愛すれどTigers


ジャイアンツにまた勝ち越し、3位を狙う位置に

 今節は横浜球場でのベイスターズ戦と甲子園に戻ってのジャイアンツ戦。ベイスターズには苦手の三浦にはやられたものの危なげなく勝ち2勝1敗。ジャイアンツにも谷間の先発阿部が打たれたが、安定感のある試合ぶりで2勝1敗。これで5カード連続勝ち越しで、勝率5割と3位の座が徐々に近づいてきている。先発が踏ん張れば打線が足をからめながらつないでいく。真弓監督が開幕当初から目指していた野球ができるようになってきた。今節は4勝2敗。通算では50勝58敗4分、勝率.463。首位ジャイアンツとは19.0ゲーム差の4位。3位スワローズとの差は5.0ゲーム。

◎ベイスターズ16回戦……4−3
 初回、ベイスターズ先発の寺原から鳥谷のライト前にぽとりと落ちるヒットと、金本の一塁ゴロを一塁手佐伯が大きく弾くエラーでチャンスを作り、新井の打席で寺原が暴投。新井のショートゴロは一塁に全力失踪した新井の足が一瞬早くタイムリー内野安打となった。ただ、寺原は速球に威力があり、縦に割れるスライダーのコントロールもよく、2回以降はおよそ得点できそうにない感じであった。安藤は球が高めに浮くことが多く、2回裏、佐伯に同点ソロホームランをライトスタンドに運ばれ、6回裏にはセンター前ヒットの下園を塁に置き、伏兵藤田にレフトスタンドに運ばれる勝ち越し2ランを浴びた。7回裏、二番手金村暁はいきなり佐伯と吉村の連打でピンチを作るが、石川のバントを動きよく捕り三塁で封殺。続く寺原のバントは捕手の狩野が直接素手で捕球して三塁封殺。左打ちの下園に対して三番手江草が登板し、一塁ゴロに切ってとった。8回表、先頭の赤星がレフト線に二塁打を放つと、続く鳥谷は四球。金本の当たりはライトのフェンスの一番上に当たる長打コース。ところが赤星はライト吉村の動きに惑わされて三塁でストップしてしまった。新井のレフトへの犠牲フライで1点差としたが、期待のブラゼルは三振。しかし、桜井が三塁ファールラインの横をぎりぎりかすめるレフト線への2点二塁打を放ち、逆転に成功した。こうなるとベイスターズはもろく、8回にはアッチソン、9回には藤川が登板して逃げ切った。リリーフ投手に不安がありどんな危機でも寺原を交代させられなかったベイスターズ首脳の苦しみが伝わった試合である。ヒーローインタビューは桜井。
◎ベイスターズ17回戦……9−3
 ベイスターズの先発は予想と違い左腕のウォーランド。少し荒れ気味に入ってくる速球にタイガース打線はてこずる。タイガースの先発岩田は立ち上がり2回続けて先頭打者にヒットを打たれる苦しい投球。4回裏、内川のヒットとジョンソンの四球でピンチになり、佐伯にライト前に外のスライダーをうまく運ばれて1点先制された。5回表、先頭のブラゼルがセンターバックスクリーンに同点の一発を叩き込むと、桜井と狩野が連続でセンター前に運び、岩田の送りバントはサードジョンソンの緩慢な動きに助けられ内野安打となり無死満塁。ここで真弓監督は勝負を賭ける。平野に代打高橋光を送った。高橋光はライトに勝ち越しの犠牲フライを打ち作戦成功。二塁走者狩野は三塁に。赤星もレフト前に運んで3点目。岩田も一気に三塁まで走る。鳥谷のセンター前タイムリーで4点目。金本が四球で満塁に。ここで交代した二番手高崎から、新井がセンター前に打ち返す2点タイムリーで6点目。そしてブラゼルが1イニング2本目となる3ランをライトスタンドに。この回なんと一挙9点というビッグイニングとなった。ベイスターズはこのあと桑原謙、工藤とつないできっちり抑えただけに痛恨のイニングということになるだろう。岩田は7回裏、代打桑原義にプロ入り第1号となるソロホームランを打たれたが、8回まで投げきったところで9回から西村にスイッチ。山崎をショート鳥谷の悪送球で生かし代打下園に二塁打を打たれて3点目を与えたが、最後の打者内川を三振に打ち取り試合を締めた。1イニング2本塁打は2006年5月のラロッカ(S)以来。タイガースでは過去山内一弘、ウィリー・カークランド、掛布雅之が記録したのみ。ヒーローインタビューはブラゼル。ここで1発目の後で第1子が誕生したことがファンの前で明かされ「コングラチュレーションズ!」と祝福を受けた。なお、この勝利でタイガースは今季の夏の長期ロードの勝ち越しを決定づけた。
◎ベイスターズ18回戦……1−4
 苦手三浦の立ち上がりを攻める。初回、赤星が四球を選び、平野のバントで進塁。鳥谷凡退のあと金本は四球。新井のライト前ヒットで赤星は一気にホームを突くが、ライト吉村の好返球とキャッチャー細山田の堅いブロックに阻まれてアウトに。足がベースに入ったように見える微妙な判定で惜しくも先取点は取れず。久保は初回から安易した投球でベイスターズ打線を抑えていたが、4回裏、先頭のジョンソンを歩かせ佐伯のヒットでピンチに。吉村は三振、石川はスクイズを仕掛けてきたが久保が捕球即本塁へトスといういい動きの守備でピッチャーゴロにうちとり2死一二塁とし、細山田は敬遠気味の四球で満塁に。ここは三浦を三振に打ち取り切り抜けた。しかし7回裏、1死から三浦が内野安打で出塁すると、下園にもヒット。藤田のファーストゴロで2死二三塁となり、森笠には敬遠気味の四球。ジョンソンにはフルカウントから渾身の低めの球をボールと判定されて押し出し四球でまず1点。打者佐伯のところで江草にスイッチしたが、またもや押し出し四球で2点目。続く吉村には手首に死球。打ちにいったのではないかと真弓監督が抗議したが、判定は覆らず3点目。石川にも押し出し四球で4点目。この日の球審山本はかなり両サイドに辛く、決め球をボールと判定されてそこから両投手のリズムがおかしくなった。8回表、代打桧山がライトフェンス直撃の二塁打。この時、ライトスタンドの観客がフェンスから落下して重体という事件が。この間に三浦は立ち直り、2つの内野ゴロで桧山は三塁に進み鳥谷のライト前タイムリーでなんとか1点を返したが、最後まで投げきられて対三浦通算40敗目を喫した。
◎ジャイアンツ19回戦……5−1
 タイガースの先発はジャイアンツキラーの能見。4回表に先頭の阿部に二塁打を打たれてラミレスのレフト前ヒットで三塁に進まれ、亀井へのショートゴロ併殺崩れの間にホームインされてしまい1点先制を許す。しかし、タイガースは5回裏にかつては苦手としていた内海から新井がヒット。桜井のセンター前ヒットで新井は一気に三塁に進む。狩野はスクイズを試みるがファールで失敗。ところが次の球をレフトスタンドに運んで逆転の3ランホームランとしたのだから何が幸いするかわからない。6回裏には大和が投手のエラーで出塁すると鳥谷のライト線への二塁打で長躯ホームイン。内海はこの回限りでKO。7回裏、二番手の豊田から桜井が二塁打を放ち狩野のバントで三塁に送る。ここで三番手に藤田が登板。代打桧山は打ち取られたが、続いて繰り出した代打高橋光がレフト前に運びダメ押しのタイムリー。能見は7回を投げ切ると、8回はアッチソン、9回は藤川と点差はあるが必勝リレーで逃げ切り。9回表に代打高橋由が今季初登場したが、藤川の前に見逃しの三振。翌日腰の手術をすると発表した。高橋由の現役最後の打席がこの試合ということにもなりかねないので、特記しておこう。ヒーローインタビューは狩野、能見、桜井。
◎ジャイアンツ20回戦……5−7
 タイガースの先発阿部は初回、坂本のヒット、松本のバントなどでピンチに。ランナーを三塁に置きラミレスに犠牲フライを打たれた。続く2回表には阿部のレフトスタンド最前列へのソロホームランで2点目を失う。しかしタイガース打線は苦手グライシンガーにくらいつく。2回裏、二塁打の金本とヒットのブラゼルを塁に置き、桜井が高いボール球を叩きつけるように打つレフト前タイムリーで1点差とし、さらに投手の阿部がライト前に落とす同点タイムリー。これで流れがきかけたかと思われた。しかし、阿部はこらえきれない。3回表、ヒットの松本を置いてラミレスに2ランをレフトスタンドに放り込まれた。さらにヒットの阿部を置いて脇谷がライトのフェンスに当たる三塁打でさらに1点追加。この1点が効いた。タイガースは5回裏、狩野と赤星のヒットでチャンスを作り、鳥谷がライト前にグライシンガーの速球を打ち返して1点を返す。しかし直後の6回表、三番手の金村暁は先頭の脇谷に不運なセンター前テキサスヒット、鶴岡のサードゴロも当たりが鈍く内野安打に。坂本のセンター前タイムリーでまた3点差とされた。それでも7回裏、二番手山口から二塁打の鳥谷を新井がライト前タイムリーで返してまたまた2点差に。だのに四番手筒井は8回表に二塁打の脇谷を谷のヒットで返されてまたまた3点差。8回裏、ジャイアンツ三番手の越智から桜井がレフトスタンドにぶち込むソロホームランで2点差。ただ、反撃もここまで。アッチソン投入で流れを変えようとしたが、9回裏、クルーンに三者凡退に打ち取られ逃げ切られた。
◎ジャイアンツ21回戦……3−1
 ジャイアンツの先発は高橋尚。初回2死から鳥谷が弾丸ライナーでライトスタンドに運ぶ先制ソロホームランを放つ。しかしタイガースの先発下柳は2回表にピンチを迎える。先頭の谷のセカンドフライを平野が落球、阿部のヒットで三塁に進まれ、脇谷のショートゴロ併殺崩れの間に谷がホームインして同点に追いつかれた。試合は同点のまま中盤に。5回裏、2死から平野がセンター前ヒットで出るとすかさず盗塁。鳥谷が歩いて金本がセンター前にタイムリーを放ち勝ち越しの1点をあげた。下柳は6回表、ラミレスと谷に技ありのヒットを打たれてピンチを作るが、阿部と脇谷を落ち着いて打ち取りリードを保ったまま7回からアッチソンに交代。アッチソンが難なくジャイアンツ打線を抑え、8回裏にはタイガース打線が二番手木村正を攻める。鳥谷が左中間を割る二塁打で出ると、金本の浅いライトフライで三塁を陥れ、新井のレフトフライもラミレスの捕球体勢や肩などから瞬時に判断してタッチアップ。ダメ押しといっていい得点をあげた。9回表は藤川が3人で切ってとって逃げ切る。これでジャイアンツとは4カード連続の勝ち越し。また、8月の月間勝ち越しも決めた。ヒーローインタビューは金本と鳥谷。クライマックスシリーズ進出をファンに誓った。

愛すれどTigers週間MVP
投手……能見篤史 堂々たるジャイアンツキラー。なんとこの試合で4連勝。今季8勝目で、プロ入り初めての二ケタ勝利も射程圏内。マウンドさばきにもエースの座をうかがう余裕が出てきた。
野手……鳥谷敬 とにかく絶好調。ホームランもそうだが、積極果敢な走塁がチームに活気をもたらしている。3位進出への牽引車となれるか。

 次節は3位のスワローズと甲子園で3連戦。そして5位のカープとマツダズームズームで3連戦。どちらも現在の順位と直接関係するチームだけに、ここまでの勢いを持続しつつ大型連勝を期待したいところだ。そのためには谷間の先発投手に誰をあてるかが鍵になってくる。私は二軍で好調な上園あたりにチャンスを与えてほしいと思うのだが。

(2009年8月31日記)


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