースでは考えられない快挙を成しとげた。コントロールの安定している時の投球はまさに絶品。昨年の活躍がフロックでないところを見せてくれた。
野手……鳥谷敬 2試合連続先制2ランを含む大活躍。毎試合ヒットをと打線を稼ぎ、すっかり復調した。この調子でプロ入り初の打率3割を目指してほしい。
次節は神宮でのスワローズ戦と京セラドーム大阪でのカープ戦。今季大きく負け越しているスワローズだがここのところ好調時から比べると失速気味なので、なんとかこれまでのお返しをしてもらいたいところだ。とにかくジャイアンツ戦の勝利を今度こそ勢いに変えてほしい。
(2009年8月17日記)