東京ドームでのジャイアンツ3連戦は初戦を6点差をひっくり返す大逆転で勝ち勢いをつけて2勝1敗。横浜球場のベイスターズ戦は初戦を雨で流し、翌日は金本がブレーキとなって敗れた。金本は連続試合フルイニング出場記録を1492としたところで欠場を自ら決断。発奮したタイガース打線が打ち勝ち1勝1敗。今節は3勝2敗、勝率.526で首位ジャイアンツと1.5ゲーム差で2位。
◎ジャイアンツ4回戦……9−7
タイガースはジャイアンツキラーの能見、ジャイアンツは藤井が先発。の海は初回から苦しい投球。坂本のサードゴロは間一髪で内野安打に。松本のバントでピンチが広がり、小笠原にライトスタンドに先制の2ランを叩き込まれた。続く2回表、今度は不調の亀井にライトスタンドにソロホームランで3点目を奪われる。3回裏には松本と小笠原の連打でピンチとなりラミレスのタイムリーでさらに1点を失い、阿部を歩かせ満塁に。長野のサードゴロはホームでフォースアウトを取ったが、亀井にセンター前に運ばれて5失点となったところで渡辺にスイッチ。渡辺はエドガーに押し出し四球で6点目を与えたが、藤井はバントせず強打に出て二塁ゴロ併殺でなんとか流れを断ち切った。タイガース打線は藤井の前に5回まで得点できない。ランナーを出しても巧みな投球打ち取られ、原監督は安心して絶好調の小笠原をベンチに下げたくらい。しかし、そのような見下した態度があとで響いてくる。4回裏は渡辺が、5回裏はメッセンジャーがそれぞれ三者凡退で流れを引き寄せる。そして迎えた6回表、先頭の関本がセンター前にはじき返して出塁すると、鳥谷の今季第一号2ランがライトスタンドへ。さらに新井がレフトポール際にソロホームラン。急遽マウンドに上がった二番手久保からは城島が歩きブラゼルの1点差となる2ランがライトスタンドへ。7回裏、四番手筒井が二塁打の松本を脇谷のバントで三塁に送られ、ラミレスの一塁ゴロの間に松本が生還して2点差に戻した。が、流れは変わらない。8回表、三番手豊田から先頭の新井が四球を選び、ブラゼルのヒットでランナーをため、ここまで不調だった桜井がレフトスタンドに逆転3ランを運んだ。呆然とする豊田は引っ込み、金刃に代われば、今度はマントがライトスタンドにダメ押しのソロホームラン。7回途中から負け試合ながらマウンドに上がった久保田が8回表に平野のセカンドゴロ悪送球で代打のイ・スンヨプを塁に出すと、真弓監督は躊躇せず藤川球を投入。松本を三振に切ってとった。9回裏も先頭の脇谷にヒットを打たれ、盗塁もされたが打者勝負でランナーは無視しラミレスは三振。阿部と谷も打ちとって乱戦にけりをつけた。勝ち投手はうれしい今季初勝利の久保田。セーブの藤川は通算セーブ球団記録を塗り替えた。ヒーローインタビューは逆転3ランの桜井。
◎ジャイアンツ5回戦……3−2
ジャイアンツの先発は予想を覆して中四日登板のゴンザレス。初回、関本がライトスタンドに先制のソロホームランを放ち、いきなり試合が動いた。2回以降はゴンザレスが昨年の投球を思い出させる安定したコントロールで投げ始め、タイガース打線がつながらない。タイガースの先発久保は4回裏まで松本のヒット1本に抑える。しかし5回裏、ラミレスのショートゴロを鳥谷が送球できず内野安打となり、阿部のヒットと長野のバントで1死二三塁に。亀井のレフトフライは浅かったが金本が全力投球できないためラミレスはやすやすと生還し、同点に追いつかれた。6回裏は坂本のサードゴロを新井が取りきれず内野安打となり松本のファーストゴロの間に二塁に進められ、久保の二塁牽制悪投でランナーは三塁に。小笠原を歩かせラミレスとの勝負は、外角球を引っ掛けたラミレスがショートゴロ併殺となる。7回表、四球の桜井を久保がプッシュバントで進め、一塁ベースカバーに誰も入らず内野安打に。しかしマートン、関本が凡退でなかなか試合が動かない。動かしたのは原監督だった。好投のゴンザレスを降板させて8回表からリリーフに再転向した山口を投入。前回まで先発で投げていた山口がリリーフの感覚を取り戻すにはあまりにもきびしい場面。鳥谷のショートへの当たりは坂本が投げられず内野安打に。新井のヒットと城島の四球で1死満塁に。ブラゼルは外角に逃げる球を器用に拾う技ありのバッティングでライト前に2点タイムリー。山口はリリーフ失敗で久保にマウンドをゆずった。ころころと変わる首脳陣の理念なき起用方針に翻弄された昨年のセットアッパーの惨めな姿がそこにあった。揺らぎがないのは真弓監督で、8回裏、予定通り久保田を投入。イ・スンヨプにレフトポール際にホームランを打たれて1点差とされたがリードは保ち、9回には藤川球がマウンドに。ラミレスと阿部を変化球で手玉に取り、最後の長野は三遊間の打球を新井が横っ飛びで取り、一塁に低い送球。一塁に入っていた関本が見事にすくい上げてアウト。乱戦の翌日の接線もタイガースがものにした。ヒーローインタビューは好投の久保。
◎ジャイアンツ6回戦……2−5
ジャイアンツの先発内海から、先頭打者のマートンがいきなり初回にホームラン。左中間スタンドに入る強い一撃だった。しかし、内海はこの一発で目が覚めたか変化球を主体にした頭脳的な投球でタイガース打線を翻弄する。一方、来日初登板となったタイガースの先発フォッサムもカーブを有効に使い6回を投げて3安打しか許さない好投。城島も初回四球で出た松本の盗塁を刺すなど好アシスト。6回裏に制球が乱れ始めたフォッサムのスタミナ面を危惧した真弓監督は7回から継投策に。西村はいきなり阿部に二塁打を打たれたが長野のバントをブラゼルが機敏な動きで三塁で刺すというファインプレー。しかし、続く亀井には左腕筒井をあてるという一人一殺の作戦が裏目に。筒井は亀井を歩かせしまう。代打高橋に対してはメッセンジャー。一塁ゴロに打ち取り2死までこぎつけたが脇屋に四球で満塁。そして直後の初球を坂本に思い切りよく打たれレフトスタンドに飛び込む逆転満塁ホームラン。8回表、二番手山口から鳥谷の二塁打を金本、新井の内野ゴロで返し1点を返したが反撃もここまで。8回裏には五番手小嶋がラミレスにソロホームランを打たれてとどめを刺された。最後は越智にブラゼル、桧山が三振。桂木のレフトフライは長野と松本が交錯して落球、流れが来てくれないかと願ったが、マートンはショートゴロに倒れて試合終了。好投のフォッサムを見殺しにする形になってしまった。
◎ベイスターズ4回戦……3−7
先発はタイガース上園とベイスターズはマリーンズから移籍の清水。先制したのはベイスターズ。2回裏、先頭のスレッジがライトスタンドにソロホームラン。そして吉村と細山田が連続二塁打でさらに1点を加える。タイガースも4回表に反撃。新井の左中間スタンドへのソロホームランで1点差に迫る。しかし上園はコントロールが定まらず球が高めに浮く。6回裏、村田のソロホームランの後、カスティーヨの二塁打のあと吉村のレフト前ヒットで金本が山なりの球でしか返球できずさらに1失点。3点差に広げられ、上園はこの回限りで降板した。7回裏、マリーンズから移籍の左腕川崎が今季初登板。石川を打ち取りタイガースでのデビューを飾った。続く渡辺もなんとか抑え、味方の反撃を待つ。それに応えたのは鳥谷だ。ヒットの平野を塁に置き、ライトスタンドに1点差に迫る2ランホームラン。勝負をあきらめない真弓監督は久保田を投入。しかし8回裏、スレッジとカスティーヨの連続ソロホームランを浴び吉村にも内野安打を許したところでメッセンジャーにスイッチ。メッセンジャーは2死を取ったあと石川にレフト前ヒットを許す。金本の返球は内野の手前に叩きつけるようなもので新井が捕球できず二塁ランナーの生還を許し、決定的な7点目を許した。ベイスターズは8回途中から山口をつぎこんで逃げ切り。金本はホームランかと思われる大飛球が力なく凡フライに終わるなど攻守にわたり右肩故障の影響で大ブレーキとなってしまった。
◎ベイスターズ5回戦……8−4
ついにこの時がきた。金本がチームに迷惑がかかると真弓監督にスタメン落ちを直訴。1492試合続いた連続試合フルイニング出場の記録が途切れることになった。4番に新井が入り、レフトには葛城が。試合の最初からベンチに座る金本の表情は険しかった。タイガースの先発は安藤。3回裏、ヒットの橋本を三浦が送り、石川もヒット。すぐさま盗塁し、早川のライト前2点タイムリーで先制された。しかし、今日は負けられない。苦手のベイスターズ三浦に対し直後の4回表、ヒットの鳥谷が盗塁、ブラゼルがレフト線の野手がら空きのゾーンに落とす二塁打で1点を返し、続く桜井もセンターオーバーの二塁打でブラゼルを返して同点に追いつく。5回裏、早川が移籍第1号の2ランをライトスタンドに放ち再び2点リードを許した。6回表、二塁打のブラゼルを桜井がセンター前に弾き返すヒットで迎え入れ1点差に。6回裏、安藤は先頭の村田にヒットを許したところで降板。二番手の筒井は死球などでみずから満塁のピンチを作ったが代打稲田を打ち取り追加点を許さない。8回表、三番手桑原謙から先頭の鳥谷が四球を選び、城島がレフト前にしぶとくヒット。そしてブラゼルが逆転の3ランをライトスタンド場外にかっとばした。8回裏には久保田が前日に連続ホームランを許したスレッジとカスティーヨを打ち取りガッツポーズ。9回表、五番手高宮からマートンが内野安打。平野は三塁線にバントしたがこれがヒットとなる。鳥谷を歩かせたところで高宮から小林太にスイッチ。新井のライト前ヒットと城島の犠牲フライで2点を加えてだめ押しをした。9回裏には藤川球が登板し、3人で片づけて試合終了。金本は8回裏に代打で登場し、セカンドゴロに倒れた。ヒーローインタビューは逆転3ランのブラゼル。
愛すれどTigers週間MVP
投手……久保康友 前回打たれたジャイアンツ相手に力強い球と低めへのコントロールされた変化球でお返し。前日の派手な打ちあいの翌日に粘りの投球で勝利をもたらしたのは大きい。
野手……クレイグ・ブラゼル ジャイアンツ戦でもベイスターズ戦でも派手にホームランをかっとばしてラミレスと並ぶホームランダービートップに。大きなホームランだけでなく、山口や三浦から放った技ありのタイムリーが光る。
フォッサムの好投で先発の顔触れがそろった。金本は今後休ませながらの起用となるだろうが、逆に守備固めで出た若手にチャンスがまわってきたり、金本自身の現役生活ものばすことができるだろう。次節は甲子園に戻りカープ戦とドラゴンズ戦の6連戦。金本の思いを受けて地元甲子園でドラゴンズにお返しをしてほしいものである。
(2010年4月19日記)