愛すれどTigers


ダルビッシュに投げ勝ち、鶴がプロ入り初勝利

 パ・リーグ首位を争うマリーンズに甲子園で2連勝。しかし続く甲子園のライオンズ戦ではやはりパ・リーグ首位のライオンズに2連敗。重苦しい雰囲気で札幌ドームに移動したが、鶴の好投などもあり2連勝。特にダルビッシュを打ち崩したのは大きい。今節は4勝2敗、通算27勝22敗で勝率.551。首位ジャイアンツと4.5ゲーム差で2位。

◎マリーンズ1回戦……5−4
 タイガースの先発久保は昨年の交流戦でも古巣マリーンズから白星をあげている。初回、ヒットの西岡を早坂に送られ井口のライト前に落ちるテキサス性のタイムリーヒットで1点を奪われたが、2回以降は変化球を散らした好投。マリーンズの先発は渡辺俊。大幅に打線を組み替えた真弓監督の狙いが当たる。一番平野が四球を選び、盗塁死。二番藤川俊がレフト前にヒット、三番マートンはライト前に運び、四番新井のショートゴロで2死一三塁。五番ブラゼルがレフト前に落とす巧打のタイムリーで同点に追いついた。3回裏、藤川俊が2打席連続のヒットで出塁し、すかさず盗塁。新井のレフトスタンドへの勝ち越し2ランを呼んだ。さらに六番城島がセンター前に弾き返し意表をつく盗塁をすると、鳥谷はレフト線に流し打って城島を迎え入れる。3点差のまま久保は調子よく投げる。マリーンズは5回から左腕古谷が好投、流れを作る。7回表、大松にライトスタンドに叩き込まれ2点差とされた久保の制球が甘くなった。里崎と今江の連打に続き、代打福浦がレフトオーバーの同点二塁打。試合は振り出しに。続く西岡は死球。早坂の二塁ゴロは平野が一塁走者の西岡にタッチに行って3フィートラインを越させてから一塁へ送る頭脳プレーで併殺。マリーンズ西村監督の抗議も実らず。マリーンズは、伊藤を送り込み投手ゴロの際に手を傷めて交代した四番手の秋親に8回まで抑えられる。タイガースも渡辺亮、藤川球とつぎこみ味方の攻撃を信じる。9回裏、メジャー帰りの薮田が登板。マートンがヒットで出て盗塁。タッチした位置は微妙だったが、判定はセーフ。ここでも西村監督の抗議は実らず。新井、葛城が連続して落ちる球を見送り四球で満塁に。城島はセンターに犠牲フライ。三塁走者のマートンがホームに滑り込みサヨナラ勝ち。二塁ランナーの新井までタッチアップで走り三塁でアウトになってしまっただけに、すばやく滑り込んだマートンの全力プレーは賞賛に値する。ヒーローインタビューはサヨナラ犠飛の城島。
◎マリーンズ2回戦……8−0
 タイガース先発のスタンリッジは最後の先発チャンスということになり、ストッキングを見せるオールドスタイルでの登板。初回を三者凡退に抑えて流れを作る。1回裏、マリーンズ先発小野に2死を取られたあと、マートンがレフト線に二塁打。続く新井はセンター前にはじき返してマートンが返りまず1点。続くブラゼルは小野の右肩を直撃する強襲ヒット。高く跳ね返った飛球を三塁今江と遊撃井口が追ったが取れず。小野は右肩打撲で降板し、急遽川越がマウンドに。鳥谷は三塁今江の前で高く弾む内野安打を放ち新井が生還して2点目。そして桜井がレフト前に2点タイムリーを放ち、この回4点を奪った。2回裏には二塁打の藤川俊、ヒットのマートンを塁に置き、マートンの盗塁で1死二三塁として新井がセンター前に高く弾む2点タイムリー。4回裏、ヒットのマートンが新井のセカンドゴロで二塁に進み、ブラゼルのライト線を破る二塁打で生還。続く城島のレフトオーバーの二塁打でブラゼルも返り2点目を追加し、8点差とした。スタンリッジは6回表に根元の四球、西岡のヒット、早坂の足への死球で1死満塁とピンチを招いたが、井口をショートゴロ併殺に打ち取りガッツポーズ。7回以降は西村、江草、杉山とつないでマリーンズに今季初完封負けとなる黒星をつけた。今季の交流戦初の連勝。ヒーローインタビューは雨中にもかかわらず6回を無失点で抑えた先発のスタンリッジ。「甲子園大好きです」と日本語で受け答えして観客の歓声を浴びた。
◎ライオンズ1回戦……1−3
 前日途中交代した鳥谷が突き指のためスタメン落ち。大和がショートで先発した。タイガース下柳、ライオンズ石井一というベテラン同士の先発対決。先制したのはライオンズ。2回表、中村が内野安打で出塁し、続くブラウンは四球を選ぶ。高山のバントで二三塁に走者を進め、G.G.佐藤のレフトフライで中村が生還した。しかし下柳は低めの変化球を効果的に使い、三番打者の中島をすべて三振に取るなど8奪三振の好投。それでもそんなベテランを打線が援護できない。もともとタイガースに強い石井一は落ちる球を効果的に使い、タイガース打線を寄せつけない。下柳は6回表に先頭の片岡にヒットを許し、栗山のバントで二塁に進まれる。中島を三振に取り、中村を敬遠して左打者のブラウンと勝負したが、ブラウンはよく粘りボール球を見極め、ついにはレフト前に落ちる巧打のヒットで2点目をもぎ取られた。7回は西村が三者凡退に抑え、その裏、二番手小野寺からチャンスを作る。先頭の桜井が四球を選び、大和がバント。鳥谷の負傷もあり代打を送れないのが痛かった。三番手星野から代打金本は空振三振。続く代打関本は四番手長田から四球を選び、代打桧山に賭ける。しかし桧山はレフトフライで万事休す。8回表にはタイガースの三番手渡辺が栗山にライトポール際に飛び込むソロホームランを打たれ、3点差に。9回表は川崎と杉山を投入して無失点で切り抜け、9回裏の反撃を待つ。ストッパーのシコースキーから桜井がレフトスタンドにソロホームランを打ち、完封は免れたが、代打鳥谷がヒットで出塁したものの葛城、関本が連続三振で試合終了。接戦ではあったが流れをつかめないまま終わってしまった。
◎ライオンズ2回戦……1−6
 先発フォッサムが初回からつかまる。先頭の片岡がヒットと盗塁で二塁に進み、中島の三遊間を破るタイムリーで先制されると、中村を歩かせてまた得点圏に走者を進められる。高山のライト前に落ちるタイムリーで2点目。この2点が大きくのしかかってきた。2回裏、ライオンズのエース涌井からブラゼルがソロホームランを放ち1点差とする。フォッサムは立ち直りかけていたが4回表、いきなり高山に二塁打を打たれ、平尾のバントで三進。まったく無警戒にストライクを取りに行った球を細川が見事にスクイズ成功。ふたたび2点差に。4回裏、マートンとブラゼルのヒットで1死二三塁と攻め立てるも城島はピッチャーライナー、葛城はキャッチャーファールフライで1点も返せず。6回からは上園が登板。7回表、片岡に四球を与えて盗塁を許し、栗山も四球。中島のセンターフライをテキサスヒットと勘違いした片岡が飛び出し併殺に取るなど、流れを変えそうなプレーもあったのだが。7回裏には先頭のブラゼルが四球で出たのに城島は併殺。8回裏には1死から平野、代打金本、マートンと三者連続四球で満塁としたが、新井がショートゴロ併殺で最大のチャンスをつぶした。9回表、渡辺がマウンドに上ったが、ライオンズに完全に流れが行ってしまっていた。細川の三塁打と片岡の四球で1死一三塁とされ、栗山のセカンドゴロは平野がバックホームしたものの細川の攻撃的なスライディングで城島のミットを弾き飛ばされて1点。中島のレフト前タイムリー、高山にもレフト前にタイムリーが出てこの回3失点。9回裏、大差がつきながらも左の星野と右の大沼と細かく刻んだ投手リレーを見せた渡辺監督の万全の投手起用の前に立ち向かう力はタイガース打線には残っていなかった。
◎ファイターズ3回戦……4−2
 先発はタイガースが鶴、ファイターズがここまで交流戦タイガースに負けなしのダルビッシュ。先制したのはファイターズ。2回裏、糸井と小谷野の連打でピンチに。高橋のレフト前ヒットでまず1点を失う。さらに鶴岡がバントで送り、金子誠が微妙なところをボールの判定で四球に。満塁で田中のセカンドゴロは本塁で封殺。森本への決め球もストライクと思われるところをボールの判定で押し出し四球となり2点目を失った。しかし、この日のダルビッシュは精神的に不安定でコントロールも不安定。4回表、金本のレフト線への二塁打と新井の内野安打でチャンスを作ると、ブラゼルの一塁ゴロを高橋が二塁に送るとボールは新井のヘルメットに当たった大きく跳ね返り、金本が生還し1点差に。新井も三塁に進む。城島のサードゴロを小谷野が本塁に送ったが、新井が必死に滑り込んで足が先にベースにさわり三塁野選で同点に。6回表には新井と城島がヒットで出塁し、代打鳥谷のライト前ヒットでついに勝ち越し。鶴はランナーを出しながら要所をシュートとスライダで攻めて決定打を打たせず6回まで投げ切って西村に交代。7回表、平野の四球、マートンのセンター前ヒット、金本の四球で満塁とし、新井のライトフライで平野が生還してダメ押しの2点差をつける。8回から登板した藤川球は9回裏、高橋、田中のヒットと森本への四球で2死満塁とされたが、稲葉をセカンドゴロに打ち取り逃げ切った。ヒーローインタビューはプロ初勝利の鶴。
◎ファイターズ4回戦……3−2
 先発の久保はみごとなコントロールでファイターズ打線を翻弄。ファイターズの武田勝も勢いのある投球でタイガース打線を抑える。4回表、マートンがサード小谷野のエラーで出塁、金本のライト線へのヒットでマートンは三塁へ。新井がショートゴロ併殺の間にマートンが生還して1点先取。さらに8回表、代打鳥谷がプロ入り初の代打ホームランとなるソロホームランをライトスタンドに叩き込み2点差に。久保は完封ペースだったが8回裏につかまる。田中と森本の連打のあと糸井は併殺に打ち取ったが二岡のレフト前ヒットで田中が生還して1点差に。ここで藤川球が登板。代走紺田の盗塁を城島が思い切って外して阻止、同点にはさせない。9回裏、このまま逃げ切りかと思われたが、藤川球の内角速球を小谷野がレフトスタンドに運んで同点に。試合は延長戦となり、ファイターズ建山、タイガース渡辺の投げ合いに。11回表、先頭の大和がバントヒットで出塁し、マートンと金本の連打で満塁に。新井が低めの難しい球をうまくすくい上げてセンターフライを打つと、俊足の大和がタッチアップでホームへ。ついに勝ち越した。渡辺はそのまま投げて11回裏を抑えきりファイターズに甲子園のお返しとなる2連勝を決めた。ヒーローインタビューは好リリーフで今季初勝利の渡辺。

愛すれどTigers週間MVP
投手……鶴直人 今季3度目の先発でついにプロ入り初勝利。ボーイズリーグでも投げ勝ったというダルビッシュと堂々の投げ合いで勝ったのは立派。これをきっかけに自信を持って次回以降勝ち星を積み重ねてほしいものだ。特にシュートに磨きをかけて平松、西本など歴代のシュートピッチャーの系譜に連なってほしい。
野手……新井貴浩 マリーンズ戦では4番としてホームランを放ち、ファイターズ戦では金本のあとを打つ5番として着実に打点をあげ勝利に貢献した。新井が打点をあげた試合では12連勝。今後も毎試合のように打点を稼いでいただきたい。

 ファイターズに甲子園での借りを返したのは大きかった。次節はこの勢いでKスタ宮城でのイーグルス戦でも連勝を狙ってほしい。甲子園では前回連敗したバファローズ。岡田監督に今度こそひと泡吹かせていただきたい。そのあとのホークス戦は苦手杉内を攻略すれば連勝の可能性もある。大和、藤川俊ら若手がミスを重ねつつも経験を積んでいる。金本や鳥谷が復帰した後も、試合終盤に休ませても彼らがいれば安心だ。

(2010年5月31日記)


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