今節は東京ドームでジャイアンツに2勝1敗と勝ち越し、これで球団史上初の5カード連続勝ち越しを決めた。甲子園に戻ってカープとの3連戦は先発が崩れて1勝2敗。金本が3試合連続ホームランと調子を上げてきた。鳥谷も打棒は絶好調。疲れの見えてきた先発投手陣の奮起に期待したい。今節は3勝3敗。通算60勝66敗4分。首位ジャイアンツとは22.5ゲーム差の3位。同率4位のカープとスワローズには1.5ゲーム差。
◎ジャイアンツ22回戦……5−3
タイガースの先発安藤が3回裏につかまる。2死から松本にレフト前にヒットを打たれ、続く小笠原の左中間を破る二塁打で俊足の松本が長躯ホームイン。それでもラミレスは三振に取り、許した先制点は1点にとどまった。タイガースはすかさず反撃。4回表、ジャイアンツの先発ゴンザレスから鳥谷の二塁打と金本の四球で2死一二塁とすると、新井のセンター返しの打球は坂本におさえられたものの坂本は送球を迷い、その間に鳥谷が一気にホームを突く。坂本のバックホームも辛うじてかいくぐり同点とした。ところがその直後の4回裏、先頭の亀井を歩かせ谷のヒットでつながれ、阿部の犠牲フライで再び勝ち越される。それでも6回表、鳥谷がレフトスタンドに同点ソロホームランを叩き込むと、金本と新井の連打で1死一二塁とし、林のピッチャーゴロの間に二三塁と進塁、関本のセンター前ヒットで金本が生還して勝ち越し。続いて新井もホームを突いたが、これは惜しくもアウト。それでも安藤は打線の援護に応え切れない。6回裏の先頭打者、阿部にセンターバックスクリーンに同点ホームランを叩き込まれる。タイガースは7回からアッチソン、9回には江草を投入してジャイアンツ打線を抑えれば、ジャイアンツも8回から山口をつぎこんでタイガースに反撃をさせず試合は延長戦に。タイガースは藤川、ジャイアンツはクルーンと両チームとも切り札を投入。11回表、新井のショートゴロを坂本がこぼしエラーで出塁すると、大和が送り、関本のショートゴロで三塁に進む。外野フライでも1点という場面で矢野は軽くミートしたが、これがふわりとライトスタンドに入り2ランホームランとなった。藤川は11回裏、亀井と谷の連打でピンチを作るが、阿部のセカンドライナーを大和が好捕し離塁していた亀井を二塁で刺し併殺。最後は代打古城を三振に打ち取り、逃げ切った。ヒーローインタビューは矢野。
◎ジャイアンツ23回戦……7−6
岩田、東野両先発の調子が悪く、序盤は打ち合いに。1回表、浅井がレフトスタンドに先頭打者ホームランを叩きこむと、平野もレフト前に運び、ラミレスが打球処理を誤る間に二塁に進塁。鳥谷のファーストゴロで三塁に進み、金本のセンターへの犠牲フライで2点目のホームを踏んだ。しかし直後の1回裏、坂本のヒットと小笠原への四球でピンチになり、ラミレスの左中間を破る二塁打でまず1点を返される。谷を歩かせ2死満塁とし、阿部のセンター前タイムリーで2点を奪われ逆転。さらに3回裏にはラミレスと阿部に死球を与え、若い中井にスライダーを狙い打たれてレフトオーバーの2点タイムリー二塁打。3点差は厳しいと思われたが、5回表、二番手木村正から浅井のセカンドゴロは中井がわずかに悪送球して一塁亀井の足がベースから離れセーフに。平野がセンター前ヒットでつなぎ、ここで三番手藤田を投入。鳥谷は左対左をものともせずレフトスタンドに同点3ランをたたきこむ。岩田は勝ちをあせったか5回裏、谷に甘い球を狙われライトスタンドに1点差とされるソロホームランを打たれ、この回限りで降板。しかし、6回から1イニングずつリリーフを投入した真弓監督の継投策が大当たり。6回表に四番手野間口に対し、ヒットの関本を狩野がバントで送り、代打桧山は三振したが浅井がジャンピングキャッチを試みた松本のグラブの先を抜いていく三塁打で同点とし、6回裏は筒井が2三振を含む三者凡退に抑える。7回表、鳥谷のライトへの当たりはふわりと浮いてライトスタンドへ。東京ドームでの1点勝ち越しというきつい場面で7回裏の江草は小笠原とラミレスを三振にとって三者凡退。8回裏のアッチソンは阿部と代打大道を連続三振に取る三者凡退。そして9回裏は藤川が脇谷、、松本ら若い打者たちを三者三振と手玉にとって逃げ切った。これで対ジャイアンツには球団史上初めてという5カード連続勝ち越し。今季の対戦成績も11勝10敗2分で負け越しがなくなり、三位も死守。筒井が今季初勝利。浅井はプロ入り初めてのあわやサイクルヒットという1試合4安打。金本は1400打点を上げてプロ野球史上第11となり、土井正博さんと並んだ。ヒーローインタビューは同点3ランと決勝ソロホーマーの鳥谷。
◎ジャイアンツ24回戦……2−4
タイガースの先発久保は、初回先頭打者坂本を追いこみながら死球。松本のバントのあと、小笠原にライト線へのタイムリー二塁打を打たれて先制を許す。さらにヒットの亀井を置いて谷にレフト前タイムリーを打たれ、2点を先行された。ジャイアンツの先発はオビスポ。とんでもない荒れ球で、死球すれすれの逆球があるかと思えば、コースいっぱいにびしりと決まる速球ありで狙い球を絞れない。しかし3回表、1死から久保がヒットで出塁すると、浅井もレフト前ヒットで続き、平野が歩いて満塁に。鳥谷もよくボールを選んで押し出し四球で1点差に。金本はセンターへの大きな犠牲フライで同点とした。しかし、この試合はそこから一気に攻める勢いがなく、後続を断たれる。同点にしてもらった3回裏、先頭のラミレスにライトスタンド前列に放りこまれるソロホームランでリードを許す。6回表には、鳥谷、金本の連続三振のあと、新井の三振を阿部が後逸して振り逃げとなる。続く林はファールでよく粘ったが結局三振。1イニング4三振という珍記録を作ってしまった。久保は6回裏に谷にライトスタンド前列にソロホームランを打たれ、阿部のヒットと坂本の四球で降板。筒井が後続を断ち、その後も好投、三番手の桟原も三者凡退に押さえるなどリリーフは成功。7回表、関本がヒットで出たが狩野はバントを失敗して結局センターフライ、葛城の打席で代走水田が盗塁死と、ちぐはぐな作戦でチャンスを逸した。ジャイアンツは山口、クルーンと投入してタイガース打線を沈黙させ逃げ切った。これで今季の対ジャイアンツ対戦成績は11勝11敗2分。惜しくも勝ち越しを逃した。
◎カープ21回戦……4−5
先発の能見はプレッシャーがかかっているせいかいつもの余裕が見られない。2回表、ヒットの天谷を小窪の二塁打で返され選手点を取られた。しかし、タイガース打線も負けてはいない。苦手の今井から2回裏に金本がバックスクリーン横に同点のソロホームラン。さらに内野安打の関本とレフトオーバーの二塁打の桜井を置いて、狩野が三遊間に転がし勝ち越しのタイムリー。これで能見が乗るかと思われたが、3回裏、東出のヒット、フィリップスの四球、廣瀬の四球で2死満塁。栗原の打席で能見は暴投し、あっさり同点に追い付かれる。さらに栗原にはセンターオーバーの走者一掃三塁打を打たれ、天谷にもレフト前タイムリーでこの回4失点。真弓監督は能見を5回まで投げさせ、あとは桟原、アッチソン、金村暁、筒井とつないでそれ以上の失点を防いだ。6回裏、鳥谷の四球などでチャンスを作ったタイガースは、今井をKO。青木勇からは関本がレフトスタンドに2ランを叩き込み1点差に。しかし反撃もそこまで。シュルツ、永川の必勝リレーの前に打線が沈黙し、そのまま逃げ切られた。
◎カープ22回戦……3−4
タイガースの先発は今季初登板の上園。初回、さすがに緊張したか東出、石井琢、天谷に三連打を浴び無死満塁。栗原の2点タイムリーツーベースを右中間に運ばれ2点先制された。それでもなんとか後続を断ちこの2点にとどめたのはさすが。そしてタイガース打線もすぐに反撃。前田健から2回裏に金本が2試合連続の6年連続となる20号ソロホームランをライトスタンドに叩き込み1点差とする。さらに3回裏、浅井が同点ソロホームランをレフトスタンドに放り込むと、鳥谷はライトスタンドに勝ち越しソロホームラン。4回裏、1死から狩野がヒットで出たが上園はバントを失敗して併殺打となり、これで流れが変わる。5回まではしっかり抑えて勝ち投手の権利をつかんだ上園だったが、6回表に石原に同点ソロホームランをライトスタンドに運ばれ、この回限りで降板。7回表には江草が石井琢にライト線へ三塁打を打たれると、天谷のセンターライナーで石井琢は一気にホームイン。犠牲フライで1点をもぎ取った。その後は桟原、筒井、藤川とつないでカープの反撃を封じたが、カープも8回からシュルツを投入。8回裏にはチャンスで新井が併殺。永川が登板した9回裏にはいきなり先頭の関本が死球で出塁したが、桜井のバントはキャッチャーフライに。チャンス拡大もままならず惜しい試合を落とした。これで4位カープとの差は0.5ゲームに縮まった。
◎カープ23回戦……14−2
タイガースの先発はジェン。2回表、2死満塁のピンチはルイスをファーストゴロに打ち取り切り抜けたが、3回表にはフィリップスにバックスクリーンに飛び込む先制2ランを打たれてしまう。しかし、タイガース打線は苦手ルイスに対し徹底的に球数を投げさせる粘りの戦法をとり、3回裏、それが実る。狩野のセンター前ヒットを皮切りに、浅井もセンター前に運び、平野の打球もセンターに抜けるかという当たり。二塁手の東出はセカンドベースに目もくれず、一塁に投げるが間に合わず内野安打で狩野が生還して1点差。続く鳥谷はレフト前に同点タイムリー。そして金本がライトスタンドに3ラン。一挙5点で逆転した。ルイスは3回限りで降板。二番手大島には5回裏に浅井のヒットと平野のバント、鳥谷の四球でチャンスを作り、新井の2点タイムリーが右中間に転がった。さらに代打関本もレフト前に2点タイムリー。とどめは桜井のバックスクリーンへの2ラン。とどまるところを知らない打線は7回裏に三番手青木高に襲いかかる。平野と金本のヒットのあと、新井がレフトスタンドにダメ押しの3ラン。今季最多の14得点を記録した。ジェンは大量得点に守られて7回を2失点に抑え、8回からは渡辺が最後まで投げ切り締めた。ヒーローインタビューはプロ入り初勝利のジェンと金本。
愛すれどTigers週間MVP
投手……ジェン・カイウン 先発投手陣が苦しくなってきた中で、3度目の先発で打線の爆発にも助けられて見事プロ入り初勝利。多彩な変化球をていねいに低めに投げ込む。次回の登板にも期待。
野手……浅井良 怪我で欠場中の赤星の穴を埋めて余りある活躍。長打が打てるのと思い切りのいいバッティングが魅力。岡田監督時代にはチャンスをほとんど与えられなかったが、その分を取り返すような活躍だ。
次節は9連戦最後のカードであるベイスターズ戦、1日おいてナゴヤドームのドラゴンズ戦とロードが続く。熾烈な3位争いから抜け出るためには、疲れの見えてきた先発投手陣の建て直しが必要だ。残り試合がわずかになってきた。ラストスパートをかける時がきた。
(2009年9月21日記)