横浜球場でのベイスターズ3連戦。安藤と岩田は勝たねばという重圧からか球が高く、せっかく打線が先制してくれてものびのびと打ってくるベイスターズ打線に打ち込まれてしまう。1勝2敗と嫌な空気になったが、ナゴヤドームのドラゴンズ戦では能見と中4日の奇襲登板である岩田が好投して2勝1敗。この間、スワローズは5連勝してタイガースを追い越し3位に。カープはジャイアンツに3連敗して脱落気味。CS出場権を賭けた争いはタイガースとスワローズの2チームに絞られた。今節は3勝3敗。通算63勝69敗4分。勝率.477.優勝したジャイアンツとのゲーム差は25.5の4位。3位スワローズとは0.5ゲーム差。5位のカープとは3.5ゲーム差。
◎ベイスターズ22回戦……1−8
先制したのはタイガース。天敵三浦から初回に平野の二塁打と鳥谷の四球でチャンスを作り、新井がバットをへし折られながらもセンター前に落ちるタイムリー二塁打で1点先取。ただ、この時に二塁走者鳥谷は三塁にストップ。2死からの打球なのだから、思い切って突っ走る積極性がほしかった。結局この1点だけで三浦を打ち崩せず。1回裏、安藤は金城に先頭打者ホームランをライトスタンドに運ばれあっさり追いつかれる。3回裏には藤田にヒットを打たれ、走られたのにあわてて牽制球の投げ方がおかしくなりボークをとられ、内川のタイムリーで勝ち越し点を与える。続く村田にもヒットを打たれ、佐伯にレフトスタンドに3ランを打たれてこの回4失点。さらに4回裏には石川と武山の連打のあと三浦に大きな犠牲フライを打たれて1失点。ここでマウンドを桟原に譲った。桟原は藤田のセンター前タイムリーでさらに1点を奪われたが、そのあとはしっかり抑える。三浦の前に鳥谷が猛打賞でも金本がノーヒットでは点は取れない。桟原、金村暁と中継ぎはよく抑えたが、いかんせん打線がそれにこたえられない。8回裏、四番手江草は三塁打の石川を三浦の内野ゴロの間に生還させ、決定的な1点を与えてしまった。三浦はタイガースから今季3完投4勝目。なお、この試合で桟原がデビュー以来115試合連続敗戦なしの日本新記録を達成した。
◎ベイスターズ23回戦……2−7
この試合も先制したのはタイガース。3回表、ベイスターズの先発吉川から浅井と平野の連打でチャンスを作り、金本のセンター前タイムリーでまず1点。続く新井もレフト前に運んで2点目が入る。これで試合が動いた。気持ちが守りに入ったか、岩田が崩れる。3回裏、ヒットと犠打で武山を二塁に進め、金城がレフト線へタイムリーツーベースヒット。さらに4回裏、佐伯、吉村の連続二塁打で同点にされ、下園の四球で2死一三塁としまたも金城にレフトフェンスに当たる2点二塁打で勝ち越された。ストライクが入らず、カウントを悪くして球を置きに行って打たれるという悪循環。岩田は6回まで投げ、アッチソンでつないで反撃を待つが、5回から登板の二番手高崎に完璧に抑えられると、例によってあせって悪球に手を出し始め、真田、高宮、木塚とこれまで打ち込んできた投手たちにも凡打の山。8回裏、タイガースの三番手筒井は金城に2ランを打たれ、さらに若い藤田と石川の二塁打で7点目を失い、試合を決定づけてしまった。ベイスターズは5点差でも9回表には山口を投入し、締めくくった。
◎ベイスターズ24回戦……6−3
ベイスターズの先発グリンからまたもタイガースが先制。初回、ヒットの浅井を塁に置き平野がバスターエンドランを成功させ鳥谷の四球で満塁に。金本は三振したが、新井がセンター前に落とすヒットで2点を先制。さらに桜井がセンターオーバーに二塁打。三塁ランナーの鳥谷だけでなく一塁ランナーの新井も一気にホームインして2点を追加する。2回表にはヒットの平野と四球の鳥谷を塁に置いて新井がレフト前、関本がライト前にそれぞれタイムリーを放ち2点追加、6点の大量リードを作った。タイガースの先発久保は4回までは気持ちよいペースで投げていたが、5回裏に崩れ始める。先頭の吉村のヒットを足がかりに2死二塁とされ、代打下園にライト前タイムリーを打たれて1点を失う。さらに金城の内野安打でピンチが続き、藤田が三遊間に強烈なゴロを放つとこれを鳥谷が飛びついて取り、二塁走者下園が三塁を蹴りかけてオーバーランしているのを見て三塁に送りタッチアウト。ピンチを守りが救った。しかし、6回裏、内川のヒットと吉村、石川への四球で2死満塁とさ、代打ジョンソンの2点タイムリーをライト前に打たれた。代打森笠に対して二番手江草がマウンドに上がり、センターフライで切り抜けた。ベイスターズは3回以降桑原謙、工藤、高崎、高宮、真田と小刻みな継投でタイガース打線を封じたが、タイガースも7回からアッチソンを投入して2イニングを抑え、最後は9回裏に藤川が登板、きっちり抑えてゲームを締めくくった。ヒーローインタビューは新井。なお、この日、甲子園で行われた二軍のホークス戦で秀太の引退セレモニーが行われ、15年間着続けたユニフォームに別れを告げた。また、東京ドームではジャイアンツがドラゴンズを下して3年連続の優勝を決めた。
◎ドラゴンズ21回戦……5−2
序盤は能見と吉見の投げ合い。均衡を破ったのはタイガース。4回表、二塁打の平野を置いて新井がレフト前に先制タイムリー。新井は二塁を欲張ってタッチアウト。4回裏、能見は荒木と井端の連打で無死一三塁のピンチを迎えるが、森野をショートフライに打ち取りブランコをショートゴロ併殺で乗り切った。直後の5回表、ブラゼルがヒット、、桜井が死球。ブラゼルに代走野原祐を送り狩野がバントで送って1死二三塁。ここで能見がライト前に落とすタイムリー。続く浅井もレフト前にタイムリーでこの回2点を追加した。6回表にはヒットの新井を関本が送り狩野は敬遠。ここでまたも能見がライト前にタイムリーを放ち点差を4店に広げた。吉見はこの回限りで降板。能見は6回まで危なげない投球。しかし7回裏、ブランコを歩かせ和田にヒットでつなげられる。2死となったあとこの日引退を表明した代打井上にライト線に2点タイムリー二塁打を打たれ、2点差に迫られる。8回裏からはアッチソンを投入。三者凡退でしとめる。9回表、三番手鈴木から浅井がライト線へ二塁打。この時浅井は右太ももを痛めてベンチに退く。浅井は結局翌日登録抹消。浅井の代走は庄田。平野のバントは四番手小林正が緩慢な送球で内野安打となり、鳥谷が四球を選び満塁。続く金本も押し出しとなる四球でダメ押しの1点を追加した。3点差となって9回裏には藤川が登板。森野、ブランコ、和田のクリーンアップを軽く打ち取り逃げ切った。
◎ドラゴンズ22回戦……7−10
惜しい試合を落とした。苦手の小笠原から初回に平野が二塁打。パスボールで三塁に進み、鳥谷のセンター前ヒットで生還して先制。金本の一塁への強いゴロはブランコが後逸してチャンスを広げ、新井の投手ゴロでそれぞれ進塁し、関本の右中間を破る二塁打で2点を追加。さらに桜井がライト前にタイムリー。初回にいきなり4点を奪う。しかし下柳は2回裏に和田にライトスタンドにソロホームランを叩き込まれ、3回裏には荒木を歩かせ盗塁を許し、矢野が二塁へ悪送球し、荒木は一気にホームを突いて1点を失う。それでも4回表にはヒットの関本を塁に置いて桜井がレフトスタンドへホームランを放ち2点追加。楽勝かと思われた。4回裏、今度はブランコにホームランを打たれ4点差に縮められた下柳は、5回裏にも球は高めに浮く。平田と荒木の連打でピンチとなり、森野のレフトオーバーの二塁打で走者は一掃。ついに1点差に。勝ち投手の権利の目前で下柳は降板。江草はブランコと小池を三振に打ち取り難を逃れた。しかし、6回表、真弓監督は江草をそのまま打席に立たせる。続投である。それが裏目に。谷繁を歩かせ、平田のライトフライは桜井がグローブの土手に当てて二塁打に。井端が歩いて2死満塁に。森野のセンター前に抜けそうな当たりは江草が足を出して止めたが投げられず同点とされてなおも満塁。ブランコに走者一掃の二塁打を打たれて一気に勝ち越された。8回裏には四番手金村暁が2四球のあと和田にセンター前タイムリーを打たれて失点は二ケタに。5回以降、ドラゴンズはパヤノ、高橋、河原、浅尾とつないでタイガース打線を完全に沈黙させた。守備のミスと投手交代の遅れでせっかく勝利を掌中に入れながら取り逃がした。
◎ドラゴンズ23回戦……8−2
タイガース打線が長年の天敵であるベテラン山本昌をしとめた。2回表、2死から桜井と狩野が連打でチャンスを作り、岩田がライト前に先制のタイムリーを放つ。続く3回表、ヒットの関本が暴投と鳥谷の一塁ゴロの間に三塁に進み、金本のセンターへの犠牲フライで2点目を奪う。圧巻は5回表。鳥谷のヒットと金本の四球でランナーをため、新井のセンター前ヒットで鳥谷が帰り1点を追加。桜井が歩いて1死満塁とし、狩野がレフトスタンドへすくい上げるように運ぶ満塁ホームラン。5回8失点で山本昌はマウンドを降りた。中4日で奇襲先発の岩田は6回まで気迫のこもった危なげない投球。7回裏にはブランコと和田の連打で無死二三塁のピンチを招くが、この日引退セレモニーの井上を空振り三振、平田は浅いライトフライ。代打小池は見逃し三振。次の登板も考えこの回限りでジェンと交代した。そのジェンが8回裏ヒットの井端を塁に置き、森野の三塁強襲の二塁打とブランコのレフト線への二塁打で2点を失った。タイガース打線は6回以降はドラゴンズのリリーフ陣の継投に抑えられたが、6点差は大きく、9回裏、筒井が三者凡退で締めて今季初めてドラゴンズにカード勝ち越し。ヒーローインタビューは井上の引退セレモニーがあったため、行われなかった。もしあれば文句なしに狩野だっただろう。井上のセレモニーではドラゴンズ時代にバッテリーも組んだ矢野がタイガースを代表して花束を渡し、胴上げには矢野と高橋光が参加して、元チームメイトの引退に花を添えた。
愛すれどTigers週間MVP
投手……能見篤史 CSの第一ステージ先発はこの男だ。投げるだけではなく打っても2打席連続のタイムリー。ドラゴンズには要警戒と映ったことだろう。
野手……平野恵一 とにかく塁に出る。セーフティーバントでかき回そうとする。これで積極的に盗塁したら言うことなしなのだが。赤星、浅井の欠場も平野の活躍でなんとかカバーできている。
次節はいよいよスワローズとの直接対決。まず神宮球場で3連戦。2日おいて甲子園で1試合。さらに今季甲子園最終戦となるドラゴンズ戦もある。真弓監督も神宮での3連戦が勝負と断言した。スワローズは5連勝と波に乗っているだけに、ほんとうに目が離せない。テレビ中継がわずかしかないのが残念である。岡田前監督にバファローズ監督就任の交渉が始まっているそうだ。もし本当なら、真弓監督も腰をすえて采配が振るえるというものだ。さあ、Aクラスを目指す熾烈な争いに次節で決着はつくのか?
(2009年9月28日記)