今節は神宮球場でスワローズに2勝1敗。京セラドーム大阪でのカープ戦も2勝1敗と勝ち越し、前節から続けて3カード連続の勝ち越しだ。特に打線が上向きになってきたのが大きく、不調の金本や故障の赤星、ブラゼルをカバーするように、鳥谷、桜井、平野、浅井らが活躍。投手陣も先発が踏ん張った試合では中継ぎも好投し藤川につなぐ形ができた。自力でのクライマックスシリーズ出場の可能性も残されており、各チームが調子を落とし気味な分、本来のタイガースの実力を見せる時がきたという流れになってきた。今節は4勝2敗。今季通算46勝56敗4分、勝率.451。首位ジャイアンツとは19.0ゲーム差、3位スワローズとは7.5ゲーム差の4位。
◎スワローズ13回戦……4−1
先制したのはタイガース。スワローズ先発の石川から2回表に新井がレフトスタンドに叩き込むソロホームラン。しかし直後の2回裏、安藤は先頭のガイエルを歩かせ、武内の一塁ゴロをブラゼルが弾いてエラー、ガイエルを三塁に進ませた。田中に死球を与え、相川にも押し出しの四球で同点とされる。しかし、後続をなんとか断って最少失点に抑えた粘りがここまでの安藤とは違うところ。4回表、先頭の金本が四球を選ぶとすかさず盗塁。新井も死球でつなぎ、ブラゼルが外角球を払うようにしてレフト線に技ありのタイムリー二塁打を放ち、勝ち越した。6回表には桜井のレフトスタンドに入るソロホームランでリードを広げ、石川はこの回限りで降板。安藤は6回を投げ切って江草、アッチソンとつなぎスワローズ打線を抑える。8回表、三番手の萩原からブラゼルがダメ押しのソロホームランをライトスタンドに。9回裏は藤川が登板、2三振を含む三者凡退で締めて、今季神宮球場での初勝利を飾った。ヒーローインタビューはブラゼル。
◎スワローズ14回戦……2−4
岩田は初回、福地、青木、畠山に三連打を浴び満塁とされると、飯原に押し出しの死球を与えて1点先取される。しかし直後の2回表、館山からブラゼル、葛城、狩野の三連打で同点に追いついた。ただ、ブラゼルはこの打席で背中を痛めて代走桜井に交代、翌日帰阪して精密検査を受けることになった。これ以降は投手戦となり、4回表に葛城が四球でチャンスを作り狩野がレフト線へ勝ち越しのタイムリー二塁打。この1点を岩田が守りきれるかと思われたが、7回裏に突如乱れる。先頭の野口がヒットで出塁、続く田中のバントは岩田が焦って二塁封殺を狙うもセーフでフィールダースチョイス。相川のバントはサード新井が一塁に悪送球で満塁に。川島慶には袖口をかする押し出し死球で同点とされ、福地の犠牲フライで勝ち越される。打者青木の時に暴投でさらに1点を献上し、まさに自滅としか言いようのない悪夢のような投球となった。それでも真弓監督は交代させずに最後まで投げ切らせた。打線は7回まで館山をもたせてしまい、五十嵐、イムの継投で逃げ切られた。
◎スワローズ15回戦……10−2
タイガースは一番に浅井、一塁に葛城を入れる打線。赤星とブラゼルの欠場がどう響くか心配されたが、杞憂に終わった。スワローズ先発の一場から金本と桜井が四球を選ぶと、狩野のサードゴロを畠山が悪送球で生かして2死満塁に。久保もサードゴロを打つが、畠山は今度は手元ではじいて後ろにそらし、二者生還。続く浅井のセンター前ヒットでさらに1点を加えて3点先取した。さらに3回表には鳥谷と金本がそれぞれライトスタンドに連続ソロホームランを放つと、2死後、葛城が歩き狩野の二塁打でさらに1点を加え、久保の内野安打で一三塁として浅井がレフトスタンドに今季第1号の3ラン。なんと3回で9点というビッグイニングとなった。タイガースの先発久保は3回裏に米野、福地、川端の三連打で満塁とされ、青木の犠牲フライと畠山の内野ゴロで2点を奪われたが、4回以降は低めに球を集める危なげない投球。毎回ランナーは出すがスワローズの拙攻にも助けられ8回まで投げ切った。スワローズは4回以降は松井、イ・ヘチョン、高木とつないでタイガース打線の勢いをなんとか食い止めていたが、9回表、萩原から金本が四球、新井のライト前ヒットで三塁に進み、桜井の犠牲フライで10点目を奪った。9回裏は金村暁が登板、川端にヒットは打たれたが、持ち味の変化球を駆使して青木を打ち取り試合を締めた。ヒーローインタビューは浅井。
◎カープ15回戦……0−9
カープにここまで無失点という能見だけに好投が期待されたが、2回表に悪夢が待っていた。先頭の栗原を歩かせ、マクレーン三振のあと天谷の三塁線のゴロを見送ればファールになるところを能見は焦って捕球し内野安打にしてしまう。小窪を歩かせて満塁とし、石原には足に当たる死球で押し出し。続く青木高はバントの際に利き手の指に投球を当てて退場、代打の嶋がセンターへの犠牲フライで2点目。東出のセカンドゴロは平野がよく捕球していい送球をしたが、葛城の足が離れたという判定で平野のエラーとなりまた満塁に。赤松のレフト前ヒットで3点目。フィリップスは満塁走者一掃の二塁打をレフト線に放ち6点目。栗原のセンターフライは詰まり過ぎてテキサスヒットとなりフィリップスが生還して7点目。3回以降5回までは元の投球リズムに戻っただけに、この悪夢のような2回さえなければと思わせた。負傷の青木高に代わり2回から長谷川をマウンドに送ったブラウン監督だったが、これが大当たり。タイガース打線はベテランの老獪な投球に翻弄され、何度か先頭打者を出すも後続を断たれて得点できず。7回表には二番手渡辺がヒットのフィリップスを塁に置いてマクレーンにレフトスタンドに2ランを打たれ、試合は決した。タイガース打線は7回からは牧野、青木勇の好投に手も足も出ず完敗。
◎カープ16回戦……2−1
タイガースの先発は久しぶりの阿部。3回表に東出に二塁打を打たれ、好調フィリップスのタイムリーで1点を先制されたが、それ以外はランナーを許しても粘りの投球で本塁を踏ませない。6回1失点で降板したが、内容は勝ち投手と同等。タイガース打線は大竹のチェンジアップに苦労していたが、7回裏、ついに同点に。桜井のプロ入り初めてというライトスタンドへのソロホームランで追いついた。タイガースはアッチソンにつないで抑える。8回裏、大竹から平野が内野安打、代打浅井が送って鳥谷が四球を選ぶ。ブラウン監督はここでシュルツを投入、金本のセンター前に抜けそうな当たりはショートの小窪のグラブに収まり、二塁ベースを蹴りながら一塁送球でダブルプレー。自分への怒りか金本はヘルメットを叩きつけ、手袋を投げつけ、ベンチ前のついたてを蹴り、バットを叩き追って通路に投げるというめったに見せない大暴れ。これで緊張感が走ったか、9回表に登板した藤川は小窪の二塁打と石原、東出への死四球で2死満塁としたが、赤松を空振り三振に切って取って難を逃れた。9回裏、三番手横山から先頭の新井が食らいついてセンターへ運ぶヒットで出ると、葛城のバントは横山が二塁に送ってフィールダースチョイスに。桜井がきっちりとバントを決め、代打ブラゼルは敬遠。ここで切り札桧山が登場。あわや三振かというファールも猛アピールで判定を覆し、センター赤松の前にライナーをとばす。赤松はショートバウンドで好捕、三塁走者の新井は猛然とホームに走りホームイン。ノーバウンド捕球か確認できなかった葛城と赤星が帰塁しようとするのを山脇コーチと桧山が大きなアクションで走らせてそれぞれ次の塁に到達した時点でサヨナラ勝利が決まった。ヒーローインタビューは桧山と桜井。翌日観客に配布される黄色いTシャツを着て観客にアピールをした。
◎カープ17回戦……8−2
下柳がいきなり先制された。初回、苦手のフィリップスにヒットを打たれると、栗原に初球をレフトスタンドに運ばれて2点を失う。しかし、以降はのらりくらり投法で5回まできっちりと抑えたのはさすが。カープの先発は21歳の今井。初回に平野が歩いて大和が送り、鳥谷の左中間への二塁打で1点差となるホームを踏んだ。しかし、今井は球威があり、タイガース打線は2回以降沈黙。二番手筒井が7回表に東出にヒットを許すと、好調フィリップスに対してアッチソンを投入。見事三振に打ち取った。7回裏、好投の今井を大事を取って降板させたブラウン監督は前日打たれた横山を投入したが、これが裏目に出た。1死後、葛城が四球を選ぶと桜井と矢野が連続してセンター前に弾き返して満塁に。代打桧山が三番手シュルツから押し出しの四球を選んで同点に。さらに平野はライト線への二塁打で2点を追加し、浅井もセンター前に2点タイムリーでこの回一挙5点の猛攻。8回裏には四番手牧野から桜井が二塁打を打ち、矢野がレフトスタンド最上段に運ぶ2ランで試合を決めた。タイガースは8回からベテラン金村暁と新人西村という継投でカープ打線を抑えて勝利をつかんだ。ヒーローインタビューは桐蔭学園高校で同級生だったという浅井と平野(浅井がエースで平野がキャプテン!)。この日も黄色いTシャツを着用してのインタビュー。スタンドは配布されたシャツを着た観衆で真っ黄色に染まっていた。
愛すれどTigers週間MVP
投手……スコット・アッチソン 大事な場面のリリーフで、リードしていてもビハインドがあっても無失点で抑える好投を見せた。試合を崩さないセットアッパーとして、昨年同様夏に強い男である。
野手……桜井広大 ホームランに犠牲フライ、つなぐヒットに送りバント。要求されたことにきっちりと応え、連続勝ち越しの原動力となった。このままブラゼル復帰後も定位置をつかめるように期待したい。
次節は横浜球場のベイスターズ戦でロードが終わり、甲子園に帰ってきてジャイアンツ戦が待っている。ベイスターズを叩いてなんとか夏の長期ロードを勝ち越しで決めてほしい。そしてその勢いでジャイアンツを倒してほしい。クライマックスリーズという目標があるのだから、それをモチベーションにして勝ち続けてくれれば……。
(2009年8月24日記)