甲子園でのドラゴンズ戦はブラゼルの3打席連続ホームランなどで勢いをつけ2勝1敗。東京ドームのジャイアンツとの首位決戦は、鉄腕強打爆発で2勝1敗。Aクラスの2チームとの連戦で両カードとも勝ち越したのは大きい。安藤の復帰第1戦は好投を見せ、一番不安なフォッサムが二軍落ちしてローテーションの再編も視野に入ってきた。今節は4勝2敗。通算40勝31敗1分で勝率.563。首位ジャイアンツと3.0ゲーム差で2位。
◎ドラゴンズ10回戦……11−5
先発はスタンリッジと朝倉。先制したのはタイガース。2回裏、ブラゼルがレフトスタンドに技ありの流し打ちで24号ソロホームランを叩き込む。続く3回裏、鳥谷がレフト前ヒットで出塁し、平野のイレギュラーバウンドのショートゴロを胸で受けた荒木が二塁送球が間に合わずエラー。マートンのレフト線への二塁打で鳥谷が還り2点目。続く新井が左中間スタンドに豪快に叩き込んで3ランで5点目。続くブラゼルが2打席連続となる25号ソロホームランを風に乗せてレフトスタンドに入れる。これで6点目。2回表のドラゴンズは和田の三塁打、野本、堂上直の連続四球で1死満塁としながらも小山と朝倉を難なく打ち取りピンチを脱した。5回表のピンチも荒木を併殺にとってしのぐ。5回裏、二番手ネルソンから二塁打のマートンを置いてブラゼルが3打席連続となる26号2ランをライトスタンドに運び8点目。続く城島はレフトスタンドにライナーで飛び込むソロホームランで9点目。7回表、スタンリッジは野本にライトスタンドぎりぎりに飛び込むソロホームランで1点を失ったが、球威のある速球とカットボールが冴えてこの回限りの余裕の交代。7回裏、三番手久本から新井が四球を選び、ブラゼルがショートの後ろに落ちるポテンヒットで続く。代打浅井のレフトオーバーの二塁打で10点目。続く桜井はセンターへ大きな犠牲フライで11点目。点差に余裕のあるタイガースは8回裏に今季初登板の新人藤原を送る。プロの壁は厚く、英智、森野の連続二塁打でプロ初失点。さらにブランコにもレフト線に二塁打を打たれて2失点で初登板を終えた。9回表には甲子園初登板の横山がマウンドに。堂上剛のヒットと荒木のレフトスタンドへのホームランでこれまた2失点。英智にヒットを打たれ、森野を歩かせたところで、あと1人で試合終了というところで降板。苦い発甲子園となった。最後の打者は新井良太。タイガース新井の実弟を迎えたのは久保田。ライトフライに打ち取り試合終了。ヒーローインタビューはもちろん3打席連続ホームランのブラゼル。なお、試合前にギネスブックから金本が連続試合フル出場の世界一と日本一の記録を認定されるセレモニーが行われた。
◎ドラゴンズ11回戦……1−2
タイガース打線はドラゴンズの先発チェンから長打を打てない。手元で伸びる球に完全に差し込まれている。下柳もタイミングをうまくはずすのらりくらり投法が冴え渡り、ドラゴンズ打線を手玉に取る。先手を取ったのはドラゴンズ。4回表、和田のライトへの大きな飛球はスタンドに吸い込まれ、先生ソロホームランとなった。しかし直後の4回裏、平野、マートン、新井の三連打で満塁とし、城島のレフト前ヒットで平野を迎え入れて同点に追いついた。下柳は7回表、四球3つで2死満塁としたが、そのまま打席に立ったチェンを一塁ゴロに打ち取りピンチを脱した。限界と見た真弓監督は8回表に久保田を投入したが、先頭荒木のヒット、英智のバント、カウントの悪くなった森野を敬遠し、和田にライト前に打ち返された。平野はバックホームせず一塁走者を二塁でアウトにし、1点リードを許した。ドラゴンズは8回以降、浅尾、岩瀬のリレーで逃げ切り。
◎ドラゴンズ12回戦……5−1
先発は4月以来の安藤と好調の吉見。安藤はランナーを許しながら要所を締める。2回表、ブランコにセンターへ特大のソロホームランを叩き込まれた。吉見はほぼ完ぺきな投球。3回裏の桜井のヒットがなければノーヒット・ノーランの話題が出たのではないか。4回表、安藤は先頭の森野にヒットを打たれるが和田を併殺に打ち取り、ブランコを歩かせる野本にもヒットで続かれるが堂上直を三振に切って取ってピンチを脱した。さらに6回表、1死から森野、和田を歩かせたがブランコはショートゴロで併殺。この粘りの投球が吉見にじわじわとダメージを与えていたのか。6回裏には鳥谷と平野の連打とマートンの四球で2死満塁に。ここは新井がサードゴロでチャンスを逸したが、少しずつつかまえかけている手ごたえを感じる。7回1失点で降板したものの、安藤は追加点を与えなかった。8回表に登板した西村も2死満塁というピンチは迎えたものの堂上直を三振にとり失点は防ぐ。そして迎えた8回裏、1死から鳥谷と平野の連打でチャンスを作り、マートンのレフト前ヒットで鳥谷が生還して同点に。バックホームの送球を捕手がそらす間にランナーは二三塁に進む。そして新井がセンター前にみごと転がし2点の勝ち越し。そしてとどめは二番手高橋から打った城島のレフトスタンドへの2ラン。一挙5点の猛攻にドラゴンズは反撃できず。9回は藤川球が締めてカード勝ち越しを決めた。ヒーローインタビューは同点打のマートンと勝ち越し打の新井。
◎ジャイアンツ10回戦……10−8
先発の久保は好調ジャイアンツ打線につかまる。2回裏、阿部にライトスタンドに先制のソロホームランを打ちこまれると、ヒットの長野と死球の鶴岡を塁に置いて坂本のサードゴロを新井が悪送球してさらに1点を失った。4回裏には先頭の脇谷に二塁打を打たれ、坂本のレフトスタンドに飛び込む2ランで4点差に引き離される。タイガース打線はゴンザレスのスライダーにてこずりなかなかチャンスをものにできない。しかし、7回表、チャンスはやってきた。ゴンザレスの球が高めに浮き始めたところを先頭の鳥谷がヒット。平野が四球で続く。ここでゴンザレスは降板。二番手久保裕からマートンがライト前に運ぶ。ダッシュして取りに来た長野は後ろにそらし、走者一掃の三塁打となって2点差に迫った。新井のセンター前に抜けるヒットでマートンが生還して1点差に。ブラゼルが四球を選び城島のレフト前ヒットで新井が一気に生還、同点に追いついた。代打浅井のレフト前ヒットで満塁とし、代打金本は三番手山口の前に三振に倒れたが、代打関本が四球を選んで押し出しで勝ち越し。鳥谷三振のあと、平野の二塁への内野安打で城島が還り2点差とし、浅井も一気にホームを突くがきわどいところをアウトの判定。しかし一挙6点の猛攻にジャイアンツリリーフ陣は顔色なし。7回裏、ジャイアンツも反撃。二番手上園が松本を歩かせ小笠原のヒットで無死一二塁。ラミレスを三振に取ったところで三番手藤原を送る。藤原は阿部を強いファーストライナーに打ち取ったがブラゼルが弾いてオールセーフ。満塁の場面で四番手西村が登板。代打高橋由にライト前同点タイムリーを打たれ、続くエドガーにも逆転の二塁打を喫してこの回3失点でひっくり返された。8回表、四番手越智から新井のセンター前ヒットでチャンスを作り、ブラゼルがバックスクリーンに飛び込む逆転2ラン! 8回裏は久保田が抑える。そして9回表、五番手星野から先頭の藤川俊がショート坂本のエラーを誘う内野ゴロ。鳥谷がライトスタンドに運んで3点差をつける。9回裏のマウンドには藤川球。長野に東京ドームならではのライトへの詰まった飛球がスタンドに入るホームランを打たれてしまったものの、阿部、高橋、エドガーをきっちり抑えて逃げ切った。ヒーローインタビューは逆転ホームランのブラゼル。
◎ジャイアンツ11回戦……8−2
先発の鶴は初めてのジャイアンツ戦先発。初物に弱いジャイアンツ打線が鶴のシュートにてこずる。3回裏、エドガーの出会い頭の一発で先制されたが、主砲のラミレスを完全に抑え込んで打線を分断する。ジャイアンツの先発藤井は立ち上がりこそ低めを厳しく突く投球でタイガース打線を牛耳っていたが、球が浮きだした4回表につかまえた。新井がセンター前に弾き返し、ブラゼルがファールで粘ってライトスタンドの上の天井に当たりスタンドに落ちる特大の2ランで逆転。続いて浅井が二塁打を放ち、桜井は足元に死球。鶴のバント失敗で三塁にランナーを進めることはできなかったが、鳥谷がライトスタンドに3ランを叩き込み、ミスを帳消しに。藤井は5回限りで降板し、6回表、二番手はベテラン豊田。内野安打の浅井を塁に置き、桜井のライト前ヒット。浅井は三塁に。鶴の三塁線への送りバントを豊田が取って浅井には目もくれず一塁に送球。これを見た浅井はホームを突く。一塁はエドガーがベースカバーに入っていず、鶴もセーフでプロ入り初安打がセーフティースクイズというかたちになった。6回裏、先頭の小笠原を歩かせ阿部と長野の連打で満塁に。エドガーに犠牲フライを打たれて2点目を奪われたところで渡辺に交代。渡辺は後続を断ち、7回も抑えた。8回表には三番手マイケル中村から城島がレフトスタンド上段にソロホームラン。9回表には四番手星野からマートンが右中間に二塁打を放ち、新井が歩き城島のタイムリーで決定的な8点目をあげた。8回裏は久保田、9回裏は西村が戦意喪失のジャイアンツ打線を抑え込んで試合終了。これでタイガースは首位ジャイアンツに2ゲーム差に迫った。ヒーローインタビューはジャイアンツ戦初勝利の鶴。
◎ジャイアンツ12回戦……2−10
先発フォッサムがまたも打たれてジャイアンツ戦は5連勝でストップ。まず初回、先頭の坂本にいきなり死球を与え、松本の復帰後初安打を許し無死二三塁に。小笠原のセンターへの犠牲フライで先制点をあたえる。続いて2回裏、阿部にレフトスタンドにソロホームランを打たれると、続く長野にもヒットを打たれ、高橋由にライトスタンドへ2ラン。3回裏にはラミレスにラッキーな内野安打を打たれ、阿部にもヒットを許し、高橋由に2打席連続となる3ランをライトスタンドに放りこまれた。7失点のフォッサムはここで降板。二軍落ちが決まった。二番手の上園はよく抑えていたが5回裏にラミレスにソロホームランを打たれてしまう。タイガース打線は東野に初回から狙い球を絞れない投球で抑えられてきたが、6回表に反撃。先頭の平野がヒット。マートン凡退のあと新井は一塁エラーで出塁し、ブラゼルのライト前ヒットで1点を返す。さらに城島の内野ゴロの間に新井が生還して2点目。林の二塁打と浅井の四球で満塁とし、代打は金本。東野をマウンドから引きずりおろし、二番手山口との対決は一塁ゴロ。ジャイアンツは大差にもかかわらず必死の継投。7回裏、三番手の渡辺はヒットの阿部を塁に置いて長野の二塁打で失点。8回裏、今季初登板の若竹は先頭の坂本をセカンドゴロに打ち取ったが平野の悪送球で生かし、松本に二塁打を打たれて失点したが、小笠原、ラミレス、阿部を凡退に打ち取り光るものを見せてくれた。ジャイアンツは8回から久保、福田とつなぎ、タイガース打線もヒットで粘るが決定打が出ず逃げ切られた。同一カード3連勝はかくのごとく難しい。
愛すれどTigers週間MVP
投手……安藤優也 勝ち星こそつかなかったが、復帰登板を1失点で切り抜けてドラゴンズ戦勝ち越しにつないだ。本来の球の切れが戻るのはまだ先のようだが、これで先発ローテーションがかなり楽になることだけは確かだ。
野手……クレイグ・ブラゼル ドラゴンズ戦の3打席連続ホームラン、ジャイアンツ戦の2試合連続逆転ホームラン。年間56本ペースという恐ろしいばかりのパワーとテクニック。文句なしのMVP。
オールスターの監督推薦で久保、平野、マートンが選出された。ブラゼルが選ばれなかったのは選手枠の関係なのだろうが、現在の数字で選ばれなかっのは、原監督の見る目がないということである。次節は倉敷と甲子園でスワローズと、続いて甲子園でベイスターズと3連戦。Aクラス相手に勝ち越して弾みのついた打線と、フォッサムを除いて好投した先発投手陣には大いに期待できる。中継ぎとして抜擢された藤原と若竹の若手投手も楽しみな存在である。そして巧守巧打の上本内野手がついに一軍昇格。真弓監督の若手抜擢がいよいよ本格的になってきた。
(2010年7月5日記)