愛すれどTigers


長期ロードたった1勝の出発

 長期ロードの口切りは東京ドームでのジャイアンツ戦。ジャイアンツが必死で向かってきたこともあり1勝2敗。鬼門ナゴヤドームではここまでの熱戦で疲れ切ったかのような状態で、ドラゴンズに力なく3連敗。今節は1勝5敗。通算53勝41敗2分で勝率.564。首位ジャイアンツと1.5ゲーム差で2位に陥落。

◎ジャイアンツ14回戦……2−6
 先発はタイガースが6連勝中のスタンリッジ。3回裏まで完全にジャイアンツ打線を抑え込む。ジャイアンツの先発は怪我から復帰した今季初登板のグライシンガー。2回表、ブラゼルのピッチャー返しの打球を足首に受けて降板。野間口が緊急登板することになった。野間口の必死の投球の前にタイガース打線はチャンスは作るがあと1本が出ない。2回表は城島が併殺、3回表にはスタンリッジがバント失敗で併殺と拙攻を繰り返す。4回表、マートンの死球とブラゼルのヒット、金本の四球で1死満塁としたが、城島は内野フライ、浅井も外野への平凡なフライに打ち取られてしまう。4回裏、先制したのはジャイアンツ。快調に飛ばすスタンリッジから小笠原がライトスタンド前列に飛び込むソロホームランを放った。5回表には1死から鳥谷が歩き、平野のバントを一塁のエドガーがこぼしてオールセーフ。ダブルスチールで二三塁とし、絶好のチャンスを作り、マートンが強烈なピッチャーライナーを放ったが、野間口のグラブにすっぽり収まり、飛び出しかけていた鳥谷が三塁ベースに戻るところに素早く送球してランナーアウトでダブルプレー。これで流れが大きくジャイアンツに傾く。直後の5回裏、2死から代打工藤が四球、坂本にも四球を与え、松本のセンター前ヒットで工藤が生還。さらに小笠原もセンタへ前にタイムリーを放ち、2点を追加された。2回表、三番手久保から新井がライト線へ二塁打を放つと、城島のレフト前ヒットで新井が生還して1点を返した。タイガースは藤原が6回裏から登板して無失点で切り抜けて流れをつかみかけたと思われたが、7回途中から登板の安藤が8回裏に2死から代打エドガーにヒットを打たれ、代走の鈴木の足を気にするあまり脇谷にフルカウントから強振され二塁内野安打となる。そして阿部に徹底したインコース攻めを繰り返し、そのインコースをライトスタンド上段に運ばれる3ランを打たれて、試合の大勢は決した。9回表、五番手山口から鳥谷が右中間を破る二塁打を放ち、平野のセカンドゴロで三塁に進む。マートンがレフト前にタイムリーを放ち1点を返したが、越智が登板し新井が打席に入ったところで、そのマートンがなぜか二盗を試みて阿部の送球にタッチアウト。あっけなく試合終了。ジャイアンツに0.5ゲーム差で首位を奪回された。
◎ジャイアンツ15回戦……8−4
 タイガースの先発メッセンジャーは1回裏いきなり坂本にレフト前ヒットを許すが、続く松本がバントを失敗し続けて打って出たところセカンドゴロ併殺。これでジャイアンツの流れが止まった。直後の2回表、内海から先頭のブラゼルがヒット。内海は金本を警戒しすぎるあまり歩かせ、城島のセカンドゴロで1死一三塁に。浅井もセカンドベース寄りのゴロに打ち取られたが、セカンド脇谷が捕球して自らベースを踏み一塁にワンバウンド送球し、一塁亀井が弾いて浅井はセーフ。その間にブラゼルが生還してまず1点を先取した。続くメッセンジャーはレフトスタンド最前列の柵に打球を飛ばす。審判は一度はホームランと判定したが、ビデオ判定で覆りエンタイトルツーベースの扱いに。二三塁で試合再会。鳥谷は二塁の横を抜けるライト前ヒットで2者が返り3点目。そして平野も二塁に進んでいた鳥谷をライト前ヒットで迎え入れ、4点目を奪った。低めに決まる速球を軸に快調に飛ばしていたメッセンジャーだったが、4回裏、ラミレスにライトスタンドにソロホームランを打たれて3点差に。しかし直後の5回表、先頭の鳥谷がレフトオーバーの二塁打を放つと、平野が送り、マートンのライト前ヒットですぐに1点を取り返す。5回裏、ジャイアンツも反撃。脇谷と坂本のセンター前ヒットで1死一二塁。松本の当たりは痛烈なライトライナー。これをマートンがナイスキャッチ。間を抜いたと思い込んだ坂本は大きく飛び出しボールは一塁に返り併殺となった。このミスで流れはふたたびタイガースに。6回表、ジャイアンツの二番手ロメロから先頭の城島がセンター前に弾き返すと、浅井の投手前のバントをロメロが二塁に高投。オールセーフとなりメッセンジャーはバントをするが、スリーバントがファールとなり三振に。鳥谷もセカンドゴロを撃たされるが、当たりが鈍く二塁アウトのみ。2死一三塁で平野が2年ぶりとなるスリーランホームランをライトスタンド最前列に打ち込み、8点目のホームを踏んだ。6回裏、ヒットの小笠原を塁に置き、阿部がセンターオーバーの二塁打を放って2点目を入れるが、メッセンジャーは後続を断つ。ジャイアンツは8回からマイケル中村を、タイガースはやはり8回に西村を投入し、互いに無失点で切り抜ける。9回裏、三番手久保田が先頭の高橋由を歩かせて脇谷にレフトスタンドに2ランを打たれたが、そのあとはよく切り替えて工藤、坂本、谷を凡打に打ち取り試合終了。タイガースは首位の座を1日で奪回した。ヒーローインタビューは3安打4打点に今季初ホームランと活躍した平野。
◎ジャイアンツ15回戦……1−9
 タイガースの先発久保康は初回三者三振という最高の立ち上がり。しかし、打たせて取るのが身上の久保康にとっては実は最高の立ち上がりではなかった。2回裏、先頭のラミレスに死球を与えると続く阿部にも四球。高橋由にはストライクを取りにいった甘い球を狙い打たれてライトスタンドに先制の3ランを叩き込まれた。さらに長野にはレフトオーバーの二塁打。脇谷にセンター前に弾き返されて4点目を奪われる。脇谷にはバントと内野ゴロで三塁に進まれ、松本のレフトのライン上に落ちる二塁打で5点目を失った。4回裏には長野にバックスクリーン横へのソロホームランを打たれ、久保康はこの回限りで降板した。ジャイアンツの先発東野は低目をていねいにつく投球でタイガース打線を翻弄し、手も足も出ない状況。5回表には久保康の代打に清水を送り、その裏、清水はそのままキャッチャーのポジションに入って城島は退く。真弓監督の勝負師としての勘が、この試合はどうあがいても流れを呼び込めないと判断したのか。それでも清水は5回裏、二番手安藤が松本にセンター前ヒットを打たれたのに対し、走ってきた松本を自慢の強肩で刺す活躍を見せた。6回表、先頭の鳥谷がヒット。続く平野もライト前に弾き返して無死一三塁に。マートンがライトに犠牲フライを放ちなんとか1点は返した。しかし、そのあとブラゼルもヒットで続いたが金本が三振。打線がつながらない。7回表には2死から清水がヒット。鳥谷と平野は連続四球を選んで満塁とし、東野をマウンドから引きずりおろしたが、二番手久保裕の前にマートンはセンターフライに倒れて反撃ならず。7回裏、三番手若竹は2死から松本を歩かせ、エドガーの二塁打で1点を奪われる。続くラミレスにも二塁打を打たれてこの回2失点。期待の若手も流れにのまれたか。8回裏には藤原がマウンドに。先頭の亀井にヒットを打たれ、長野にもセンター前に落とされ無死一二塁。脇谷の内野ゴロで亀井は三塁に進み、代打谷の犠牲フライで藤原までもが1失点。ジャイアンツは9回表、8点差という大差にもかかわらず越智を投入し、逃げ切る。こと投手起用に関しては原監督はタイガース打線に過敏になっているように感じられた。これでまた首位は逆転してジャイアンツに。
◎ドラゴンズ16回戦……1−4
 タイガースは鶴、ドラゴンズは吉見が先発。先制したのはドラゴンズ。2回裏、ヒットの森野を堂上剛がレフトオーバーの二塁打で返す。タイガース打線は吉見の低めにコントロールされた速球を打ちあぐね、5回1死まで1人も塁に出せず。しかし、ブラゼルがバックスクリーン横に同点のソロホームランを叩き込むと、金本もライト線への二塁打で続き、攻略の糸口を作った。しかし、城島はサードゴロ、浅井敬遠のあと、鶴は三振。この好機を逸した後、チャンスは訪れなかった。5回裏、荒木がセンター前にヒット、英智は内野ゴロに打ち取ったが、和田のレフト線への二塁打で2点目を奪われる。鶴は6回2失点の好投ながらまたも勝てず。7回裏は西村がしのいだが、8回裏、渡辺がヒットの和田と四球の森野を塁に置き、岩崎達のバントで二三塁とされて降板。藤原は代打小池を敬遠して満塁とし、堂上直のセンター前タイムリーと小田の内野ゴロとでそれぞれ1点ずつを奪われ試合を決定づけた。吉見には8回1死まで投げられ、その後は浅尾、岩瀬の必勝リレー。9回表、無死からマートン、新井の連打でチャンスを作ったがブラゼルはセンターフライ、代打狩野と大和は連続三振でランナーはくぎづけのまま試合終了。またもナゴヤドームで苦杯をなめた。ジャイアンツもカープに敗れたため、ゲーム差は0.5とそのまま。
◎ドラゴンズ17回戦……1−4
 先発はタイガースが下柳、ドラゴンズが山本昌という超ベテラン対決。特に山本昌は今季初登板ということでかなり気合が入っていた。タイガース打線は不振のマートンと好調の鳥谷の打順を入れ替え、一番マートン、三番鳥谷のオーダーを組んだが、低めにコントロールされた投球に翻弄され、4回表にやっと鳥谷がライト前に落とすまでヒットはなし。下柳は1回裏にいきなり荒木にレフト線へ二塁打を打たれ、英智のバントで三塁に進まれ、和田の犠牲フライで先制点を取られる。4回裏にはヒットの堂上剛を塁に置き、堂上直のレフトスタンドへの2ランを浴びる。さらに2死をとってから荒木にレフト前ヒットを許し、さらに盗塁で二塁に進まれ、英智のセンター前ヒットで4点目を奪われた。下柳はこの回限りで降板。反撃したのは6回表。サード内野安打の平野が鳥谷の内野ゴロで二塁に進み、新井のセンター前に弾き返すタイムリーで1点を返す。しかし期待のブラゼルがセンターフライで反撃もここまで。タイガースは安藤、藤原、渡辺、久保田とつないで打線の反撃を待ったが、ドラゴンズも7回以降、高橋聡、浅尾、岩瀬の必勝リレーでタイガース打線を抑え込み、タイガースは悔しい連敗。ジャイアンツもカープに連敗したため、ゲーム差は0.5で変わらず。
◎ドラゴンズ18回戦……0−10
 ドラゴンズの先発中田賢の前に打線は沈黙。2回表、新井とブラゼルが連打してチャンスを作ったが、金本と城島はいずれもピッチャーゴロ、2死二三塁として浅井は敬遠。小嶋が三振して唯一のチャンスをものにできなかった。ものの見事な完封負け。タイガースの先発は二軍から緊急登板の小嶋。3回裏、堂上直と小田の連打を食らい、荒木のセンター前先制タイムリーと英智の内野ゴロで2点を失う。4回裏にはライト前ヒットの森野を小池のバントで二塁に送られ、堂上剛のライト線への二塁打で3点目を与え、この回限りで小嶋は降板。6回裏、二番手渡辺が和田への四球と森野の二塁打、堂上剛の敬遠などで1死満塁。堂上直には押し出しの四球。小田のサードゴロは新井が本塁へ悪送球して2人の走者を返し、中田賢にまでセンター前のタイムリーを打たれ、この回4失点。8回裏には三番手の若竹が小田のヒットと荒木の四球で1死一三塁とされ、英智のレフトへの二塁打で2点を献上。さらに大島の一塁ゴロをブラゼルが弾き、ベースカバーの遅れた若竹にトスしたが若竹が落球し、その間に英智が生還して10点目を与えた。投打ともに全くいいところなく、4連敗。小嶋と若竹は二軍降格が決まった。ジャイアンツが勝ったのでゲーム差は1.5と広がり、ドラゴンズにも3ゲーム差に迫られることになった。

愛すれどTigers週間MVP
投手……ランディ・メッセンジャー ジャイアンツ戦初先発でみごとな投球。ホームラン性の二塁打も放ち、投打ともに素晴らしい結果を残した。先発投手陣に疲れが見える中、途中からローテーションに入ってきたメッセンジャーの存在が大きくなってきた。
野手……鳥谷敬 不調の時期が長かったが、ついにトンネルを脱した。マートンに代わって三番に復帰し、これからが勝負強い男の本領発揮だ。

 なんとも苦しいロードの発進となったが、次節からは今季分のいいカープとマツダスタジアムで、そして関西に戻って京セラドームでこちらも相性の良いスワローズとそれぞれ3連戦。下位チームへの取りこぼしがなければ、ジャイアンツも本調子ではなく、ドラゴンズもタイガース戦で力を使いきっているかもしれず、首位に返り咲くことも可能(というか願望)。でもジャイアンツもドラゴンズもベイスターズ戦が組まれたりしてるんですね。なんとか今の位置をキープしつつ上を狙っていただきたい。ああなんて弱気なんだろう。

(2010年8月9日記)


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