倉敷マスカット球場と甲子園でのスワローズ戦はスタンリッジの完投勝利や関本の代打ホームランなどで2勝1敗。甲子園のベイスターズ戦は、若手野手の好走塁とメッセンジャーの来日初勝利で2勝1敗。この間ジャイアンツは投手陣が崩壊しドラゴンズ戦3連敗もあり、急速降下。今節も4勝2敗。通算44勝33敗1分で勝率.571。首位ジャイアンツと0.5ゲーム差で2位。
◎スワローズ9回戦……6−1
先発はスタンリッジと村中。先制したのはタイガース。初回、レフト前ヒットの鳥谷を平野が送り、マートンの左中間へのタイムリー二塁打が出た。スワローズ打線は初回にホワイトセルが膝に死球を受けたこともあってふるわず。2回表、上田と鬼崎の連打でピンチとなるが、青木の二塁内野安打の間にホームを突いた上田をセカンド大和の好送球で刺してチェンジにし、流れをつかむ。4回裏には城島と浅井の連打、そして大和の四球などで2死満塁とし、鳥谷がレフト前にタイムリーを打ち待望の追加点。7回裏、二番手増渕からスタンリッジが来日初安打を放つと、鳥谷、平野の連打で満塁に。マートンのどん詰まりのピッチャーゴロでスタンリッジが生還して1点追加。続く新井のレフトオーバーの二塁打で走者一掃。ここでマウンドには三番手の渡辺恒。ブラゼルはセンター前に弾き返して新井を迎え入れ、この回4点を奪った。あとはスタンリッジの完封勝利が焦点となったが、9回表、上田、鬼崎に連打を食らい、青木のタイムリーで1点を奪われて完封は逃した。しかし、田中を併殺に打ち取り完投勝利。ナイターに強いスタンリッジの本領発揮となった。ヒーローインタビューはもちろんスタンリッジ。
◎スワローズ10回戦……3−2
下柳がいきなり先頭青木に初回にホームランを打たれた。しかし、続く田中からはのらりくらり投法で手玉にとる。タイガースは3回裏に新人の中澤を攻める。1死から平野が歩き、マートンがヒットで続く。ブラゼル、城島に連続タイムリーが出てあっさり逆転。もっとも、中澤はよく立ち直り、4回以降はタイガース打線を封じこめる。下柳は4回表に追いつかれた。相川のレフトスタンドに運ぶ同点ソロホームランである。タイミングが合うと下柳の球は飛ぶのだ。しかし、うまく切り替えるのがベテランらしさ。以降は勝ち越しは許さない。6回裏、下柳の代打関本がライトスタンドにみごとな勝ち越しホームラン。虎の子の1点をもぎ取った。その虎の子を渡辺亮、久保田、藤川球のリレーで守り切った。ヒーローインタビューは決勝ホームランの関本。「下柳さんへの結婚祝い」とやって拍手喝采。
◎スワローズ11回戦……6−10
先発の安藤の初回の立ち上がりは上々。その裏、打線も援護。加藤から鳥谷が歩き平野が送り、新井も四球で1死満塁。ブラゼルと城島の連続タイムリーで2点先制。しかし、安藤は突如崩れる。2回表、宮本と鬼崎の連打でピンチを招くと、川本のレフトオーバーの二塁打で一気に同点に追いつかれた。さらに4回表、飯原のヒットと宮本の四球、川本のヒットで満塁とし、加藤の一塁への内野安打で1点、さらに青木にライト線へ2点タイムリー二塁打を打たれ、福地は打ち取ったが田中に四球。畠山にバックスクリーンの左に満塁ホームランを打たれてこの回なんと7失点。ここで安藤は降板した。4回裏、城島のヒットと浅井のレフト線への二塁打でチャンスを作り、桜井の犠牲フライで1点を返す。スワローズは5回を投げ切ったところで加藤を下げ、6回から押本、増渕と継投。タイガースも5回から上園、若竹を2イニングずつ投げさせる。若竹は8回表に青木を歩かせ、田中の投手強襲安打でピンチを作り、畠山のタイムリーで1点を失った。しかし、タイガースの反撃はここから。8回裏、四番手松岡から浅井の四球と林のヒットで2死一二塁とし、鳥谷が右中間を破る2点タイムリー二塁打。9回裏にはイムからブラゼルがソロホームランを放ち4点差としたが及ばず。敗れはしたが、打線の好調は変わらず。安藤の大量失点が最後まで響いた。
◎ベイスターズ8回戦……6−5
タイガースキラーの三浦に初回から襲いかかる。鳥谷が四球を選び、平野が送る。マートンが右中間へ二塁打で鳥谷を返し、新井もセンターに弾き返してマートン生還と、2点を先制した。しかしベイスターズも反撃。スレッジの二塁打のあと、新外国人のハーパーにフォークを強引にライトスタンドに運ばれ、同点にされる。さらに3回表、石川と内川の連打でランナーをため、スレッジにレフトスタンドに運ばれ3点差に。だが今季のタイガース打線はここで粘る。直後の3回裏、先頭の平野がライト前ヒット、続くマートンも右方向へ流し打ち二塁打。そして新井がセンター前に弾き返して両者を返し、1点差に迫った。ベイスターズは4回から加賀を繰り出し、そのサイドハンドからの曲球に手を焼き7回まで音なし。タイガースも久保が立ち直り6回までなんとか追加点を与えず、藤原、西村とつなぐ。8回裏、ベイスターズ三番手加藤からブラゼルがレフト線への二塁打を放つ。すかさず代走に大和を送り、マウンドには真田。城島の一塁線のゴロをハーパーに好捕されるが、大和は三塁へ。代打金本の高いバウンドの一塁ゴロで大和がホームへつっこむ。ハーパーが本塁へ送球したが巧みなスライディングでホームイン。同点としたところで金本の代走に上本が送られた。上本はすかさず盗塁。捕手の橋本が二塁に送るが悪送球となり上本の体に当たってレフト方向へ転々と転がる。その間に上本は一気にホームを陥れ、鮮やかな逆転劇。最後は藤川球が締めて初戦を取った。ヒーローインタビューは代走コンビの大和と上本。
◎ベイスターズ9回戦……3−4
苦手の清水からタイガースが先制。2回裏、二塁打の林を塁に置き、浅井がレフトポール際に2ランホームランを叩き込む。しかし、そこからあとは狙い球を絞り切れず、清水のコントロールに翻弄される。タイガースは甲子園での初勝利を狙う鶴。4回表、ヒットの村田をハーパーのライト前ヒットで返されて1点差に。6回表には村田のバックスクリーンへのソロホームランで同点に追いつかれた。今季最長となる7回表には、二塁打の武山を藤田のセカンドゴロで三塁に進められ、清水のセカンドゴロはイレギュラーバウンドをして平野の頭を大きく越し負け越し。ここで鶴は降板した。9回表には二塁打のハーパーを藤田のタイムリーで返され2点差に。しかし、9回裏、ようやく清水をとらえにかかる。新井の四球と城島、林の連打で1死満塁とし、清水は降板。抑えの山口を引きずり出す。浅井が犠牲フライを放って1点差にしたが、最後は代打桧山が平凡なフライに倒れて逆転ならず。清水とハーパーにやられた試合であった。
◎ベイスターズ10回戦……7−3
タイガースの先発はフォッサムに代わって先発要員として二軍から上がってきた今季初先発のメッセンジャー。スローカーブとカットボールを有効に使い、ベイスターズ打線を翻弄する。タイガースは2回裏、大家からブラゼルがライトスタンドへ大きな円弧を描くソロホームランで先制。続く城島はライナーでレフトスタンドに叩き込む。元メジャー投手の大家から元メジャーリーガーが連発というわけ。3回裏には先頭のメッセンジャーのレフトフライをスレッジが落球。鳥谷のライト前ヒットに続き、平野の投手ゴロを大家が二塁に悪送球。メッセンジャーがホームインし、1点追加。さらにマートンのタイムリーで鳥谷が生還。平野も三塁に進み、新井の二塁ゴロの間に生還。ブラゼルがライト前にタイムリーヒットを放ち、この回4点を追加した。メッセンジャーは4回表と6回表に内川に2打席連続のソロホームランを打たれたが、連打は許さず6回2失点で西村、渡辺にバトンを渡す。7回裏、三番手江尻から二塁打の平野を新井がセンター前ヒットで返して1点を加え、試合を決定づけた。9回表、上園が橋本と大西に連続四球を与え、暴投で三塁に走者を進めて下園に犠牲フライを打たれて1点を返されるが、なんとか石川をレフトフライに打ち取り試合終了。昼の試合でジャイアンツがドラゴンズに3連敗したため、ついにゲーム差は0.5に。ヒーローインタビューは来日初勝利のメッセンジャーとホームランダービートップのブラゼル。
愛すれどTigers週間MVP
投手……ランディ・メッセンジャー 4月に中継ぎ失敗の烙印を押された男が、二軍で修正し、出番をひたすら待ち続けてついに再登場。カープを巧みに使う投球術は大崩れはなさそう。フォッサムの代わりどころかおつりがくるほどの投球内容である。
野手……浅井良 左投手用の先発で結果を出し、センターの定位置をキープ。思い切りのいい打撃はその勝負強さとあいまって頼もしい限り。守備も打球に対する反応がよく、マートンや林をよくカバーしている。
ついに甲子園で0.5差と肉薄した首位ジャイアンツを迎え撃つ。下降線を描いている相手だけに、徹底的にたたきつぶしてシーズンの流れをこちらのものにしてもらいたい。後半は神宮でスワローズ戦。かなり手強くなってきているだけに侮らずに試合を確実にものにしていってほしい。
(2010年7月12日記)