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マートン、鬼門ナゴヤドームの連敗を止める

 鬼門ナゴヤドームで連敗し通算5連敗となった時はせっかくのジャイアンツ戦の連勝がふいになったかと思ったが、マートンの活躍で連敗を止めると、甲子園に戻ってのカープ戦で勝ち越し。ずるずると落ちて行かないのが今年の特徴だ。フォッサムとスタンリッジの両外国人は先発としては不安があるが、鶴の好投で愁眉を開いた。ドラゴンズ戦1勝2敗、カープ戦2勝1敗で今節は3勝3敗、通算21勝14敗で勝率.621。首位ジャイアンツと2.5ゲーム差で2位。

◎ドラゴンズ7回戦……0−5
 ナゴヤドームでまだ勝てないタイガース。先発は久々の下柳。2回裏、三塁内野安打のブランコを置いて和田のライトオーバーの三塁打で先制され、新人の松井佑にもセンター前に落ちる不運なタイムリーを打たれて2点目を失った。5回裏にはセンター前ヒットの荒木を森野のライト線を破る二塁打で返され3失点目。6回裏、ヒットの大島を谷繁に送られ、投手朝倉の体勢を崩しながらのライト前ヒットで4点目を奪われ、ここで降板となった。二番手渡辺は後続を断ったが、7回裏、三番手筒井が森野にライト線への二塁打を打たれ、続くブランコのセンター前ヒットで返されて5点目を献上。8回裏はカープ戦での先発が予想される鶴がマウンドに上がり、三者凡退に打ち取って次へのいい試運転となった。打線は朝倉の前に沈黙。7回表に城島とブラゼルの連打で無死一二塁のチャンスを作るが、桜井が見逃し三振。ここで左腕の高橋が登板し、代打金本と狩野を打ち取られて反撃のムードが消えた。ドラゴンズは鈴木、平井、岩瀬と小刻みに投手の虫干しみたいなリレーで余裕の完封勝利。タイガース打線は甲子園の熱戦が嘘のように気迫が感じられなかった。
◎ドラゴンズ8回戦……2−6
 先制したのはタイガース。吉見から2回表にヒットのブラゼルと死球の桜井を塁に置き、藤川俊がレフト線への二塁打でブラゼルをホームに迎え入れた。しかし、後続を断たれ1点どまり。久保は3回まで快調に飛ばしていたが、4回裏につかまる。森野にライト前ヒットを打たれ、ブランコに完璧な当たりのレフトスタンドへの逆転2ランを運ばれた。さらに和田に体勢を崩しながらレフトフェンスの上に入るソロホームランで1位を追加された。5回表、藤川俊の二塁打を久保が送り、マートンのセンター前タイムリーで返して1点差とするが、反撃もそこまで、8回途中からは浅尾、小林正、鈴木と小刻みな継投で打線は沈黙。6回裏にはヒットの森野をブランコのセンターオーバーの二塁打で返され、久保はこの回限りで降板。8回裏には三番手川崎が無死一塁でのブランコは併殺に切って取ったが和田の内野安打と英智への四球でピンチを作り、大島に走者一掃の三塁打を打たれて2失点。森野、ブランコ、和田の“BMW”トリオに完全にやられてナゴヤドーム5連敗を喫した。
◎ドラゴンズ9回戦……9−1
 ついにナゴヤドームの連敗を止める日がきた。ドラゴンズ先発のチェンから初回、先頭打者のマートンがレフト前にヒット。大和のバントを捕手の谷繁が悪送球し、無死一二塁。鳥谷は制球の定まらないチェンの荒れ球に手を出さず四球。そして新井のゆるいあたりのセカンドゴロの間にマートンが生還して1点を先制した。しかし、後続を断たれて1点どまり。嫌なムードは残った。それを覆したのはマートン。センター前にうまいヒットを打った藤川俊を置いて内角球をファールで粘りレフトスタンドに2ランホームラン。タイガースの先発上園も球が高めに浮き、2回裏には和田に左中間スタンドに反撃のソロホームランを浴びた。4回表、流れを呼び込む一発が出た。二塁打のマートンと四球の鳥谷を塁に置き、新井が3ランをレフトスタンドに放りこむ。上園はランナーを出しつつも気合の投球で5回まで投げきった。6回表、三番手清水昭から上園の代打葛城の二塁打でチャンスを作る。好調マートンにはストライクが入らず四球。大和はバントできず打って出てショートゴロで二封。鳥谷の三振の間に大和は盗塁し、新井の打席で清水昭は暴投。葛城が生還して7点目のホームを踏んだ。6回裏からは西村、渡辺、久保田が1回ずつをしっかり抑える。9回表、城島、関本の連打でチャンスを作り、桜井が左中間に2点タイムリー二塁打でダメ押し。9回裏には城島をベンチに下げて小宮山にマスクをかぶらせる余裕さえ見せた。9回を締めたのは鶴。ヒットは許したものの最後の打者代打小池を三振に切ってとってゲームセット。ついに長いトンネルを抜けた。ヒーローインタビューは4安打1ホームランのマートン。
◎カープ5回戦……10−6
 カープ青木高の立ち上がりをタイガース打線が攻め立てた。ヒットの平野、二塁東出のエラーの鳥谷、死球の新井を塁に置き、城島がレフトスタンドに先制ホームランを叩き込んだ。3回裏には、センター前ヒットの平野を鳥谷が左中間を破って1点を追加。青木高は4回を投げて降板した。一方タイガースの先発フォッサムは4回までは順調に抑えていたが、5回表につかまった。二塁打の赤松とヒットの倉を塁に置き代打会沢がタイムリー。東出を打ち取ったあと、梵のタイムリーで2点目、そして栗原にレフトオーバーの2点二塁打を打たれ1点差とされたところでフォッサムは降板した。二番手の渡辺は廣瀬をセカンドゴロに打ち取り同点になるのを防ぎ、6回も抑え二番手西村にバトンタッチ。西村も7回をしっかり抑えて、必勝リレーで8回表には久保田が登板。ところが、その久保田が崩れる。先頭の天谷にヒットを打たれ、栗原にセンターバックスクリーンに逆転2ランを打たれてしまった。小窪と赤松にも連打を浴びたが、後続を断ってなんとか1点差で切り抜けた。8回裏、カープの五番手はベテラン高橋。城島、ブラゼルの連打と桜井の三塁ゴロで1死二三塁とし、狩野が歩いて満塁。代打矢野のレフト前ヒットで同点。そしてマートンがバックスクリーンに満塁ホームラン。1試合2満塁ホームランは14年前の最終戦で新庄と塩谷が1イニングで打って以来(ちなみにこの試合は私は生で見てました)。9回表、藤川が三者凡退で締めて乱戦に終止符を打った。ヒーローインタビューは同点打の矢野と決勝満塁ホームランのマートン。
◎カープ6回戦……8−11
 先発はタイガーススタンリッジ、カープ今井。スタンリッジは初回東出をいきなり歩かせ梵のヒットでピンチを広げ、フィオの二塁打で2点を先制された。直後の1回裏、マートンのライト線の二塁打を平野が送り、鳥谷の犠牲フライで1点を返した。それでもスタンリッジの出来は不安定。2回表、先頭の赤松にヒットを打たれ、倉、今井を三振に取ったものの、東出の二塁打で1点。3回表には2死からフィオを歩かせ、小窪のヒットでまたピンチ。赤松のセンター前ヒットで4点目を失った。それでも今季のタイガース打線は力がある。3回裏、マートンのショートゴロを梵がエラー。平野の二塁打と鳥谷の四球で満塁に。新井はセカンドゴロの併殺だがマートンが生還して2点差に。城島の死球とブラゼルの四球でまた満塁に。桜井のレフト線を抜く二塁打で走者一掃、一気に逆転した。味方の援護をスタンリッジは守れない。4回表、1死から東出に二塁打を打たれ、梵に大きな当たりのセンターフライを打たれたところで川崎にスイッチ。天谷のライト前タイムリーで同点に。栗原もライトオーバーの二塁打で続き、フィオのショートフライを取りに行った鳥谷の足元に球を追ったマートンが滑り込む形で交錯。鳥谷が転倒して球は外野に。走者一掃で逆転された。タイガース打線は二番手の篠田に4回から6回まで見事に抑えられ、2点差をつめられない。5回からは渡辺、西村が無失点で切り抜けたが7回表、五番手の筒井が栗原にレフトスタンドにソロホームラン。フィオのヒットを小窪に送られ代打廣瀬のライト間前ヒットでさらに1失点。8回表には梵、天谷の連続二塁打と栗原のセンター前ヒットでさらに2点を失い今季最多の11失点を記録した。筒井は翌日二軍へ。9回表には今季初登板の石川が3人で切って取り、9回裏につないだ。9回裏、シュルツが登板。代打葛城、マートン、平野ヒットで満塁のチャンスに。新井は三振に終わるが城島に代わってマスクをかぶった小宮山が今季初打席でライトオーバーの3点二塁打を放ち、3点差としたが、ブラゼルがセンターフライで試合終了。タイガースは4回裏に相手のエラーなどで三塁にマートンを進めて反撃のチャンスもあったが、鳥谷の強烈な当たりを三塁小窪がライナーで捕球し飛び出しかけたマートンがタッチアウトになるなど不運な部分もあったが、特にライト桜井やレフト狩野の打球に対するカンの悪さで長打になるなど守備の不安を露呈してしまった。
◎カープ7回戦……4−3
 タイガース先発は鶴、カープ先発は前田健。ともに大阪で同じ少年野球チームに所属した先輩後輩の関係で、高校野球では近大附属とPL学園のエースとして投げ合ったという因縁をもつという。タイガース打線は前回抑えられた経験からファールを数多く打って球数を投げさせ、疲れて甘く入るようになったところを攻めたてる作戦に出た。まずは2回裏、ブラゼルが左中間スタンドに先制ソロホームラン。そして2打席連続となるライトスタンドへのソロホームランを4回裏に叩き込む。鶴は変化球を駆使して4回まで抑えたが、5回表に前田健の一塁ゴロをブラゼルが失策。東出はサードゴロでランナーが入れ替わり、梵にライトオーバーの二塁打を打たれ、桜井がもたついてお手玉する間に東出はホームインし、梵には三塁まで陥れられた。さらに好調栗原にもセンターオーバーのあわやホームランという同点タイムリー二塁打を打たれ、プロ入り初勝利目前で鶴は追いつかれた。しかし、6回表は無失点に抑え、7回表は西村が三者凡退でカープの流れを断った。7回裏、疲れの見えた前田健からブラゼルのヒット、藤川俊のランナーを進める内野ゴロ、葛城はストレートの四球でチャンスを作る。代打金本は凡退したが、続くマートンがライト線への2点タイムリー二塁打を放った。タイガースは8回表久保田を送ったが、栗原を歩かせ、2死を取ったあと赤松のヒットでランナーを三塁に進ませる。ここで久保田は降板し、藤川球を投入。代打前田智にタイムリーを打たれ1点差に迫られたが、代打岩本はピッチャーゴロ。9回表も梵のヒットなどでピンチを作るが栗原を敬遠してフィオを三振に打ち取り逃げ切った。西村はリリーフのみで4勝目。ヒーローインタビューは決勝打のマートンと2連発のブラゼル。

愛すれどTigers週間MVP
投手……西村憲 いまや勝利に欠かせないセットアッパーとなった。ジャイアンツ戦の被弾から立ち直り、度胸と球の切れで勝負する姿は頼もしい限りだ。
野手……マット・マートン ドラゴンズ戦の先制弾、カープ戦の満塁弾と決勝タイムリー。マートン抜きに好調打線は考えられない。チャンスメーカーからスイーパーまで縦横無尽の活躍は文句なし。

 次節からは交流戦。甲子園でスタートというのがいい。ファイターズ2連戦のあと1日おいてイーグルス戦。ダルビッシュや岩隈などエース級の投手たちに好調の打線がどう立ち向かうか、それを考えただけでわくわくする。下柳、久保らパ・リーグを知る投手たちでまずファイターズを打ち破れば弾みもつくだろう。恒例復刻ユニフォームは田淵やブリーデン、ラインバックらが着用した輝流ラインの懐かしいもの。懐かしいユニフォームに身を包んだ藤川俊や大和ら若手の躍動する姿を思うと、今からわくわくしてくる。

(2010年5月10日記)


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