甲子園でのベイスターズ戦はスタンリッジと久保の好投で2勝して雨中止。この間ジャイアンツはドラゴンズ戦で1勝2敗と負け越しついにタイガースが首位に立った。続く甲子園のドラゴンズ戦は連夜の熱戦を制して2勝1分今節は4勝1分。通算52勝36敗2分で勝率.591。2位ジャイアンツと0.5ゲーム差で首位を死守。
◎ベイスターズ11回戦……5−2
後半戦開幕試合はタイガースがスタンリッジ、ベイスターズがランドルフという両外国人投手の先発。両者とも序盤から快調。先制したのはベイスターズ。3回表には三者三振を食らうなどここまで苦しんできた鬱憤を払うように、内川が右中間に二塁打を放つ。石川、ハーパーと凡退し、4番の村田が左中間にタイムリー二塁打。スタンリッジがストライクを取りにいったところを狙われた。しかし直後の4回裏、ブラゼルが外角球をうまく流し打ち、打球は浜風に乗ってレフトポール際のスタンドに入る同点ソロホームラン。試合は振り出しに戻った。ランドルフをとらえたのは6回裏。先頭の平野がセンター前ヒットで出塁し、マートン三振の間に盗塁。新井はファールで粘って9球目をレフト前に運び平野を迎え入れて待望の勝ち越し点。ブラゼルはサードフライに倒れたが、金本が一塁手ハーパーのミットを弾くライト線への二塁打で2死二三塁に。城島は左寄りに守っていたショートの右に転がるレフト前ヒットで2点を追加した。ここでランドルフは降板、二番手に秦が登板。尾花監督はここから小刻みな継投を見せる。7回裏には秦、篠原、弥太郎と打者一人ずつに投手を交代。なんとかタイガースの追加点を阻止しようとする。8回表、タイガースは二番手に久保田を投入。先頭の下園に二塁打を打たれたが、代打の金城、橋本、そして一番の内川をいずれも内野ゴロに打ち取って粘りの投球をみせた。直後の8回裏、左打者用に投入された加藤からブラゼルが低めの球をすくい上げてライナーでバックスクリーン右に運ぶソロホームランで突き放す。9回表、満を持して藤川球が登板。ハーパーにライトスタンドに運ばれて1点は失ったが、最後の打者スレッジは空振三振。余裕で逃げ切った。ジャイアンツがドラゴンズに敗れたため、5月2日以来久々の首位に。ヒーローインタビューは勝ちこし打の新井と2ホーマーのブラゼル。この試合は私も三塁アルプス席で見ていたが、ブラゼルの2本目など恐ろしいくらいの強い打球で迫力満点であった。
◎ベイスターズ12回戦……6−3
先発はメッセンジャーとタイガースを得意とする清水。タイガース打線は予想通り清水の変化球に狙い球を絞り切れず苦戦。2連勝と波に乗るメッセンジャーが先につかまった。4回表、内川のライト前ヒット、石川の内野安打でランナーをため、ハーパーに左中間に二塁打を打たれて2失点。しかし、ここでマウンドに言った久保コーチのアドバイスを受け、メッセンジャーは立ち直る。スレッジ、カスティーヨ、吉村と三者を凡退に打ち取り、6回を投げ切ってみこの2失点にとどめた。7回表には西村がマウンドに上がり、三者三振。そして7回裏、タイガース打線の集中豪打が炸裂。不振のマートンがセンター前にヒットを放つと、新井のヒットで無死一三塁とする。ここで新井が盗塁し、ブラゼルのライト前ヒットで2者生還、同点に追いついた。さらに金本のヒットで代走の上本が三塁に進み、城島のヒットで生還して勝ち越し。浅井のバントで1死二三塁とし、代打関本のセンター前ヒットで2者が生還。関本はバックホームの間に二塁に進み、清水は降板。二番手篠原からの鳥谷のライト前ヒットで関本はこの回6点目のホームを踏んだ。なんと安打すべてが単打という集中打。雨が強くなってくる甲子園で、タイガースは久保田、藤原、渡辺の継投。渡辺は9回裏、カスティーヨにライトスタンドへソロホームランを打たれたが、豪雨の中コントロールのつけにくい状況でよく投げた。ヒーローインタビューは中継ぎで勝ち投手になった西村が雨の中1人で登場。この日、ジャイアンツがドラゴンズに敗れゲーム差は1.5に。翌日は雨天中止。ジャイアンツが勝ちゲーム差は1.0に。
◎ドラゴンズ13回戦……3−2
先発の久保は立ち上がり不調。初回、ヒットの荒木を大島に送られ、森野の二塁打で先制される。さらにブランコの二塁ゴロで森野の三進を許し、和田のレフト前ヒットで2点目を奪われた。しかし、この程度のビハインドは今季のタイガース打線は苦にしない。2回裏、吉見からブラゼル、金本、城島の三連打で無死満塁とし、浅井のショートへの内野安打でまず1点。久保と鳥谷が凡退した後、平野がレフト前に落として同点に追いついた。4回裏には先頭の城島がレフトスタンドに強い当たりのソロホームランを放ちリード。以降は久保と吉見の投手戦となる。8回表、久保が大島に四球を与え、森野の内野安打でピンチを招くと、真弓監督は迷わず藤川球を投入。藤川球はブランコを三振に打ち取った。ドラゴンズも8回裏から小林正、鈴木の継投でタイガース打線をかわしたが、9回表、そのまま続投の藤川球が抑えて逃げ切った。ヒーローインタビューは先発の久保と決勝ホームランの城島のバッテリー。
◎ドラゴンズ14回戦……5−5
延長12回。タイガースは野手全員を、ドラゴンズは投手全員を使いきっての総力戦。先制したのはタイガース。先発中田賢から鳥谷がヒット。平野のバントは内野安打に。新井がレフト線に二塁打を放ち、先制点となる2点を奪った。しかし、タイガースの先発鶴は直後の2回表に追いつかれる。先頭のブランコがレフト前に落とし、続く和田のレフト前ヒットを金本が後ろにそらして無死一三塁。堂上剛の二塁併殺打の間にブランコが生還して1点。2死ランナーなしから谷繁が二塁打。堂上直は敬遠。投手の中田賢にライト前に運ばれて同点に追いつかれた。さらに3回裏、2死から和田を歩かせ、堂上剛にライトスタンドに2ランを打たれ、リードを許した。鶴は4回限りで降板。5回からは西村、7回からは藤原、渡辺が登板してドラゴンズ打線を抑える。そしてドラゴンズは6回途中で中田賢から小林正とつなぎ、7回裏には勝ちパターンで浅尾を投入。しかし、ブラゼルがバックスクリーン横に飛び込むソロホームランで1点差に迫る。8回裏に登板した清水からは城島がヒット、浅井のバントで二塁に進み、代打関本は四球。左腕の高橋が登板したが、鳥谷がライト線への二塁打を放ち同点に追いついた。9回表には久保田がマウンドに。先頭の堂上直にヒットを打たれ、小池のバントで二塁に。大島のヒットは浅い守りで失点を食いとめたが、森野にレフト前ヒットを放たれ1点をリードされた。9回裏には満を持して岩瀬が登板。しかし、タイガース打線は食い下がる。1死から新井が二塁打。ブラゼルは三振に打ち取られたが、途中出場の狩野がファールで粘り死球。続く城島も死球で2死満塁。浅井のショートゴロは鈍い当たりで荒木の送球が遅れる間に浅井が一塁を全力で駆け抜けて内野安打とし、再び同点に追いついた。試合は延長に入り、ドラゴンズは三瀬、平井、鈴木とつないでタイガース打線を抑え、タイガースも藤川球、安藤とつなぐ。12回表、安藤は先頭の大島にヒットを打たれ、ボークで二塁を許す。森野を敬遠し、代打野本のバントはブラゼルが三塁に送ったが間に合わずフィールダーズ・チョイス。満塁となった。それでも必死の安藤は和田を空振り三振にとると、英智、谷繁と凡フライに打ち取り、なんとかピンチを脱した。12回裏は、安藤に打席がまわったが野手を使いきっていて代打を出せず安藤がそのまま打席に立つ珍しい場面もあり、結局チャンスらしいチャンスも作れず引き分けに終わった。ジャイアンツがカープに連勝したため、ゲーム差は0.5に。
◎ドラゴンズ15回戦……8−7
タイガースは下柳がいきなり打たれる。初回、2死から森野にライトスタンドに先制ソロホームラン。ブランコに死球を与え、和田にレフトスタンドへ2ラン。いきなり3点のビハインドとなった。ドラゴンズの先発は若い岩田。1回裏、ヒットの鳥谷をマートンが一塁ゴロで二塁に進め、新井のヒットで1点を返した。それでも下柳は乱調。2回表、堂上直にソロホームランを打たれ、味方の援護をすぐに吐き出してしまう。それでもそのあとの小田、岩田、荒木を三者三振に打ち取るなど、ペースをやっとつかみかける。若い岩田はリードをもらい守りに入ったか城島に死球を与え、浅井には四球。下柳が送り、鳥谷が四球。平野の二塁ゴロは併殺崩れとなりまず城島が生還して1点。そして不振のマートンがライトポール際にフェンス直撃の三塁打を放ち同点に。新井の打席で岩田が暴投。マートンが生還してなんと1安打で4てんをうばうというごっちゃんの逆転劇。岩田は4回で降板。5回裏、二番手清水から新井が間一髪の三塁内野安打。ブラゼルのヒットで1死一三塁に。金本の一塁ゴロは、ブランコが何を思ったか一塁ベースを踏んでから二塁に送球したためタッチプレーとなり、ブラゼルが挟まれる間に新井が三塁から生還して2点差にリードを広げた。6回表、下柳は森野にこの日2本目のホームランをライトスタンドに叩き込まれてまた1点差に。6回裏、清水から城島と浅井の連打でチャンスを作ると、三番手小林正から鳥谷がセンター前に弾き返す2点タイムリーで3点差に広げた。タイガースは6回途中から西村、7回から渡辺を投入して逃げ切りをはかる。しかし8回表、久保田が森野、ブランコに連続でバックスクリーンにホームランを放たれて1点差とされるとたまらず藤川球にスイッチ。藤川球は和田を歩かせて代打野本を三振にとる。9回表、藤川球は2死から堂上直、荒木に連打を浴びたが、大島を三振に打ち取り、振り逃げになりかけるところを城島が一塁に送球して試合終了。3試合連続の接戦をものにした。ヒーローインタビューは決勝点を放った鳥谷と連夜のリリーフの藤川球。
愛すれどTigers週間MVP
投手……藤川球児 5試合中4試合に登板。ドラゴンズ戦では1点も許されない場面で8回途中から登板し、しびれるような投球を見せてくれた。接戦になると球児がいる。信頼感はゆるぎない。
野手……城島健司 オールスターがいい気分転換になったか、連日の決勝打などで打撃は好調。先発が不調でも好リードで試合を作る。城島がその本領を発揮し始めた。
次節からはいよいよ長期ロードが始まる。その皮切りは東京ドームのジャイアンツ戦。首位争いということになるが、今は順位を気にせずまず勝ち越して名古屋に移動してほしい。ナゴヤドームでは同じ顔ぶれの先発となるだろうが、今節同様熱戦が期待される。歩の悪いナゴヤドームだが、悪くても1つは勝ってもらえればよい。とにかく大きく伸ばした勝ち越し数を減らさないようにしていってほしい。
(2010年8月2日記)