クリネックススタジアム宮城に舞台を移し、金本を4番DHで起用したイーグルス戦は1勝1敗。甲子園に戻り前回連敗したバファローズ戦では下柳の好投で先勝したが連勝ならず1勝1敗。続く甲子園のホークス戦は久保とスタンリッジの好投で1勝1分。今節は3勝2敗1分、通算30勝24敗1分で勝率.556。首位ジャイアンツと4.0ゲーム差で2位。
◎ゴールデンイーグルス3回戦……2−3
先発はタイガースがスタンリッジ、イーグルスがラズナー。ラズナーは低めに揺れるボールを多投してタイガース各打者のバットの芯をはずす投球。スタンリッジは少々荒れ気味にコースに投げ分ける投球。スタンリッジはヒットや四球でランナーを出しながら要所を抑えて5回まで無失点。2回表、金本のライトスタンドへのホームランでタイガースは先制したが、5回までその1安打のみ。6回表、先頭の葛城がヒットで出塁し代走に藤川俊を送ったが特に足を使う攻めを見せるでなく無得点。直後の6回裏、イーグルスは中村紀がライトスタンドに流し打ちのヒットで同点に。新外国人のルイーズのヒットとスタンリッジの暴投で1死二塁とピンチに。草野のライト前に落とすヒットでルイーズが本塁に突っ込み、城島の間一髪のタッチもセーフ、勝ち越しを許す。8回表、二番手の片山からブラゼルが技ありの二塁打をレフト線に打つと、代走大和は城島の二塁ゴロで三塁に進む。ここで代打は関本。右投げの小山を三番手に持ってきたイーグルスだったが、関本はそのまま打席に。高いバウンドでショートの頭の上を越えるタイムリーヒットを放ち同点に追いついた。タイガースは西村がつないで抑え反撃を待つ。9回表、先頭の平野がセンター前に落とすヒットででると、マートンの高く弾む三塁ゴロで二塁へ。金本は四球で新井の一塁ゴロで二封。平野を三塁において代打桧山。対するは四番手川岸。内角の強い球を強振して三振。9回裏、三番手渡辺が先頭の嶋を歩かせ、渡辺直のバントは関本が二塁に送ったが辛うじてセーフ、野手選択となる。聖澤、内村と内野ゴロに打ち取ったものの鉄平のピッチャー返しの球は無情にもセンターに転がりサヨナラヒットに。ラズナーにてこずり、それが尾を引いて打線全体が湿ってしまったような試合となった。
◎ゴールデンイーグルス4回戦……7−3
タイガースはフォッサム、イーグルスは永井が先発。先制したのはタイガース。3回表、先頭の城島が四球で出塁。葛城、桜井と倒れ、鳥谷が四球で2死一二塁に。平野のセンター前ヒットで先制し、続くマートンもセンター前に抜けるタイムリーで2点目を加えた。直後の3回裏、聖澤のヒットと鉄平の四球でピンチに。中村紀にレフト前に運ばれて1点をすぐさま返された。しかしフォッサムはよく粘り、5回裏、先頭の渡辺直を歩かせ聖澤のバントで二塁にランナーを進められると、高須にセンター前に抜けるタイムリーで同点に追いつかれたものの中村紀と山崎を内野ゴロに打ち取ってなんとか踏ん張った。イーグルスは青山、片山という継投。7回表、鳥谷と平野の連打とマートンの四球で満塁にしたものの金本が片山から三振。新井もライトフライでチャンスを逸した。7回裏から登板した江草が先頭の渡辺直を歩かせ聖澤のバントが決まり高須の内野ゴロで三塁に。鉄平に左中間を破る二塁打を打たれてついにリードを許す。そして9回表、切り札川岸がマウンドに。先頭の鳥谷が四球で出塁し、代走の大和がすかさず盗塁。平野のバントは川岸が三塁線まで走って取ったが間一髪でセーフとなり無死一三塁に。マートンは三振し川岸は早々とガッツポーズを見せたが、このような失礼な投手には野球の神様はそっぽを向く。金本がバットの根本に当たる打球を力でライトに運び同点に。平野は送球の間に三塁に到達し、新井の勝ち越しの犠牲フライを呼んだ。ブラゼルもフェンス直撃のヒットで続き、城島がレフトスタンドに3ランを叩き込んで試合は決した。セーブはつかないが藤川球が9回裏に登場。小兵の内村にヒットは許したが、火の玉ストレートで鉄平を空振り三振に。そしてベテラン中村紀と久々の対戦となり、勝負を楽しむ心境の藤川球は中村紀をサードゴロに打ち取って逃げ切り。8回裏に登板して三者凡退に打ち取った上園が勝ち投手に。ヒーローインタビューは同点タイムリーの金本。東北福祉大時代からの思い出の球場で「仙台は好きです」というと東北のファンが大いに沸いた。
◎バファローズ3回戦……6−2
タイガースの先発下柳はのらりくらり投法が冴えわたり、7回無失点。おみごとの一語に尽きる。一方バファローズの先発小松に対してタイガース打線は3回まで毎回ランナーを出しながら決め手となる一打が出ず得点できない。4回裏、先頭の城島がレフト線に二塁打。桜井もヒットで続き無死一三塁。浅井が三振でこの回もチャンスを生かせないかと思われたが、下柳が自分を助けるタイムリーをライト前に運ぶ。さらに平野にもセンター前にタイムリーで2点目を奪う。5回裏にはマートンと新井の連打に続き城島の犠牲フライで3点目を奪い、小松をKO。6回裏、二番手阿南から平野の内野安打とマートンのレフト前ヒットでチャンスを作り、新井がセンター前に弾き返して4点差に。7回裏には三番手加藤から城島のヒットと桜井の四球でチャンスを作り、代打桧山がレフト線にタイムリー。桧山はこのヒットが代打通算109本目のヒットで、遠井吾郎さんの球団通算記録を塗り替えた。鳥谷も犠牲フライで1点を加え、6−0と試合を決定づけた。8回表にはタイガースの二番手西村が喜田剛のライト線への二塁打でピンチに。坂口のサードへの内野安打で完封リレーはついえた。9回表、四番手川崎が後藤にヒットを許し、T−岡田を三振に打ち取って杉山に継投。杉山は北川のヒットでピンチを広げ、代打田口の犠牲フライで1点を失ったが、一輝をレフトフライに打ち取り逃げ切った。ヒーローインタビューは先発で好投の下柳と代打安打記録を作った桧山の両ベテラン。「たまたまです」「ばてばてです」を連発する下柳に球場のファンは大爆笑。なお、5点差をつけたところで藤川俊が盗塁したことに対し、バファローズの岡田監督は「こっちは負けを認めているのに走るとは」と非難したそうだが、最後まで逆転を信じているファンに対してあまりにも失礼な言葉ではないか。その前の試合で7点差をはねかえして逆転勝ちしたチームの監督が言うことだろうか。
◎バファローズ4回戦……4−9
タイガースの先発鶴は前回の勝利で自信を持ったか上々の立ち上がり。バファローズの先発山本もゴロの山を築き3回裏までパーフェクトピッチング。4回表、後藤のヒットとT−岡田への四球でピンチを迎えた鶴は日高にライトスタンドに先制の3ランを叩き込まれる。しかし、直後の4回裏、二塁打の平野を塁に置き、新井がレフトポール際に2ランを、ブラゼルがバックスクリ―ン左に同点のソロホームランをぶち込んで試合は振り出しに。6回裏、2死一塁で打者新井という場面で、マートンが牽制に釣り出されてしまいアウト。このプレイが流れを変えたか。7回表、三番手上園が1死から大引に四球を与え、坂口がヒットで続く。代打田口のショートゴロを鳥谷がお手玉をし、二塁はフォースアウトを取ったが一塁は生かしてしまい、2死一三塁に。後藤のレフト前ヒットで勝ち越しの1点を与え、投手は江草に交代。T−岡田のセンターオーバーの二塁打で2点を追加された。7回裏、二番手平野からブラゼルがフェンスまで届くヒットを放ち、田口がクッションボールをトンネルする間に二塁へ進む。桜井のレフト前タイムリーで1点を返し、まだあきらめないという姿勢を見せた。しかし8回表、江草がピリッとしない。ヒットの日高を一輝に送られ、赤田のセンターライナーは藤川俊が差し出したグラブに当たったが捕球できず二塁打となりさらに1点を失う。9回表には五番手杉山が田口、後藤の連打のあとT−岡田に四球を与え、無死満塁から喜田剛のライト前に落ちるヒットでまず1点。日高のセカンドフライは平野が打球を見失ったか転倒して取れず、ダメ押しの2点目を加えられた。9回裏は岸田から城島がヒットを打ちあきらめない気持ちを盗塁という形であらわしたが、バファローズの岡田監督は「試合が決まってるのに盗塁するのはおかしい」とまたも文句を言っている。大差で負けている側があきらめないで盗塁するのは、「あんなん野球ちゃう」んだそうである。最後は桜井が三振で試合終了。とにかく守備の乱れがあり過ぎた。しまらない試合となってしまった。
◎ホークス3回戦……9−2
タイガースはここまで安定した内容ながら勝ち星に恵まれない久保。ホークスは大隣。初回、タイガース打線が先制。平野のレフト前ヒットとマートンのピッチャー強襲のヒットでチャンスを作り、新井のレフト線へのタイムリー二塁打で1点を奪う。しかし、後続が断たれて1点止まり。久保は好投しつつも守備に足を引っ張られる。4回表、本多とオーティズの連打、ペタジーニへの四球で1死満塁。柴原のショートゴロは二塁は封殺したものの平野が一塁へ悪送球してブラゼルがそらし2走者が生還。逆転を許した。しかし、4回裏、嫌な流れを断ち切る桜井のレフトスタンドへの低く鋭い弾道のソロホームランですぐさま同点に追いつく。5回裏には鳥谷のヒットと平野のセーフティーバントでチャンスを作りマートンのセンター前のタイムリーで勝ち越し。6回表、オーティズと多村のの連打で1死一三塁とされるが、ペタジーニの空振三振に一塁走者の多村が飛び出し、内野手は三塁ランナーを牽制しつつ多村をタッチアウト。相手の凡プレイでピンチを脱した。6回裏、桜井と浅井の連打のあと、久保が相手のバントシフトでがら空きになったショートの定位置にバスターエンドランを敢行、みごと策が当たりタイムリーとなる。続く鳥谷がライト線へ2点タイムリー。平野がセーフティーバントを試みるも一塁はぎりぎりアウトで送りバントとなる。大隣の降板を受けた二番手藤岡からマートンのセンター前ヒットでさらに1点。そして新井の強い当たりのサードゴロはオーティズが弾いてエラーとなりこの回5目が入った。8回裏には陽からヒットの平野をマートンが二塁打で返して決定的な9点目。久保は7回以降危なげない投球で完投勝利。ヒーローインタビューはひとりで投げきった久保と、勝ち越しのタイムリーを放った四安打のマートン。
◎ホークス4回戦……3−3
タイガースの先発スタンリッジはペタジーニ、明石のヒットと山崎の敬遠で2死満塁とし、杉内と勝負。杉内はレフト前に運んで自ら先制点をあげた。リードされたタイガースは直後の2回裏に追いつく。ブラゼルが振り逃げ、城島が三塁オーティズへの強襲ヒットで塁に出ると、杉内キラーの浅井が同点タイムリーをレフト前に放った。しかしホークスはオーティズが3回表にソロホームランをレフトスタンドへ叩き込み、ふたたび勝ち越す。スタンリッジはその後は変化球を駆使してホークス打線を手玉に取る。5回表には主砲松中が自打球をひざに当てて退場するなど、故障者続出でますます打線は湿る。4回裏、杉内キラー浅井の右中間一番深いところに運ぶ同点のソロホームランを放ち、5回裏には平野のセンター前ヒットとマートンの三塁内野安打でチャンスを作り、杉内のワイルドピッチで二三塁に。ブラゼルのレフトへの犠牲フライが出てついに勝ち越し。スタンリッジは快調に7回まで投げきり、8回も続投。しかし、先頭打者のオーティズに二塁打を打たれたところで藤川球にスイッチ。江川のバントでオーティズは三塁へ。ペタジーニは三振に打ち取ったが長谷川のピッチャー強襲ヒットを藤川球が大きく弾いて三塁ランナーの生還を許して同点に。以降は、タイガースが渡辺、西村が、ホークスは攝津、ファルケンボーグ、馬原がそれぞれ好リリーフを見せ、両者ゆずらず延長12回、規定により引き分けとなった。
愛すれどTigers週間MVP
投手……下柳剛 ここのところ勝ち星のなかったベテランが、完封ペースの見事な投球で復活を遂げた。今節は完投勝利の久保や2試合好投したスタンリッジなど候補が目白押しで迷ったが、久々のお立ち台で下柳節を披露してくれたベテランに敬意を表したい。
野手……平野恵一 トップバッターとして、また2番バッターとしてとにかく打てばヒットのハイペース。打率ではついにリーグ3位に上がった。平野とマートンが打線を引っ張っているから、ブラゼルら大砲が生きる。
交流戦も残りあと4試合となった。西武ドームのライオンズ戦と千葉マリンのマリーンズ戦で閉幕となる。パ・リーグ首位争いをしている両チームと、しかもビジターでの対戦だが、金本をDHで打線に組み込めるのが大きい。特に連敗中のライオンズには甲子園のお返しをして、なんとか交流戦を勝ち越して終えてほしいものだ。
(2010年6月8日記)