愛すれどTigers


岩田完封、ついに3位に浮上!

 甲子園での6連戦。ドラゴンズ戦はチェンと吉見の前に打線が封じられ、岩田の完封でお返ししたものの1勝2敗。ベイスターズ戦は懸案の土曜の谷間で福原が失敗して2勝1敗。今節は3勝3敗。また、赤星がジャンピングキャッチを試みて負傷し登録抹消となるなど、苦しい状況になってきた。それでも育成枠出身の新人野原祐がプロ入り初安打、初先発出場をしてチームに活気を与え、スワローズが8連敗してくれたおかげで5月15日以来の単独3位に浮上した。今季通算57勝53敗4分、勝率.475。首位ジャイアンツとの差は21.5ゲーム。4位スワローズとは0.5差、5位カープとは1.5差。

◎ドラゴンズ18回戦……0−7
 安藤とチェンの投手戦で始まったが、4回表に試合が動いた。高めの球を荒木がセンター前に打ち返すと、ブランコがライトスタンドに高めを力で運ぶ。この2点で食い止めておけばよかったのだが、和田に二塁打、井上に四球、英智にもセンター前に落とされて満塁とされ、谷繁にやすやすとライトへ大きな犠牲フライを打たれ3点目を失った。7回表、先頭の井端にセンター前に弾き返され、荒木のバントで二塁に。森野のヒットで一三塁となり、ブランコのライト前に落ちるタイムリーで1点を追加された。真弓監督はここで安藤をあきらめ桟原にスイッチ。桟原は期待に応えて和田を併殺に切って取った。8回からは新人西村が登板。8回表にはかわりばなの先頭打者小池にレフトスタンドにソロホームランを打たれ、9回表にはヒットの荒木を置いて森野、ブランコの連続タイムリー二塁打で2点を失い、7点という大差がついてしまった。タイガース打線は初回に鳥谷の内野安打と金本の四球でチャンスを作るも新井は三塁ファールフライ。2回裏に矢野がセンター前にヒットを打った後は完全に打線が沈黙。ボール球を振らされ三振の山を築き、終わってみれば3回以降一人もランナーを出せないまま完封負けを喫してしまっていた。
◎ドラゴンズ19回戦……4−0
 タイガースは初回に11日ぶりの先発マウンドに上がった朝倉の立ち上がりを攻める。赤星が高いバウンドでセカンドベースの上を通るゴロを叩きつければ、荒木が懸命に守ったものの内野安打となる。平野が送り、鳥谷が左中間を破る二塁打を放って1点先制。金本と新井が連続で四球を選び、葛城三振のあと林が右中間を突破する走者一掃の三塁打で3点を追加した。2回以降、朝倉が立ち直り、タイガースの打線も追加点を取れなかったのだから、それだけに林のタイムリーは大きかった。投げては岩田が切れのよいスライダーと落ちる球を駆使してドラゴンズ打線を3安打無失点、12奪三振の快投で完封勝ち。ヒーローインタビューは岩田と林。岩田は第2子誕生をファンの前で報告、暖かい拍手に包まれながらのインタビューであった。
◎ドラゴンズ20回戦……2−4
 タイガースの先発久保は立ち上がりを攻められた。初回、荒木、森野の連打で1死一三塁とし、ブランコのレフト前ヒットで1点先制される。2回表にも2死二三塁のピンチを招くが、ここは荒木をセカンドゴロに打ち取り乗り切った。すると2回裏、ドラゴンズ先発吉見から金本と新井が連打で無死一三塁のチャンスを作り、葛城のセカンドゴロ併殺の間に金本がホームインして同点に追いついた。3回表、ドラゴンズは森野がヒットで出塁し、狩野がワンバウンドの投球を弾いたときになんと三塁まで一気に陥れようとしてアウトになるなど拙攻が続く。これがタイガースへの流れになかなかならない。4回表、英智の打球はセカンドの頭上を襲いライト前に落ちるかに思われたが平野が回転レシーブで好捕。波に乗るかというところで谷繁にセンターバックスクリーンへの勝ち越しソロホームランを打たれて再びリードを許した。5回裏、四球の平野を塁に置き鳥谷がセンター返しのゴロを打つが、打球は荒木の真正面。しかし、名手荒木はこれをトンネル。平野は三塁に進んだ。続く金本の打球はライトスタンドまであと少しという大飛球。これをライトの井上に好捕され、平野がタッチアップでホームインして同点に追いついたものの後続を断たれた。タイガースは4回裏のチャンスで久保に早々と代打桧山を送り、早めの継投。金村、アッチソンとつないだが7回表にアッチソンがつかまった。先頭のおい智がヒット、谷繁が送り井端が内角低めの球をうまくセンター前に打ち返し1点差をつけられた。9回表、五番手桟原が荒木のタイムリーでダメ押しの1点を失い、タイガース打線は尻上がりによくなる吉見を打ちあぐね、8回からは浅尾、岩瀬の必勝リレーの前にランナーを出しながらも決定打が出ず、そのまま逃げ切られた。カープがスワローズを破ったため、1.5ゲーム差の中に3〜5位の3チームが詰まる大乱戦となってきた。タイガースの連続カード勝ち越しは7でストップ
◎ベイスターズ19回戦……2−1
 ベイスターズ先発グリンから2回裏に金本がまず一発。バックスクリーン左に運ぶソロホームランを放った。さらに2死後、浅井がレフトスタンドにソロホームラン。ただ、3回以降はグリンの前に得点できず。タイガースの先発能見は安定した投球で5回までほぼ完全に抑え切っていたが、6回表に2死から仁志と内川に連続二塁打を打たれて1点差とされた。しかし、後続を断ち8回にはアッチソン、9回には藤川を投入する盤石リレー。見事に逃げ切った。ヒーローインタビューは能見。能見は自身初めてのシーズン10勝を成しとげ、3位スワローズとの差は0.5に縮まった。
◎ベイスターズ20回戦……2−4
 午前中からの雨で試合開始時間を48分ずらしてなんとか試合開始。営業のことを考えての措置だったのだろうが、これがかなり大きな打撃を与えた。タイガースの先発福原は2回までは快調な出だし。しかし、3回表に山崎、下園、藤田に四球を与え2死満塁として内川に右中間に痛烈な打球をとばされ、ダイビングキャッチを試みた赤星をすりぬけるように右中間の深いところまで転がり三塁打とされ、3点先制された。このプレーで赤星は腰をやられて自力で立ち上がることもできずトレーナーにおぶわれて退場。翌日より登録抹消となった。長期療養も考えられる大きなプレーになってしまった。タイガース打線はベイスターズ先発のランドルフを打ちあぐねる。4回裏に先頭の関本が死球で出塁、浅井のレフト線への二塁打でチャンスを作り、狩野のショートゴロの間に1点を返すが、続く代打高橋光はレフトフライで打線がつながらない。5回裏には平野の内野安打と鳥谷のセンター前ヒットで1死一二塁とし、金本の右中間の二塁打で平野が生還し、鳥谷も一気にホームを突くが本塁で憤死。新井が凡退して1点差にとどまった。ここで追いついていたらその後の展開も変わっただろう大きな憤死だった。福原は3回で降板し、筒井、江草が好投して追加点を阻んだが、江草は2イニング目となる6回表に内川、佐伯のヒットと吉村への死球で2死満塁として金村暁にスイッチ。金村暁は山崎にセンター前にタイムリーを打たれて2点差をつけられる。ベイスターズは真田、山口とつないで逃げ切り。タイガースは一時見られた打線のつながりを欠き、育成枠出身の新人野原祐のプロ入り初安打が9回裏に出るなど見どころはあったもののまさかの敗戦。懸案である土曜の谷間先発の問題はまた未解決に終わった。
◎ベイスターズ21回戦……2−1
 負傷で離脱の赤星に代わり、野原祐が一番センターでプロ入り初先発。早速初回にセンター前にヒットを放ち、センター金城が打球処理に手間取る間に二塁まで陥れた。しかし、ベイスターズ戦発小林の前に金本が三振するなどで先制点は取れず。下柳はのらりくらり投法で内野ゴロを次々と打たせて取っていたが、3回表に先頭の石川にレフト線に三塁打を打たれると、続く武山にセンター前に落ちるタイムリーを打たれて1点を先制された。タイガース打線は4回裏、先頭の鳥谷がライト前にヒットを放つと、続く金本もライト線に転がる二塁打で無死二三塁。打者新井の時に小林が暴投、鳥谷が生還して同点に追いついた。新井が歩いて一三塁とし、林はピッチャーゴロ。小林はバックホームせず二塁に送球、併殺崩れとなって三塁走者の金本が生還し、逆転した。しかし、後続を断たれ、追加点はならず。下柳は6回まで投げぬくと、アッチソンにスイッチ。アッチソンは2イニング、9回表には当然藤川がマウンドに。ヒット1本にきっちり抑えて逃げ切った。野原祐は2安打。しかし、打線は一時よりも低調で、投手陣の踏ん張りでなんとか勝った試合である。スワローズの敗戦で、この試合の結果単独3位に浮上。ついにクライマックスシリーズが現実のものとなってきた。ヒーローインタビューは藤川とアッチソン。なお、この試合で金本が通算二塁打398本を記録し、野村克也(H,O,L)を抜いてプロ野球歴代単独10位になった。

愛すれどTigers週間MVP
投手……岩田稔 第2子長女誕生の日に完封勝利。前日チェンに完封をされて重い空気になったチームを一気に晴れやかにした。解説者の福本さん、有田さんら往年の名選手たちが口をそろえて「能見と岩田の二本柱が中心」というほどの安定ぶりである。
野手……金本知憲 状態は決してよくないが、ここぞというときの集中力はさすが。少し不振になりかけた鳥谷や新井を引き上げるような働きぶりである。

 次節からは連休の関係で9連戦。今季の対戦勝ち越しをかけて東京ドームでジャイアンツと最後の3試合をし、甲子園でカープ戦、次々節は横浜に移動してベイスターズ戦と続いていく。特にジャイアンツ戦はクライマックス・シリーズであたる可能性のある相手だけに、嫌なムードを作って終わらせたいところだ。また、カープもまだまだ3位はあきらめていないだけに、ここで突き放して3位の足場を固めたい。とにかく負け越し6という数字を一日でも早く勝率五割にもどしたい。関本、桜井が一軍復帰し、ブラゼルの復帰も秒読み段階。浅井も好調。赤星は欠場することになったが、戦力はそうひどく落ちるわけではない。ラストに向けてなりふり構わず戦い抜いていってほしい。

(2009年9月14日記)


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