今節は神宮球場でスワローズ3連戦。2勝1敗と勝ち越し、3位の座を奪回した。しかし、2日おいての甲子園でのスワローズ戦には安藤が味方の援護を守れず1敗。それでも翌日の甲子園最終戦となったドラゴンズ戦は岩田の力投で勝ち、今節3勝2敗と勝ち越した。スワローズとの直接対戦はあと2試合。ついに決着のつく時がきた。今季通算66勝71敗4分。勝率.482で単独3位。首位ジャイアンツとは25.0ゲーム差。4位スワローズとは0.5ゲーム差。
◎スワローズ19回戦……1−7
スワローズと相性のいい安藤が先発。一方スワローズはタイガース戦初登板の高木。5回まではまさに投手戦。安藤が得意のシュートでスワローズ打線をしとめると、高木も微妙にコントロールされたカーブでタイガース打線に的を絞らせない。流れを作ったのは審判の誤審だった。6回裏、田中のグリップエンドに当たったファールを球審の森は死球と判定。田中がバットを握りなおして打席に入ろうとしただけに、微妙も何も明らかな誤審である。青木のレフト前ヒットでつながれ、ユウイチのセンターオーバーの二塁打で2点を先取された。直後の7回表、矢野があわやホームランかというライトフェンス直撃の三塁打。代打桧山がライト前に転がして1点を返すが、反撃もそこまで。7回裏、二番手筒井は四球の福地に二盗、そして三盗を許し、田中を歩かせる。三番手はアッチソン。吉本の打球はセカンドの関本が配送するも取れずライト前に落ちる。ライトの桜井の返球がそれる間に一塁ランナーも生還し、2点追加。青木のタイムリーヒットでさらに1点。デントナを歩かせたところで江草にスイッチ。新鋭鬼崎にセンターへ2点タイムリーを打たれてこの回なんと5失点。不用意な四球、足を使われた混乱、守りのミス、言いようにスワローズに翻弄されてしまった。スワローズはイ・ヘジョン、五十嵐、押本のリレーでタイガース打線を抑えこみ、タイガースの投手で無失点だったのは2年ぶりの一軍登板となった五番手の若い鶴だけだった。
◎スワローズ20回戦……8−2
スワローズの先発由規から初回に先制。ヒットの平野が牽制悪送球で二塁に進み関本のセカンドゴロで三塁へ。鳥谷が四球でチャンスを広げ、新井のライト前タイムリーで1点を先取した。さらに3回表には四球の鳥谷が金本の右中間を破る二塁打で一気にホームを突いて2点目。ところがタイガース先発の久保は3回裏、先頭の福地をユニフォームにかするだけの死球で出塁させ、青木に同点2ランをライトスタンドに運ばれてしまう。それでも由規は制球がままならない。4回表、狩野の一塁ゴロをベースカバーに入った由規がこぼしてエラー。久保が送った後、暴投で三塁にランナーを進め、平野と関本はフルカウントからよく見て2者連続四球で満塁に。鳥谷は初球を狙いライト線への二塁打で2点を入れ勝ち越し。続く金本もレフト戦へ2点二塁打。一気に4点を奪い、試合の流れをつかんだ。久保はリードをもらっても危なっかしい投球。4回裏は2死から川本を歩かせ2球の暴投で三塁まで進める。代打野口は鈍い当たりのショートゴロ。お手玉しかけた鳥谷が必死につかんで一塁に送球して難を逃れたが、明らかに独り相撲で自分を苦しめている。6回裏、2死からガイエル、鬼先の連打と川本への四球で満塁とし、ここで降板。満塁の難しい場面で登板した二番手アッチソンは代打デントナを3球三振に打ち取った。7回表、三番手押本から新井がレフトスタンドにダメ押しのソロホームランを放てば、9回表には五番手イ・ヘジョンから鳥谷のヒットと新井の四球、2死後大和のレフト前ヒットで満塁として、狩野がショート鬼崎のグラブをはじく強襲の内野安打で8点目を入れた。タイガースは7回までアッチソンが抑え、8回表、三番手筒井が2死一二塁としたところで藤川を投入。調整登板の意味もあったが、藤川は最後まで一人のランナーも許さず試合を締めた。これで再びスワローズとの差は0.5ゲームと縮まった。ヒーローインタビューは鳥谷。
◎スワローズ21回戦……7−1
能見とユウキの投手戦。初回、タイガースは平野がレフト前ヒットで出塁し、鳥谷の内野ゴロの間に二塁に進む。金本はセンター前にはじき返して平野を迎え入れ1点先制。しかし、2点目が入らない。能見は3回まではすいすいと投げていたが4回裏、2死から青木のヒット、デントナへの四球、ガイエルのヒットで満塁に。しかし落ち着いた投球で畠山をセンターフライに打ち取る。6回裏には宮本と青木の連打で一三塁のピンチに。デントナをライトフライ、代打福地を三振に切ってとり、アッチソンと交代。アッチソンは青木の盗塁で一塁があき畠山を歩かせ満塁とする。そして川本を見送り三振に。2度の満塁のピンチを切り抜けてわずかなリードを守った。直後の7回表、2死からライト前ヒットの新井を置き、ブラゼルがライトポール直撃の2ランホームランをユウキに浴びせ、痛い足を引きずりながらホームイン。これで流れはタイガースに。9回表には三番手五十嵐を攻める。大和のヒットと鳥谷の二塁打で無死二三塁。ここで金本がレフト線に走者一掃の二塁打を放つ。ついで新井もライト線に三塁打。金本が還ってこの回3点目。投手は四番手橋本に。途中から守備についていた柴田がプロ入り初打点となるセンターへの犠牲フライでダメ押しの1点を加えた。タイガースはアッチソンが7回までぴしゃりと抑え、8回からは藤川。8回裏は青木と福地にヒットを打たれたが川本を三振に打ち取り無失点でしのぐ。9回裏は疲れも出たか武内と田中にセンター前に打たれて2死一二塁となり、青木の左中間へのタイムリーで1点を奪われたが、反撃もそこまで。最後はデントナを空振り三振に切ってとって逃げ切った。これでまたタイガースはスワローズを抜いて3位に。ヒーローインタビューは金本。
なお、10月1日には育成枠の辻本賢人投手、中村泰広投手、木興拓哉投手が戦力外通告を受けた。
◎スワローズ22回戦……4−6
先発安藤は不安定な投球。2回表に宮本を歩かせると武内のヒットで三塁に進み鬼崎の一塁内野安打で1点を先制された。しかしタイガース打線もがんばる。2回裏、石川からブラゼルがヒット。桜井のレフト線への二塁打でブラゼルは足の痛みもものかは本塁へ突入して同点に。矢野もセンター前に連続タイムリー。一気に逆転だ。ところが安藤は持ちこたえられない。2死から若い梶本にヒットを打たれると、ベテラン宮本にタイムリー二塁打を打たれて逆転を許し、続く青木にライトスタンドへ運ばれる2ランで2点をリードされ、この回限りで降板。エース失格である。4回裏、二塁打の桜井を矢野がセンター前タイムリーで返して1点差に詰め寄ると、代打高橋光のサードゴロで進塁し、平野のセンター前で一気にホームに突っ込み、川本捕手のブロックをかいくぐって同点のホームイン。矢野はブロックした川本の足と衝突してねんざ、翌日より登録抹消となった。二番手筒井は無失点でしのぎ、6回表には無敗男桟原。しかし、鬼崎にプロ入り第1号のソロホームランを打たれ、二塁打の川本を福地の三塁打で返されて2失点して江草にマウンドを譲る。プロ入り初黒星である。江草が満塁のピンチを作れば金村暁が抑え、アッチソン、ジェンとつぎこんで追加点は防いだが、石川も5回以降はペースを取り戻し、タイガース打線を完全に手玉にとり、完投勝利。タイガースとスワローズはまた同率3位で並ぶことになった。
なお、前田忠節内野手の戦力外通知と藤原通内野手の引退が発表された。
◎ドラゴンズ24回戦……5−0
ドラゴンズ中田から3回裏に桜井がレフトスタンドへ先制のソロホームラン。岩田もよく粘りファールで狙い球を待ちレフト線へ。レフトの和田がもたつく間に三塁とする。平野が倒れてこの回は1点止まり。しかし、この虎の子の1点を岩田はしっかりと守る。6回表の1死二塁のピンチも井端三振、荒木をセンターフライに打ち取ってしのぐ。中田を3回で降ろした落合監督は二番手小笠原で6回までタイガース打線を封じるが、7回裏、三番手河原をタイガース打線がつかまえた。新井、関本の連打の後、桜井のセカンドゴロで二三塁に。狩野は敬遠で満塁。好投の岩田に代えて代打桧山。桧山は三振に終わったが、平野がレフト前に転がして待望の1点を追加。さらに代打葛城がレフト前に2点タイムリー。8回裏には五番手山井から関本がレフトスタンドへダメ押しのソロホームラン。8回に登板のアッチソンは谷繁、野本の連打でピンチを作るが、英智のファーストライナーで跳び出した野本もアウトにし代打立浪をショートゴロに打ち取って切り抜ける。9回裏には久保をマウンドに送る。藤川の登板を期待したタイガースファンからはため息が起こったが、こんなムードを断ち切るように久保は三者凡退で決めて完封リレー。なお、本拠地最終戦のためヒーローインタビューはなく、監督挨拶もなく、ベンチから全員がマウンド付近に並び一礼した後、サインボール投げ込みという例年通りのセレモニーが行われた。ナイターでスワローズが敗れ、1ゲーム差で単独3位に立った。
愛すれどTigers週間MVP
投手……岩田稔 CS進出の際は必ず当たるドラゴンズを手玉にとった。打っては全力で走る三塁打。この気迫が他の投手を引っ張ってくれる。
野手……桜井広大 1年かけて真弓監督が始動し、その成果がついに開花しようとしている。つなぎのバッティングも一発長打も自在で、来季以降のレギュラー取りにライバル林を大きく引き離しつつある。
次節はいよいよ公式戦最終節。マツダズームズームのカープ戦、そして神宮球場のスワローズ戦。これに3連勝すれば自力で3位を決定できる。スワローズが自分でこけるのを期待せず、一気に決めてほしい。ここまできたら、それしかない。
(2009年10月5日記)