甲子園でのスワローズ3連戦は、Aクラス入りに向けての重要な直接対決。打線が活発に働いて2勝1敗と勝ち越し。マツダズームズームスタジアムでは1ゲーム差に迫ってきている相手をなんとか突き放したい3連戦。こちらは投手陣の踏ん張りで2勝1敗とこれも勝ち越し。7カード連続の勝ち越しで、通算勝敗数も少しずつ5割に近づいてきた。桜井、ブラゼルの負傷など、好調の選手が欠場する試練もあるが、浅井、葛城ら代役がそれぞれに活躍し、チームの勢いは止まらない。今節は4勝2敗。今季通算54勝60敗4分、勝率.474。首位ジャイアンツと20.0ゲーム差の4位。3位スワローズとは2.5差。5位カープとは2.0差。3位争いがこれから最終戦まで激しく続いていくことになるのだろう。今節はその幕開けに過ぎない。
◎スワローズ16回戦……6−1
スワローズ先発は苦手とする館山。しかし、初回に鳥谷が先制パンチを食らわせた。2死から速球を打ち返してライトスタンドにソロホームランを放つ。安藤は2回表1死から宮本、川島慶、相川の三連打で満塁とされる。しかし、館山のスクイズはワンバウンドでキャッチャーの矢野が素手で捕りホームベースを踏んでホームアウト、一塁に送球してダブルプレー完成。ピンチを切り抜けた。4回裏、ヒットの平野を塁に置き、金本がレフトポール際のスタンドに技ありの2ランを叩きこむ。さらに新井のヒットとブラゼルの四球でチャンスを作り、矢野のセンター前に落とすタイムリーで4点目を取った。6回表、安藤は青木とデントナの連打でピンチを作ったが、ガイエルがセカンドゴロ併殺に打ち取り、その間に青木が生還した1点のみでしのいだ。6回裏、金本がヒットで出塁すると、新井のセンターフェンス直撃の二塁打で金本は長躯ホームインし、さらに2死後、安藤にあえて代打桧山を送ってセンター前にタイムリーが出、この回2点を奪って試合を決定づけた。楽勝かと思われたが、7回に登板した金村暁は無難なピッチングでベテランらしさを披露したのに対し、8回表の江草は3四球で満塁としてしまい、アッチソンが相川を三振にとって難を逃れ、9回表は阿部が無死から2人連続で四球を出し、急遽藤川を投入。藤川は田中、青木、デントナを三者連続三振に打ち取って試合を締めた。阿部は翌日二軍落ち。ヒーローインタビューは4打数4安打の新井。なお、2回表に宮本のファールフライをスライディングキャッチしようとした桜井が、その際ふくらはぎに肉離れを起こして途中交代、そのまま登録抹消となってしまった。
◎スワローズ17回戦……9−4
スワローズの先発は今季初登板の増渕。先初投手陣の苦しいやりくりがみてとれる。2回裏、新井とブラゼルの連打でチャンスを作り、桜井の代役で先発出場の葛城がライトフェンスのラバーの間に挟まる二塁打で新井を返し先制、狩野が歩いて満塁とし、岩田のライトへの犠牲フライでブラゼルがホームインして2点を先行した。なおも3回裏には四球の金本を置いてブラゼルがレフトスタンドの流し打ちの2ランで2点追加。3回まで完璧な投球のタイガース先発岩田は4回表に田中にライト線に二塁打を打たれ、デントナのレフト前タイムリーで1点を返された。しかし、5回裏、金本が四球で出塁、2度のワイルドピッチで三塁まで進むと、新井、葛城も四球で満塁。狩野は初球、レフトポール際の惜しいファールを放ち、運がなかったかと思われたが、3球目にレフトの頭を越す走者一掃の二塁打で3点を追加し6点差とした。岩田は直後の6回表、また田中にライト前ヒットをうたれ、そこから傷口を広げる。青木もヒットで続き、飯原のレフト線への二塁打でまず1点、続く宮本にはセンター前に岩田のグラブをかすめるピッチャー返しのヒットを打たれ2者が生還して3点差に迫られた。それでもタイガースの勢いは止まらない。6回裏、二番手松井から赤星が二塁打、平野のセフティーバントが犠打となり三塁に進む。鳥谷はきれいに内角速球をふりぬいてライトスタンドに3試合連続となる2ランを叩きこんでスワローズを突き放した。タイガースは8回に金村暁、9回に筒井とリリーフを投入し、逃げ切った。なお、4回裏に狩野が今季10個目の盗塁を決め、捕手専任としては1950年の徳網茂さん以来の捕手による二ケタ盗塁というチーム記録を作った。ヒーローインタビューは狩野と鳥谷。狩野にABCの楠アナウンサーが「ツバメの尻尾を捕らえましたね。今はどこが見えています?」と問われて「背中が見えてきました」と答えが返ってきた。これで6カード連続の勝ち越しが決まった。
◎スワローズ18回戦……2−4
スワローズはセットアッパーの五十嵐とクローザーのイムが腰痛で登録抹消。先発の石川は最初から一人で投げぬく覚悟での登板となった。タイガースの先発は久保。4回表、1死からデントナを歩かせガイエルにセンター前に運ばれ宮本に四球を与えて満塁に。川島慶のライトへの犠牲フライで1点を先制された。しかし4回裏、タイガースも反撃に転じる。先頭の金本が右中間へ二塁打を放つと、新井のライト前ヒットで金本は三塁へ。ブラゼルのピッチャーゴロで金本が三塁から飛び出し、三本間にはさまれタッチアウトに。その間に新井とブラゼルはそれぞれ三塁と二塁に進む。浅井が歩いて満塁になり、狩野のショートゴロ併殺崩れの間に新井がホームインして同点に追いついた。久保は直後の5回表、ヒットと盗塁の福地を置いて青木が勝ち越しのタイムリーヒットをライト前に落とす。さらに6回表、ガイエルにライトポール際に大きなソロホームランを叩き込まれて、久保はこの回限りで降板。二番手の金村暁は安定した投球で7回をしのいだが、8回表に登板した三番手江草が簡単に2死をとったあと、ガイエルの四球、宮本のレフト前に落とすヒット、川島慶に四球で満塁とし、相川に押し出しの四球を与えてしまう。タイガース打線は石川のシンカーに手を焼いていたが、8回裏、二塁打のブラゼルを置いて狩野がライト前にタイムリー。流れをつかみかけたかに見えたが代打高橋光はのけぞってよけた球をストライクと判定されて三振。真弓監督の猛抗議も実らず。石川は必死の投球で最後まで投げぬき、リリーフ陣崩壊の危機にエースとしての意地を見せつけた。
◎カープ18回戦……2−0
カープの先発は苦手のルイス。初回、立ち上がりを攻める。平野のヒットと金本の四球、新井のサード内野安打で2死満塁。ここでブラゼルがライト前に強烈なライナーで2点タイムリーを放った。2回以降はカープにタイミングが合わずチャンスらしいチャンスを作ることもできなかっただけに、この2点先取は大きかった。タイガースの先発はまだマツダズームズームスタジアムで1点も取られていない能見。低めに速球が決まり、カープ打線は手も足も出ず。しかし疲れの見えてきた8回裏、石原と東出のヒットで1死一二塁のピンチを作ると、真弓監督は迷わず藤川を投入。赤松を三振、フィリップスは歩かせて満塁としたが、栗原を3球すべて速球を空振りさせての三振。9回裏もマクレーン、廣瀬を連続三振に打ち取り小窪をサードゴロに仕留めて完璧な抑え。これで5位カープとの差は2.0ゲームと広がり、スワローズがジャイアンツと引き分けたため3位との差は3.5ゲームとなった。ヒーローインタビューは藤川。
◎カープ19回戦……2−5
カープの先発は齊藤。タイガースは福原。谷間の先発候補に前半戦不調のベテランをもってきた。お互い3回までは好投し、投手戦かと思われたが、4回表に均衡が破れた。平野と金本のヒットでチャンスを作ると、新井が左中間を破る2点タイムリー二塁打でタイガースが先制する。しかし、福原は4回裏、ヒットの小窪を置いて栗原にレフトスタンドに飛び込む大きな2ランホームランを打たれて同点。5回裏には天谷のセンター前ヒットと倉の内野安打のあと、齊藤に送りバントを決められ、東出の一塁手の頭をこす内野安打で勝ち越され、小窪を歩かせて満塁とし、フィリップスの三塁ゴロ併殺崩れの間に2点目を入れられた。6回まで齊藤に抑えられ、カープは林、シュルツを1回ずつ投入して逃げ切りを図る。タイガースも6回から金村暁、筒井とつなぎ、8回にアッチソンを投入。二塁打のフィリップスとヒットのマクレーンを塁に置き、廣瀬のタイムリーでさらに1点を失った。天谷にいい当たりのショートライナーを打たれたところで真弓監督はアッチソンを降板させ、アッチソンは憮然とした表情でベンチに。最後は桟原が倉を三振に取って味方の反撃を待った。しかし、9回表、切り札永川の前に三者凡退。カープとの差はまた1.0ゲームに縮まった。なお、2回表にブラゼルが併殺打を打った際、打席で左膝をひねって立てなくなり、退場。登録は抹消せず、翌日帰阪。貴重な大砲の欠場はここにきて痛い。
◎カープ20回戦……4−1
先発の下柳は、初回は2死満塁のピンチをしのいだが、2回裏、先頭の赤松を歩かせ、倉のヒットで一三塁のピンチ。今井は三振にとったが、東出にレフトの浅いフライを打たれ、ファールゾーンぎりぎりで捕った金本が懸命にバックホームするも俊足赤松がホームインして1点を失う。さらに小窪にヒットを打たれたころで真弓監督はなんと早々と下柳を降板させ、桟原を投入し、フィリップスを三振に打ち取り最少失点にとどめた。桟原は4回まで投げきり金村暁にスイッチ。金村暁も5回裏をきっちり抑え、味方の反撃を待つ。カープの先発今井には前回もてこずったが、この試合でも前半は速球にタイミングが合わず各打者は凡打の山を築く。しかし6回表、先頭の平野のピッチャー返しの打球がセンター前に抜けると、鳥谷も流し打ちをうまく決めてレフト前ヒット。続く金本もヒット性の当たりだったが一塁栗原のジャンピングキャッチに阻まれライナーアウト。ツキはないかと思われたが、新井が倉捕手の配球を読みきり内角への速球をレフト線に引っ張り、走者一掃の三塁打。さらに二番手小松から浅井がセンター前に落とすタイムリー。2点差となるこのタイムリーは大きかった。6回裏からアッチソンを投入した真弓監督の勝ちに行く意思に応え、7回表、二塁打の赤星を平野がバントで三塁に送り、鳥谷の浅いレフトフライで一気にホームを突いてダメ押しの4点目を追加。カープ打線は気力を失ったかのように7回裏もアッチソンの前に三者凡退。8回からは藤川が2イニングをまたいでの救援。打たせてとる省エネ投球で完全にカープ打線を抑え込んでこのカードも勝ち越しを決めた。ヒーローインタビューは2年越しで移籍後初勝利をあげた金村暁。
愛すれどTigers週間MVP
投手……金村暁 毎回、リードされた試合で中継ぎ登板し、きっちりと試合を作りバトンタッチという登板が続いていたが、その働きがついに実り、移籍後初勝利が転がりこんできた。ロングリリーフもできる存在だけに、今後の3位争いに欠かせぬ貴重な戦力。
野手……新井貴浩 時にはチャンスメーク、時にはつなぎ、時には先制タイムリー、そして逆転タイムリーと今節は着実に結果を出した。カープ戦の勝ち越しが決まったとき、「面白くなってきましたね」と微笑んだという。自信を取り戻した主砲に今後も期待。
次節は甲子園で6連戦。前半は下降気味のドラゴンズ、後半は比較的得意とするベイスターズ。大型連勝よりも、とにかくカード勝ち越しを今後も続けて最後の最後でスパートをかけるような戦い方を望む。
(2009年9月7日記)