いよいよ交流戦も最終節。西武ドームでのライオンズ戦は天敵石井一を打ち崩して1勝1敗。2週連続で下柳のヒーローインタビューを聞くことができた。千葉マリンスタジアムでのマリーンズ戦に交流戦勝ち越しを賭けたが、最終戦、惜しくもサヨナラ負けで1勝1敗。今節は2勝2敗、交流戦の結果は11勝12敗1分で惜しくも負け越した。通算32勝26敗1分で勝率.562。首位ジャイアンツと3.0ゲーム差で2位というかたちでリーグ戦再開となった。
◎ライオンズ3回戦……1−2
タイガースのフォッサムは得意のスライダーとカーブを軸にライオンズ打線を翻弄する。一方タイガース打線は初回、ライオンズの先発涌井に襲いかかる。鳥谷が初球を叩いてレフトオーバーの二塁打を放ち、平野のセカンドゴロで三塁に進む。マートンがライト前に運んで鳥谷が生還し、幸先よい先制点を奪った。しかし、以降の涌井は完全に立ち直り、切れのよい速球と落ちる球でタイガースの各打者を圧倒した。4回までうまく抑えていたフォッサムだったが、5回裏、2死から阿部に四球を与え、片岡のライトへのライナーは桜井がスライディングキャッチに失敗しフェンスまで到達。阿部が同点のホームを踏み、片岡も三塁に進んだ。しかし、このピンチも栗山を三振に打ち取り同点でとどめた。そこからあとは両投手一歩も引かず、6回裏、フォッサムは2死からブラウンへの四球、高山のレフト前ヒット、G.G.佐藤のサード新井への内野安打で満塁とする。新井がよく飛びついて外野に抜けるのを防いだのは大きく、細川をライトフライに打ち取り逆転を許さない。7回裏からは西村がしっかりと抑え、9回表に。涌井から久々のヒットを平野が放ち、マートンの二塁ゴロで二進。金本はきわどいところをよく見て四球。新井が一塁ゴロに倒れて勝ち越しはならず。9回裏、三番手渡辺はG.G.佐藤を歩かせ細川はバントを失敗して捕邪飛。原のバントでランナーは二塁へ。そして片岡が三塁右を抜くレフト前ヒットで代走斉藤がホームイン。悔しいサヨナラ負けを喫した。
◎ライオンズ4回戦……8−4
ライオンズの先発はタイガースキラーの石井一。しかし、初回にいきなり攻略する。平野のライト線への二塁打を足場に、マートンがセンター前に先制タイムリー。そして新井がバックスクリーンに飛び込む放物線を描く2ランでいきなり突き放す。下柳はいつものように低めにコントロールするが、その低目をライオンズ打線に狙われた。2回裏、1死から高山を歩かせ、G.G.佐藤がレフト前ヒット。平尾のセンター前に抜けるタイムリーでまず1点を奪われる。さらに細川にもライト前に落とされて満塁に。片岡のセンター犠牲フライで1点差に迫られた。しかし阿部はレフトフライに打ち取り同点にはさせない。3回裏、ヒットの中島とセカンド平野のエラーのブラウン、四球の高山に塁を埋められ1死満塁。ここでG.G.佐藤をショートゴロ併殺に切って取る下柳ならではの投球術でピンチを脱した。4回表、石井一が急な故障で降板し、許が急遽マウンドに。準備不足の許をタイガース打線がとらえる。先頭の新井がレフト前にヒットを放つと、ブラゼルもライト線のヒットで続く。城島がレフトオーバーの二塁打で新井を返し、桜井が倒れたあと浅井がショートゴロ。ホームに突っ込むブラゼルを見てショート中島はバックホーム。これを細川捕手がはじいてブラゼルがホームインした。さらに鳥谷がセンターの頭を越す二塁打でこの回3点目。4点差に突き放す。下柳は4回以降は高めのつり球でライオンズ打線に次々と打ち上げさせて危なげない投球。7回まで2失点のまま投げきった。7回表、ライオンズの四番手田中からマートンが二塁へよく弾むゴロを放ち、片岡がこれを後ろにそらして記録上はエラー。金本が四球を選び、前の打席で自打球を顔に当てて引っ込んだブラゼルに変わって守備についていた関本はサードゴロ。しかしサード阿部が後ろにそらしてマートンが生還した。城島のセンター前ヒットで金本が生還し、この回2点目。関本も一気にホームを突いたがこれは刺された。8回裏、タイガースの二番手筒井は中島に四球を与え、高山にレフトスタンドへの2ランを打たれて交代。三番手上園がなんとか抑えて9回裏は藤川球。先頭の代打上本に二塁打を打たれたが、片岡をサードへのファールフライに切って取ると、若い斉藤、そして主砲の中島を連続の空振り三振にとって試合を締めた。これで昨年からのライオンズからの連敗を5でストップさせた。ヒーローインタビューは老獪な投球で若いライオンズ打線を手球に取った下柳。西武ドームではビジターでも球場にインタビューが流れるので、「恥ずかしいです」「体力ないです」といつもの下柳節で球場のファンを沸かせていた。
◎マリーンズ3回戦……4−2
タイガースの先発は久保。移籍後初の千葉マリン球場。古巣相手に勝手知ったるもとの我が家で見事な投球を見せた。内外角に落ちる球を投げ分け、マリーンズ打線に狙いを絞らせない。タイガースは今季途中ベイスターズからマリーンズに移籍してきた吉見を打ち込む。まず2回表にブラゼルが右中間スタンドに先制ソロホームラン。4回表には城島がレフトスタンドに2点目の中押しソロホームラン。5回表には2死からマートンが右方向へ二塁打を打つと、金本が技ありのライト前タイムリーヒットで3点目。7回表には金本が三番手古谷からライトスタンドにダメ押しのソロホームランを放って4点差とした。久保は8回裏に今江にソロホームランを打たれて完封を逃し、9回裏には二番手藤川球がサブローを歩かせて代打竹原にセンターオーバーのタイムリー二塁打を打たれたが、最後は代打ムニスを三振に打ち取って試合を締めた。ヒーローインタビューは先発勝利の久保。
◎マリーンズ4回戦……8−9
タイガース先発スタンリッジが早々と崩れた。タイガース打線は渡辺俊から初回にヒットの平野と四球の金本を塁に置き、新井がレフト前に先制タイムリーを打って援護したのだが、直後の1回裏、今江への死球、井口のヒット、キム・テギュンへの四球で1死満塁とし、大松へのライトオーバーの二塁打で2点を奪われあっさり逆転された。さらに2回裏、先頭の里崎を歩かせ、岡田の投手へのバントはスタンリッジが球を握り損ねて一塁送球が遅れてセーフ。西岡のバントでランナーが二三塁と進み、今江はセカンドゴロに打ち取って得点を阻んだものの井口とキム・テギュンに連続で右中間を破る二塁打を打たれて3失点。1−5と差が開いた。スタンリッジはここで降板し、二番手の上園が後続を断った。反撃開始は3回表。マートンと金本の連打、新井の四球で1死満塁と攻め、ブラゼルの外角を強引に運ぶセンターへの犠牲フライで1点を返した。上園の好投でなんとか試合になるかと思われたが、4回裏、その上園が乱れる。1死から今江のヒットと井口の二塁打、キム・テギュンの四球で満塁に。ここで左の川崎が登板したが、今季はじめまでいた古巣相手にいいところを見せられなかった。大松にセンター返しの2点タイムリーヒットを打たれてしまう。後続は四番手の西村が断ち、西村はこのあと6回裏まで無失点で切り抜けた。5回表、勝ち投手の権利を目前にした渡辺俊がもちこたえられない。ヒットの新井を塁に置き、ブラゼルが右中間スタンドに2ランを放つと、代打桧山の二塁打を足場に、林がレフト前にタイムリーを放つ。渡辺俊はここで降板、古谷に2点差としたこの回の勢いに期待がかかった。7回表、四番手伊藤から城島の二塁打、藤川俊の二塁ゴロで1死三塁に。ここで林が犠牲フライを放ち1点差に迫った。しかし直後の7回裏、西村はヒットのサブローを塀内にバントで送られ、里崎はライトフライに打ち取ったが、代打根元のレフトフライを林が追いつきながらグラブに当てて落球し、1点を追加された。敗色濃厚となった9回表、抑えの切り札小林宏からヒットの城島と四球の関本を塁に置き、林のライト線の二塁打で1点。続く鳥谷の打席で小林宏は暴投、同点に追いついた。しかし逆転はならず。試合は延長戦に。9回途中、渡辺の作ったピンチをしのいだ藤川球は、10回裏も続いて当番。今江を三振に取った直後、井口に低目をすくい上げるように打たれた打球はライトスタンドへのサヨナラホームランに。5時間まであと10分という長い試合はあっけなく終わった。
愛すれどTigers週間MVP
投手……久保康友 古巣マリーンズ相手にかつての本拠地で完封ペースの好投。一時は好投しても勝ち星がつかなかったが、ここ2試合は打線も効果的に援護して連勝。いまやタイガースのローテーションの軸となっている。このままリーグ戦でもエース格として活躍してくれそうだ。
野手……クレイグ・ブラゼル 効果的なところでホームランを放ち、チームにいい流れを呼び込んでいる。マリーンズ戦は2試合連発でセ・リーグのホームランダービー単独トップに立った。自打球を顔に当て口の中を縫うけがをしても元気に出場する気構えがうれしい。
4日間の休養を経て金曜日からリーグ戦再開。まずは横浜球場でベイスターズと3連戦。先発投手陣の頭数は少しずつそろってきた。外野手の守備のミスがかなり目立つだけに、この休養期間に特に桜井と林の守備を再チェックしてほしい。疲れが目につく藤川もここはしっかり肩を休めてほしい。
(2010年6月14日記)